【ワシントン=石川智規】トランプ次期米大統領は二十一日、国民向けのビデオメッセージを発表し、来年一月二十日の就任初日にも「環太平洋連携協定(TPP)離脱を通告する」と宣言した。大統領選勝利後に離脱方針を確認したのは初めて。広域連携を目指し日本など十二カ国が署名したTPPの発効には米国の批准が不可欠で、発効は絶望的となった。
二十日に閉幕した南米ペルーでのアジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議は、トランプ氏を念頭に「あらゆる保護主義に対抗する」とした首脳宣言を採択。TPP署名各国の首脳が国内手続きを進めることで一致したばかりだった。
トランプ氏はTPPについて「われわれの国にとって災いになり得る」と強調。「二国間での貿易交渉を進め、米国に仕事と産業を取り戻す」と訴えた。
東京新聞の記事には書いていませんが、トランプ氏はTPP離脱を『大統領権限で行う』と述べているそうです。本当に出来るのかわかりませんが、出来るならば議会共和党と共同調歩を取る必要もなく離脱決定が可能になります。(条約締結を議会に提案しない=TPPからの離脱通告ということでしょう)
このTPPに関しては共和党も民主党もどっちも党を二分する議論になる場所であるため、議会を通さないと聞いて内心ホッとしている人もいるような気がします。
一方で日本ですが、ひっそりとすれ違いが起きているような気がします。
それは今朝の総理大臣の会見と、とある自民党議員の発言のすれ違いです。
まず今日の総理大臣の会見です。
記者団が「アメリカ抜きでTPP協定の発効を目指すべきという声をどう考えるか」と質問したのに対し、「アメリカ抜きでTPPの発効を目指すという意見については12か国の会議では議論にならなかった。TPPはアメリカ抜きでは意味が無く、根本的な利益のバランスが崩れる」と述べました。
「TPPはアメリカ抜きでは意味が無い」
こう安倍総理は明言しています。
一方で、国内で、安倍晋三首相から「参院選に出てもらいたい」と電話があった、と自らの出馬理由について語っていた青山繁晴氏はこう言っています。
TPPからアメリカが抜けて良いんですよ。
今のTPPはアメリカが、日本で察知できない遺伝子操作や薬を使った肉などをブロックできるようになっていない。
アメリカが抜けたら、日本がアジアのリーダーとして主導して新しい枠組みを作るべき。
アメリカにお願いしますなんて言ったら再交渉でもっとアメリカ優位な条件を飲まされるからダメ
(一部意訳)
アメリカが抜けたらTPPぶっ壊して新しい枠組みを作るチャンス!、と青山繁晴議員は外で言いふらしてます。
あれだけ『タフな交渉』をして、甘利氏が『タフネゴシエーター』なんて評価されていたものでしたが、リセット希望者が自民党内にいるようです。
それが青山繁晴というのがなんとも無力感しかないのですが。(河野太郎氏のほうがまだましかも知れないレベルで)
青山繁晴氏、TPP反対論を貫いているようで、他の動画では
『政府答弁は「やります、頑張ります」だけで、どうやってやるのか一切踏み込まない。与野党の質問者も「そうやって頑張るんですね」で終わっちゃう』
『審議時間は十分だが、どのように聞いても政府が「政府はちゃんとやりますから心配しないでください」では問題だ』
『情報がいっぱい入ってくる与党の質問がもっと踏み込んで聞くべきだった』
『与党質問のあり方を考えたほうが良い。与党質問だから持ち上げないと行けないという雰囲気が自民党の中にある。』
と自党批判をするくらいにTPPに関して苛立っているようです。
そんなの推進してる政府を形成してる与党の下で全国比例区出馬している自身についてなにかおかしいと考えることはないのでしょうか・・・?
今後、アメリカ抜けた、となったあと、青山繁晴議員の言うような『新しい枠組みづくり』に動くのか、個人的に興味があります。
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