共産党の赤嶺議員が再選した沖縄一区、琉球新報を見てみると「誤情報にネガキャン…泥仕合の1区」と書かれるくらい、どうしようもない文書が飛び交っていたようです。
表題に「『下地ミキオ』氏を自民党にもどせないのは……」と掲げた出所不明の文書は、自民党支持者の間で出回っている。その他、紙のチラシの形でも確認されている。
普天間飛行場の移設については「世界一危険な『普天間飛行場』の移転は、日本・米国・県・市・地元集落の苦渋の選択として辺野古への移設が決定したのです(SACO)」と記している。
SACOとは沖縄に関する日米特別行動委員会の英文の頭文字で、1995年に沖縄で起きた米兵3人による少女乱暴事件を受け、日米両政府が沖縄の基地負担の軽減を目的に設置した。96年のSACO最終報告で、普天間飛行場の返還と代替施設を沖縄本島東岸の海上に建設することが日米両政府で合意された。 https://www.mod.go.jp/j/approach/zaibeigun/saco/saco_final/hutenma.html
地元の沖縄県の合意を得るのはこの後のこと。当時の大田昌秀知事は県内移設を前提としていることに「厳しい状況だ」と受け入れに否定的だった。98年の県知事選に当選した稲嶺恵一知事が、地元名護市の岸本建男市長(当時)の条件付き同意を踏まえて、日本政府と合意するのに当たって移設先が「軍民共用」と「15年使用期限」の2つを条件に掲げて「苦渋の決断として」受け入れた。2条件は当時の閣議決定にも盛り込まれたが、その後日本政府はこの条件を除いた内容の閣議決定を沖縄県の頭越しで決定した。合意を結んだ当事者である稲嶺前知事は、この地元合意の存在が続いているとの前提で辺野古移設が推進されていることに不快感と反発を表している。
https://ryukyushimpo.jp/news/entry-1250678.htmlチラシの中身は普天間移設の「地元合意」のほか、保革合流したオール沖縄勢力の支援を受ける沖縄県知事を「反日、反体制、自虐史観の左翼知事」と指摘、下地氏については「カデナ統合論とか硫黄島移転など、有事、平時でも通用しない幼稚な思いつきのレベルで騒いでいるだけです。」と批判している。
その上で「若干の日時は要しても唯一の現実的な解決策は、辺野古移設しかありません。」と、辺野古移設が「唯一の解決策」だとする政府の主張を代弁しながら辺野古移設の推進を強調する。さらに共産党の安全保障の在り方も批判する記述が続く。それから最後に再び下地氏への批判で締めている
普天間移設「県・市の決断で辺野古移設決定」はミスリード 衆院選ファクトチェック – 琉球新報デジタル|沖縄のニュース速報・情報サイト
この文書はそもそも政府見解がミスリードしていて、それを忠実に引用している文書ということのようです。
それ以外の批判・揶揄も陳腐と言えば陳腐なものですが、そういうものほど効果的なのかもしれません。
1区候補者で自民党前職の国場幸之助氏=公明党推薦=の選挙事務所で配布用に積まれた文書には、
「選挙区でも比例でも当選可能性ゼロの
無所属候補への投票は
ムダ票になります!」
と記されている。投開票日は31日で開票はまだなされておらず、どの候補者も当選も落選も決定した事実はない。まだ開票がされていない時点で、当選可能性が「ゼロ」で、その投票が「ムダ」だと断言するのは誤情報だ。
衆院選沖縄1区「当選可能性ゼロ」「ムダ票」は誤情報 衆院選ファクトチェック – 琉球新報デジタル|沖縄のニュース速報・情報サイト
当選可能性が低いと言う評判のある候補者への投票を辞めさせるような内容はTwitterで個人が述べているのは選挙ごとに毎度見かけるのですが。そういう低レベルな内容の文書が事務所に普通に積まれていたと言うのが、今回の選挙活動の醜さの象徴のように見えます。
で、ここまでやられた下地陣営は言われっぱなしだったのかと言うと、そうでもなさそうで・・・
2氏の「当選」を伝える文書では「この選挙、オール沖縄の共産党候補は比例一位で当選、自民党候補は比例復活三度目はないと言われながら、今回も比例三位で当選が決まりました。」と2氏の当選が開票前にもかかわらず既に決まったかのように記している。その後に続けて「下地ミキオには比例はありません。選挙区で当選させていただくしか道はありません。」と支援を呼び掛ける形になっている。
文書は「会員の皆様へ」と題して「下地ミキオ」名で出されている。ネット上でも取りざたされている。 下地氏の選挙事務所に取材したところ、担当者は「後援会として、会員の皆さんに手紙を送ったものだ。(下地氏が)選挙区で勝たなければ当選できないというのは事実だ」と話し、文書を送付したことを認めた。
(中略)
文書は、赤嶺氏が「比例一位で当選」、国場氏は「比例三位で当選が決まりました」と断じている。だが、開票前の時点で選挙区での状況はもちろん決まっていないし、さらに比例の名簿に登録された候補者の当選が確定することも絶対にありえない。
国場氏側は後援会の具志孝助代表が28日付で、下地氏を被告発人として、公選法235条第2項(虚偽事項等の公表罪)違反で那覇警察署に刑事告発状を提出した。告発状では、他の候補者を当選させないように画策して不特定多数の有権者に文書を配布したと訴えている。
赤嶺氏の選挙事務所は取材に対して、公選法違反の刑事告発を検討していると回答した。
衆院選沖縄1区の候補者が既に「当選」は偽情報 衆院選ファクトチェック – 琉球新報デジタル|沖縄のニュース速報・情報サイト
この「相手は比例復活があるから」という言及は、自分には後がないという無所属候補定番の文句ではあるのですが、そこで相手に対して「当選が決まりました」というのはやり過ぎです。
国場氏に対しての言及は特に悪質で、国場氏の三位と言うのは重複立候補者が何人も同一の順位になっている三位であって、他選挙区の落選者の数や国場氏自身の惜敗率によっては落選も普通にある状態でした。
また、赤嶺氏は共産党の九州比例で単独一位になっていたものの、選挙結果によっては1議席も比例で取れない可能性もあったわけで当選確実とは言えません。
一方で国場氏の後援会の方が告発状を出しているのですが、国場氏も「当選可能性ゼロの候補者への投票はムダ票になります」とか配っていた?のを知ると、白々しいなという気持ちが芽生えてきます。
このようなミスリード合戦と言うか、あいつへの投票はムダ合戦やってるのは、なんとも言えないのですが、ここに下地側に国場組がついているという事実があるのが更に泥沼感を強めていて、なんかすごいですよね。
自民党沖縄県連は15日、下地の自民党への復党を認めない方針を決定した。これに共産党に勝つための保守大同団結を訴えてきた地元の経済界が反発し、経済界の有志らが17日、那覇市内で記者会見を開き、同県連にせめて下地と面会するよう求めた。
会見には国場組の国場幸一(ゆきかず)会長の姿もあった。マイクを手にした国場会長は「大変残念だ。首長選や知事選を保守合同で勝つためには下地氏のリーダーシップが必要だ」と述べ、県連に改めて決定を再考するよう求めた。
国場幸之助代議士にとって、身内のはずの国場組の国場幸一会長がなぜ下地の復党を後押しするのか?表向きは保守大同団結を後押しし、1区の共産党を含む反自民の保革勢力『オール沖縄』を撃砕することにあるが、真の理由は「複雑な国場家の家庭事情にある」(地元政治家)という。
国場組の創業者で国場幸之助代議士の祖父にあたる国場幸太郎は艶福家でもあった。本妻の他に、何人もの愛人を抱え、それぞれに子どもを産ませ、国場姓を名乗らせた。
「『週刊新潮』(新潮社)などでも報じられていたが、幸之助代議士の父親の幸治は、幸太郎が愛人に産ませた子供で、幸之助代議士と、本家筋の国場組会長の幸一の間にはもともと距離感があった。幸之助が代議士となった今でも国場組挙げて選挙に協力するという体制にはなっていないという」(同)
地元関係者もこう続ける。
「国場幸之助代議士が政治の師匠と仰ぐ古賀誠(元自民党幹事長)が沖縄入りし、国場組の国場幸一会長に頭を下げると、しばらくの間は国場組も幸之助の選挙を手伝うふりをするが古賀誠が福岡に戻るとすぐに元の木阿弥に戻ってしまう」
自民党沖縄県連の15日の決定に先立つ12日、国場組の国場幸一会長は県内経済会の有志らと共に、1区での保守系候補の一本化を求める1万2428社の署名を添えた要請文を提出している。その動機が何であるにせよ、国場幸一会長の、保守が大同団結できない限り、1区で共産党に勝てないとの思いは本気だ。
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今回の衆院選沖縄1区は、当確を決めた共産党の赤嶺政賢氏のほか、自民党公認の国場幸之助氏との三つどもえとなった。かつては自民党所属だった下地氏を推す沖縄の経済界の一部のメンバー「保守合同を実現し沖縄の未来を創る会」(会長:国場幸一・国場組会長)は、下地氏の自民党への復党を求めて自民沖縄県連に要請してきた。
「保守合同」の動きは沖縄県知事選をゴールとしたものだった。保守がまとまることの必要性について「保守中道がまとまっていくというのは国場会長の旗の下に、私たちも政治家としてその方向は堅持したい。必ずその動きなしに(来年1月の)名護市長選から、(2月の)石垣市長選、知事選まで、勝てる根拠は示されない」と持論を展開した。自民党への復党要請については「復党の要請ではなくて、もう話し合わなければいけない時期が来ると思う。それは復党要請ということだけではなくて、しっかりと保守合同の国場さんと自民党が話し合いをするというのは当たり前の前提条件としてやらざるを得ないことになるのではないか」と見通しを語った。
沖縄1区落選確実の下地氏「保守合同は堅持」 引き続き国政に照準 衆院選 – 琉球新報デジタル|沖縄のニュース速報・情報サイト
こんなぶん殴り合いをして、その後話し合いができるのかどうか、あの細野氏でも入党できるので可能性はないとは言えないのでしょうが、当事者は大変だろうなぁ、と思います。
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