「いえいえ、あれは『スッキリ!』のクルーなんですよ」
と小声で打ち明けるのは、日本テレビの関係者である。
「ネットで出回っているNHK中継の画像を見ましたが、右端に森圭介アナ(42)が映っていますし、他にも知った顔が映っています。もちろん彼らに伊藤選手を妨害する意図なんてないでしょう。ライトが点いているカメラの後ろにいるのは以前スポーツ局にいた局員ですが、ほかのクルーは基本的に情報番組の人間。スポーツ取材の勝手がわからず、ライトを点けてしまっただけなのではと思います」
ついウッカリという訳である。とはいえ、
「どうやら、この件でネトウヨ的な人たちが盛り上がっているのは、『スッキリ』の人間も知っているよう。でもこれ幸いとばかりに『自分たちとバレてないからいいや』という態度。そのせいで“韓国犯人説”がどんどん拡大してしまっています。私はたまたま気づきましたが、あくまで一番組のクルーなので、日本テレビが会社として把握しているのかは分かりません」
では当の日本テレビは、なんと答えるか。
「当該クルーが日本テレビの取材班だったことは事実で、関係者の指摘を受けて対応しました。日本テレビは今後もルールに則って取材を進めてまいります」
伊藤美誠に“妨害”ライト、韓国メディア犯人説が流布するも、ようやくわかった真相 | デイリー新潮
上記の事実について、私は新潮の記事で初めて騒ぎを知って、大した興味もなく今日まで過ごしていたのですが、ふと流れてきた「まとめブログ」の記述からたどって、興味深いと言うか、どうしようもない事実を知りました。
57: 風吹けば名無し 2021/08/05(木) 08:19:58.06 ID:fq2IG1kX0
ネトウヨ「韓国TVクルーが伊藤美誠をライトで妨害したぞ!」→ 日本の局でした : なんJ政治ネタまとめ
https://www.jijitsu.net/entry/Olympic-camera-light-itomima
事実を整えるとかいうブログが韓国のせいと殆ど決めつけてる
どこが事実なんですか?
この「事実を整える」というブログが説いた、韓国説、その後誤りと判明した後の記事での主張含めて酷いと思ったのでブログに残しておきます。
まず、そのブログが韓国メディアとして推定した理由は以下の通りです。
冒頭画像にあるように、黒マスクのクルーや周囲の女性のメイクから韓国メディアのクルーと推定できます。メディアIDに「45」とあることから正確な特定が可能かもしれません。
韓国メディアクルーのカメラライトが注意:東京五輪卓球の伊藤美誠vs田志希(チョンジヒ)戦で妨害行為? – 事実を整える
根拠は「黒マスク」と「女性のメイク」だそうです。
偏見極まりない根拠としか言いようがありません。
まず、黒マスクは、2019年のねとらぼの記事によると、確かに2010年くらいはKPOPファンによるアーティストの着用への言及が多かったようですが、その後日本でも2014年ごろから注目されていて、ジャニーズアーティストの着用も注目されていた、と言うことであり、少なくとも近頃は韓国特有のものではなく、何らかの見分ける材料にはなり得ません。(コロナ下の街中でよく見かけません?)

また、女性のメイクについても日本の雑誌ですら「オルチャンメイク」やKPOPアーティストのメイクをマネする、と言うような韓国のようなメイクを取り上げる記事が存在していること、ましてや現在インターネットで自分で情報収集もできるわけで、日本人が韓国で流行っているメイクをしていることも普通にあるように思われ、メイクの特徴も何かを断定できる材料とは言えないでしょう。
では、なぜこんな根拠が薄っぺらい「説」を扱ったのか。このブログの主は『本記事の意図については以下で説明しています』と自らその意図を説明しているのですが、私が問題だと思うのは、その意図の内容です。
弊ブログで韓国メディア説を書いた意図は2つあります
「妨害説」の浸透に留保を付けさせるため
当該メディア側からの事実公表をせざるを得ない状況を作るため試合後、すぐに「韓国メディアによる伊藤選手への妨害行為だ!」という声がネット上では広まっていました。私はカメラの位置関係等からむしろチョンジヒ選手にも影響した可能性があると判断し、妨害の故意は無いだろうという主張を書きました。
(中略)
「どこのメディアか不明」という性質の内容ではネット上では拡散されにくいので、韓国メディア説のストーリーに寄せつつも妨害説についての留保が付けられるようにしました。
「韓国メディアか否か」については推認の根拠となる事実を述べたものの、断定可能な情報は揃っていませんでした。
同時に、本件は騒がれなければそのまま有耶無耶にされると感じました。
デイリー新潮「卓球伊藤美誠vs韓国チョンジヒ戦のカメラライトは日テレスッキリのクルー」と韓国メディア犯人説
Q:意図はどうあれ「韓国メディア説」を広めたことで新たに無用の混乱を生じさせたのではないか。
A:韓国メディア説に乗っかることでそれが事実と異なった場合の悪影響は自覚しつつ記事を構成しました。具体的に不利益を被った方が出たのかは分かりませんが、正確な事実関係の把握をしたい方にとってはノイズにもなったのは確かだと思います。たとえば「他人に韓国メディア説を説いて恥をかいてしまった」などのお怒りは、ごもっともだと思います。
Q:そもそも韓国メディア説を推認する事情として挙げた要素は弱すぎるのではないか?
A:日本人選手vs韓国人選手の試合のため、それを撮影するのは日本メディアか韓国メディアかの2択がまず有力な選択肢に入ります。その中でいずれかの判定をするのであればということで書きました。
Q:韓国メディア説ではなく真偽不明とするべきではなかったか
A:当時の事情における静的な事案整理としてはそのようにするべきであるということは理解しております。既に説明しているように、動的な事実解明の効果を期待して書いた記事でした。
デイリー新潮「卓球伊藤美誠vs韓国チョンジヒ戦のカメラライトは日テレスッキリのクルー」と韓国メディア犯人説
ブログの主張を拡散して浸透させるために、かつ、真実が明らかになるために、薄弱な根拠でだれが犯人であるかを決めつけ、その誤った説が騒がれることで、何が起こったのか解明されることを期待して、あえてデマを撒くことで注目を集めようとした、と言うことのようです。
「静的な事案整理」ではなく、「動的な事実解明の効果を期待」という言葉を「事実を整える」というタイトルのブログで目にするのも面白いなぁ、と思うのですが、これも要するに「敢えてデマを流すことで弁明させようとした」と言うことをなんか難しい言葉を使って表現している、というようにしか読めません。
このような行為を日本関連の何かに対して誰かが行ったら(特にマスコミとか)、「事実を整える」というブログに豪快に批判する記事が数記事にわたって書かれるような事態になりそうだと思うのですが、今回の行為について「具体的に不利益を被った方が出たのかは分かりませんが」などとしらばっくれているのを見るに、少なくとも韓国相手になら何でもやっていいと思っているのであろうとしか言いようがありません。
事実を整えずに、誤情報を載せて疑惑を解明させることを優先した「事実を整える」。
日本のメディアだったとわかった後も「在日のスタッフの仕業」とか言い出さないだけマシ、なんて低レベルな争いはしてほしくないものです。
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