なんか最近『在日外国人が扶養控除で日本からたかってる!』というのがはやりのようです。
論拠として見つけたのが、行橋市議の小坪慎也(『2泊3日で日本に観光に来た中国人も国保加入可能』なる情報の検証【重要追記あり】のようにこの人の発言を元に間違い情報が拡散されたこともある方。)氏の質問内容(この質問内容はこの質問の続きのようだ)と、それを元にして作られた?漫画の載ったアメブロの記事だ(在日外国人として『〇〇アル』という語尾の人が出てくるなど特定国への悪意を感じる漫画。)。
今回はこのうちの行橋市議の指摘内容を検証していこうと思う。
まず行橋市議、小坪慎也氏の質問です。
質問は平成25年度の9月定例会と12月定例会の二回にわたって行われています。
まず9月定例会での質問での重要な部分について触れていきます。
まず質問の全体を見て思ったのは小坪慎也氏が何度も『違法性はないので不正ではない』ということを強調しているように思えたところです。この『違法性はないので不正ではない、けれども』というところに『〇〇特権』という概念が入り込んでくるのかな、と多少考えてしまいました。
外国人と日本人、実際は運用面で差異があるかと思います。具体的には、日本人の場合は、二重扶養は絶対にできません。住基ネットでつながっているからです。叩けばすぐに分かります。例えば、私が行橋に住んでいる。そして私の妹が苅田に住んでいる。また弟は、仮に東京都にいたとして、私の父を、もし私が扶養に入れたら、苅田で私の妹が父を扶養に入れることはできません。しかしながら、これが外国人となった場合は、行橋市は、把握をすることはできないはずです。例えば、これが韓国人だった場合、行橋に住んでいるお兄さん、そして苅田に住んでいる弟さん、同じ母親を扶養に入れた場合、住基ネットで入っておりませんから、手作業で照合している可能性は、当然ながらありますが、横連携は取られていないというふうに勉強する中で、習いました。
この運用上の二重扶養の把握の困難さについて、確かに日本人より把握が困難な部分はあると思います。
それは戸籍制度がない国があったり、そもそも兄弟が存在しているのかを把握することが困難だったり、という部分で起こりそうだとは思います。海外の行政機関への確認、制度の違いなどがあり困難とかで。
しかし、コレはあくまで運用上の難点であり、改善努力などを行う、以上の行動をとる根拠にはならないと思います。
そして、『住基ネット』というキーワードが有りますが、それがあると本当に二重扶養の検査が簡易になるかというと、ちょっとよくわかりません。
小坪慎也市議は『叩けば分かる』と言っておりますが、住基ネット自体には『名前と住所と生年月日と性別』の情報しか載っていないはずであり、本人が扶養されているかどうか、また戸籍上の関係などは不明なはずです。
また、平成25年度11月に税制調査会に提出されている総務省の説明資料によりますと、扶養されているかどうかの確認は未だに『文書で行っている』という前提があり、それを『マイナンバー制度で税金情報の照会を簡易化しましょう』という動きになっているということのようです。
なので『叩けば分かる』という小坪慎也氏が学んだ内容はちょっと間違っているのではないかな?と思います。
僕には言語が分からないんですが、ブログの中には、彼は日本語が書けないので、現地の言葉で書いてもらって翻訳しましたと。そしてまた、その中に驚くべきことが書いてあり、その方が生活に送金している家族の代表者として父親に送金している。しかしその周りには、ATMとかないからでしょう、各扶養者に現金で各自に渡している。ですから父親一人に送ったんだけれども、扶養者沢山に手渡ししているから、これで何人分の扶養控除を下さいと。でも何て書いてあるか分からないんです。税理士も分からない。その状態で、実際受け取っているんです。
これは『外国人の扶養控除の手続き方法』というブログの内容を小坪慎也氏が取り上げた質問なのですが、この質問では事実関係が一部抜け落ちています。
それはまるでこの書類だけが根拠に、扶養控除が適用されたかのように語っていることです。
そういう事実関係の落とし方をする傾向があるのか、もう一つ検証しようとしている漫画が掲載されたブログの方にも『こんな自作の書類で扶養控除30人分認められるならなんでもアリなんですね。』と書かれてしまってます。
しかし、ここで触れられている書類はあくまでも『今回の場合、生活資金が社長本人の父親だけに送金されていたので、他の扶養者にはどのように生活資金を渡していたかが問題になった。そこで、社長本人直筆の「理由書」を作成し確定申告書に添付をすることにした。』という理由で添付された、補足資料の一つでしかありません。
書類としてはそれ以外にも『出身国の公共機関でとった身分関係が分かる証明書』と『本人の預金通帳及びその送金明細書』という物が提出されています。(所得証明は『アジア地域の外国人の場合は所得証明書なるものは無い』ということなので、行政の証明書ではなく、申請者の自己申告だったようだ)
そして、この書類の中の『送金明細書』に父親への送金しか存在しないのでどうなっているんだ?と聞かれたので『父親に一括送金し、そこで各自に配布してもらっている』と申し述べる理由書を添付した、ということなのです。
ちなみに『何て書いてあるか分からないんです。税理士も分からない。』と小坪慎也氏は言っていますが、日本語の翻訳文があるという時点で、手書きは本人が申し述べたという証明程度の物であり、内容としては翻訳された日本語の内容が真か偽かで考えるのが普通だと思います(要するに、手書き部分は存在しなくてもよかったのではないか?ということ)
そして実際に書類のことを書いているブログを参照するに『日本語が書けない』としているわけで、書けないだけで日本語自体は扱えると見るのが妥当で、要するに翻訳文も本人が翻訳したもの、要するに本人が書いた文章そのものであると見るのが妥当な処理だろうと思います。
なので『なんて書いてあるかわからない、税理士もわからない』というのは誇張表現などの類になると私には思えます。
扶養控除を適法に制度どおりに運用することで外国人の場合、比較的簡単に非課税世帯にすることができる。
なので
何がどうなのかという部分が、非課税世帯という部分一括りでは分からず、自治体としては、手を差し伸べるべき困窮者の判別が難しくなっているという問題点がある。
小坪慎也氏は『住民税非課税世帯=困窮世帯』という全体的な見方によって運用されている様々な制度が、こういう所得税の控除制度によって崩れて行くのではないか?ということを質問しています。
しかし、小坪市議は『(扶養者数が)2人、3人の部分を伺いました。そこの部分で、私はこちらのほうが実は問題だと思うのです』という前提の下でこれを話しています。
扶養者数が2~3人の場合に非課税世帯になり得る合計所得金額の額、おいくらでしょうか?
答えは、扶養者二人の場合『137万円』、3人の場合『172万円』となります。(どちらも給与の場合+65万円されるため、実際は『202万円』と『237万円』となる)
どちらも年収であり、月収換算すると(雑費とか引いた後ですが)約10万円程度、給与の場合約16万円程度でしょうか?
この程度の月収の方が『手を差し伸べるべき困窮者であるかどうか』というのは各人見解があると思いますが、個人的には、この程度なら手を差し伸べる範囲にあるのではないか?と思ってしまいます。
特に外国人住民の場合は、出稼ぎに来て送金している場合(今回問題視されているのはこのパターンのはず)、ここから『扶養者の生活費相当』の出費が一律で生じるわけで、もっと生活費に回せる額は少なくなると考えられますので。(同居者を扶養している場合、『103万以内は所得税がかからず、扶養内(3号被保険者)で働けるため』多少出稼ぎより負担軽減が可能となる)
ちなみに、給与の分布については『平成24年分 民間給与実態統計調査』で調べることができますが、見づらいので『サラリーマンの平均年収(2013年)は409万円って本当!?』にあるグラフでビジュアル的に見てみるのが良いと思います。
しかし、この給与者の中にも『扶養されている側』にいる人が存在するので注意が必要だと思いますが。
で、こういうことについて小坪市議はこう述べています。
最初に言いましたように、2人とか3人の部分が一番きついんじゃないかと言わせて頂いたのは、私たちの世代に、まさに被るからです。ワーキングプアの層、僕たちの同世代の人間が、扶養控除がある場合とない場合、例えば外国人と全く同じ仕事をして、全く同じ給料でやっている場合、ちょっと送金をして、そして本国で、お父さんやお母さんやお祖父ちゃんも、実際は働いていたとしても、日本円で38万円を超えることは、為替レートの関係で、そうありませんから、彼らは2人、3人扶養をとれる。だけど、日本人のワーキングプアの僕たち若者は、2人も3人も扶養したら、とても扶養できるほど給料を貰ってないんです。年収200万円や300万円で扶養控除があって、かつ非課税世帯として、福祉サービスが減免された状態で受けれる場合と受けれない場合、これはまさに扶養の人数が2人や3人のところ、生活レベルでは、極めて大きな差が出てきて、これに気付いたときには、市民は、すごい不公平感を感じると思うんです。また、行橋市は、これは制度上の問題から徴税権を侵害されていると怒っても良いと思います。
要するに物価の違いを理由に『外国人は少額で扶養できるし、そもそも生活費の基準が違う。一方でこっちは扶養する負担が外国人より大きい。なので外国人は容易に扶養ができて、扶養控除も簡単に受けられる、不公平だ』と言っているわけです。
じつはこれは、税理士さんで触れている方がいまして『国によって物価は違うのでいくら送金すれば扶養していると言い切れるのか判断基準がない』というのが悩みの種なのだそうです。(参考:橋本浩幸税理士事務所 扶養控除と外国人問題』)
なので、確かに物価をその基準に反映させるのは必要なのかもしれません。
(ちなみに『〇〇アル』とよく言わされている国家の物価は日本に追い付いてきているわけで、ここで問題になっている物価が極端に低い外国としては『東南アジア』が中心になってくるのではないかと思われる)
ところで、ここまである点について、問題視せず、私もその観点を受け入れて話してきてしまったのですが、ここである根本的な問題に触れておきたいと思います。
そもそも『扶養控除』とは何のためにあるのでしょうか?
小坪慎也市議は『本当に助けるべき困窮者が分からなくなる問題』としてこの問題に触れています。
しかし扶養控除ってそういう『困窮者救済制度』の一貫としてスタートしたのでしょうか?
こういう『何のために扶養控除が存在しているのか?』という事が抜け落ちているように思いますので、そういうのを一から決めていく必要があるのかな、と考えました。(そういう意味で『所得控除の今日的意義 ―人的控除のあり方を中心として―』という論文の内容が気になっています)
では、そこには私も答えられないので、25年度12月の一般質問に移ります。
小坪市議はこう切り出しています。
一部振り返りになりますが、外国人のみが制度上非常に有利になってしまうということが分かりました。これは在日特権、外国人特権が存在したことの1つの証明であると考えることができます。
( ^ω^)・・・アホくさいんで、もう検証やめていいですかね?
在日特権とか外国人特権みたいな定義不明なワードは飛ばして先に進みます。
シミュレートの条件は、夫、妻、子どもが1人、そしてこの子どもは、3歳未満児とします。所得は200万円。条件1は、妻以外の扶養がない、共に日本国籍の者。条件2は、夫若しくは妻が外国籍であり、本国の親族に送金することで10人から20人程度の扶養を制度的に簡便に取れる世帯。この2者について、シミュレートの結果をお願いします。
条件2、夫若しくは妻が外国籍の場合、住民税が0円、所得税が0円、保育料が月額9000年、年額10万8000円です。総額で10万8000円です。条件1と2ですね、同じ収入、同じ所得で、同じ仕事をしていて、同じ家族構成だったとしても、年間でこの差額は51万4700円の差になります。所得が200万円の中で50万円以上の差が出てくる。所得の約4分の1ですよ。可処分所得ベースで見た場合、どれほど生活レベルが異なるか、想像がつくでしょうか。月額約4万円違います。子どもが1人おりまして、嫁さん、旦那さん、これが月に4万円違ったら、どれくらい違うか。全く違う生活ですよね。同じ仕事をして、同じように働いて、同じお給料を貰っても、これだけ違うんですね。前回取り扱わせて頂いた扶養控除が30人の場合、所得1000万円でも非課税になるという話しよりも、私は、こちらのほうが深刻だと思います。
シュミレートの条件が『本国の親族に送金することで10人から20人程度の扶養を制度的に簡便に取れる世帯』から単純に『夫婦どちらかが外国籍』にすり替わっています。
外国籍ならみーんな10人から20人の扶養者を簡便に取れるというミスリードをしだしているのです。
実際には、所得証明書がある国家などは、そういうことはできないので、外国籍という枠組みは間違っていると言えます。
また、ここで見逃されている制度変更があって、この30人のケースで認められている16歳以下の控除が現在なくなっております。また、控除額も現在と改正前の控除額は変わっています。そこを気をつけないといけないな、とは思います。
このシミュレート条件は、私の同世代の友だち達の所得なんですね。私の同世代の、まさに同じような生活をしている友だちがおります。そのなかで、外国人の非課税世帯、本当に恵まれないと胸を張って言えるのかと。私は本当に生活が立ちいかない人には、行政として手を差し伸べるべきだと思いますが、ここの判別をしっかり出来ないと、公明正大、公平という意味での予算の執行は、少し難しいのではないかと考えております。
このシュミレート条件、5人の扶養で住民税非課税になるというものです。
そこで、5人位だったら、外国に住んでいる兄弟や両親を使って、そこに送金することで容易に扶養認定がもらえる。そして住民税非課税に合わせて他の費用も軽減される。
そんな外国人にばかり容易に認定される制度でいいのか?外国人特権ではないのか?と言うのが小坪慎也氏の主張です。
多分なんですが『いくら送金をしたら扶養と認定するか』という部分がキーワードになりそうな気がします。
それで、これは記事の紹介になりますが、資料のBの2です。平成22年度4月10日の記事になります。
この資料の記事というのはこのブログに載っている産経新聞の記事のようです。
『〇〇アル』という口調は、この記事の印象から出てきているのでしょう。『永住中国人が確定申告で・・・』という記述がある記事です。
『関東地方の税務署関係者』という実態があるんだかないんだかわからない週刊誌のような記事だな、という印象を受けます。正直、この記事に何か有益な情報があると思えないので次へ行きます。
理由書がBの4なんです。この内容は、1人にしか送金していませんと。だけど近所にATM等がなく、1人に送っていると。私は、これは嘘だとは言ってないんですよ。嘘だとは言ってないんですけど、他の日本人や私たちの同世代に対して胸を張って誤りがないと言えるかという話しをしているんです。
『誇りを持って誤りではないといえるのか』とめちゃくちゃないちゃもんのような質問をしだしました。
個人的にはこれは単に脅しているだけのように思いますが。
その中で、私たち若者は、僕たちの同世代は、所得200万円、普通のサラリーマンです。子どもが1人おって、その中で、年間50万円以上も違う。差額は誰が払っているんですかと。労働人口、責任世代、様々な言葉がありますけど、払っていくのは、私たちの世代や私の同級生ではないんでしょうか。 今一度、1000万円とか大きい数字ではなくて、所得200万円層、私の同級生たち、この世代に向かって、この制度が手続き上正しいかどうかと、それを部長に、そして最後に、市長に、本当に公平な制度だと思っているかどうか。市長は行政マンのトップではなく、ルールを自ら作り、ルールの問題点があれば、それを指摘できる政治家という立場で、私たち若者に向かって語る言葉として、適切な言葉を、明確な回答を、思いを聞かせて頂きたいと思います。
『差額は誰が払っているんですか』と言われても誰も払っていませんよ。
その部分は誰も払ってなくても、現状成り立っているんですよ。
もしくは法人税など他の税制での税収で補われているかのどちらかです。
少なくとも働き盛りが税金払うことで負担しているという考え方は極端なように思います。
こういう話で世代を持ち出すのは不毛なのではないでしょうか?
本人がいくら行橋市議会で当時最年少だったからって若さを武器として突きつけすぎではないでしょうか?
これは繰り返し言っておりましたが、全て合法、制度的に可能な状態で何ら違法行為はないと認識しております。そのなかでの不公平感に関しては、政治家として、しっかりと、そして自分の所属する自治体とも協議しながら、しっかりと対応していきたいと思います。ありがとうございました。
よく言われますが、やはり在日特権とかのキーワードは『不公平』なんですよね。
不公平感が全ての根拠になっていく、それが恐ろしい部分なのかな、と思っています。
確かに制度には不公平な部分があるのは、どんな制度でもあり得ることだと思います。
ですが、そこで不公平であることをいかに証明するかと言ったら、『不公平感』以上の何かがそこに存在していないといけないのではないのでしょうか?
そういうことにしないと『不公平』といって高額所得者が、独立して自治体を作ってしまう、そういうことも是認しかねないように思います。
そういう不公平を無くすためにも、不公平感での問題提起には、個人的に敏感になっていこうと思います。
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