2017/10/22の衆議院議員総選挙にて、長谷川豊氏が供託金を没収された事について、Twitterにて『900万円没収された』としている言及が幾つか見られます。
これは、小選挙区で立候補するのに必要な300万円と、比例単独で立候補するのに必要な600万円という金額を、小選挙区と比例に出ているから、ということで単純に足し合わせたのだろうと思うのですが、実際はそうではありません。
改めて記事を読み返したら、もしかしすると記事内で引用した日本維新の会に関する記事の『「衆院選は候補者1人で最低1000万円とされるが供託金など戻ってくるものを除き、最低100万円と想定する」と維新幹部は話す。』という記述の部分を根拠として利用して「1000万円-100万円」と計算し、900万円と算出した可能性もあるのではないか、と思い至りました。
ただ、これも、現状の日本維新の会がこの当時の状況と同じであるかどうか等が不明なので不正確といえると思いますが・・・。
Q 衆院選に立候補する際に必要な「供託金」とは何ですか。
A 衆院選では小選挙区は300万円、比例代表は600万円(重複立候補する場合は300万円)の供託金がそれぞれ必要だ。売名目的の候補者乱立を防ぐためで、個人や政党・政治団体は立候補の届け出までに法務局に供託金を納める。
Q 選挙が終われば返金されるんですか。
A 小選挙区では、有効投票総数の10分の1以上を得票できた候補者は落選しても供託金を返してもらえるが、これを下回ると全額没収となる。比例では政党ごとの当選者数に応じて没収額が決まる。没収された供託金は雑収入として国庫に納められる。国の一般会計に計上され、使途は限定されない。総務省によると2014年12月の衆院選で没収された供託金は、小選挙区で4億6200万円、比例で7億2600万円で計約11億8800万円だった。
このように、比例代表の出馬については、重複立候補の場合は300万円になります。
また、この比例立候補は名簿提出主体である政党が行っているものとなるので、選挙区の没収とは別枠となります。
そして、その没収条件は以下の公職選挙法の条文を参照してください。
(名簿届出政党等に係る供托物の没収)
第九四条 衆議院(比例代表選出)議員の選挙において、衆議院名簿届出政党等につき、選挙区ごとに、三百万円に第一号に掲げる数を乗じて得た金額と六百万円に第二号に掲げる数を乗じて得た金額を合算して得た額が当該衆議院名簿届出政党等に係る第九十二条第二項の供託物の額に達しないときは、当該供託物のうち、当該供託物の額から当該合算して得た額を減じて得た額に相当する額の供託物は、国庫に帰属する。
一 当該衆議院名簿届出政党等の届出に係る衆議院名簿の衆議院名簿登載者のうち、当該選挙と同時に行われた衆議院(小選挙区選出)議員の選挙の当選人とされた者の数
二 当該衆議院名簿届出政党等に係る当選人の数に二を乗じて得た数
要するに「選挙区で当選した重複立候補者数×300万円+比例区議席割り当て数×2×600万円」からはみ出た分を没収する、ということになるのです。
日本維新の会の場合、南関東ブロックで支払った供託金が重複立候補5名分の1500万円となり、1議席割り当てられたので日本維新の会に600×2の1200万円が返還され、全体の没収額は300万円となります。
このように、比例名簿の供託金は、政党が支出していることを前提としているので、候補者自身が出している場合、どういう基準で返還するのかは、窓口となる政党次第、となります。
ちなみに、希望の党は比例の供託金も候補者に払わせたようです。日本維新の会は出来た当初は候補者自身に負担させていたという情報がありましたが、今はどうなっているのかはよくわかりません。
もっと悲惨な状況なのは希望の党が独自に立てた新人です。ある新人は「なんとか供託金をかき集めました」。選挙戦直前まで金策に奔走したことを打ち明けました。
この新人の場合、小選挙区の供託金300万円と、通常は党が負担する比例代表の300万を親族に頼んで借りました。さらに事務所費など選挙費用は自腹だそうです。立候補した選挙区には地盤があるわけでもなく、政党や団体の強力な支援があるわけでもありません。「供託金? 返ってくるかどうかはあまり考えないようにしています」。言葉とは裏腹に新人候補の不安そうな表情が印象に残りました。
衆院選、新人候補者たち没収恐れる「供託金」とは? – ナニワのベテラン走る〜ミナミヘキタヘ〜 – 芸能コラム : 日刊スポーツ
維新の選挙は候補者の自己負担が原則だ。ビラは党が用意するものの、供託金や事務所費は候補者が用立てする。候補者選考でも資金力は要件の一つで、地元経営者でつくる「経済人・大阪維新の会」が自営業者らの発掘を進めている。
それでも橋下徹代表を前面に出す選挙戦術を取るため候補者の負担は軽い。都市部の選挙区なら自転車で回り、街宣車や事務所は持たない候補者もいる。「衆院選は候補者1人で最低1000万円とされるが供託金など戻ってくるものを除き、最低100万円と想定する」と維新幹部は話す。
というわけで、長谷川豊さんが没収される供託金は小選挙区の300万円は確実で、比例名簿搭載分の300万円は日本維新の会次第となる、というのが、今のところの正確な言及になるのだろうと思います。
ちなみに、供託金を没収される場合、供託金以外にも戻ってこないお金が存在しています。
本来は葉書・ビラ・ポスター・看板・選挙カーに関する費用が一定額まで負担されるのですが、小選挙区で供託金を没収される結果となると、その補助が受けられなくなってしまうのです。
私は細かい額は把握していないのですが、先程の日本維新の会の記事などを読むと、これも供託金並みに額としては非常に大きい話であるようです。
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