安倍総理大臣は、記者会見で、ペルーで行われたTPPの参加12か国の首脳会合について、「アメリカ大統領選挙後の状況を受けて、国内手続きを遅らせたり、やめようという国は1国も無かった。今国会で承認を得られるよう全力で取り組むとともに、あらゆる機会を捉えて、ほかの署名国に国内手続きの早期の完了を働きかけていく」と述べました。
さて、このニュースを見たあとに、TPPに関するフジテレビのニュースを見たら、このような一文が掲載されていました。
しかし、トランプ氏の当選を受けて、参加国の間では足並みの乱れが表面化。
メキシコなどが、アメリカ抜きでの発行にも言及する一方で、ベトナムのフック首相は、TPP批准案の国会への提出見送りを表明している。
あれ?
『アメリカ大統領選挙後の状況を受けて、国内手続きを遅らせたり、やめようという国は1国も無かった。』と安倍首相は明確に言ってるけど、ベトナムの首相が明確に国会提出見送りしてますやん。
そこで気になって調べてみると、以下のニュースが出てきました。
2016年11月17日、ベトナムのグエン・スアン・フック首相は環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)批准承認のための手続きを事実上中断する発言を行った。
先日行われた米大統領選でTPP否定派のトランプ氏が当選し、現在米国議会でもTPP批准案の提出が行われない見通しとなっていることを受け、グエン首相はベトナム国会において、TPP批准の承認案を提出できる環境が充分に整っていないとの見解を示した。また、TPPが無くとも、世界経済との統合を図るとの意向を述べた。
ベトナムのフック首相は17日、環太平洋経済連携協定(TPP)批准案の国会提出を見送ることを明らかにした。米大統領選で「TPP離脱」を公約に掲げたトランプ氏が当選し、米国がオバマ政権下でのTPP批准を事実上断念したことを受け、提出する環境にないと判断したという。
フック首相は17日、ベトナム国会で、「状況が許せばTPP批准案を提出したいが、米国がTPP批准案の提出を断念する中、ベトナムにとって提案する環境が十分整っているとはいえない」と述べ、事実上の批准見送りを表明した。さらに、「TPPに参加しようとしまいと、ベトナムは世界経済との統合を深めていく」と述べた。
ベトナムでは、TPP加盟によって米国向け衣料品の輸出拡大が見込まれていた。批准を見越してベトナムの縫製工場などに投資する日本企業もあり、日本への影響も出そうだ。(マニラ=鈴木暁子)
このように実際に手続き中断したようです。この時点で明確に『国内手続きを遅らせたり、やめようという国は1国も無かった。』は嘘ですよね。
実際に、首相会見の前に、安倍首相は必死にベトナムの国家主席と会談をした際に、この事を念頭に説得しています。
【リマ時事】安倍晋三首相は20日午後(日本時間21日未明)、ベトナムのチャン・ダイ・クアン国家主席とペルーの首都リマで会談した。
(中略)
ベトナムは環太平洋連携協定(TPP)の承認手続きを中断する方針だが、会談で両首脳は「自由貿易の流れを止めるべきではなく、それぞれ国内承認手続きを進めていく」との立場を確認した。
このように説得できたので、一国もなかったと記者会見で言ってしまったのかも知れないですが、以下の日経新聞の記事を読むと、その説得できのかも怪しい気がしてきます。
日本政府によると、ベトナム政府は米大統領選でTPP脱退を主張するドナルド・トランプ氏が勝利したのを受け、TPP批准案の国会承認を見送ったが、トランプ氏の今後の動向によっては、来年以降の国会で再び承認の動きが出る可能性があるという。
『トランプ氏の今後の動向によっては、来年以降の国会で再び承認の動きが出る可能性』って堂々と『アメリカ大統領選挙後の状況を受けて、国内手続きを遅らせたり、やめようという国』じゃないですかやだー
このさりげない嘘、NHKニュースの伝え方が悪くて嘘になってしまったのかもしれませんが(官邸ホームページの文字起こしを読んだらそんなことはなく、普通に言ってた)、安倍晋三首相の誠実さがまた疑わしくなる出来事だと私は思います。
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