侵略でモヤモヤする話

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ウクライナにロシアが改めて侵攻してから数週間がたち、さまざまな言説に触れてきたのですが、ここで一点だけ「それはどうなの?」と思うものについて言及します。(他にも言及しづらいものが数点あるのですが)

それは、ウクライナの問題についての触れ方です。

結局は「ロシアVSウクライナ」の構図の話になってしまうのですが、ロシアが侵略した行為については「挑発した側にも原因が」と言いながら、ウクライナの問題については「ウクライナが自分だけで問題を起こした」かのように言及していることについて、私は酷いと思っています。

例えばウクライナがナチスドイツへの協力者を英雄としている的な話は、その裏にソ連によるホロドモールというソ連の政策による大飢饉から解放されたいと言う願いがあったと言います。そのソ連の悪政の影響を抜きにして語ることはできないのではないでしょうか。

ウクライナでは反ソ・反共感情が高まったため、のちに独ソ戦によりヒトラーのドイツ軍が侵攻した時は「解放軍」として喜んで歓迎し、大勢のウクライナ人が兵士に志願し共産党員を引き渡すなどドイツの支配に積極的に加担したほどであった。しかし、ドイツ人の生存圏の拡大と、ウクライナ人を含むスラヴ系諸民族の排除を目指すナチス・ドイツもまた、ウクライナ人に過酷な政策を実施した[28]。中でも、ナチスの食糧大臣ヘルベルト・バッケは東部総合計画の基、ソ連で起きた飢饉を参考にそれらを上回る規模の大飢饉を起こし、ドイツ人の入植の邪魔となるウクライナ人を始めとした現地人を絶滅させる計画を立てていた(詳細は飢餓計画(英語版)を参照)。ウクライナでは反ソ・反共感情はそのままに反独感情も高まり、1942年10月には赤軍とドイツ軍の双方に対抗するレジスタンス組織「ウクライナ蜂起軍」が結成された。

ホロドモール – Wikipedia

ウクライナに、第2次大戦中にナチス・ドイツによってユダヤ人が銃殺された渓谷「バビ・ヤール」がある。この地で今年、犠牲者を悼むための博物館建設が決まった。ウクライナはホロコーストの舞台になる一方、一部の民族主義者がユダヤ人迫害に協力した側面もある。被害と加害が絡む歴史の清算は進むのか。

ユダヤ人が殺された渓谷に博物館建設へ 被害と加害が絡む歴史:東京新聞 TOKYO Web

また、ネオナチと呼ばれるアゾフ連隊などの極右陣営についても、それが台頭するきっかけ、功績を残してのし上がるチャンスは明らかにロシアによるウクライナへの介入によって引き起こされた面が大きいのではないでしょうか。

侵略者は、様々な分野、それこそ人間関係にすら介入することにより、差別を引き起こしたり、権利の制限を誘発することも侵略の手法の一つのように見えます。
その手法への評価を棚に上げている、もしくは無視しているように見える言及は、このタイミングではちょっと理不尽なのではないかと思ってしまいます。

一方、この手法の一端が垣間見えるものが最近あるように見えます。
それは、ウクライナの野党に関連する動きです。

先日、ウクライナで一部の野党の活動が禁止されると言う事例がありました。

ウクライナに侵攻したロシアが、親欧米派政権を転覆させ、親露派政権樹立を画策するのを抑える狙いとみられる。ただ、ロシアのプーチン政権は「迫害されている親露派住民の保護」を理由に侵攻を開始しており、攻撃をさらに強める口実にすることは必至だ。

ゼレンスキー大統領が親ロシア派政党の活動禁止…攻撃の口実になる懸念も : 国際 : ニュース : 読売新聞オンライン

これも「攻撃の口実になる懸念も」という言葉がついていて、確かにそうなるのだろうとは思うのですが、この「攻撃の口実」がなぜ発生しているのかは無視してはならないでしょう。

例えば、規制された野党には過去にこのような言及がみられます。

他の既存政党が大統領新党にことごとく票を奪われるなか、得票率を伸ばした野党生活党の健闘ぶりが光る。

 同党は、ウラジーミル・プーチン・ロシア大統領と親密な関係にあるヴィクトル・メドヴェドチューク氏が率いていることでも注目される。プーチン大統領は、メドヴェドチューク氏の娘のゴッドファーザー(名づけ親)なのである。

ウクライナで復活、プーチンお友達政党とその限界 – ライブドアニュース

上に引用した記事には、ロシアによる選挙への援護射撃についても書いてあり、日本でネット右翼などによるレッテルのような「親中派」よりも露骨にロシアとの関係が強いことが推察されます。

また、いかにリンクを貼る記事も、和訳して読むと何となく概略がわかるのではないでしょうか。

Ukraine suspends 11 political parties with links to Russia
Zelenskiy says parties such as Viktor Medvedchuk’s Opposition Platform for Life are ‘aimed at division or collusion’

このロシアとの関係は平時にもたびたび問題になっていたどころか、メドヴェチューク氏は国家反逆罪などの対象として拘束されていたりしたようです。(侵略後自宅拘束を抜け出してどっか行ってるようですが・・・)

長官は、別の容疑はロシア連邦情報機関に対して、ウクライナの国家機密を含む情報を提供したことに関する捜査によるものだと指摘した。長官は、「本件は、2020年8月、メドヴェチューク氏がロシア領にいたコザーク氏に対して、ウクライナ軍部隊の位置、人員構成、戦闘準備に関する機密情報を送った。情報は、ロシアの情報機関のためであった」と発表した。

さらに長官は、SBUが反ウクライナ・プロジェクト「閃光」の作成をはじめとする、ウクライナに対する破壊活動の実施も捜査していると伝えた。長官は、同プロジェクトでは、ウクライナ国民をロシアへと仕事や学習のために送るための機関を設立するかのように見せかけておいて、実際には、ロシアの利益のための影響行使インフラを作ることが目的があったと指摘した。長官は、「その『閃光』のメカニズムを通じて、ウクライナ人の個人情報を集めたり、勧誘したり、ウクライナの国内政治に影響力を行使したり、プロパガンダを拡散したりしていた。つまり、それは反ウクライナ・プロジェクトである」と発言した。

保安庁長官、メドヴェチューク議員の国家反逆罪容疑を説明
site:www.ukrinform.jp/ メドヴェチューク - Google 検索

ヘラシチェンコ氏は、「調べた。認める。ウクライナの反逆者、ヴィクトル・メドヴェチュークは、自宅軟禁から逃亡した」と書き込んだ。

同氏はまた、勝利した暁には、彼から位置情報を示すための容疑者用電子ブレスレットを外す判決を下した裁判官を見つけ出すと発言した。

プーチン露大統領に近いメドヴェチューク議員、自宅軟禁破り逃亡=内務相補佐官

このような背景があり、さらに近々で、市長を拘束し傀儡市長をロシアが就任させると言う行動がありましたが、この傀儡市長が見事にこの野党出身者であったようなのです。

 そのメリトポリでは市長を代行する立場に親ロシア派のダニルチェンコ氏が就任。

 市長を代行する立場、ダニルチェンコ氏:「信頼できる情報が非常に不足していますので、きょうからメリトポリとメリトポリ地区ではロシアのテレビ放送を開始します」

 一部メディアはロシア側がダニルチェンコ氏を擁立したと報じています。

khb東日本放送 | 市長を相次ぎ“拉致”…ロシア制圧都市で住民投票計画か

市長代理として就任する前は、ダニルチェンコはメリトポリ地域の政治家の間でロシアの共感者として知られています。 彼女は以前、ロシアとウクライナの紛争の中で2014年に設立された親ロシア政党である野党ブロックの市議会副議員を務めていました。 彼女がこの地域の他の同様の人物よりも選ばれた理由は、現時点では不明です。

ロシアはウクライナの都市に新しい市長をインストールし、「新しい現実」に適応すると言います

このような行動があったことも含めての今回の動きなのでしょう。

このように見ると明らかに「攻撃の口実」を誘発しているロシアの行動が見えてくるわけで、それを考慮せずに「言論弾圧」と言っている場合ではないのではないでしょうか。

常日頃から他国に対して工作が行われた、という話を聞いていると「工作と言うのは人権を利用する」という悲しい事実を確認してしまいます。

それを考慮して「権利の制限」については評価をすべきであって、侵略無き状態ならば私も素直に「権利の制限はダメ」と言えるのですが、侵略が行われ、権利を使い平和から逆行させる動きがあることが明らかになった場合には、権利を制限しないことがどういう効果を産むのかを考えてしまいます。

戦争とは、他国に権利を侵害・制限させる、他国に誰かを苦しめさせることによって正当化しようとするものである、という事実を日々確認していくことが、本当に悲しいですし、ウクライナの問題を解消するためにも、とにかく一日でも早くロシアを止めること、これ以外に今は言えないのではないでしょうか。

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