改めて職域接種でのソフトバンク・楽天は接種枠を奪っていないと言う話

この記事のアクセス数
359PV
この記事は約13分で読めます。
記事内にアフィリエイトリンク等の広告が含まれています。

このブログでは、楽天やソフトバンクの職域接種対応に対しての批判に関して、事実誤認があるのではないか、政府方針としてああいう動きをしてほしかったのではないか、と言うことを何度か書いてきました。

これを思い出すような言動を、2021年末に、河野太郎前ワクチン担当大臣が行っていたので、改めてそういう話をします。

自民党の河野太郎広報本部長は26日のフジテレビ番組で、新型コロナウイルスワクチンの3回目接種を急ぐべきだと述べた。「足並みがそろうのを待っていてみんなが打てないより、できるところからどんどん打つのが国民の健康を考えたときに最適だ」と強調した。

政府は接種時期が平等になるように接種態勢の整わない自治体の対応を待っているとの認識を示した。「手元にあるのを打ち尽くし、足らなくなって一時ストップすれば『ごめんなさい』(と閣僚が謝ること)でしょうがない」と語った。

感染が拡大する地域へワクチンを優先配布することには否定的だった。「感染拡大地域に配っても打てなければ意味がない。接種能力に合わせて打つのが一番早く打てる」と説いた。

新型コロナ: 河野氏、3回目接種「できるところから打つべき」: 日本経済新聞

「できるところからどんどん打つのが国民の健康を考えたときに最適だ」「接種能力に合わせて打つのが一番早く打てる」これが職域接種にて近隣住民に打つ理由ですよね。

当時の大臣としての質疑応答でも「一応職域という言い方をしておりますが、無駄がないようにスピードアップして打っていただくというのが大事だと思いますし、自力でなかなか1,000人の職域接種ができない中小企業等もありますので、起点になるところは広く呼びかけていただくというのがいいかなと思います。」と述べておりますし、やはり能力のある大企業に、自治体接種の分も能力を発揮してほしかったのだろうと思います。

河野内閣府特命担当大臣記者会見要旨 令和3年6月15日 - 内閣府
内閣府のホームページです。内閣府の組織、政策、報道発表資料、統計・調査などに関する情報を掲載しています。

それが職域接種分のワクチンの配布が遅れたために、まるで在庫をそれまで抱えていてようやく吐き出したかのように見えてしまった、これは本来政府が責められるべき問題であって、楽天・ソフトバンクに批判が飛んだのは、個人的には政府・ワクチン担当の謝罪による事実の訂正が必要な案件のように思えてなりません。

で、この辺について、得しているのは本当に河野太郎氏ですよね。思い通りにいかなかったことは都合よく楽天やソフトバンクへの批判に転嫁され打ち消されたわけです。

それがよくわかるのは、河野太郎待望論を唱えている、この医師・小説家の方です。

この方の職域接種で近隣住民への接種を前提にした動きに関しての反応について触れていきます。

ソフトバンクに対してはこの反応です。

なぜそのような申請をしたかは、河野太郎氏が「当初はその企業、取引先、あるいは扶養家族という話でしたけれども、そこはもうかなり柔軟に捉えてやってもらいたいということでよろしいでしょうか。(答)1つは接種券がきちんとあるかどうか、接種券がない場合には名簿で管理をしていただかなければなりませんので、名簿管理がきちんとできるかどうか、そういうことだと思います」という質疑応答をしたことからもわかるのではないでしょうか。
名簿管理ができるなら、接種能力いっぱいになるまで申請して接種すべきだ、というワクチン担当大臣の思いに呼応したのが、ソフトバンクの職域接種規模拡大宣言だったと言えるのではないでしょうか。(また宣言時期はたぶん政府の承認が下りたタイミングなのではないでしょうか)

ここで「過剰申請」と言われておりますが、政府ワクチン担当大臣は6月23日会見にて「1か所ずつワクチンの接種回数や予定されている配送量等を精査させていただいて、余剰になりかねない分については必要量に削減をさせていただきたいと思っております」と述べていて、その精査を受けても申請が通っているわけですから、実際に申請が通ったワクチンは、少なくとも「余剰」「過剰申請」ではないという政府の判断があるように思います。

また、この申請から配布までの時間については、当初の「本格化」という発信をした後も世間の認識よりもワクチン配送の遅れ?が生じていて、また枠を一般に周知しようにも、接種開始の2週間前までそもそもどの程度ワクチンが届き接種できるのかわからない状態である可能性が高いので周知は困難だったのではないかと、2021年7月2日会見などの大臣発言から言えるのではないでしょうか。

 それから、職域接種及び大学拠点接種の申請についてでございます。まず、専用の受付サイトから申請をいただいたと思いますが、申請をいただくと厚労省から申請を受け付けましたという、まず1通目のメールが届いているはずでございます。厚労省において申請内容を確認したものについては、確認メールが2通目として届くことになっております。2通目の確認メールが来ているところは、接種に向けて具体的なプロセスが動いております。先日も申し上げましたけれども、6月25日の午後5時に申請の受付を休止した段階で、職域接種と大学拠点接種合わせて3,700万回分の申請をいただいております。そのうちの2通目のメールを受け取ったという確認済みの会場につきましては、モデルナ社からのワクチンの供給に支障が生じない限り、当初申請をいただいた人数、スケジュールで実施できるように、ワクチンの供給の手続を進めております。接種開始の2週間前にワクチンの配送日と配送量をご連絡いたします。接種開始の1週間前にワクチンが届きます。それで、接種を開始していただくということで、2週間前の金曜日までに連絡が必ず来ることになっております。ですから、確認されている会場で7月19日以降に開始するというところにはまだご連絡が行っていないと思いますが、お待ちいただきたいと思います。
 厚労省から申請の受付と確認しましたという確認のメールが来ている会場については、当初の予定どおり手続きが進んでいくと思っていただいて構わないと思います。

(中略)

職域接種の申請の確認待ちになっている会場を確認して、8月2日の週からワクチンの配送を始めて、8月9日の週から順番に接種を始めていただくことができるのではないかと考えていますが、逆を申しますと、今、確認ができていない会場について、7月中に接種を始めるのは非常に難しい状況になっております。医療従事者の確保等、いろいろなことがあると思いますので、申し訳ございませんが、7月のスタートは、現時点で確認されていない会場については厳しいと認識していただきたいと思います。8月2日の配送から、順次確認されていない、順番待ちになっているところは入れていきたいと思っております。
 新たな確認については、各省庁の協力を得て、各会場の状況等を検討していただいた上で、後ろにずれるのであれば人数が減るとか、あるいはもう地域接種が進んでいるのでそちらで接種を受けよう等、いろいろなことがあると思います。それはご自由にご判断いただいて構いません。その上で、申請された日時、それから開始予定時期を勘案して順次確認をして、ワクチンの配送に移ってまいりたいと思います。
 来週から、接種の対象者等について所管省庁から順次ヒアリングが行われると思いますので、ご対応をお願いしたいと思います。

河野内閣府特命担当大臣記者会見要旨 令和3年7月2日

枠を解放するにしても、ワクチンがきちんと来るのかの確認などがしっかりなされてからではないといけませんし、このようなヒアリングで確認したうえで枠を出していたと言うのは、楽天のプレスリリースからも察せられることではないでしょうか。
一方で、この枠の解放段階の時期も「余ったワクチン」という邪推を生んでいたように思うので、本来向かうにしても政府に向かうような批判がソフトバンク・楽天に転嫁されたように思えてなりません。

一方、楽天のワクチンについての知念氏の反応は以下のようなものでした。

このツイートにはいくつもの事実誤認がありますが(世田谷区の接種スピードとか)、ここで取り上げるのは「元々、自分たちが確保していたものではなく、 新たに住民用に申請して必要量に応じて供給されたものです。」という部分です。

ここで楽天が接種しているワクチンの枠は、「当初から」という言葉を使っているように、元々初めの職域接種申請で確保したものであって、新たに申請はしていません。
もともと職域接種申請で確保した枠に合わせて、実績に合わせたペースで配布されているものを順次接種しているという話です。

楽天グループでは、日本全体での集団免疫の早期獲得に向けて一人でも多くの方にワクチン接種を速やかに受けていただけるように、当初の発表方針の通り、国の職域接種指針のもと、近隣住民や単独で実施困難な中小企業等もご参加いただける地域包括的な合同接種を念頭に準備を進めてまいりました。

現在、職域接種においては、接種実績に基づいてワクチン供給量が順次調整・確定されています。当社では綿密に計画を立て、効率的なオペレーション体制のもと、供給されたワクチンは当初より速やかに無駄なく接種を進めてきております(在庫が貯まっているものではなく、実績に基づき週単位で順次供給されるワクチン量に応じ予約枠が追加されます)。

世田谷区民ワクチン接種予約情報ページ|楽天グループ株式会社

この接種実績に応じて配送量の調整、という話については、河野太郎氏の大臣会見でも触れられています。

繰り返すようですが、モデルナ社製ワクチンに関しては、今の段階では一度配送してしまうと、そこから移送することが認められておりませんので、配送先で全て接種していただく必要がございます。貴重なワクチンを無駄にできません。実際の接種実績に応じて配送量を精査させていただくことになりますので、毎週の配送量の調整をV-SYSで行います。その際、接種実績をV-SYSに入れていただくようにお願いしたいと思います。接種実績が0になっておりますと、こちら側で接種が止まっていると認識をする場合がございますので、配送に必要な量と実績を入力していただきたいと思います。

河野内閣府特命担当大臣記者会見要旨 令和3年7月2日

この調整の事であって、もともと自分たちが確保していた枠ではあるのです。

そして職域接種の申請で「貴重なワクチンを奪った」かどうかについては、河野太郎大臣が一時申請休止の宣言をした際に一定の過剰申請を排除すると述べていたわけで、そのうえで通っているのですから、そのうえで過剰だと言うのなら、そもそも政府が職域接種に確保した枠数が間違っていたと言えるのではないでしょうか?

大規模接種並びに職域接種については、今、一つ一つの申請を精査させていただいておりまして、特にモデルナ社製ワクチンの場合は一度輸送して接種先の冷凍庫に入れてしまうと、現時点ではそこから再輸送が認められておりませんので、余剰ワクチンが発生してしまうと非常に難しい事態になります。したがいまして、1か所ずつワクチンの接種回数や予定されている配送量等を精査させていただいて、余剰になりかねない分については必要量に削減をさせていただきたいと思っております。

河野内閣府特命担当大臣記者会見要旨 令和3年6月23日

(問)ワクチンの関係ですけれども、職域接種の申請があったものは全て受け入れるということですが、当初の説明だと、過剰に申請があったということで、精査するということだったんですが、これは精査せずにそのまま受けられるという意味なのか、精査をした上で受け入れるのかという点を確認したいのと、そうなった場合に、すでに今の計算でも、職域接種、大学拠点接種、自治体での大規模接種の合計4,900万回分で、すでにモデルナ社製ワクチンが100万回分余っていて、さらに精査を進めていくと、さらにバッファーが出る可能性があるんですけれども、この扱いについてはどのようにお考えなのか教えてください。

(答)すでに精査の結果、空きが出ているというか必要量が減っておりますので、これは確認前のものも精査をしながら入れてまいります。一番多かったのが、申請時の説明で、延べ人数なのか接種人数なのか勘違いされて、1,000人に2回接種だから2,000人と申請されているところが多くあり、そこはご迷惑をお掛けしましたが、2,000人を1,000人に直させていただいたり、3,000人が1,500人だったりということで、そこは枠が少し空いてくると思います。これから確認をするものも、その間違いがあると思いますので、そういったものを中心にしっかり見ていきたいと思っております。

河野内閣府特命担当大臣記者会見要旨 令和3年7月2日

また、自治体分を職域接種が邪魔をしたという構図自体、「職域接種や大学での接種は自治体をサポートすることになりますのでどんどんやっていただきたいと思います」などの河野太郎大臣の言動や、そもそも自治体と職域接種に振るモデルナの枠は申請前に政府が決めていて、その枠がずれたのは、そもそもモデルナワクチンを配送可能な時期が予定より遅れたのでファイザーを使ったという話ぐらいだと思うので、職域接種が邪魔と言う話ではなく、もしこれでも邪魔だと言うのならば、やはり批判されるべきは楽天やソフトバンクなどの大量申請者ではなく、職域接種に大量の枠を用意したワクチン担当大臣の方針自体だと思うのです。

(問)確認ですけれども、モデルナ社製ワクチン5,000万回分の配分について、職域接種向けに3,300万回分と自治体による大規模接種向けに1,700万回分という総量は変わらないということですか。
(答)1,200万回分は今、自治体によるモデルナ社製ワクチンを使用する大規模接種が承認済みになっています。その外の分の大規模接種でモデルナ社製ワクチンを使うのをやめて、ファイザー社製ワクチンで接種を行うということでございます。残りのモデルナ社製ワクチンについては、今、職域接種で対応をどこまでできるかというのを精査しているということです。
(問)そうなると「モデルナ社製ワクチン5,000万回分のうち、1,700万回分を自治体大規模接種向けに割り当てる」とおっしゃった大臣の発言から一部変更されるということですか。
(答)変更するということです。モデルナ社製ワクチンの配送限界が上がってきませんので、モデルナ社製ワクチンは恐らく相当後ろの時期に、それなりの配送量が回るということになると思います。そうするともっと早く、自治体接種等で打つことができると思います。
 どの程度の接種率になるのか分かりませんが、9月末で希望する国民全員が打てる量が入ってきます。接種率がどれぐらいになるかによって、9月末に入ってくるワクチンが若干残るということになると思います。
 もしモデルナ社製ワクチンの配送可能量がファイザー社製ワクチンのように上がってくれば、もっと配送時期を前倒しして早く打てると思いますけれども、なかなか配送可能量が上がってこないということと、モデルナ社製ワクチンをずっと継続して供給するということになりますので、そうするともっとほかに、自治体でファイザー社製ワクチンを使って打てる量というのがあると思いますので、そのあたりを加味して、取りあえず自治体の大規模接種の保留分については、まずファイザー社製ワクチンを供給して、7月分をスタートしてもらうということにしています。

(略)

(問)整理させていただきたいんですけれども、モデルナ社製ワクチンは総量5,000万回分あって、そのうちの3,300万回分は職域接種と大学拠点接種に使いますと。既に大規模接種で承認した1,200万回分は予定どおりモデルナ社製ワクチンを使いますと。残りの500万回分はこれからの状況を見て、どのように使うかを決めると。そうすると、承認していない大規模接種で使うと予定していた1,200万回分についてファイザー社製ワクチンを使いますと。その数字が200万回分ということでしょうか。(答)これはちょっと精査をしなければいけないので、多少数字がずれる可能性はありますが、大学拠点接種と職域接種で承認待ちになっているものを含めると恐らく3,700万回分あると思います。それに承認済みの大規模接種1,200万回分を加えて、合計4,900万回分です。その他に大規模接種に手を挙げていて、保留になっていた自治体が1,200万回分あるということです。この1,200万回のうち、7月に接種を行う200万回分はもう予約も取っているでしょうから、ファイザー社製ワクチンを自治体にお配りするということにしています。
 8月分は都道府県分は基本計画枠がありませんので、都道府県分は自治体(市区町村)に配分する基本計画枠とは別枠で送っていくことになります。8月分の市町村の大規模接種については、手持ちの在庫でスタートしていただいて、調整枠のところで供給できる分を供給していくということになろうかと思います。

河野内閣府特命担当大臣記者会見要旨 令和3年6月30日 – 内閣府

そして、河野太郎大臣をもう一度と願うならば、このような「接種枠が能力があるとみなされた場所に(一時的に)偏っていく問題」を許容することが必要だと思うのですが、この認識が果たしてあるのでしょうか・・・。

コメント

タイトルとURLをコピーしました