朝日新聞が「党がどう見られているか、外部の有識者を招いて話を聞く」勉強会が新しく自民党内で立ち上がったことを記事にしています。
内容は『別の呼びかけ人は「あくまで安倍政権を支える立場からやる」と語るが、党内には今回の人事への不満も残る。支持率低下の要因が加計学園問題など安倍晋三首相自身にあるとの見方が強いだけに、勉強会は「反安倍」色を帯びる可能性もある。』というような煽り成分が強い記事なのですが、個人的に注目したのは中心人物と朝日新聞が書いている人物です。
これも朝日新聞の恣意性があるのかもしれませんが、『平沢勝栄(東京17区)、竹本直一(大阪15区)両衆院議員ら首都圏や関西圏の議員が中心』と、東京都と大阪府の政治家が主要メンバーとされているのです。
記事では都民ファーストと日本維新の会の存在が挙げられていますが、この二つの勢力は一定の地域限定ではあるものの大きな影響力を保っている可能性が高いということだけではない、共通点が存在しています。
個人的にはそこも『政権に苦言』という雰囲気が強くなる要素だと思っているのですが、この二つの勢力は、どちらも安倍政権自体とは距離が離れていない、友好的であるとすら言えるような勢力であることです。
日本維新の会は、大阪維新の会から国政進出を検討する際に、安倍晋三氏に党代表になってくれるように依頼するなどしていて、安倍政権が成立した後も、幾つもの法案に賛成し、事実上の閣外与党のように法案成立をアシストしています。
一方、都民ファーストは、まだハッキリとした国政進出の形が見えないものの、毎日新聞にて『「実は安倍首相は、小池氏とはうまく関係を保てると見ているフシがあります。東京五輪で両者は協力しなければならないし、何より憲法改正で小池氏が同調してくれるとの思いがある。改憲に必要なのは衆院で3分の2の数。その3分の2に小池新党が含まれれば、それで十分。新党について、首相は楽観視しています」(自民党の首相側近議員)』という記述があるように、安倍政権に近い政党になる可能性が高いように思われます。
このように、この二つの勢力は『安倍政権を変えたいとまでは思わないけれど、今の自民党はいやだ』という人たちが気軽に投票できる、投票ハードルが低い、昔流行った言葉で言うと『お灸』を据えるために最適な政党なのです。
そういう政党が自民党には一番驚異的であるのです。
民進党は現状(所属議員の実態は別として)自民党とは政治思想が遠い層、自民党を支持できない層をアピール先にしているように思いますが、その方向に支持を伸ばしている限り、自民党の根っこの支持はゆるぎません。
(ただし、民進党に土台や根っこが生まれる効果はあります。どれだけ強いものになるかは別として。)
このような形だけでは、一時的な政権交代は起こる可能性はあるのですが、起こったとしても自民党支持の土台は残るのである程度の勢力は残ります。
なので、それについて、地盤が強固である議員はそこまで恐れることはなく、地盤が弱い議員だけが慌てる事になります。
しかし、都民ファーストや日本維新の会のような、安倍政権を否定しないアンチ自民党勢力が伸びると、自民党支持層自体が流出してしまう可能性が高いのです。
そうなると、いざ劣勢になった場合、ある程度の土台があるとしても、その土台が崩れ、一気に別勢力に支持層が流出してしまうことになるのです。
なので、事実上、政権交代は起こらないにも関わらず、所属議員が一番恐れるのは同じ支持層を奪い合うライバルである(ように見える)安倍政権を否定しないアンチ自民党勢力の存在なのです。
(そういう意味で『政権交代のある二大政党制』を志向する人には『保守を否定しないアンチ自民党』を志向する人がけっこう存在します。とにかく政権与党にプレッシャーを与えることが二大政党制の重要な点である、と考えているわけです)
冒頭の記事は、自民党のそういう流れが伝わってくるという意味で面白い記事だと思いました。
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