菅首相の会食と政府発信の矛盾

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菅政権の発信していることは一切信用しないことが、菅総理大臣の促す「自助」の最たるものなのかもしれません。

ここ数日の会食を巡った菅政権の動きについて「それはないだろう」と思うことが多々あったので、ブログに書いておきます。

なぜ5人以上がダメなのでしょうか。11月16日、西村大臣は「5人以上の飲食では感染リスクが高まると専門家から指摘されてる」と述べています。会食でのクラスターのうち、5人以上の会食だった割合は、7月~10月までで7割近くで、11月に入ってからは実に8割以上となっています。

では、なぜ5人以上だと感染リスクが高まるのでしょうか。
日本感染症学会専門医の寺嶋毅医師に聞いたところ、飲食店のテーブルは大体4人単位で、5人以上となると、遠いところの人と話す際ある程度声が大きくなってしまうということがあります。マスクを外して大声だと飛沫はたくさん飛び、感染リスクは上がると同時に、人数が増えるほど、感染者がいる確率も上がると指摘しています。

5人以上はGoToイート対象外?その理由|日テレNEWS24

クラスターの定義がだいたい5人以上と言う部分のバイアスが効いている気がしますが、会食で5人以上はリスクが高いからなるべく控えてほしいというのは、政府が、Gotoイート政策にも反映するように都道府県知事に促すなど、公式に発信していた情報であるはずです。

菅首相は19日午前、新型コロナウイルスの18日の新規感染者が2200人を超えて過去最多となったことを受け、飲食店支援事業「Go To イート」について、適用を「原則4人以下」での飲食に制限するよう全国の知事に要請したことを明らかにした。首相官邸で記者団に語った。

 首相は感染状況について、「最大限の警戒状況にある」と述べたうえで、「専門家からは飲食を通じた感染のリスクが指摘されている」とし、会食を通じた感染拡大の防止に全力を挙げる考えを示した。

 具体的には、「Go To イート」の人数制限の検討に加え、国民に対して「飲食の際でも会話の時にはマスクを着用し、『静かなマスク会食』をぜひお願いしたい。私も今日から徹底したい」と呼びかけた。

GoToイートは原則4人以下、静かなマスク会食も…首相が要請 : 政治 : ニュース : 読売新聞オンライン

クラスターは、現時点で、同一の場において、5人以上の感染者の接触歴等が明らかとなっていることを目安として記載しています。

感染拡大防止と医療提供体制の整備|厚生労働省

ここで注目すべきなのは、西村経済再生担当大臣(新型コロナ対策担当)も首相も「専門家から指摘されてる」と言っていること、首相が「飲食の際でも会話の時にはマスクを着用し、『静かなマスク会食』をぜひお願いしたい。私も今日から徹底したい」と述べていることです。

では、この日(11/16)から首相は、きちんと徹底しているのか?少なくともどういう面子で会食をしていたかについて、朝日新聞の首相動静から見てみようと思います。(人数が不明、もしくは5名以上いることが確定なもののみ記載しようと思います。また、会食をはしごしているパターンもあれば抜き出します。見逃し&誤解があったらすみません。)

  • 11/16 5時36分、東京・虎ノ門のホテル「The Okura Tokyo」。中国料理店「桃花林」で横浜商工会議所の上野孝会頭らと食事。
  • 11/17 4時46分、オーストラリアのモリソン首相を出迎え。記念撮影。47分、儀仗(ぎじょう)隊による栄誉礼、儀仗。56分、モリソン首相と首脳会談少人数会合。5時15分、モリソン首相と首脳会談全体会合。6時28分、署名式、共同記者発表。50分、菅義偉首相主催の夕食会。7時58分、モリソン首相を見送り。
  • 11/27 6時53分、ホテル「The Okura Tokyo」。日本料理店「山里」で元プロ野球選手の江本孟紀、小早川毅彦両氏らと食事。
  • 11/28 0時18分、同基地内の空輸ターミナルで岸防衛相、防衛省の島田事務次官、芹沢官房長、山崎統合幕僚長、井筒航空幕僚長らと食事
  • 12/1 (午前)7時28分、東京・虎ノ門のホテル「The Okura Tokyo」。レストラン「オーキッド」で日本ガス協会の広瀬道明会長らと食事。
  • 12/10 7時7分、東京・内幸町の帝国ホテル。宴会場「牡丹の間」で日本経済新聞社の喜多恒雄会長、岡田直敏社長らと食事。
  • 12/14 8時50分、東京・銀座のステーキ店「銀座ひらやま」。自民党の二階俊博幹事長、林幹雄幹事長代理、プロ野球ソフトバンクの王貞治球団会長、俳優の杉良太郎氏、政治評論家の森田実氏らと食事。
  • 12/15 7時43分、東京・赤坂のイタリア料理店「VaccaRossa」。自民党の秋本真利衆院議員、加藤仁日本風力発電協会代表理事と食事。8時15分、東京・六本木のアークヒルズ仙石山森タワー。「ステーキそらしお」でフジテレビの宮内正喜会長、遠藤龍之介社長、東京五輪・パラリンピック組織委員会の高橋治之理事と食事。
  • 12/16 6時43分、東京・永田町のザ・キャピトルホテル東急。日本料理店「水簾」で横浜銀行の大矢恭好頭取、大久保千行顧問と食事。7時37分、東京・日比谷公園のフランス料理店「日比谷パレス」。小田尚読売新聞東京本社調査研究本部客員研究員、粕谷賢之日本テレビ執行役員、政治ジャーナリストの田崎史郎氏と懇談。

これ以外でも二人ぐらいの国会議員と飯食ってることが多い印象だったり、そもそも業務としていろんな大臣や関係者を呼びまくってるなぁ、という印象がありました。

で、この14日の会食、この日はGotoトラベルキャンペーンの一時停止を発表した日の後、国民にとっては「Gotoトラベルを停止するということは、年末に向けていろいろと引き締めようとしているのだろう」と見えたはずで、かつ、政府のコロナ対策の方針は全体的に「新しい生活様式」をすることによる感染拡散防止と言うことを中心に発信されていたように思いますが、その首相が全く「新しい生活様式」ではない行動基準で動いている、というなんともちぐはぐな政府のコロナ対策の象徴のようにこの会食がなってしまったように思います。

 菅義偉首相が観光支援事業「Go To トラベル」の全国一時停止を表明した14日夜に、東京都内のステーキ店で会食した際の様子が明らかになった。出席者は、感染リスクが高まるとして政府が注意を促している「5人以上」の8人。鉄板を囲む半円形のカウンター席で横に並んで座り、自ら国民に呼び掛けた会食時のマスク着用はしていなかった。

 会食に出席した政治評論家の森田実氏が17日、共同通信の取材に明らかにした。

 首相は料理が提供されるとマスクを外し、店が用意したケースに収納。会食中にマスクを着けたり外したりすることはなかったという

首相、会食時にマスクせず 14日夜、8人でステーキ | 共同通信

この会合で重要なのは、自分の党の人間が三人もいて、中心人物や幹事の役割をしていたと言うこと。
そして、どう考えても高リスクな人たちが集合していたことの二つだと私は思います。

 会食は東京・銀座のステーキ店で開催された。店のホームページによると、ディナーの「シェフのおまかせコース」が3万円という高級店だ。森田氏によると、菅首相と二階幹事長のほか、プロ野球ソフトバンクの王貞治球団会長(80)▽俳優の杉良太郎氏(76)▽タレントのみのもんた氏(76)▽林幹雄(もとお)幹事長代理(73)と、元宿仁・自民党事務総長(75)の計8人で行われた。新型コロナに感染すれば重症化する可能性が高い高齢者ばかりだ。

 森田氏によると、菅首相以外は約20年前から時折集まっているメンバーという。ここ数年は会合が開かれていなかったが、今年7月に安倍晋三前首相を招いて久しぶりに開かれ、今回は連続して開催された。森田氏には約1カ月前、林幹事長代理から電話で食事会への誘いがあったうえで、直前にファクスで場所と時間の案内が来たという。

「マスク会食」ではなかった 菅首相ら8人でステーキ 参加の森田実氏「静かに食事」 – 毎日新聞

こんなの見せられたら「国民を説得する前に、まず身内から」と思うのは当然ではないでしょうか?

高リスクな人間が高リスクな動き方をすることを、何も注意せず黙認して去っていく。そんな行動を首相が取っていて、何が「新しい生活様式」ですか。

・長時間におよぶ飲食、接待を伴う飲食、深夜のはしご酒では、短時間の食事に比べて、感染リスクが高まる。
・大人数、例えば5人以上の飲食では、大声になり飛沫が飛びやすくなるため、感染リスクが高まる。

(中略)

会食時に注意したいポイント
利用者のみなさんへ

飲酒をするのであれば、

①少人数・短時間で、

②なるべく普段一緒にいる人と、

③深酒・はしご酒などはひかえ、適度な酒量で。

・箸やコップは使い回わさず、一人ひとりで。

・座の配置は斜め向かいに。
(正面や真横はなるべく避ける)
(食事の際に、正面や真横に座った場合には感染したが、斜め向かいに座った場合には感染しなかった報告事例あり。)

・会話する時はなるべくマスク着用。
(フェイスシールド・マウスシールド※1はマスクに比べ効果が弱いことに留意が必要※2。)

・換気が適切になされているなどの工夫をしている、ガイドライン*を遵守したお店で。

・体調が悪い人は参加しない。

で、本人や身内から出てくる言い訳と言うか、弁明のようなものも、どうしようもないものが多々あります。

加藤勝信官房長官は15日の会見で「さまざまな分野の方々に会い、多様な意見に触れることは政治家にとっても大変重要なことだ。会食の人数が5人以上か、高齢者かといったことも一律で決めるものではなく、会食の目的と感染防止対策を徹底できるかどうかのバランスの中で個別適切に判断していくことが重要だ」と指摘。「首相も個人としての基本的な感染防止対策の徹底など必要な注意はこれまでも払っており、首相自身がしっかりと実行する中で個別に判断していることだ」と述べ、問題ないとの認識を示した。

4人以下要請も…菅首相、14日夜に二階氏ら5人以上で会食 公明・山口代表が苦言 – 毎日新聞

 MCのお笑いコンビ「EXIT」兼近大樹が「会食って仕事なわけじゃないですか。今回の件も『仕事なんです』じゃヘンなんですか?」と聞くと、秋本議員は「仕事ですと言っているんですが、あまり報じられない。あと会食っていうんだけど、実際は食事していないんで。ほとんどのケースで」と言及した。

 秋本議員自身は15日に菅首相と〝会食〟しているが「新聞では『会食』となっているんだけど、食事一切せず。場所がレストランだっただけで、ずっと話をして総理からの質問も受ける。一通り話が終わったら、総理が炭酸水を一口二口飲んで席を立って出られると…」と釈明した。

〝菅派〟自民議員「会食というが食事してない」に局アナがツッコミ「ホテル行ってヤってないみたいな話」(東スポWeb) – Yahoo!ニュース

まず、今回問題になった会合は出席者曰く「新型コロナや政治の話は全く出ず、王氏を中心に野球談議に花を咲かせたり、杉氏が殺陣(たて)の難しさを語ったりしたという。」とのことで、仕事といっても、ここで話されてる「意見聴取」のようなものではなく、いわば支持者・タニマチへの顔見せのような方向の仕事のようです。
それはここで話しているような「会食」とは話が違うように思うのですが。

また、仕事であるからと言って無問題でOKではないでしょう。

政府が発信している新しい生活様式には、きちんと「仕事の仕方」についても含まれています。

https://nettv.gov-online.go.jp/prg/prg20829.html

ここまで「テレワーク」ということを発信しておいて、「私たちの仕事は重要なので・・・」とそういう対策を拒否するかのような言動は、度々行政から(主体は政府ではないにしても)営業自粛を要請される飲食業の方々や、多少不便でも感染症対策のために、と「新しい生活様式」を取り入れる人に対して冷や水を浴びせるような動きのように私には見えます。
また、「明確に人数制限したら飲食店営業できなくなっちゃうじゃん」みたいなことを言い出している下村博文は、Gotoイートなどの人数制限についての政府見解を撤回させてみてはどうでしょうか?

自民党の下村政務調査会長は、記者会見で「できるだけ少人数で感染対策をしながら行うということが重要であり、一律に人数では限定できない。飲食関係の方々が営業できなくなることによる経済的なマイナス面もある。菅総理大臣が感染拡大に十分注意しながら会食することを批判するのは少し過剰反応だ」と述べました。

立民 安住氏 首相の5人以上の会食批判「国民の支持離れる」 | 新型コロナウイルス | NHKニュース

下村氏は感染拡大に十分注意していた前提ですが、そうとは言いきれない実態だったのは前述もしましたが改めて・・・

菅首相が会食したステーキ店には、アクリル板はなかった。

ごく最近この店を利用した常連客によると、

「この店には個室にもカウンターにもアクリル板はありません。ただ、他のグループとは接触しないように、個室か、カウンターであれば1グループを貸切で利用させるような対策は取っています」

なぜ、わざわざ具体的に「アクリル板」と言ったのだろう。野党の追及は予測できたはず。「アクリル板」と言うならせめて事前に菅首相に確認しておけばよかったものだが…。

二階幹事長も、「マスク会食したのか」と記者から聞かれると、「マスクとらなきゃ食事できないじゃないですか」とキレ気味に解答。11月19日に菅首相自らが「ぜひ『静かなマスク会食』をお願いしたい。私もきょうから徹底したい」と国民に呼びかけたのだが、二階幹事長はもしかすると”マスク会食”を知らなかったのかもしれない。

菅首相忘年会「アクリル板なし」西村大臣の墓穴発言で窮地 | 女性自身

また、首相がこういう行動を取った結果、政府見解が曖昧模糊な方向へと迷走するという結果も引き起こしています。

立憲民主・大西健介議員「5人以上の会食は避けてくださいと言っているのに、いやいや、ちゃんと対策を立てれば5人以上でもいいかのような発言をされると、結局いったい国民はどっちなんだと」

西村経済再生相「一律に5人以上はダメだと申し上げているわけではございません。できるだけ控えながら、どうしても(5人以上の会食を)される場合は、感染防止策徹底して、アクリル板のある店を選んでくださいとか、換気に注意してくださいと申し上げている」

5人以上「ダメとは言ってない」 首相“会食”西村大臣が“迷答弁”

(しれっと医師会の会長も理解を示しているのが、この国のコロナ対策の信用できなさを表していると言うか・・・)

政府の新型コロナウイルス感染症対策を担当する西村康稔経済再生相は16日の記者会見で、5人以上で14日夜に会食した菅義偉首相に批判が出ていることにからみ、「専門家も何かエビデンス(証拠)があって何人以上、と言われているわけではない」と述べた。

 「対策さえしていれば5人以上でも構わないのか」と質問されて答えた。西村氏は、5人以上は「例えばということで(専門家が)言われている」とも発言。一方で、これまでの分析では、会食で発生した感染者集団(クラスター)の8割は、5人以上の会合だったとする結果も前日の15日の会見に続いて示し、「5人以上の場合は非常にリスクが高まることを頭に置いていただきたい」と述べた。

5人以上の会食リスク「エビデンスはないが…」 西村氏 [新型コロナウイルス]:朝日新聞デジタル

政府の新型コロナウイルス感染症対策分科会の尾身茂会長は17日、参院内閣委員会の閉会中審査に出席し、新型コロナウイルス感染拡大を防ぐための会食人数について「なるべく5人以下にしてほしい」と訴えた。一方、西村康稔経済再生担当相は大人数の際は注意が必要とした上で、人数に関し「一律に決めているわけではない」と述べ、認識が食い違った。

会食5人以下に―尾身会長 一律でない―西村担当相 | 共同通信

どう考えても、発言の後退です。西村大臣は「専門家から指摘されてる」としてGotoイートの制限検討要請を行ったにもかかわらず、自分が引っかかったら、その専門家の指摘について「エビデンスがない」とか、ケチをつけるかのような指摘を今さら行うわけです。

こうなっては、以下のようなことを述べても説得力はないでしょう。自分の組織のトップができていないのですから。

(わざとやらないことで国民に批判させて、認識を定着させる炎上政策じゃあるまいし・・・)

会食する場合は、普段から一緒にいる人と少人数で行い、ガイドラインを順守している飲食店を選ぶよう要請。「3密回避、マスク着用、換気の徹底などをお願いしたい」と述べた。

大人数の忘年会見送りを 加藤官房長官:時事ドットコム

こういう発信も、自分たちの会合はなんか目的が重要だからガイドラインとか少人数だとか「普段から一緒にいる人」なんて基準は無視するんでしょ?という話でしか、こういうこともなくなってしまうんじゃないんでしょうか?

「首相は必要な注意を払っている。会食目的と感染防止対策のバランスの中で個別に判断することが重要だ」

首相の夜会食、問題視せず 加藤官房長官「注意払っている」 | 共同通信
エラー|NHK NEWS WEB

これまで他人事として?複数国の首相や大統領その周辺が、自らロックダウンを破ると言う行為を行っていたという報道を目にしてきましたが、ついに日本も仲間入りしました。
しかし、その基準が日本の場合は設計した本人もなんだかよくわかってなさそうなものというのが、なんとも摩訶不思議な日本のコロナ対策の象徴なのかもしれません。

ジョンソン英首相、ロックダウン中に長距離移動した上級顧問を擁護 - BBCニュース
ジョンソン首相は、カミングス上級顧問が子供の世話を親類にしてもらおうとロックダウン中に国内を400キロ以上移動したことは「合法で責任ある行動だった」と擁護した。
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