維新周りでよくわからないことが起きました。
ロシアを訪れた鈴木宗男参議院議員について、先週、日本維新の会の国会議員団の役員会では、党側に必要な事前の届け出が行われなかった上、鈴木氏がウクライナ侵攻をめぐり現地で「ロシアの勝利を確信している」などと発言した動画が確認されたとして、厳しい処分を求める意見が出ていました。
そして党紀委員会は、党の規律を乱す行為があったとして、国会議員団から「除籍」処分とするよう藤田幹事長に答申し、日本維新の会は10日、持ち回りの常任役員会で、党から除名処分とすることを決めました。
これに対して鈴木氏は、面会した馬場代表と藤田氏から除名処分を伝えられる前にみずから離党届を提出し、受理されました。
鈴木宗男参院議員 維新が除名処分を決定 鈴木氏はみずから離党 | NHK | 国会
まず、これまでに何があったか、経緯について触れます。
まず、鈴木宗男氏が1日に訪露。これが2日にロシア外務省の発表により判明します。
そして、スプートニクが4日、鈴木宗男氏の発言動画を配信。
発言内容が内容だったので騒がれました。(個人的には誰かの政治資金パーティーに送っているかのような動画だなと思いました)
コロナが起きて四年になりましてですね、私も5年ぶりでモスクワにきました。
しかし、落ち着いた佇まい
なによりもですね、ゴミが落ちていない、非常にきれいなモスクワが維持されていますね。
やっぱり、ロシア、モスクワは、やっぱり、世界に誇れる都市であるし、また、ロシア国民のですね、誠実さ、というものが、伝わってきてですね、ほっとしております。
今回短いモスクワ滞在ですけども、またゆっくりですね、早いうちに来たいなと、こう思っております。
そして私は、今、特別軍事作戦が継続されてますけども、ロシアの勝利、ロシアがウクライナに対してですね屈することがない。ここは私はなんの懸念もなく、100%確信を持ってですね、私はロシアの未来、ロシアの明日を私は信じてますし、理解をしております。
私自身、今から45年前になりますけども、初めてサケマス交渉でモスクワを訪問しました。当時は中川一郎という農林大臣の秘書官できました。
で、91年。私は外務政務次官としてモスクワに来てですね、当時ロガチョフ外務次官と平和条約作業部会の交渉、さらに、日程協議なんかもしたことを懐かしく思い出しながら。
2000年には、プーチン大統領が、3月26日、大統領選挙に当選されて、その9日後にクレムリンで、私は日本政府の特使として、当選したばかりのプーチン大統領と会談したこともありましてですね、様々な思い出が脳裏をよぎりながらもですね、私はロシアの安定・発展が世界の安定・発展につながるということを、改めて、今、感じているところです。
これらをうけて維新は処分を行うことを決めて…という流れです。
(ところで、党紀委員会の『国会議員団からの除籍』と『党からの除名』は同じものと見ていいのでしょうか?維新の組織関係がよくわからないので…)
『常任役員会で、党から除名処分とすることを決め』たのにも関わらず、即日離党届を受理して、結果として党としては何も処分なしというのは、私は初めて聞いたように思います。
なぜならば、離党届を受け取る余地がある場合、『離党勧告』という離党届を出すように勧告する処分があるのでそちらになる(吉田豊史議員への処罰がそういう流れと思われる)はずで、除名処分になる場合は離党届を出されても受理しないことが定番となっているように思われます。
日本維新の会は、ことし7月の参議院選挙に比例代表で立候補した候補者に対し、吉田議員が支援するにあたって1000万円を要求したなどとして、離党を勧告していました。
しかし、吉田氏が「党の認定が間違っており納得できない」などとして、勧告の期限だった10月31日までに離党に応じなかったことから、党は11月1日付けで吉田氏を除名処分にしました。
維新 吉田豊史衆院議員を除名処分 参院選候補者に1000万円要求 | NHK | 選挙
実際に、日本維新でも手続きより前に提出された離党届を受理せず除名処分となったことがあります。
日本維新の会は14日、持ち回りの常任役員会で、戦争による北方領土返還の是非を四島の元島民に質問した同党の丸山穂高衆院議員の除名を決めた。丸山氏が同日提出した離党届は受理しなかった。
維新、丸山氏を除名 北方領土返還めぐり「戦争」発言 – 日本経済新聞
下地幹郎衆議院議員は2017年の選挙期間中にIR汚職事件で逮捕された中国企業の元顧問から現金100万円を受け取ったことを認め、7日付けで離党届を提出しました。これを受け、日本維新の会では委員会の全員一致で下地議員の処分を決定しました。
維新 下地幹郎衆院議員を除名 議員辞職勧告 – QAB NEWS Headline
おおさか維新の会は28日、入党して2日で離党届を提出した山田太郎参院議員(比例代表)を除籍(除名)処分にした。離党届は受理せず、7月の参院選の埼玉選挙区の公認も取り消した。
おおさか維新、山田氏を除籍 入党2日で離党届 – 日本経済新聞
日本維新の会は22日、渡辺喜美副代表が提出した離党届を受理せず、除名処分にしたと発表した。
維新、渡辺喜美副代表を除名処分 離党届受理せず – 日本経済新聞
このように、除名処分を行う場合は、基本的に離党届は受理されないことが前提であろうと思われます。
しかし、なぜか今回は受理されました。
これについて藤田幹事長は以下のように述べているようです。
「離党届を提出され、それを受理するという形で党を離れて頂くことになりました。党紀委員会での答申は除名相当でした。除名には党の常任役員会の決裁が必要なので、その手続きも進めていました。その上で、本人に通達して効力が発揮されるということですが、その前に本人から離党という形をとりたいという申し出があり、それを受理する形となりました」
【速報】鈴木宗男議員が日本維新の会を「離党」と表明 ロシア訪問で党は「除名」処分を決めるも一転(関西テレビ) – Yahoo!ニュース
一方、藤田氏は記者会見で「鈴木氏は『党に迷惑をかけたので自分から身をひきたい』ということだった。除名せず離党届を受理したのは『甘い』と言う人もいると思うが、党を離れる大きな決断を受け入れた」と説明しました。
鈴木宗男参院議員 維新が除名処分を決定 鈴木氏はみずから離党 | NHK | 国会
維新の馬場伸幸代表と藤田氏が10日夕、決定した処分を伝えるため鈴木氏と面会。藤田氏によると、鈴木氏が処分伝達の前に「党に迷惑をかけた。身を引きたい」として、その場で離党届を書いて提出したことから、馬場氏の判断で離党を認めることにしたという。
訪ロの鈴木宗男氏、維新離党で決着 いったんは「除名」決定も [維新] [ウクライナ情勢]:朝日新聞デジタル
(日本維新の会 藤田文武幹事長)「ご本人から、さまざま迷惑をかけた、自分から身を引きたいという申し出がございまして、離党届をその場で提出いただきました。それを馬場代表と協議の上、その場で受理させていただいた」
維新を離党の鈴木宗男議員「私の立場で頑張っていく」維新は除名決定も…意向受け入れ | MBSニュース
除名処分に及ばなかった理由について藤田幹事長は、「馬場代表や私も鈴木議員には経歴や功績で一定敬意を払って対峙してきた。『自分から退きたい』という申し出がありましたので受理し党を離れていただくということで結論とした」と話しました。
【速報】「これからもロシアの友人で生きていく」鈴木宗男議員が『離党』無所属で活動へ 日本維新の会藤田幹事長「鈴木議員には敬意を払って対峙してきた」(MBSニュース) – Yahoo!ニュース
党紀委員会も、常任役員会も(離党勧告をせずに)除名処分をする方針で手続きしていたが、鈴木宗男氏が離党届を出してきたので、代表と幹事長が党内手続きを経ずに「敬意」などを理由に独断でひっくり返して離党届を受理した、ということになります。(維新幹部が離党届を受理したのは「武士の情けだ」と述べていたという報道もありました。武士の情け…?)(松井一郎がそれを望んでいたっぽいツイートしてるのはなんなんでしょうね)
手続きとして、離党勧告があるにも関わらず、それをせずに除名処分とすることにしたにも関わらず、離党届を拒否せず受理。除名処分とした党内手続きはなんだったのでしょうか。(「仮に離党届提出がなければ、除名処分としていたと説明」していたという記事がありましたか、それは離党勧告でやるべき手続きでしょう。)
よく『代表一任』とかありますが、党紀委員会や常任役員会も動かした以上、そこまで自由が認められるとは思わないのですが…
また、本来、異議申し立ては一旦処分を受け取ってから行われるべきもののはずです。ニュースによると維新は一週間不服申し立てができることになっているようです。
処分は10日から効力を持ちますが、今後1週間内に書面で不服申し立てを行うことができます。
【速報】維新・鈴木宗男議員「除名処分」に 馬場代表ら処分伝えるも面会冒頭から紛糾 | MBSニュース
この不服申し立て手続きを離党届を受け取ることでひっくり返しているのですが、これ『党のガバナンスを著しく逸脱』してないんでしょうか?
また、通達するために鈴木宗男氏本人と代表や幹事長が会っていることに違和感があります。
過去にそんな処分通達のために本人に会いに行くみたいな騒動ありましたかね?
例えば丸山穂高氏が処分を言い渡されたのは電話だったようですし、吉田氏への離党勧告は書面通知だったようです(下地氏も事務所に書面で通知だったのではないでしょうか)。これらのようにとても重い除名処分であったとしても最悪書面通知で手続きとしては大丈夫である気がしますが、わざわざ本人に会う必要が出た時点で、なんかやり込められてる気がします。
日本維新の会の馬場幹事長は記者会見で、丸山氏に電話で処分の内容を伝えたことを明らかにしたうえで、「丸山氏からは改めて『訪問団の皆様や党にも大変な迷惑をおかけしたことをおわび申し上げます』という発言があった」と述べました。
「戦争しないとどうしようもないじゃないですか」丸山議員 辞職は言及せず | 注目の発言集 | NHK政治マガジン
党によりますと、吉田氏が郵送で処分の通知を受けてから4日以内に離党届を提出しない場合は、除名処分になるということです。
日本維新の会 吉田豊史衆議院議員に改めて離党を勧告|NHK 富山県のニュース
一方、鈴木宗男氏が届け出を出せなかった理由として、29日の夜に出しに行ったらしまってたとか言ってるのですが、その日の夜は鈴木宗男氏の政治資金パーティーで、その場では馬場代表が挨拶してるんですよね。そこで馬場代表に何も言わなかったと思われるのは、手続きを守る気がなかったと言われて当然でしょう。(その後本人自ら守る気がないと言ったようですが。)(この点を猪瀬直樹が厳しく批判していましたが、本当に嫌いだったようですね)
鈴木宗男参議院議員)「29日金曜日の私の会合も大きな会合ですから、ウチの秘書もてんてこ舞い。維新の事務局も夕方にはいないわけですから、だから月曜日の9時に持っていっているのか、朝一番で持っていっているんです。郵便で出しておけばよかったと思ってるんですが」。
露から帰国の鈴木宗男議員 日本維新の会代表らと会談 手続き経ず渡航したことにつき処分受け入れる意向 HTB北海道ニュース
参議院には9月29日に届け出たが、維新への届出については「29日の夜、出しに行ったところ、事務所が閉まって人がいない。次の日は土日だから、月曜日(10月2日)の朝9時に紙を出しに行った」と鈴木氏は説明する。
「私の出発が次の日(10月1日)だから、(維新は)出発前に出していないのがおかしい、手続きミスだと言ってきてるんです。それは確かに手続きミス」と認めるも「実際、活動するのは(10月)2日以降なんですから、その日の朝にはちゃんと出してるんですから、なにも目くじら立てる話じゃない。(除名処分は)私は常軌を逸していると思いますね」と憤った。
「常軌を逸している」鈴木宗男氏、維新の除名処分に猛反論 「まだまだ成熟した政党ではない」と苦言も | 国内 | ABEMA TIMES | アベマタイムズ
ところで、甘い処分であることの一つとして、離党届を受理した事とセットのように見えますが、議員辞職も求めないことになったことです。
鈴木氏は比例代表選出だが、「去就は自身で決断するものだ」と述べ、議員辞職は求めない考えを示した。
維新・鈴木氏が離党 訪ロで除名決定受け:時事ドットコム
鈴木宗男氏は参院比例選出の議員なので、個人票が多いとはいえ、党の議席を一つ鈴木宗男氏にプレゼントする形になります。
これは、除名処分等を行った場合は、辞職勧告もセットで行うことが定番であるように思うので、議員辞職を求めないというのは不可能ではないでしょうか。
ただ、過去に維新は下地氏に対し去就を自分で判断する前提で、事が重大だから、と議員辞職勧告をしたことがあるので、やはり除名処分が不当である程度に重大ではなかったと認めているということなのでしょうか。
馬場幹事長は記者団に対し「ことの重要性に鑑みて議員辞職を促しているが、最終的な決定は自身の判断であり、こちらに強制力はない。この先、どういう判断をするかは下地氏にお任せしたい」と述べました。
維新 100万円受領の下地氏を除名処分 議員辞職勧告も決定 | 注目の発言集 | NHK政治マガジン
(ところで、丸山穂高氏の話を調べていたら原口一博氏が「言論の自由の意味をはき違えるべきではない」とか言ってて、本人に今言いたい言葉だなと思いました。もう聞く耳を持たないでしょうが。)
で、これを受けて維新の関係者の反応を見たのですが、決定に関わった常任役員会の一員である政調会長が、離党届受理も除名処分も同じだ、と言わんばかりの反応をしていて驚きました。それなら維新は、離党勧告なしでの除名処分、意味ないですから無くしては如何ですか?もしくはそもそも除名処分に役員会で異議を唱えるべきだったのではないですか?
最終は一任された馬場伸幸代表の判断で離党届を受理した一方、組織としては事前に除名処分を決定し、それぞれ違う道を行くことを決めた結論に相違はありません。
鈴木宗男議員は離党、別々の道へ。党への信頼回復に努めてまいります | おときた駿 公式サイト
(今後、宗男を救った言葉に今回の維新の関係者の言葉は含まれるのでしょうか…)
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