木村盛世氏には菅首相が分科会の言いなりのように見えるらしい

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これは、週刊新潮が先週に発売された誌面に掲載したものを一週間経過したのでウェブ上に転載するという流れで掲載されたものなのですが、その掲載した日に、東京の感染者数報告数が5000人超えを記録しました。

東京都は5日、都内で新たに10歳未満から100歳以上までの男女合わせて5042人が新型コロナウイルスに感染していることを確認したと発表しました。

1日の発表としては、これまでで最も多かった4日の4166人を上回り、初めて5000人を超えました。

(略)

一方、都の基準で集計した5日時点の重症の患者は4日より20人増えて135人でした。

130人を超えるのは、ことし2月1日以来です。

東京都 新型コロナ 過去最多の5042人感染確認 5000人超は初 | 新型コロナ 国内感染者数 | NHKニュース

新潮はコロナについては特定方面から「脱コロナ脳」と持ち上げられるような論陣を張り続けていて、今回もそういう文脈の中の一記事です。

この記事はそういう方面の方々がどういう風に現状を見ているのか、そういうものを学ぶと言う点では参考になると思いました。

同じく「コロナ脳」と言い出している方面です。新潮と同じ流れの中にいると思います。

今回の新潮の記事で私が面白いと思っている点は木村盛世氏のこの発言と、それに続く「政府関係者」の言葉です。

「感染者が3千人、5千人になろうが、それで騒ぎすぎるのはおかしいと思います。現在、死者数は非常に少ないのに、いまの政策を続けて、若者や子どもの自殺者が増えてもいいのでしょうか」

 と疑義を呈するのは、元厚労省技官の医師で、『ゼロコロナという病』の共著がある木村盛世さんである。

「西浦教授も、尾身会長も、あえて出口を見つけたくないのでしょうか。米国や英国が、規制を緩和する方向に舵を切ったのは、ワクチン接種が進んだからだけでなく、ゼロコロナは無理だと気づいたからです。日本では、リスク層である高齢者の多くがワクチンを打っても、政府の政策が変わらないのは、感染制御だけを重視する分科会の力によるものだと思います」

(略)

さる政府関係者が言う。

「菅総理は各報道に目を通しておらず、国民がどういった点に不満を抱いているのか、わからないまま。しかし、側近が批判的な声を伝えに行っても、逆に叱責されてしまうので、だれも伝えなくなり、分科会の話ばかり聞いている。そのため、尾身さんが間違っていても、偏っていても、気づきません。批判を受け入れずに政治を進める手法は、危険だと思います」

8割おじさん「8月に新規感染者5千人超」は誇大な数字か グルメサイトの密告制度の問題も(デイリー新潮) – Yahoo!ニュース

まず、「現在、死者数は非常に少ないのに、いまの政策を続けて、若者や子どもの自殺者が増えてもいいのでしょうか」という発言。
この「コロナは大丈夫であって、それよりも他の問題の方が重要だろう」という認識が、「2類から5類へ」や「ワクチンよりも免疫力」のような、右派側に多いタイプの「アンチワクチン言説」につながる認識であるのだろうと思います。

高橋洋一元内閣官房参与が使っていた「さざ波」という言葉を著書の宣伝で使われていることからも、そういう認識であることが見えます。

言葉の発端である高橋洋一といい藤井聡といい、「財務省陰謀論」みたいなのが大好きそうな人が多いなぁ、という印象を受けたのですが、木村盛世氏も「厚労省が国民を危険にさらす」という新書を出していたようで、そういう「省庁陰謀論」的な「反公務員」言説のテンプレートも盛り込まれているのだろうと思います。

そのテンプレートの結果が、政府関係者談として出してきた「側近が批判的な声を伝えに行っても、逆に叱責されてしまうので、だれも伝えなくなり、分科会の話ばかり聞いている。そのため、尾身さんが間違っていても、偏っていても、気づきません。」という菅首相分科会の操り人形説なのでしょう。

しかし、この記事がwebに転載される数日前に、政府は入院の基準などを変更すると言うことを表明。
そこに関しての動きでこのような認識とは異なるように私には見える動きが出ています。

政府の新型コロナウイルス感染症対策分科会の尾身茂会長は4日の衆院厚生労働委員会の閉会中審査で、入院対象者を重症者らに絞り込む政府方針について、事前の相談を受けていなかったことを明らかにした。尾身氏は「政府とは毎日のようにいろいろなことで相談、連絡、協議しているが、この件に関して相談、議論したことはない」と述べた。

尾身氏「事前に相談なかった」 自宅療養原則への政府方針転換で | 毎日新聞

菅義偉首相は4日、政府の新型コロナウイルス感染症対策分科会の尾身茂会長が、入院対象を重症者らに絞り込む方針を事前に相談されなかったことについて「今初めて(聞いた)。厚生労働省で必要な相談をすべきだったと思う」と述べた。

自宅療養方針、尾身氏への事前相談なし 首相「今初めて聞いた」 | 毎日新聞

今回の方針について尾身氏が「この件については相談されてない」と述べ、それに対し菅首相は「厚労省が相談をすべきだった」と述べていると言うことです。

本当に分科会の話ばかり聞いていて、尾身さんの間違いに気づけない首相なら、こんなこと起こりますか?本人が直接聞いているはずじゃないんですか?

そういうことをせず仕事を厚労省に投げたと言うことは、尾身氏と菅首相には一定の距離感がある、少なくとも菅首相は尾身氏など分科会の相手は厚労省にやらせておきたい、そういう考えをしているのではないでしょうか?

個人的には、少なくとも、分科会周り、新潮が紙面では「8割”狼”おじさん」とした方などから出てくる印象は、首相や政府と距離があるような認識が多いように感じます。

人がお祭りムードの中で長距離を活発に動くことは無観客の判断で多くが止められたと思うのですが、声が届かない問題については政府は何もしてくれませんでした。首相はお祭りに「挑戦する」と声高に言う一方、矛盾した政策が十分な説明もなく行われている。その結果、現在、本当に声が届かなくなりましたね。

「自宅でオリンピック観戦」では減らない 少し先の未来に怯える理論疫学者が再び東京五輪中断を訴えるわけ

最近の西村氏は全国で感染が急拡大している現状を見据え、政府の新型コロナ分科会の尾身茂会長とともに、首相により厳しい対策を取るよう日に陰に求めている。

 しかし首相は12月上旬、気の置けない党内の若手議員と会食した際、「Go To トラベル」を全国一斉に即時停止するよう暗に求めた西村氏への不満をまくし立てたという。

「新幹線や飛行機に乗って移動することが感染を広げるわけではないでしょ。旅先だろうが日常生活だろうが、大人数の会食やマスクの非着用や取り外しが感染拡大の理由であることには変わりない。なのに医者たちは、感染者がゼロになるために最適な手段ばかり考える。最近の西村は『医者の側』に行ってしまった」

「軍師不在」で「裸の王様」菅首相の機能不全 | 深層レポート 日本の政治 | 新潮社 Foresight(フォーサイト) | 会員制国際情報サイト

それでも、やはり“アリバイ作り”のために呼ばれていると感じることもある。やはり“専門家に意見を聞いている”というのがミソだ。つまり耳に入れただけで、飲み込んだ、ということではない。そこはずるいな、と思うことはたまにある。しかし病院で働くお医者さんとか看護師さん、薬剤師さんたちが、割に合うかどうかという価値観で動いていないのと同じで、自分たちの意見が通らないことに対して、もどかしいと思うことはない

「観客上限数、私たちの提言はほとんど反映されなかった」「心を病んでしまった専門家、距離を置くようになった専門家も」“専門家有志の会”メンバーが明かす政治との“距離” 【ABEMA TIMES】

また、『さざ波』発信者の高橋洋一氏は自身の連載記事にて『なぜ政府関係者に分科会が信用されないか』を説く記事(高橋洋一の霞ヶ関ウォッチ 東京五輪へ提言した専門家有志 分科会が政府関係者の信頼を得ていたと言い難い理由 )を書いていたはずで、そういう事実からも『分科会の話ばかり聞いている。』ことはないだろうと思うわけです。

むしろ報道で伝えられる菅氏の言動は今回『分科会の話ばかり聞いている。』と言っている側の人の話を聞いている可能性が多少あるかな?ぐらいに考えるような内容なわけで、もし木村盛世氏が本当に菅首相が『分科会の話ばかり聞いている。』と考えているならば、それは比較優位の問題なだけで、実際は分科会の話すらもたいして聞いていない、誰の話もたいして聞いていない菅首相がいるのではないでしょうか。

私から見ると、問題は厚労省や分科会の言いなりであるから起きているわけではなく、誰の言いなりにもなっていないくらいに独自判断しているのに、首相官邸は言いなりになっていると見えるくらいに自分からは何もせず、分科会や各閣僚・省庁を盾にしながら、意見の合うところだけを継ぎ接ぎで採用していくという姿勢だから起きている、という風に見えます。

なので新潮の記事のように『総理が「専門家」の限界に気づかない以上、やはり総理周辺の専門家を入れ替えるしかなさそうだ。』『政府がそんな分科会の言いなりであるのだから、やはり分科会のメンバーを入れ替えるしか手はなさそうである。』と言う手を打っても、首相が変わらない限り意見の採用基準が変わらないので、何も意味はないのではないでしょうか。

ちなみに週刊新潮はこの記事の前の週に菅首相は厚労大臣や内閣官房長官、コロナ対策担当大臣と仲が悪くなっていて、なんでも小泉進次郎に聞いているという内容のジャーナリストのコメントを含んだ記事を載せています。

このジャーナリスト、先に引用したフォーサイトの記事を書いた人なのでは?と思ってしまうのですが、結局そういう方面の記事よりも、悪い意味で週刊誌らしい質の記事が週刊誌らしくウケる・売れるということなのでしょう。

コロナ対策を取材するジャーナリストも、「西村さんはコロナ対策が後手後手に回っていると批判され、相当焦っていました」と語る。

「実は最近、総理は何でも小泉進次郎氏に“相談”をしているのです。同じ神奈川選出の国会議員ということもあるのでしょうが、昨年の総裁選では河野太郎氏が出馬を断念して早々、進次郎はすぐさま菅支持を表明したので、信用が置けるということなのでしょう。サミットで環境問題、とりわけ国内の原発問題などについて相談した後からより“結びつき”が強くなり、今は政府がどう情報を発信していくべきか、国民とのコミュニケーションはどのようにとるべきかなど、広報的なことまで含め話し合っているようです。

 もっとも、国民の反発を招くばかりのコロナ対応で、総理は加藤官房長官とも田村憲久厚生労働大臣とも関係が悪化しており、総理は本来相談すべき相手とコミュニケーション不全に陥っています。西村大臣も不遇をかこっていて、金融機関への要請や酒類販売業者に取引停止を求めたのは、何とか得点を稼がねばと思ったのではないでしょうか」

酒類取引停止発言のウラに西村大臣の焦り 菅総理の相談相手は小泉大臣という悪い冗談(デイリー新潮)

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