なんか、昨日ぐらいから職域接種で近隣住民が接種できることに対して「ワクチン廃棄した企業が公表されるから焦ってやっているんだ」みたいなことを述べている人を多数見かけたのですが、職域接種と近隣住民の関係は、職域接種が考案された当時からいろいろと述べられていましたよね?
そもそもソフトバンクや楽天が近隣住民への接種などを検討していたのは、申請当時からでした。
15万人規模の職域接種に加え、近隣住民の方々で少なくとも10万人を対象とした合計25万人規模の接種を目指していきます。
ソフトバンクで新型コロナウイルスワクチンの職域接種がスタート。WeWork乃木坂に接種会場を開設 – ITをもっと身近に。ソフトバンクニュース
また今後、関係各所のご要望をうかがい条件が整えば、近隣住民を対象としたワクチン接種機会の無償提供も検討してまいります。
楽天・楽天メディカル、新型コロナウイルスワクチンの「職域接種」対応方針を決定 | 楽天グループ株式会社
またソフトバンクや楽天以外にも、職域接種で近隣住民に接種する計画だった企業はいくつも存在しています。
それを受けてなのかQ&Aにはこのような項目もあります。
Q1-4. 近隣住民も接種対象に含めてもいいですか?(6月 17 日更新)
職域接種に関する Q&A(令和3年7月 20 日版)
A. ①企業・大学等が個人情報を管理する必要があること②企業・大学等が接種対象者の2回目接種まで実施できる体制を整備する必要があること、などを踏まえて、接種対象者について慎重に検討して下さい。
一方、職域接種と近隣住民について、ワクチン担当大臣の以下の言及もあります。
(問)職域接種についてお伺いします。申請ベースで1,126万回分とかなり量は増えてきたと思うんですけれども、大臣の受止めについて伺えますでしょうか。
(答)職域接種が増えてきたなと、正直思っております。なるべく4週間打ち続けていただいて、2回目の接種に進むということを徹底していただきたいと思っております。1,000人だと恐らく4週間打ち続けるということにならないと思いますので、将来的に人数をどうするかとか、いろいろ考える必要があると思いますが、1,000人を打ってそこで止まるのではなくて、隣近所、関連会社、社員の家族に積極的に声がけをして、無駄のないようにやっていただきたいと思います。(問)あと、もう一点、職域接種に使われるモデルナ社製ワクチンなんですが、都道府県、国の大規模接種であったり、今後は市町村の集団接種でも使われると思いますけれども、5,000万回という限りがある中で、職域接種に振り分けられる上限はどのようにお考えでしょうか。
(答)まだその心配をする量ではないと思います。(問)2点お伺いします。今のモデルナ社製ワクチンの職域接種に関してなんですけれども、4週間を打ち続けて隣近所にという形になってくると、早く進めていきたいということだと思うんですが、もはや職域というよりも企業やそのコンソーシアムを起点として職域に限らず誰でも打ってくださいという理解でよろしいんでしょうか。
(答)一応職域という言い方をしておりますが、無駄がないようにスピードアップして打っていただくというのが大事だと思いますし、自力でなかなか1,000人の職域接種ができない中小企業等もありますので、起点になるところは広く呼びかけていただくというのがいいかなと思います。(問)そうすると、当初はその企業、取引先、あるいは扶養家族という話でしたけれども、そこはもうかなり柔軟に捉えてやってもらいたいということでよろしいでしょうか。
河野内閣府特命担当大臣記者会見要旨 令和3年6月15日
(答)1つは接種券がきちんとあるかどうか、接種券がない場合には名簿で管理をしていただかなければなりませんので、名簿管理がきちんとできるかどうか、そういうことだと思います。
この河野太郎ワクチン担当大臣の会見での受け答えは、政府方針として「能力のある職域接種実施者が近隣住民も含めて広く打つことにより、自治体接種の負担を職域接種に一部負ってもらうことで、ワクチン接種のスピードアップに貢献してほしい」というものがあったという証拠なのではないでしょうか?
だから「近隣住民」を含めた接種数の申請が通っているのではないですか?
また、職域接種を政府で検討している際の読売新聞の報道も、近隣住民も接種できる形にする構想が触れられています。
企業などの職場での接種には、米モデルナ製のワクチンを使う予定で、企業内診療所で産業医が打つほか、外部の機関に委託して会議室などで接種を実施する方法などが想定されている。職場接種に加え、全国の大学も会場にする方向で調整している。
社員だけでなく、その家族や、企業周辺に住む住民らも接種できるようにする。
会社の診療所や会議室を接種会場に、モデルナ製使用…大学も加える方針 : 政治 : ニュース : 読売新聞オンライン
ちなみに大学の場合、職域接種を「大学拠点接種」という名称で行っているのですが(申請枠は職域接種と全く同じ)、そこには当初から「大学の地域貢献」という名目で近隣住民を含めることが意図されていたのですが、それを6月25日の職域接種申請停止後の大臣会見で「そこは頑張らなくていいかな」と見直すことを表明していました
各大学等における職域接種の実施にあたっても,国内におけるワクチン接種の加速化を図る観点から,自大学の教職員・学生の接種のみならず,その対象を拡大していく必要があると考えています。つきましては,医療系人材と施設等をセットで確保し,職域接種の実施を検討する大学等においては,以下のいずれかの者への接種拡大を関連する自治体と協議の上,御検討いただき,その予定を併せてお知らせいただくようよろしくお願いします。
教職員や学生等を中心に大学等が主体となって実施する新型コロナワクチンの職域接種の申請手順等について(周知)
なお,ワクチン接種は希望する者のみに実施されるものであり,被接種者等の同意が必要となります。
○ 自大学以外の大学等・専門学校の教職員・学生等(ワクチン接種を義務化している海外の大学に,学位取得を目的とした留学を予定している者で,文部科学省より接種対象者として要請した者を含む)
○ 近隣の幼稚園,小・中・高等学校,特別支援学校などの教育関係職員
○ 近隣に所在している住民 等
実は河野さんと今朝打ち合わせしたのは、地域貢献ということで、ご近所の人とかも、できるだけ受け入れてくれってことを言ってきて、現に始まってるんですけれど、ご近所の人は逆に各自治体が65歳以下の接種が始まりましたので、そこで頑張らなくてもいいかなと。
別紙3 令和3年6月 25 日(金) 文部科学大臣記者会見発言(大学拠点接種関係のみ抜粋)
こういう、職域接種の範囲をできる限り広げようとしていた動きを無視して特定企業だけを責めるのは、特定企業への偏見を利用して、政府側の、在庫状況を把握していなかったのか接種需要を把握していなかったのかわかりませんが、実態を整えずにワクチン供給しようとしてパンクした責任逃れを誘っているようで腑に落ちません。
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