荒井勝喜首相秘書官の同性婚嫌悪発言と転向治療

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荒井勝喜首相秘書官と記者団のやりとり要旨は次の通り。

記者団 国会で同性婚制度について聞いた際、岸田文雄首相は「社会が変わっていく」と答弁した。

荒井氏 社会の在り方が変わる。でも反対している人は結構いる。秘書官室は全員反対で、私の身の回りも反対だ。

記者団 世論調査では若手の方が賛成を示す数は増えている。

荒井氏 それは何も影響が分かっていないからではないか。同性婚導入となると、いろいろ社会のありようが変わってしまう。国を捨てる人、この国にはいたくないと言って反対する人は結構いる。

記者団 悪影響は思いつかないが。

荒井氏 隣に住んでいたら嫌だ。見るのも嫌だ。人権は尊重しますけどね。選択的夫婦別姓よりは同性婚の方がインパクトが大きい。(共同)

岸田首相の秘書官、性的少数者は「見るのも嫌だ」発言撤回「誤解与えるような表現で申し訳ない」 – 社会 : 日刊スポーツ

荒井氏はまずオフレコの取材に応じ、「同性婚なんか導入したら、国を捨てる人も出てくる。首相秘書官室全員に聞いても同じことを言っていた」とも発言。同時に「LGBT(の人)も好きでなっているわけじゃない。サポートしたり、救ってあげたりしないといけない」と語った。

 この後、報道各社が問題視すると実名での取材を受け、「誤解を与えるような表現をして大変申し訳ない」と陳謝。「個人の意見」として発言をおおむね撤回したが、「見るのも嫌」に関しては「そういうふうには言っていない」と否定した。

荒井秘書官、LGBTは「嫌」 岸田首相「言語道断」、更迭へ―政権打撃:時事ドットコム

今回の事象について、内心の自由云々と言う人がいましたが、そもそも自ら言葉にした時点で内心の自由に留まっているとは言い難く(あえて言うにしても表現の自由の類?)、また、内心の自由というのは国家の思想弾圧・信仰弾圧を主に想定した概念であるため、今回の事象にはそぐわないでしょう。(内心告白の強要や思想矯正があったわけではないため)

思想・良心の自由(憲法19条)
目次 思想および良心とは? 思想および良心の保障の意味 思想・良心の自由に関する重要判例 憲法第19条 思想及び良心の自由は、これを侵してはならない。 思想および良心とは? 思想および良心の自由とは、心の中で何を考え、何

今回の発言は岸田文雄首相の同性婚(と夫婦別姓制度)について「制度を改正するということになると、すべての国民にとっても家族観や価値観、そして社会が変わってしまう。こうした課題であります。だからこそ社会全体の雰囲気、全体の有り様にしっかり思いを巡らしたうえで判断することが大事」という答弁について聞いたことに答えていることから、政府答弁の背景にそういう考えがあったということになり得ます。首相秘書官室云々とも言っているわけですから。

そのような特定行為の背景を明確にするためにも、今回の発言は報道されるべきであったと思いますし、正直誰がいったか込みで報道されたことにより、岸田政権的にも対処しやすくなったのではないかとも思ってしまいます。(あくまであいつが変なやつ、みたいな切断ができる)

今回の発言で危険だと思うのは時事通信が載せている「LGBT(の人)も好きでなっているわけじゃない。サポートしたり、救ってあげたりしないといけない」の部分です。

危険だと思う理由は2つあり、一つは横道の話なのですが、『好きでなっているわけではない』だから『サポートしないと』という思考の繋げ方です。

これは、フリーターなどによく言われる『好きでやってたのだから国家は助けるべきではない』というような考え方と表裏一体のように見えます。

好きかでやってる(なってる)かどうかとサポートすべきかどうかは、繋げるべきではないように私は思います。

2つ目の理由のほうが重要な危険性の話なのですが、それこそ内心の自由に関わる話で、この「救ってあげないと」という発想が、同性愛の矯正治療に繋がる発想であるということです。

そもそも「救う」という言葉は対象が病気のような状態であるという発想がないと出てこないでしょう。(神道政治連盟の議連会合でそのような冊子が配られたこともありましたね)

Yahoo!ニュース
Yahoo!ニュースは、新聞・通信社が配信するニュースのほか、映像、雑誌や個人の書き手が執筆する記事など多種多様なニュースを掲載しています。

同性愛を救うというのは、要するに内心で同性が好きだと思うことに踏み込んで何かをすることになるわけですから、国家として何かをするならば内心の自由の侵害になるでしょう。

第三帝国における同性愛者の迫害 | ホロコースト百科事典

また、救うというのは、あきらかに同性愛の治療が視野に入る発言でしょう。

同性愛の転向治療というのは、アメリカ等々世界各地で現在も様々な方法で行われているようですが、自殺に繋がってしまったり、ろくな話を聞きません。

コンバージョン・セラピー
同性愛者を転向させる必要はあるのか?
カリフォルニアは、アメリカの州で初めて、ゲイの人々をヘテロセクシュアルに転向させようとする精神治療を追放した。矯正論の支持者はどのような人々か? 科学の見解はどのようなものだろうか?
403 Forbidden
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この治療と関連した話として、産経新聞が最近のせた『LGBT法制化反対』のインタビュー相手が、自身も治療をしたとして同性愛治療をしている牧師であったという出来事がありました。

本書は、子どもの頃より同性愛という闇を抱え、事業の失敗や母の死、同性愛から離れることのできない日々を苦しみながら過ごしてきた著者が、いかにして同性愛の負の連鎖を断ち切り、残された人生を同性愛治療のために捧げるに至ったのかを綴った魂の救済の記録である。

「アメージング・エクソダス」—同性愛をやめた李ヨナ牧師の物語—

ちなみに、この牧師の著書を日本語訳した方と、神道政治連盟の会合で冊子を配布した方は同じ人です。


(2023/02/04 16:29追記)

LGBT理解増進法の自民党内議論がろくでもなかったのを思い出したので追記します。

性的マイノリティに関する法案をめぐり、自民党参議院議員の山谷えり子氏が5月19日、「体は男だけど自分は女だから女子トイレに入れろとか、アメリカなんかでは女子陸上競技に参加してしまってダーッとメダルを取るとか、ばかげたことがいろいろ起きている」と発言。翌20日には同党衆議院議員の簗和生氏も「人間は生物学上、種の保存をしなければならず、LGBTはそれに背くもの」と語り、共に批判を集めている。

「LGBTは種の保存に背く」 相次ぐ自民党議員の差別発言の背景は | 週刊金曜日オンライン

2021年5月20日、自由民主党は政務調査会内閣第一部会と性的指向・性自認に関する特命委員会合同会議を開催し、いわゆる「LGBT新法」の与野党合意案に関する条文審査を行なった。報道によれば、会議の中で「道徳的にLGBTは認められない」「人間は生物学上、種の保存をしなければならず、LGBTはそれに背くもの」との発言があったほか、19日の自由民主党内の会議ではトランスジェンダーのスポーツ参加に関して「ばかげたこと」との趣旨の発言もあったとされる。これが事実だとすれば、当事者ばかりでなくその家族や友人など関係する人びとをも傷つけ、その存在を否定する、到底看過することのできない発言であり、極めて遺憾であると言わざるを得ない。

【緊急声明】 一部の自由民主党議員の「LGBT新法」条文審査における発言について | ニュース | LGBT法連合会

また、以下の西田昌司発言が今回の秘書官発言と悪い意味で繋がっている気もしたので引用しておきます。

「LGBTの人も、そうでない人も、互いの違いを認めて、寛容な精神で受け入れるというバランスが大事だ。『こうでなければならない』という形で書いてしまうと、社会一般的には受け入れられない人のほうが多くなる。推進派の人は、法律を作ることに重点を置いてしまって、社会全体にもたらす影響というのが見えなくなっているんじゃないか」

「差別は許されない」はダメ? LGBT法案に揺れた自民党 | NHK政治マガジン

このような、同性愛治療を支持する人間と自民党の距離が近い可能性があることを考えると、今回の首相秘書官の発言は、現実的な危険性があるように見えてしまい、どこまで実態があるのかすごく気になってしまいますし、改めて釘を刺すというか、様々なことを再確認する必要があるのではないでしょうか。

ちなみに、最近も扱った、自民党が綱領に入れるくらい大好きな「自助・共助・公助」的には、『同性愛は家庭を作れるように治療などの自助・共助をするべきで、同性婚という公助を求めるべきではない』とか言う話になるのだろうか…

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