フランスにはセクハラ罪があり、またマクロン政権が、路上セクハラ罪を検討している、と知ったのは以下のツイートを見たことかきっかけでした。
今朝のニュース。
フランスの新しい法律。
街で男が見知らぬ女性をナンパや黄色い声をかけたりすると約八万五千円の罰金だとさ。
日本のリベラルが「フランスでは~」とまた言い出すから待ってて。
ちなみに右派の人は「こんなの魔女刈りだ」と反発。— アメリカから見た日本 (@yamatogokorous) May 17, 2018
こういう風に人間らしさを奪っていくルールを強制する社会の行き着く先は闇社会。表面的なものを払拭できても闇が横行するだけ。今の日本も同じ道を歩んでいる。先人の道徳教育って優れていたんだなと痛感する。
— アメリカから見た日本 (@yamatogokorous) May 17, 2018
見て最初に考えたのは「あー、また悪意ある極端な捉え方してんだろうな。」
そして、それを確認するために調べたところ、路上セクハラ罪検討というニュースを見つけました。
ニューズウィークの記事によると、内容はこのようなものらしいです。
今回まとめられた報告書によると、路上で女性の後を付け回す、通りをふさぐ、女性の体つきや外見について大声でわいせつな言葉をかける、などが罰金の対象となる。
罰金が科せられた際にその場で支払う場合は90ユーロ、15日以内の支払いなら130ユーロ(約1万8000円)で、支払いが遅れた場合は最大で375ユーロ(約5万円)に膨らむ可能性がある。
報告書通りならば、これを「ナンパや黄色い声」と纏めてしまうのは、あまりにも否定的にすぎるのではないかと思います。
ただ、こういうものは運用時点で過剰取締になったりすることに警戒が必要だとは思いますが。
ちなみに、フランスには既にセクハラ罪が存在しているようです。驚きです。
実はフランスには「セクハラ罪」という罪が法律で厳格に定められている。
「セクハラ罪」は、1992年11月に設けられ、2002年1月に定義が拡大された。しかし「何がセクハラなのか」という曖昧さの問題が残り、2012年にオランド政権下で法改正の末、明確に定義づけされた。
その内容はこうだ。
「セクハラとは、ある人に対し繰り返し性的な暗示をする言葉や態度で、その下劣で屈辱的な性質から尊厳を傷つけ、意に反して威圧的、敵対的または失礼な状態を作り出すこと」(一部抜粋)実際にセクハラと認定された場合、2年以下の懲役や30,000ユーロ以下の罰金が科される上、
職権乱用や15歳未満へのセクハラなど一定の条件が加わると、3年以下の懲役や45,000ユーロ以下の罰金へと、刑はさらに重くなる。路上で声かけは「路上セクハラ罪」? 恋愛と寛容のフランスで往年女優の発言は“時代錯誤” – FNN.jpプライムオンライン
冒頭に引用したツイートでは、右派が魔女狩りと言ったとされていますが、多分元はカトリーヌ・ドヌーヴなどが連名で発表した文書なのではないかと思います。
書簡は、
「レイプは犯罪です。けれど不器用だったりしつこく口説いたりするのは罪ではなく、また女性への気配りは男性優位主義による侵害でもありません」
という言葉から始まり、こうも続きます。
「#MeToo運動は被害者を生み出しています。女性の膝を触ったり、唇を奪おうとしたり、仕事絡みの夕食で『親密な』ことを話そうとしたり、その気のない女性に誘いのメッセージを送ろうとしただけで、仕事を失ったり、辞任を強いられたりしています」
日本語訳にすると分かりにくいですが、「口説く」に対応するフランス語は「Drague」と書かれており、ナンパなど、軽い言葉などで人を引き付けるような行為を意味する時によく使われる言葉ですが、そんなただ口説こうとしただけで、職を失うことになっている男性がいることを擁護する内容になっています。
女優カトリーヌ・ドヌーヴをはじめとするフランスの女性100人が1月9日、ルモンド紙に書簡を寄稿し、セクハラなどの性暴力を告発する「#MeToo」運動は行き過ぎで、「ピューリタニズム」(潔癖主義)であり、「浄化の波」だとし、「全体主義の風潮を作り出している」と批判した。
書簡に署名した100人の女性には、ジャーナリスト、映画監督、作家、その他の有識者が名前を連ねている。この寄稿では、MeTooは「魔女狩り」で、性の自由を妨害するものだと非難している。
MeToo運動のきっかけとなったハリウッドの大物プロデューサー、ハーヴェイ・ウェインスタイン氏のセクハラについては、「男性、そしてセクシュアリティへの憎悪」を掻き立てたものであり、不公平な処罰を引き起こしたとしている。
「男性たちは制裁を受け、辞職を迫られている。彼らがやった悪事といえば、膝を触ったり、唇を奪ったり、仕事がらみの食事の場で性的関係を求めたり、好意を持っていない女性に性的なニュアンスのメッセージを送ったりといったことでしかない」と、書簡には書かれている。
この文書に関して、ドヌーブ氏は、ハラスメント肯定と捉えられたことなどについて、レイプ被害者に対しては謝罪していますが、表現規制に繋がりかねないなどの部分への懸念は抱き続けているようです。
実際、行き過ぎという批判は度々でますから、あながち過剰な心配とは言えないとは思います。
しかし、個人的にこの声明を「右派」と言うのはちょっと違和感がありますし、路上セクハラ罪にたいしても似たような反応なんじゃないかと思うので、「右派が」というのは疑問視しています。
また、冒頭のツイートの締めが『先人の道徳教育って優れていたんだなと痛感する。』というもので締められていますが、現在の日本で先人の道徳教育を推進するような勢力は、それと同時に、それこそ“ピューリタン“的な性教育批判をしているのは、もっと知られたほうがいいような気がします。
そのような性教育批判をしている勢力を支持しつつ、セクハラに関しては寛容なのは、男性には寛容で、女性にだけピューリタン的な対応という、非常に不均衡な対応だと思うのですが、そういうことなのでしょうね。
都教委の調査は、3月16日の都議会文教委員会で自民党の古賀俊昭都議が「不適切な性教育が行われているのではないか」と質問したことがきっかけだった。古賀氏は取材に「性は子供を作り、家庭を築くことにつながる。中絶を教えると胎児の命を絶つことにつながり、不適当だ。学習指導要領で発達段階に応じた教育レベルを定めている。そこにない内容を教えるのは問題だ」と話した。
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