少し前の新潟県知事選挙にて、結果を見る際に「9・6・3」について、言及している人がいました。
無党派5割じゃ足りない、最低6割はないと
— やまぐちしろう (@GHap51) June 10, 2018
野党統一候補の場合、最低でも無党派の6割は取っていないと厳しい。今回は泡沫がいた分、無党派が削られることを考慮したとしても。
自民が支持層の9割近くを固めても、野党統一候補が無党派の6割以上を取って勝利した例は昨年の衆院選でも見られた。 https://t.co/HJ0RuvFglq— 📊📈Socialista📉🗳 (@cysgluala) June 10, 2018
この「9・6・3」を見ると、個人的に思い出す人がいます。
それは、前原誠司氏です。
前原氏が、左派を捨ててでも希望の党への合流を強行したのは、この「9・6・3」に関する、氏の感覚が関係していたようなのです。
それは、以下のBuzzFeedの記事の記述から伺うことができます。
前原さんの思考がよく現れていたのが、こんな発言だ。
《よく9・6・3って言っているんです。これができれば小選挙区で勝てる、と。民進党の支持層を9割、無党派を6割、自公支持者を3割とる。
特に大事なのは6なんですよ。(左に位置する)共産党と協力しすぎと見られると、ど真ん中にいる6を取り逃すんです。》
1年前もこう言っていた。
「ど真ん中が空いているのに、わざわざ左に打ち込む必要はないというのが、私の考え方。民進党は良識的な保守の受け皿にならないといけない。その方が、より有効な路線だと思っています」
前原氏にとって、無党派層は「真ん中」にいる存在で、左に行くとその戦場での戦いが不利になる。だから、左を切ってでも真ん中の戦場で勝負できるようにならないといけない、という思考が、希望の党への強引な合流の裏にあったのだろうと思われます。
結局、希望の党はどうだったかというと、NHKの分析を見る限り、6の部分である無党派層はトップの立憲民主党が30%で希望のシェアは21%で、自民党とどっこいどっこい。
9の部分である民進の支持層も分裂先の立憲民主党のほうが多めに確保し、希望の党は多分3〜4割くらいの確保。
自民党支持層からの得票も9%と、立憲民主党よりは確保しているものの…という感じだったようです。
また、インテージという調査会社の調査によると、希望の党は公示後どんどん投票予定者が流出していたようで、結果として「9・6・3」どころじゃなかったようです。
前原氏の認識について、個人的には、無党派層を「真ん中」と位置づけていることが間違っているように思うのです。
無党派層は、もっと秩序なく存在するというか、極右から極左まで混在するのが無党派層だろうと思うのです。
その中でボリュームゾーンがどこにあるのかは全く不明ですし、また、どこを真ん中と見るかも人によって違うのではないかと思います。
(右でも左でもないと言ってる人は大体どっかに偏ってるように、きれいな真ん中が見れる人はそうそういないのではないでしょうか)
更にいうと、これは左右とはちょっとずれると思いますが、前原氏は「共産党と協力しすぎると真ん中を狙えない」とする一方で、自らを「良識的な保守の受け皿に」と述べているのですが、一部の調査では共産党を「保守」と理解し、日本維新の会を「革新」と理解する人がいるという結果が出ていました。
そういうふうに何をどこに位置づけるかというのが、各々でてんでバラバラになっていることが明確化されつつあるのが現状だと思います。
そういうことを考えると、偏りに自覚的になることは良いと思いますが、「真ん中を狙う」というような動きをしてしまうと、真ん中がどこだか明確に捉えられずに、どうしても自己の偏りばかりが明確化して、空振りになってしまうという限界があるのではないか、と思うのです。
それならば、まずは偏っていることを受け入れ、その上で偏りつつ幅を広げて偏りを徐々に軽減していくということが必要で、ひとっ飛びに一方の偏りを拒否するというのはそれによってむしろ偏りを強化してしまうだけなのではないでしょうか。
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