参院選の比例での『〇〇党を落とすために〇〇党へ』は信じないほうがいいと思う

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最初に結論のようなものを書きますが、(議席を獲得する政党ならば)どの党に入れても、ほぼ同じように貴方が票を入れなかった他の政党の議席を減らす可能性に僅かにつながる、というのが比例代表という仕組みです。

他党の議席を減らすために特定の政党を選ぶなどという、比例代表制でほぼ意味のない行動はせず、誰を当選させたいかどの党に議席を与えたいかを第一に投票することをおすすめします。


政治評論家?政治アナリスト?の渡瀬裕哉氏がTwitterで以下のような発信をしていました

このツイートはかなり粗雑な発信です。(本人が何度か実証実験と言っているのも、もしかすると根拠は薄っぺらと本人がわかっているからかもしれない)

『NHK党が比例で1議席獲得すると、ほぼ必然的に社民党が0議席となる』という文言、「ほぼ必然的に」といえる根拠があまりにも無いです。

まず、参院選の比例は50議席です。

そして、50議席の分配方法は、ドント式という、各政党の「得票数÷(得ている議席+1)」の数で比較して、一番多い数の政党に議席を分配する、というのを50回繰り返す、という方法になります。

これを前提として、『NHK党が1議席を取ると社民党が0議席になる』という状況は、社民党の1議席目獲得が全体の50番目であることを前提に、社民党の得票をNHK党が上回ることで社民党が50番目から追い出される、という形を取ることになります。(これ以外ではNHK党の議席獲得と社民党の議席喪失は連動しません)

これが「必然的」に起こるということは社民党が大きい確率で50番目にいて、NHK党は大きい確率で比例議席獲得圏外にいる、と話していることになります。

はたしてそうなのでしょうか?

NHK党については、各情勢報道で見る限り、一番良い書き方でも『議席獲得の可能性がある。』というものであり当落線上にいそうな書き振りになっている報道がいくつかありました。ただ、NHK党に触れない情勢調査もいくつかあり、結果的に50番目より下にいる確率はそこそこ高いかもしれません。

一方、社民党も当落線上にいそうな感じではありますが、NHK党よりは名前に触れられていたり、1議席は現実的に確保できる可能性が高い領域にはいそうな感じにはなっています。

ただ、社民党がNHK党議席獲得で追い出される位置にいるかどうかは、そう言うためのまともな根拠が存在しないと言わざるを得ないと思います。

定数が少ない、参院選の選挙区での選挙とかならまだ誰と誰が当落線上を争う形になっているのかが分かる可能性が高いですが、参院選の比例は定数が50もある形で、かつ比例という制度は複数の政党がずっと当選を争う仕組みなので、それの現状50番目を予想するというのはとても困難です。

誠実に語るならば、誰が絶対当落線上にいるかなんてそんなのわからないとしか言いようがありません。結果的に余裕を持って社民党が一議席獲得圏に鎮座している未来も十分ありえます。

今回のこの投稿について、いくつかgrokに聞いているツイートを見かけたのですが、そこでのgrokの回答が専門知識にかけていたり、そもそも書いていない前提を付け足すような回答をしていて、投票先を動かして選挙結果を左右しかねない回答としては不誠実な回答と思ったので触れます。

まず1つ目はこの画像のものです

個人的には(歴史的に0.4~1%の支持率)と(支持率2%未満)という揃ってない支持率の書き方も、バイアスがかかっている、もしくは粗雑な回答であると感じますが…

この回答は『(社民党から)1~2%の票がNHKに移る』という話をしているのですが、渡瀬氏の元のツイートではそんなこと言ってません。

社民党から票を奪う想定ではなく、単にNHK党の票が増えたら社民党が落ちるという話をしているはずです。なので、ここではgrokが、元の話とは違う前提を付け足して、元の論が『ある程度裏付けられる』と言い出すという、個人的には論理がめちゃくちゃだと思う事をしています。

ちなみに、このgrokが述べている『1~2%の票』の『1~2%』がどこの割合を指しているのか(全体の票の1~2%なのか、社民党の票の1~2%なのか)よくわからないのですが、2022参院選の結果でいうならば、仮に社民党の得票から、社民党の票の1~2%分の票が減ってNHK党に移っても、社民党の議席は変わらなかったはずです。

当時の得票でドント式の計算を実際に行った表が、三春充希氏のブログに載っていました。

次期参院選比例代表「議席帯」シミュレーション |三春充希(はる) ⭐第27回参院選情報部
先に公開した次期衆院選比例代表のシミュレーションでは、わずかな得票数の差が結果を大きく左右する議席帯とそうでない議席帯の存在を明らかにしたうえで、それが比例ブロックに由来する歪みであるといった議論を行ってきました。けれども比較対象とするべき...

これを参照すると、50議席目となった立憲民主党の数は『967421』で、次点は自民党の19議席目の『960855』となっています。

一方、社民党の得票は『1258502』であり、これが次点を下回るには25%近い票が社民党から減らないといけません。

また、NHKの票で次点をかさ上げする効果は、相当NHK党の得票が増えないと起こり得ません。

なので、『1-2%の票がNHK党に移れば、社民党が議席獲得の閾値以下に落ちる可能性があることが示唆』というのが、なんのことを言っているのか私にはわかりません。

もう一つ取り上げるのは渡瀬氏が『お墨付きをもらった』と触れているgrokの回答です。

この回答、根拠が書いてあるように見えて、何も書いていません。

『NHK党が1議席取れば社民党の低得票(世論0.4-1%)で0議席となる可能性大。』と書いていますが、NHK党が取ろうが取るまいが『社民党が低得票』なら議席は獲得できないので、NHK党が取る必要性がありません。

で、色々と突っ込まれたところ、以下の回答が出てきていました。

このgrokの回答は、NHKの事前トレンド調査の数字がそのまま得票になる前提で、それを根拠に『社民党の微妙な得票』とか書いているように見えますが、そもそも事前トレンド調査の数字をそのまま得票に当てはめるのは、誤りです。

2022参院選では、社民党のNHK事前トレンド調査での支持率は『0.5%→0.5%→0.7%→0.3%』で、参院選での比例の相対得票率は『2.4%』で、全体の36議席目に社民党の1議席獲得がなされています。(ウィキペディアにはそういう議席獲得の順番が載っているが、各報道機関の選挙結果のページでもどこか載せるところが出てきてほしいもので…)

https://ja.m.wikipedia.org/wiki/%E7%AC%AC26%E5%9B%9E%E5%8F%82%E8%AD%B0%E9%99%A2%E8%AD%B0%E5%93%A1%E9%80%9A%E5%B8%B8%E9%81%B8%E6%8C%99 より

選挙結果と事前トレンド調査の支持率はこのように大きなズレが出ます。それは他党も同じで、1週前のトレンド調査と実際の参院選得票はだいたいの政党で大きくズレています。

政党2022参院選 1週前 事前トレンド調査(NHK)2022参院選比例相対得票率
自由民主党35.634.4
立憲民主党5.812.8
公明党4.811.7
日本維新の会5.414.8
国民民主党1.46
共産党46.8
れいわ新選組0.54.4
社民党0.32.4
NHK党0.52.4
その他の政治団体14.4

どうしてこうなるのかというと、大きな理由としては、支持率調査の方には、『特に支持している政党はない 31.3%』『わからない、無回答 9.5』という40%以上の空白の数字が存在している事があります。

これが選挙になると各党に投票したり、棄権したりして動くことになるので、得票率と支持率は、ずれるわけです。

grokはこれを無視して話をしてしまっている時点で、かなり不正確な話を拡散しているように見えます。選挙結果に関わるような部分はもっと慎重に言及してほしいものですが…

ちなみに渡瀬氏については、『実証実験』と述べていたり、N国の浜田聡氏の当選を願っていてかつ社民党をバカにしているのも丸出しですし、なんというか、わかって政治的に仕掛けてる確信犯的な行為なのだろうと思いました。

(最下位争いという言葉で言うならば、比例代表制という仕組みは、議席獲得した政党全てが最下位争いする政党になるという仕組みなので…)

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