台湾のコロナ対策の記事を読んで考えたこと

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台湾のコロナ対策について、私がTwitterで見たのがオードリー・タン氏が天才!みたいな話ばかりで「うさんくせぇ」と思ってしまい、正直ほとんど知らなかったのですが、遅ればせながら最近になっていくつか記事を見て、考えたことをブログにしておきます。

PCR検査

衛生福利部部長がPCR検査について日本でも良くある、私からすると特異度が雑すぎる偽陽性なり、偽陰性の話をして、『検査環境が悪ければ、検査中や検査終了後に感染する可能性もあるし、PCR検査を無駄に増やすことはコストパフォーマンスにまったく合わず、税金を無駄にするだけ』なんていう、日本でも「ニューヨークで」とか言うような、粗雑だと思う理論でそれを問題視する言及をしているのですが、日本の話とはここからの展開が違うように私には見えました。

陳大臣は感染拡大を防ぐ最適な方法は、自宅待機と隔離であると強調した。無造作にPCR検査を拡大するリスクよりも、経過観察および症状の有無を確認した後、最終判定のためにPCR検査を使うことを説いたのである。

 しかも、台湾・中央感染症指揮センターは、7月29日の会見で、もし無症状感染者でも、14日間隔離していれば、14日後には保菌状態でも他人に感染するリスクはゼロに近いと断定している。

新型コロナを封じた台湾、日本との「決定的な違い」とは | DOL特別レポート | ダイヤモンド・オンライン

「無症状感染者でも、14日間隔離していれば、14日後には保菌状態でも他人に感染するリスクはゼロに近い」という発言がPCR検査に頼ることを否定する流れで出てくると言うのが大事で、要するに感染可能性がある人は、(無症状でも)PCR検査でわざわざ隔離や自宅待機しなくていい人を作り出そうとせずに、みんな自宅待機や隔離すれば安全でしょう、と言うことを言っているんじゃないかと思うんですよ。

「台湾はPCR検査による感染者の発見よりも、発熱などの症状がある人の隔離を重視している。検査で陰性と判定されても、実際は偽陰性のまま感染者が市中へ入る可能性があるからだ。入境時に感染の疑いがある人は集中検疫施設で14日間隔離される」

「防疫なくして経済なし」対コロナ”台湾モデル”、衛生相が語る要|【西日本新聞ニュース】

ここで思うのは、日本は、接触した人の中から細かい条件で濃厚接触者を選抜して、限られた人だけにPCR検査や自主隔離してもらって、それ以外の人は普段通りで・・・というのを感染が蔓延している状態でやっていると言う部分が、台湾と前提が違うんじゃないの?ということです。

このため、中央感染症指揮センターは24日、今月6~19日に退院した患者とその同居者、付添人などを在宅隔離(外出禁止)の対象に加えた。また、6日以降、同病院の救急外来の受診患者や職員を自主健康管理(公共の場への出入り自粛)の対象とした。

病院関連の感染拡大 蔡総統、接触歴の自主点検を市民に呼び掛け/台湾 | 政治 | 中央社フォーカス台湾 MOBILE

同センターは午後の会見で、院内でリスクが高いとされるエリアに今月6日以降、入院していた患者に在宅隔離(外出禁止)を要請するとしていたが、夜に再び会見を開き、対象の拡大を発表。6~19日に退院した患者、入院中に付き添っていた人なども在宅隔離の対象にするとした。14日間の在宅隔離を終えた後には検査を実施した上で、7日間の自主健康管理(外出時のマスク着用、公共の場への出入り自粛など)を求める。対象者は推定で5000人近くに上るという。

北部の病院関連、感染2人増 隔離の対象拡大、推定5000人/台湾 | 社会 | 中央社フォーカス台湾

ここまで隔離やら出入り自粛やらを大きくできるんなら、確かにPCR検査なんてバケツに穴をわざわざ開けるようなものになりますよね、と。

ただ、ここでPCR検査の偽陰性で出歩いちゃう的な議論で抜けがちな観点として、基本的にどういう考え方で動くことを前提にしているのか、と言う部分に齟齬がある気がして。

基本がstayhomeである、つまり感染しているか疑わしい場合に「疑わしいから活動を止めて自粛しよう」という考え方が基本ならば、偽陰性でも結局は「疑わしいから自粛しよう」という話になり、その結果PCR検査は治療のための物、と純粋に言えるようになるんですが、現状の日本はそうではなく、「疑わしい場合も活動はできる限り止めないようにしよう」と言うのが政策的にも、緊急事態宣言の微妙な内容的にも、基本的な行動指針になってしまっているように思うのです。
偽陰性で活動して良いお墨付きというのは、そういう行動指針の下で陰性=現状の方針のままでいいですよ、という機能をしているという話でしかないように私には思えるので、そこはPCR検査の問題ではなく、人々の基本的な活動の方針が誤っていることに間違いの重点があって、PCR検査の問題にフォーカスを当てるのは、少なくとも今は違うと思うのです。

行動変容がそこまで徹底できないという前提で、それでもできる限りザルの目を狭くするためのPCR検査と言うのが、政府が専門家会議に送り込んだ経済の専門家によるPCR検査拡充論。要するに次善の策としてのウィズコロナ政策だと思うのです。

コロナにかかる可能性があろうが活動が止められない場合には(つまりウィズコロナをどうしてもしないといけない場合は)、各自PCR検査などの検査を定期的に受けることで、どこかで感染拡散につながるであろう活動をできる限り早く止められるようにする。

その上で、日本政府や日本社会の認識として、経済を止めてはいけない、として、ほぼすべての労働者が「エッセンシャルワーカー状態」となっているように見える現状では、その穴だらけのバケツを少しでも閉めるための検査拡充と言うのは、個々人に何らかの(強めの)症状や強い疑いが出ない限り何も活動を止める方向に動かない上に、濃厚接触者などの調査・認定すら縮小されていきそうな現状よりは少しでもマシな方向に動くのでは、と思うのですが。
(COVID-19が流行する前の風邪では休めない社会、未だに引きずってますよね?)

いや、そりゃ一番ベストなのは、できる限り常に感染可能性があると考えて個々人が動き、かつ濃厚接触者は無条件一定期間隔離になる社会の実現ですが、現在の企業の動きとか、個々人の動き、政府の政策的に、もう「そんなめんどくさいことできません」というフェイズになってしまったような・・・。
(COCOAも機能してんだかなんだかわからないですし・・・)

中央感染症指揮センターは本(24)日,目下COVID-19(武漢肺炎)の海外旅行感染症アドバイスで第一級(タイ,イタリア,イラン)及び第二級(シンガポール,日本)に指定している国々で感染確認事例が引き続き増えており,かつ市中及び院内感染が次々と報告されていることから,即日で海外旅行感染症アドバイスの第一級と第二級の国から入境する旅客に対して,入境後14日間,以下の自主健康管理措置を行うべきと発表した。
(1)手の清潔を維持し,常に手を洗う習慣を保つ。また出来る限り,目,鼻,口を手で直接触らないよう注意する。手が呼吸器からの分泌物に接触した際には,石けん及び清水で徹底的な揉み洗いをする。
(2)自主健康管理機期間は,毎日朝晩1回体温を測り,体温と一日の活動を詳細に記録する。
(3)何らの症状が出ていないのであれば,正常に生活することで良いが,公共の場所に出入りすることは出来る限り控え,外出時には全行程でサージカル・マスクの着用を厳格に遵守する。
(4)もし発熱や呼吸器官の症状,だるさなどが現れた場合には,サージカル・マスクをしっかりと着用して,速やかに医師の診察を受ける。診察時には,医師に対して,接触,旅行,居住などの記録と,仕事を通じて接触した範囲(中文:職業暴露)及び身近に類似の症状がある者の有無を主体的に申告する。
(5)発病期間中は家で休養し,サージカル・マスクを着用し外出は避ける。マスクに口や鼻からの分泌物が付着した場合には,即交換し,分泌物を内側に折りたたんでゴミ箱に捨てる。
(6)発病期間中に他人と会話する時には,サージカル・マスクを着用するほか,可能な限り1メートル以上の距離を保つ。

新型コロナウイルスに関する注意喚起(台湾当局による日本を含む地域からの入境者に対する自主健康管理措置の要請について) 新着情報 | 公益財団法人日本台湾交流協会

高雄市政府衛生局は23日、11月末にフィリピンから入境したフィリピン籍の20代女性に対し、入境後の14日間の外出制限「居家検疫」終了後の「自主健康管理」(手洗い、外出時のマスク着用、公共の場所への出入りを控えるなど)期間の初日に、火鍋店で同僚ら9人と1時間半にわたって会食したとして、伝染病防治法(感染症予防治療法)により1万台湾元(約3万7,000円)の罰金を科すと発表した。女性は会食後に自費で検査を受け、新型コロナウイルス感染が確認されていた。24日付聯合報などが報じた。

 女性は会食時、マスクを着用せずに同僚らと近距離で会話し、同じ鍋をつついていた。同僚らは、感染者と接触したことで、14日間の外出制限「居家隔離」措置を受けている。

《新型肺炎》自主健康管理期間に会食、高雄市が罰金1万元/台湾 – ワイズコンサルティング@台湾

感染者が感染確定した日から14日前までの足取りをすべて調査し、感染確定者との接触者を「明確な濃厚接触者」「濃厚接触もしくは接触可能者」「公開した同一時刻同一場所にいて症状のある人」と3種類に分類して、隔離措置、経過観察、診察検査を行う。なお、濃厚接触者とは「感染確定者と1~2メートル以内で15分以上接触した人」と明確に定義されている。

(略)

中央感染症指揮センターは12月22日の会見で、このニュージーランド人男性と台湾人女性が12月8日から11日までに訪れたデパートなど3カ所の店名と滞在時間を公表。同じ時間帯にいた人たちに対し、外出時のマスク着用や公共の場への出入り自粛などの「自主健康管理」を呼び掛けた。また、該当者で何らかの症状が出た場合は、ホットラインに電話するか保健所などに申し出て診察や検査を受けるように注意喚起した。

域内感染「ほぼゼロ」の台湾にみる、正しいコロナ対策 | News&Analysis | ダイヤモンド・オンライン

罰則

台湾は結構しっかりとコロナ対策に罰則があるように思いますし、強い言葉でマスコミをけん制していることもあるのだろうと思います。

翌24日の会見時も、「中央感染症指揮センターが発表する情報は専門者会議で十分に協議された結果である。中央感染症指揮センターの発表以外の情報を詮索して、不確実なうわさやデマを流した場合、国民に余計な恐怖を与えるだけでなく防疫活動の妨害にもなり、刑事および民事等の法的な追及もされることがあることを理解してほしい」と述べている。

域内感染「ほぼゼロ」の台湾にみる、正しいコロナ対策 | News&Analysis | ダイヤモンド・オンライン

この辺について、オードリー・タン氏が述べている、強制的なやり方についての話は、台湾がはたしてオードリー・タン氏の発言どおりの実態となっているかはわかりませんが、現状、日本政府が入院に罰則規定を付けようとしていたり、自民党の議連が国旗損壊罪を提案しだしたりしている状態では、いろいろと考えてしまいます。

「緊急事態宣言をすれば強権的なことができるけれど、それは適切ではない。緊急事態宣言を出さなくても、国民が自発的に政府に協力してくれることが大切だ」という考えだったのです。

たとえば、バーやナイトクラブのような匿名性の高い場所は、以前は防疫に協力してもらえるとは考えられていませんでした。しかし、CECCの陳時中指揮官は、彼らを信頼して、防疫の方式として実名登録や写真による記録などを提案しました。最終的に、バーやナイトクラブもそれに応じることによって、営業を続けることができました。

最初から「誰かが違反するだろう」などという先入観を持って強制的なやり方を選択するのは、いい方法ではありません。誰でも感染などしたくないのですから、「どのようにすればお互い協力できるのか」ということを考えるべきなのです。それが政府と人々の重要な信頼の源になるわけで、両者の間に相互信頼があったことが、台湾において感染拡大を防いだ最大の理由であったと言っていいと思います。

「緊急事態宣言は適切ではない」…台湾が感染爆発を防げたワケ(幻冬舎ゴールドオンライン) – Yahoo!ニュース

ここではデジタル化について信頼関係が必要だと述べていたのですが、それだけではなく、この信頼関係があることが、逆説的かもしれませんが罰則規定を作るための前提でもあるような気がします。

罰則は正直、信頼を多少欠損する代わりに秩序を維持すると言う効果を得るものなのではないか。
そのデメリットを軽減化するためにも日頃の相互信頼が必要なんだろうな、と思ったのです。

で、そう考えると、「相互信頼」という言葉とパンケーキおじさんはとても相性が悪いなぁ・・・と。
あの人、基本は自分しか信じてないように見えますし。

菅総理に近い自民党議員はこう漏らす。 「このところ、菅さんは周囲の意見を全く聞き入れない。以前から頑固なところはあって、官房長官時代は“ブレない”“強気を崩さない”といった評価に繋がっていた。しかし、最近の令和おじさんはただの頑固おじさんのようになっている。そのせいで党との間にも溝が生まれてしまった」

菅総理と自民党との間で軋轢、官邸も機能不全に 「ポスト菅」候補は(デイリー新潮) – Yahoo!ニュース

官邸スタッフだから首相の肩を持つのは当たり前と言えばそうなのだが、その一方で、こうも続ける。

「菅さんの場合は、“誰がやっても同じ”とは考えていなかった。“オレがやるんだから大丈夫だ”って考えていたはずです。その強烈な自負心に足をすくわれた感じがします」

菅首相“オレがやるからコロナは大丈夫”の過信が仇に 「アフター菅」への道(デイリー新潮) – Yahoo!ニュース

首相は就任時、「国民のために働く内閣」と定義づけ、携帯電話料金の値下げや不妊治療への公的医療保険の適用拡大などを素早く実現すると訴えた。

 この背景には、「首相が官房長官時代のように自分でそれぞれの所管省庁に細かく工程表などの指示を出す」(首相周辺)ワンマン的な手法で乗り切れるという自負があった。

 実際、携帯電話を所管する総務省幹部は、

「大手3社の主力ブランドがどの程度値下げしなければならないかまで、首相から直接電話で指示を受ける」

 と打ち明ける。

「軍師不在」で「裸の王様」菅首相の機能不全(新潮社 フォーサイト) – Yahoo!ニュース

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