立憲民主党と日本維新の会が批判しあってる流れで、第二自民党という言葉が出てきました。
きっかけは出演者がそう発言したからのようですが、馬場氏は『第二自民党』ということについて肯定的な発言で返しています。
(立憲民主党からすれば維新は第2自民党のような存在、との指摘に対し)第1自民党と第2自民党でいいんですよね。第1、第2自民党が改革合戦でどんどん改革をやって、国家国民のためになることを競い合う。それが政治を良くすることにつながるわけで、立憲民主党がいらっしゃっても日本は何も良くならない。
維新は「第2自民党でいい」「共産なくなったらいい」 馬場氏が発言:朝日新聞デジタル
23日放送の「ABEMA的ニュースショー」に生出演した際の発言。共演者の「立憲からすれば、維新は第2自民党のような存在。自民と戦うのは自分たちで、第2自民党が戦うのは不健全(と考えている)」との発言を受け、「第1自民党と第2自民党でいい」と語った。
維新は「第2自民党でいい」 馬場代表が発言、立憲と共産は反発:朝日新聞デジタル
この発言が面白いのは、同じ番組で『われわれがめざすのはアメリカのような二大政党制』と述べた上でこの発言をしていることです。
この中で目指すべき政治状況について、「われわれが目指しているのはアメリカのような二大政党制だ。立憲民主党はカラスを白と言う人と黒と言う人が一緒にひとかたまりになるという主張だが、われわれは黒と言う人だけで集まり、自民党と対決していく」と述べました。
維新 馬場代表「第1自民党と第2自民党が改革競い合うべき」 | NHK
カラスを例えにして白と黒と述べているのは、その後共産党に言い放った「世の中にあり得ない空想の世界を作って、真剣にまじめに考えている人たち」と同じこと(あいつらはカラスが白く見える空想バカ、みたいなこと)が言いたいだけのくだらない例示のように私には見えます。
過去には立憲民主党にも日本に必要ない政党と述べていましたし。

(飯島勲氏が2010年のプレジデントのコラムで、『カラスを白だと思うと政治家などが言い出したら秘書は…』という例えが永田町にはあると言っていますが、これもやはりカラスが白=変なことを言ってるという前提の例えのようですし…)
そんなくだらない例示にあえて乗っかってなにか言うならば、『自民党と日本維新の会で争っても、本当にいる白いカラスを黒と言えない者同士で戦うことになるのでは?』とか『そもそもカラスじゃないものをカラスと言い張るもの同士で争っているのでは?』みたいな話に見えるのですが。


本当にアメリカみたいな二大政党というならば、アメリカは現状、第三勢力が『既存政党は極右と極左になった。』とか言い出すくらいに極端に認識が違う者同士の二大政党になっているわけで、共和党同士で争う二大政党制なんて存在しないものを作ろうとしても無理でしょう。
本当に第二自民党としてアメリカみたいな二大政党にしたいなら、維新がするのは自民党と選挙で対峙することではなく、日本維新の会は自民党に入党し、各選挙区の予備選で第一自民党と第二自民党として争うのが筋なのではないでしょうか。(大々的な予備選を事前選挙運動とみなされないような制度設計、法改正も込みで)
共和党同士と書きましたが、実際にアメリカとの外交的にも、自民党と政府はデサンティスとの関係構築に動いている一方、日本維新の会はトランプのブレーンとして『2020年大統領選挙でネバダ州の不正選挙調査を担当』した人と会ってトランプと会える機会を伺っています。まるで一つの政党しかないようですね。
馬場代表が狙うのは、トランプ前大統領と直接会談の実現だ。
来年行われる大統領選挙までに「面談のチャンスをうかがっていきたい」と意気込みを示した。
今回の訪米では、トランプ氏のブレーンの1人でもある要人(マット・シュラップACU議長)とも面会し、会談実現にむけ手はずを進めた形だ。
トランプ氏にラブコール?日本維新の会 馬場代表「トランプ氏の政策は維新に近い」 (FNNプライムオンライン(フジテレビ系)) – Yahoo!ニュース
マット・シュラップ
ACU(The American Conservative Union)議長。ジョージ・W・ブッシュ大統領のブレーンとして、大統領補佐官代理や政務局長を歴任。エネルギー・コングロマリットのコーク・インダストリーズの幹部として、環境・エネルギー政策や金融市場、法改正、その他税関連など多くの分野に関する戦略策定を主導。2020年大統領選挙でネバダ州の不正選挙調査を担当し、世界的な注目を集めた。
マット・シュラップ | CPAC JAPAN
こういう感じを見ると、やはり、日本にはアメリカで言う民主党が必要なのではないか、と思うわけです。
そんななか、日本の『民主党』の一角である国民民主の古川国対委員長は、日本の二大政党制は『イオンとイトーヨーカドー』のように『9割似通った』政党同士であるべきだと言い出しています。…古川氏は岡田克也氏が嫌いでイオンをバカにしているのか?と思ってしまうような言動に私には見えます。
イオンは第二イトーヨーカドーではないでしょうし、イトーヨーカドーも第二イオンではないでしょう。同じ大型スーパーであることは「似ている」かもしれませんが、9割似ているとは言えないと私は思いますが。

古川氏は、政権交代が可能となる2大政党制について「違いはイオンとイトーヨーカドーくらいの違いじゃないといけない」と発言。
看板は全く違うが、ともに広範な商品ラインナップを取りそろえて、消費者から選択されているように、有権者が政権選択する2大政党は「9割似通った」政党であるべきだ、として維新の馬場代表の考えに同調した。
二大政党制なら「イオンとイトーヨーカドーくらいの違いで」 国民民主が維新に”共感”表明(FNNプライムオンライン(フジテレビ系)) – Yahoo!ニュース –
政党の話に戻すと、9割似通ってるならば、同じ政党としてやればいいじゃん、と思うのてす。
また、イオンやイトーヨーカドーの例えと、今回発言している政党の違うところは、あくまで今回発言している方は『広範な商品ラインナップを取りそろえて、消費者から選択されている』どころか、広範な商品ラインナップのことを『カラスを白と言う人と黒と言う人が一緒にひとかたまりになるという主張』と否定して保守という一つの理念に純化しようとしている方々だということです。
馬場:日本のためには、政党を問わず、改革マインドの強い政治家と、現状を守っていく現状追認派のグループが、どちらも保守という基盤の上に立った形で、相互に牽制し合いながら政治を動かしていく。この構図が理想的だと思いますね。
維新・馬場代表「改革保守の再編は起こりうる」 日本維新の会・馬場代表が描く日本政治の未来 | 国内政治 | 東洋経済オンライン
あいつらはカラスを白というリベラル派だから滅ぼすべし。あいつらは大型スーパーに反対する人たちだから滅ぼすべし。そういう人たちが『広範な商品ラインナップを取りそろえて』という例示を出してくるの、滑稽じゃないですかね。
ところで、第二自民党と聞いて思い出すことが私には2つあります。
一つは『自民党渡辺派』という言葉です。
2014年まで存在していた『みんなの党』という政党。創設からの党首であった渡辺喜美党首の時代に、江田憲司氏ともめて江田憲司氏や柿沢未途氏等々が離党、結いの党が結成されるという事象がありました。
その際の離党会見にて、林宙紀議員が、渡辺喜美氏から『自民党渡辺派のような形で、てこの原理を働かせていくという発言があった。』と述べたのです。
で、このみんなの党から分裂した勢力は、上記ブログに書いたようにその後維新と合流するも、最後には政党交付金の通帳と印鑑を取り合う分裂騒動という、NHK党みたいな騒動になり、江田憲司氏が、『維新の松井一郎氏が「自民党と手を組んで政策を実現していく。われわれはもう政権交代を目指さない」と述べていた』と言い出すという、みんなの党と似たような流れになったわけですが。
政党交付金用の通帳や印鑑を残留組が奪還に来るため、新党組の国会議員らが交代で党本部を警戒。残留組を追い払うなど、一触即発の攻防が続いている。
【維新分裂】「残留組に通帳奪われるな!」大阪系が党本部で厳戒体制 – 産経ニュース
一方、みんなの党の側も自民党渡辺派側と、野党共闘側で敵対。
また、渡辺喜美氏が(その後、似非日本人云々というヘイトスピーチで話題になる)「DHC」(東京都港区)の吉田嘉明会長から8億円もの大金を借り入れていた問題で代表辞任し、浅尾慶一郎氏が代表就任。
浅尾氏等の執行部側が野党再編に向かおうとするのに対して、渡辺氏側が創業者は私だ党を返せ与党と連携しろという要求をし、共通点が見いだせないままみんなの党は解党。
その後渡辺喜美氏は維新に入り副代表になったものの、一年で除名。その後NHK党と近づくも、政界引退。
一方野党再編を模索していた執行部側の浅尾慶一郎氏や中西健治氏が自民党入りし、あの頃執行部に罵声を浴びせていた三谷英弘氏と同じ党にいるという、なんとも言えない経緯を辿っています。
第二自民党で、もう一つ思い出すのが、長島昭久氏の『自民党の2軍なら』発言です。
長島昭久氏は講演にて『(民進党は)共産党の二軍になってしまった』『自民党の二軍なら、一軍がこけたら上がれる。共産党の二軍は、何をやっても政権にはたどり着かない。』と発言。
その後Twitterで話題になり『民進党は政権を担った経験や保守派の存在が邪魔して原発でも消費税でも鮮明な主張ができない。政府と対峙する野党としては、明らかに舌鋒鋭い共産党が一軍で民進党は二軍に甘んじざるを得ない』『民進党は、今は政権一軍である自民党に対し、いつでもとって代われる二軍として政権政策を磨く猛特訓をすべきだ』と、(今回の馬場氏と似たような)説明を行うという事態になりました。
ちなみにこのとき私はブログの締めで『一軍(自民党)に昇格して、嬉しがるのがオチという話です。』と書いていたのですが、その後、長島昭久氏は自民党議員として活動しているわけで、見事に自民党一軍に昇格できてよかったですね。
今回の第二自民党も、第一自民党になる日がいつかくるのでしょうか。
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