安倍晋三氏のロシアの軍事侵攻に対する言動への懸念

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安倍晋三氏が最近、ロシアのウクライナ侵攻について以下のような発言をしたようです。

安倍元総理大臣:「プーチン大統領もロシアもウクライナが祖国を守るという決意の強さを見誤った。そして、自分の力を過信した結果こういうことになっています」

「プーチン氏、力過信し見誤る」 自民・安倍氏:時事ドットコム

この発言には「予期せぬ衝突は軍事バランスが大きく違う時に起こりやすい」という言及が続くようなのですが、私にはどうも軍備拡大をしたいことが先行した発言のように思えてなりません。

私がこの安倍晋三氏の発言を見たときに真っ先に考えたのは『相手方の国を守るという決意が弱かった侵攻』『自分の力を過信せずに冷静に戦力を分析した上の侵攻』に対してはこの人はどう反応するのだろう?、ということでした。

安倍晋三氏は「日本もその防衛努力を行っていくことが大切だろう」という言葉を発していることから、守れなかったら自己責任とでも言い放ちそうな予感がしています。

ウクライナの支援要請に対してドイツ?が「正直に話しましょう。最大でも48時間後に全てが終わり新たな現実が訪れるとしたら、なぜ私たちが宇を助けなければならないのでしょうか?」と断ったと報じられた案件を容認しかねないように思うのです。

特に産経新聞インタビューでの「国の防衛に努力しない国のために一緒に戦う国はない」なんて安倍晋三氏の発言はまさにこれと同一ではないですか?

安倍元首相「防衛に努めぬ国と共に戦う国はない」 ウクライナ侵攻を受け強調
自民党の安倍晋三元首相は25日、産経新聞の単独インタビューに応じ、ウクライナへの侵攻を続けるロシアが日本との平和条約締結交渉の中断を表明したことについて「ロシ…

(ちなみに、別な報道でドイツの自由民主党党首で現財務大臣のリンドナーがウクライナが数時間で倒されると考えて、ロシアの傀儡政権と話し合う準備をしていたみたいなものもあったようですが…)

ちなみにこの懸念はロシアのクリミア侵攻の際の安倍政権の対応からも出てくるものです。

ロシアがクリミアに侵攻した後、確かに日本はウクライナ支援を強化したり、ロシア制裁に賛同したりしました。

日本とウクライナ――「積極的平和主義」を掲げる安倍政権のウクライナ支援/ウドヴィク・ヴィオレッタ - SYNODOS
2018年は、日本とウクライナが1992年に国交を樹立してから、26周年を迎える。昨年2017年は、「ウクライナにおける日本年」とされ、両国の関係は徐々に深まってきている。また、主要外交戦略として「積極的平和主義」を掲げ...

しかし、制裁は軽いものでしたし、その後北方領土交渉にて、その制裁を無効化しているかような動きを行って、挙げ句佐藤優に『結果として日本は、クリミアを含むロシアの現行国境を承認することになる。このことも、プーチン政権にとっては大きな魅力だ。』と書かれてしまうような交渉を行っていたのではないでしょうか?

北方領土問題を解決し、日露両国が相互に国境線を認めることになると、結果として日本は、クリミアを含むロシアの現行国境を承認することになる。このことも、プーチン政権にとっては大きな魅力だ。

北方領土に本気で取り組み—安倍首相 | nippon.com

また、3月中旬頃の安倍晋三氏の連載にて、ロシアの侵攻について触れているのを見つけたのですが、その記述も実にあっさりと侵攻を一手段として受け入れているように見え、それも安倍晋三氏の『価値観』に疑念を抱く理由になるように思いました。(そもそも安倍晋三氏を疑っていたからそういう感想になったのかもしれませんが)

それにしても、ロシアが首都のキエフを含むウクライナ全土への侵攻に踏み切るとは、ほとんどの方が予測していなかったのではないでしょうか。私自身、親ロシア派武装勢力が一部を実効支配するウクライナ東部のルガンスク州、ドネツク州への侵攻はあり得るとは思っていましたが……。

私は首相在任時、プーチン大統領と通算27回会談を行いました。会談を重ねる中で感じたのは、彼は力の信奉者ではあるが、同時にバランス・オブ・パワー(力の均衡)を重視する現実主義者という人物像でした。

 何かの理想を掲げて突進するような性格ではなく、力の限界を見極めつつ力を行使するタイプだとみていました。今回の彼の行動はこうした見方、想定を超えるものでした。

 私は欧米主導の軍事同盟である北大西洋条約機構(NATO)の東方拡大への強い反発が要因だとみています。ただ侵攻が長期化する中、彼がどのように事態の収拾を図るのかプランが見えてこないというのが正直なところです。

 2014年のロシアによるクリミア半島併合以降、ウクライナ国民の間では反ロシアの感情が強く、傀儡(かいらい)政権を樹立したとしても安定した統治は難しいはずです。世界はそこに大いに疑問を感じています。

 ロシアはクリミアの併合をほぼ無血で実行しました。経済制裁である程度の傷を負ったとはいえ、プーチン氏への国民の支持は回復し、結果としてこの時、プーチン氏は大きな成果を得たと言えます。

 ロシアの国民が本来プーチン政権に期待しているのはロシアを豊かにし、国益を高めるといった現実的な対応でしょう。しかし、今回はロシア軍にも相当な死傷者が出ているうえ、経済制裁の影響は深刻化しつつあります。

 政権を支える新興財閥から不満が漏れ、部隊の士気低下を指摘する声も出ています。引き続き国際社会は足並みをそろえてロシアに断固たる対応を取り、プーチン氏に厳しい現実を突き付けていくことが重要です。

安倍晋三元首相「ウクライナ危機で同盟関係の大切さが浮き彫りに」

クリミア併合についての記述などが、まるで『彼がどのように事態の収拾を図るのかプラン』がしっかりしていれば他国に侵攻しても構わないことを前提になっているかのように私には読めてしまうのです。

こう、安倍晋三氏が仲がいい一部保守派が『第二次世界大戦では敗戦国になったからいけなかったのだ』的な反省をしているのに通ずるようなものがあるように思えるのです。

スパイダーマンの『大いなる力には大いなる責任が伴う』という言葉ではないですが、やはり力を使うこと(≒何らかの被害をどこかに与えること)には慎重であるべきで、それは自己が損するからではなく、他者に取り返しのつかない事態を起こすからです。

そして、日本国憲法的に言うと『全世界の国民が、ひとしく恐怖と欠乏から免かれ、平和のうちに生存する権利を有する』わけであり、「祖国を守るという決意」が強かろうが弱かろうが侵攻してはいけないのです。

しかし、その前提が曖昧であり、力を持つ責任が軽いように見える人間が『軍事費増』や『9条改憲』などの行為を促しているように安倍晋三氏が見えてしまうのです。

責任といえば…
安倍政権が残したもの:「責任痛感芸」繰り返した不誠実な人 武田砂鉄さんがなお問い続ける「首相の言葉」 | 毎日新聞
国会論戦では野党に感情的にやじを飛ばし、批判する国民を「こんな人たち」と突き放す。安倍晋三前首相が第2次政権を担った7年8カ月、政治の場で熟成した議論を聞くことがずいぶん減ったように感じる。著名人の言葉や日常のささいな違和感から社会の問題を切り取ってきたフリーライターの武田砂鉄さんは、安倍氏につい

今の安倍晋三氏の本音は『国際社会は足並みをそろえてロシアに断固たる対応を取り、プーチン氏に厳しい現実を突き付けていくことが重要』よりも『ロシアを含めた国際社会は足並みをそろえて祖国を守ろうとしない国に断固たる対応を取り、軍縮推進勢力に厳しい現実を突き付けていくことが重要』という意欲のほうが下手をすると強いのではないですか?

そういう言動を慎むことが、今の安倍晋三氏に一番求められる『責任』なのではないでしょうか。

おまけ

ある時、安倍さんに“プーチンさんはどんな人なのか?”と聞いたら、“戦国武将みたいな人だ。織田信長が生きていたら、ああいう感じなんじゃないかな”と言っていた。西側の論理が必ずしも通じるわけではない、力の信奉者みたいなところがあると。衝撃的だったが、確かに織田信長に人権を説いても分からないだろう

「織田信長が生きていたら、ああいう感じなんじゃないかな」安倍元総理が“力の信奉者”プーチン大統領について語ったこと(ABEMA TIMES)

そして、安倍元首相は、「プーチン大統領は基本的に力の信奉者。戦国時代の武将みたいなものだ」と指摘。「織田信長に人権を守れと言っても、全然通用しないのと同じと思っていただいていい」と述べた。

安倍元首相「プーチン大統領は力の信奉者 信長と同じ」 | FNNプライムオンライン

なんかこのプーチンを織田信長に例えるのも、なんか『こんな大物と私は交渉していたんだ』と言いたげな雰囲気を感じてしまうくらいに、私は安倍晋三氏が信用できません…(そんなトップが君臨する国との価値観外交とは…?)

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