次のアメリカ大統領によって会いに行く積極性を変えると言い出したっぽい日本政府関係者

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菅首相は外交にはあまりこだわりがないので、変なことはしないだろう、なんて言われていたような記憶があるのですが、菅首相ではなくその周辺に変なのがいるのかもしれません。

昨夜、共同通信が政府関係者談としてよくわからないことを報じました。

政府は、11月3日の米大統領選で民主党のバイデン前副大統領が当選した場合、来年1月の就任まで初会談のための菅義偉首相の訪米を見送る方向で調整を始めた。4年前は安倍晋三前首相が就任前のトランプ大統領と会談し信頼関係を築いたが、バイデン氏の政治姿勢や、新型コロナウイルスの感染状況などを考慮する必要があると判断した。複数の日本政府関係者が27日、明らかにした。

 トランプ氏が再選された場合は、お祝いと菅首相の就任あいさつのため早期の訪米を模索する。米国でG7サミットが開催される可能性もあり「日程調整は、よりスムーズに進むだろう」(官邸筋)とみている。

バイデン氏なら首相訪米は見送り トランプ氏なら早期にお祝い | 共同通信

本来、就任してから訪米して挨拶、というのが前提なのですが、この記事にも書いてあるように、前任の安倍晋三首相が就任前にトランプタワーに会いに行ってしまった。この前例が事態をめんどくさい話にしています。

首相は、「次期大統領はまだ正式に大統領に就任しておらず、今回は非公式の会談なので、中身を話すのは差し控えたい」としながらも、「2人の都合の良い時に再び会って、さらにより広い範囲についてより深く話をしようということで一致した」と述べた。

トランプ氏は当選以来、トランプ・タワーで数多くの各国首脳と電話会談するほか、政権移行チームや次期政権の幹部候補と面談を重ねている。実際に外国首脳と対面して会談するのは、安倍首相が最初だった。

報道によると、今回の会談は安倍氏がトランプ氏に電話で当選を祝福し、ニューヨークに立ち寄る予定があると伝えたことから、実施が決まったとされている。安倍氏はこの後、19~20日に南米ペルーで開かれるアジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議に出席する。

【米政権交代】安倍首相、トランプ氏は「信頼できる指導者だと確信した」 – BBCニュース

この前例を踏襲するのかどうか、という話で同じようにはしない、と言う方向でいると言うことなのかもしれません。

また『新型コロナウイルスの感染状況などを考慮する必要がある』と言うことで、トランプ再選したら会いに行くけど、バイデンは会いに行くのは慎重、というのは理解できる理屈ではあります。
トランプはCOVID-19を気にしてない一方、バイデンはCOVID-19対策で人的交流に慎重な方向性である、と言う話で、『米国でG7サミットが開催される可能性もあり「日程調整は、よりスムーズに進むだろう」』というのも、COVID-19感染拡大をどう考えているかの違いによるものです。

一方で、とても気になるのが『バイデン氏の政治姿勢』とはなんのことなのか?と言うことです。

ここでどうしても思い出してしまうのは『YA論文』といわれる、匿名の日本政府高官の論文です。

まずYA論文は、こんな書き出しで始まる。

トランプ大統領に対する日本の政策エリートたちの見方は複雑だ。外交エキスパートがいまのホワイトハウスの住人たちを論じれば、たちまち批判続出となろう。だが、彼らに対してオバマ政権が懐かしいか、と尋ねれば、当人たちは即座に否定するだろう。それももっと強い調子で。

今のトランプ外交は問題だらけだが、それでも日本から見ればオバマ時代よりもマシである、とYA論文は言い切っている。それはオバマ大統領が中国に対して甘過ぎたからであった。オバマ政権は最後の日まで、中国は「変えられる」と信じていた。中国がアジアの近隣国に現実的な脅威を与えていたにもかかわらず、当時の米国は気候変動や難民問題、核セキュリティなどの「グローバルイシュー」で中国に協力を求め、その代わりに尖閣諸島や南シナ海での行為を不問に付した。

その点、トランプ外交は対中強硬姿勢という点でブレがない。実行がお粗末でも正しい戦略(対中強硬策)は、効果的に実施される曖昧戦略(対中関与策)より優れている。アジア諸国の指導層も、トランプのやり方の方がまだ良いと受け止めている……。

日本の保守系論壇誌であれば、かかる論調はそれほど珍しいものではあるまい。しかしるに日本政府の現役官僚が、米国の論壇誌に英文で寄稿する、となればその影響は無視できない。何しろYA論文のタイトルは、”The Virtues of a Confrontational China Strategy”(敵対的対中政策が正しい理由)である。当然、オバマ政権の関係者も読むし、中国の外交当局も目を皿のようにして読むはずである。

外務省騒然…「日本政府高官」が匿名で書いた「YA論文」のヤバい中身(吉崎 達彦) | 現代ビジネス | 講談社(2/6)

このような論文が発せられた後に、トランプとバイデンで訪米の積極性を変えます、というような関係者談を見て、そこに「バイデンの政治姿勢」という言葉を見てしまうと、対中・対日姿勢のことなのか?と、YA論文の見方をしているのか?と思ってしまうのです。

ただ、シンプルに、バイデンはトランプみたいに正式就任前に誰かに会うなんていうことを好む姿勢ではない、という話の可能性もあると思いますが、それの場合、共同通信の記事の書き方がへたくそと言いますか、トランプとバイデンを並べることで誤読させるのを狙っているように見えます。

政治報道と言うのは、はっきりと内容を書けない話が記事になることもあり、そういうものは書き方でだれが話したことなのかとか、その言葉はどういう意味なのかとか、「察することができる」ような記事になることが多々あるように思います。

この記事でもそれが機能しているのか、それともストレートに意味を捉えればいいのか。
とても悩むわけですが、そもそもこんな情報を流してくる日本政府関係者が何を意図しているのか、というのがとても謎です。

聞かれて答えただけなのか、わざわざ話したのかわからないのですが、聞かれて答えただけにしては、情報量が多いように見えます。
そのうえで、わざわざ話しているとしたら、やはりそこには「YA論文」のような意図があるように見えてしまいます。
もしそういう意図がないとしたら意味が分かりません。

意味が分かりませんが、少なくともこのニュースがアメリカに伝わったら、またYA論文のような機能をするであろうと思うのです。
「我々はトランプの方が望ましく、バイデン大統領は好ましくない」というメッセージとしての。

それを発したいならそもそも世界を見るセンスがないと思いますし、そんなメッセージの意図がないとしたら、元共同通信の記者の総理大臣補佐官にメディア対策?を指導してもらった方がいいのではないでしょうか?

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