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韓国の選挙制度改革を経た選挙の様子が…

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韓国では2020年4月15日に総選挙が行われますが、韓国のメディアを通して伝わってくる、選挙の様子がちょっとおかしなことになっています。

おかしなことになったきっかけは、今回の総選挙から適用される選挙制度が理由です。

韓国のメディアが日本語訳されたものだと、その選挙制度のことを「準連動型比例代表制」と表現しているのですが、準併用制と述べたほうが日本の選挙制度議論には適しているように思います。

その選挙制度がどのようなものかというと、以下のようなものです。

準連動型比例代表制:議席数300のうち現状の小選挙区253/比例47議席を維持しつつ、比例議席のうち30に「連動率50%」を適用するもの。比例で10%を得票した「政党A」は30議席を獲得できるという原則に基づき、同党が小選挙区で10人の当選者を出した場合、残る20議席を比例議席で補填する。

だが、連動率が50%なので、本来の20議席ではなく10議席が比例当選となる算段だ。なお、こうして補填される議席の総数が30を超えた場合には、得票率に沿って分配数が決まることになる。

「韓国政治の主流は進歩派に」…2019年に起きた大変化とは(徐台教) – 個人 – Yahoo!ニュース

この選挙制度、東亜日報によると、政権の公約であった法律とのバーターというか、法律との取引をしたことにより成立した、小政党に配慮した選挙制度だったようです。

高位公職者犯罪捜査処法の処理のために群小野党に選挙法をプレゼントした与党としては(略)

比例衛星政党をもたらす「つぎはぎ選挙法」、強行すれば憲政史の汚点になる : 東亜日報

この高位公職者犯罪捜査処法も賛否ある法律のようですがそれは賛否の報道を貼るだけにして次に進みます。

さて、この与党と少数野党の合意で作られた選挙制度案に対して、野党第一党は、この選挙制度が成立したら、選挙制度にある抜け穴を利用すると公言して対抗しました。

最初のカードを差し出したのは自由韓国党だ。新しい局面作りを否定していた韓国党は、準連動型比例代表制が現実になるや、真っ先に「比例代表衛星政党創党」という奇策に打って出た。衛星政党は、韓国党が一貫して指摘してきた通り、連動型比例代表制を形骸化する手段として指摘されてきた。

比例制を突き崩すか、自由韓国党が崩れるか

この自由韓国党の態度に対して、当初選挙制度策定側は強気な批判をしていたようです。

一部では、今回上程された公職選挙法改正案が「比例韓国党」など衛星政党を量産する恐れがあると懸念している。「4+1協議体」内部でもこれを防ぐためにキャップを30議席以下に下げるべきだという意見も少なくなかったという。これに対し、民主党のユン・ホジュン事務総長は、「もし韓国党がそのような試みをする場合、我々としてはあらゆる案と対応策を講じている。我々の対応策以前に国民の審判を受けるだろう」と強調した。

選挙法改正案、「連動型比例」初導入で代表性を強化…原案よりは後退

しかし自由韓国党(その後未来統合党となりました)が比例〇〇党を諦め、未来韓国党として衛星政党を立ち上げた後、与党はそれに危機感を覚え、今回の選挙制度を作り上げた政党と『選挙連合政党』を立ち上げようと言い出すなどの動きを始めます。

が、結局これは与党共に民主党版の衛星政党立ち上げであって、結果としてハンギョレにすら批判されるような有様になっています。

 「与党実力者5人組が密室で政治工作」。大手紙・中央日報は2月28日、与党が比例で議席を増やすための作戦会議をこう報じた。韓国の総選挙(定数300)は、253の小選挙区と比例代表(47議席)の組み合わせ。小選挙区と比例区の重複立候補はなく、比例代表名簿は順位の付けられた拘束名簿式だ。26日にソウル市内の食堂で、李仁栄(イ・イニョン)院内代表(国会対策委員長に相当)ら実力者5人が集い、「大統領弾劾を防ぐためには、やむを得ない」と比例選挙区で「禁じ手」を使う方針を決めたという内容だ。

 新興宗教団体「新天地イエス教会」の関連施設で新型コロナの集団感染が広がり、文政権に対する世論の反発が湧き上がっていた時期だ。青瓦台(大統領府)の国民請願というウェブサイトでは、「文大統領の弾劾要求署名」が25日に20万人を突破していた。それが報じられると署名は急増し、27日には100万人を超えた。26日に与党実力者が集まったのは、世論の急変に焦り、対策を打とうとしたのだろう。

 その後、出席者が韓国メディアにおおむね報道内容を認めた。それによると、5人は保守系野党の「未来統合党」が第1党を取り、国会議長の座を奪われる事態になれば、弾劾訴追案を出される可能性があるという認識で一致。「やむを得ない」選択として比例区用の衛星政党をつくることにしたという。未来統合党は、最大野党だった自由韓国党と保守系の少数政党2党が合併して2月に発足した新党だ。

コロナ猛威下の韓国総選挙 危機バネで親文派が台頭中(毎日新聞) – Yahoo!ニュース

党員投票をすれば「連合政党参加」の意見が優勢になるものとみられるが、党内の反対世論も根強い。正義党と民生党が参加しなければ連合政党の波及力が落ちるだけでなく、“民主党だけの”衛星政党というフレームが生じざるをえないからだ。民主党の首都圏の多選議員は「正義党や民生党のように『4+1』で協力していた政党が参加しなければ、国民の目には民主党の衛星政党としか映らない」と言い切った。同じ脈絡で、前順位の記号(国会議席数の順で所属政党に振られる候補者番号)を得るために現職の民主党議員が比例連合政党に移籍すれば、これもまた未来統合党の「議員貸し借り」と同じだという批判も避けられない。

 正義党のキム・ジョンミン副代表はこの日、党常務委員会で「民主党は『ネロナムブル(自分がやるのはロマンスだが他人がやるのは不倫=自分は棚にあげて他人を非難すること例え)』をやめ、比例政党をやめるべきだ」と求めた。民生党のキム・ジョンファ共同代表も「連合政党への参加は結局、民主党と未来統合党が既得権たる二大政党制で共生している関係であることを自ら証明するもの」と非難した。

現実論を追った「比例連合政党」、民主党の前に「3つの沼」 : 政治•社会 : hankyoreh japan

この衛星政党をめぐっては、どうも共に民主党と未来統合党が共にどうしようもない感じのようで、呆れた報道がいくつか見られます。

野党・未来統合党が「ソウル江南乙」選挙区の公認と比例代表衛星政党である未来韓国党の公認問題で内紛に陥った。未来統合党最高委員会は16日、公認委員会が「ソウル江南乙」選挙区で公認したチェ・ホン候補に対する公認を取り消した。このほど辞退したキム・ヒョンオ前公認委員長に対する黄教安(ファン・ギョアン)代表ら党主流派の反感が影響したものと見られている。公認委員会のイ・ソクヨン副委員長は「ひとまず最高委員会の決定を受け入れる」としながらも、「非常に残念だ」と述べた。

 未来統合党は同日、未来韓国党が発表した比例代表候補名簿に対して強く反発した。未来統合党が迎え入れた20人余りの人物のうち、未来韓国党の比例40人の名簿に入ったのは5人に過ぎなかった。しかも、安定圏の20位以内に入ったのはたった1人だった。朴槿恵(パク・クネ)前大統領の最側近である柳栄夏(ユ・ヨンハ)弁護士は名簿に入ることもできなかった。黄教安代表は比例名簿公開の直前まで具体的な内容を知らなかったという。未来統合党出身議員らからなる未来韓国党最高委員会は同日、公認委員会の比例名簿決定に反発し、追認手続きも踏まなかった。黄教安代表は「悩ましい状況だ」と、黄代表の関係者は「比例名簿全体を認めることができない」と述べた。

黄教安代表が未来韓国党の比例名簿拒否…強まる公認内紛 朝鮮日報(ampにのみログが残ってました)

また、比例で支持政党に投票したい場合、本来の政党とは違う政党に投票しなければならない上に、小政党有利な制度になった結果、日本の参議院にて比例制度が初めて導入されたときのように、政治団体が乱立するという、とてもよくわからない展開になってしまいました。
(ただし、韓国の投票用紙は手書きではなく、押印式のようなので、マシではあると思いますが、すごい長い投票用紙が出来上がったようです)

定数300のうち比例代表は47議席。このうち30議席については新しいルールとなり、得票率で3%をとった政党は議席を確保できる一方、小選挙区で議席を得た政党は取り分を減らされることになった。少数政党でも議席を得やすくなったとして、政界進出をめざす宗教団体や女性人権団体などが相次いで政党を結成した。

 26日時点で中央選挙管理委員会に登録を届け出た政党は43に上った。韓国メディアによると、地方自治体の選管が予行演習で用意した投票用紙の長さは60センチメートルを超え、機械を使った集計作業が難しくなったという。

韓国、危機下の総選挙公示 新型コロナ対応争点: 日本経済新聞

政党同士の勢力バランスを見直す立法趣旨があったはずなのに、それを立法者自らもぶっ壊しに行くという、なんとも情けない惨状が今回の選挙では起こっているようです。

日本でも選挙制度改革がろくでもない効果をもたらした、なんて議論もありますす。

また、参議院に導入された特定枠はこの韓国の制度のように野党が反対した上で導入されたものだったりしますが・・・

日本の山本太郎のようなトリックスターポジション・新興勢力が立法趣旨を無視して特定枠を活用して面白いことをするならまだしも、流石に立法者が立法趣旨をひっくり返しに行くのは、そりゃハンギョレもしつこく批判しますわな、と思います。

今回の総選挙でどんな結果が出たとしても、この選挙制度は再改正の必要があるだろうと思います。このようなことが二度と起こらないように。

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