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大阪都構想住民投票の結果を受けての感想

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昨日、大阪市を廃止して特別区に再編する大阪都構想の二度目の住民投票が大阪市にて行われ、またも接戦での反対多数となり、二度目の大阪維新の会代表の政界引退宣言が行われました。

選挙での維新の連続勝利と住民投票での2度の否決から浮かび上がるのは、維新の改革や行政運営を支持していても、大阪市を解体再編することには反対、ないしは慎重、消極的な市民が一定数いるという現実だろう。

首長を握り、議会で多数派を形成することでバーチャル大阪都と呼ばれる状態が生まれていた。観光や産業振興、港湾などでは府・市の行政の一体化が進んできた。それが都構想の必要性の訴求力を弱めたとしたら皮肉だが、府・市連携で二重、二元行政の弊害をなくし大阪を成長させるという方向自体はおおむね支持されてきたのではないか。

その意味で、この住民投票によってこれまで維新が手掛けてきた府・市の改革全体が否定されたわけではなく、都構想に反対した側の政策が肯定されたわけでもないことは踏まえておく必要がある。

大阪都構想否決 膨大な議論生かせ、新たな地域戦略を  :日本経済新聞

この大阪都構想の制度についての知識は私はほとんど持ち合わせていません。以下の砂原氏の記事を読んだくらいの知識しかありません。

なので、今回は制度の話ではなく、個人的に引っかかっているとある人の態度について書きます。

「皆さんが悩みに悩む問題を提起できたことは政治家冥利に尽きる。結果は出たので、(残る市長任期で)万博成功に向けて全力で傾注したい。引き続き大阪を愛してほしい」

大阪都構想10年越し決着 松井市長「後悔ない」 吉村知事「再挑戦しない」 - 毎日新聞

なんか前回も橋下氏がすっきりした表情をしていたような記憶があるんですが、今回も松井氏は満足して?すっきりしていたようで、そんな中で、上に引用した言葉が出てきたようです。

『皆さんが悩みに悩む問題を提起できたことは政治家冥利に尽きる。』という言葉、正直、私の政治観と合わないんですよね。

首長としての仕事として、住民が悩みに悩む問題を提起することって優先順位低いんじゃないの?って思っちゃうんですよね。
問題を解決できたから政治家冥利に尽きるって言ってるならわかるんですけど。

住民が悩んでいる問題を解決はできていないんですよね、少なくとも「解決には都構想が必要」とした大阪維新としての見解としては。

そういう悔いがあるからこその都構想再挑戦だと思うんですけど、解決できていないのに「みんなを巻き込むような問題提起できてよかったです」みたいなこと言い出されても…と思ってしまうんですよね。

政治家って言うのは、住民投票でみんなを悩ませるのがお仕事と言うよりも、その住民投票をするために行ったとして橋下徹氏などが話している、公明党と握った話のように、自己の意見に賛成する人間を増やして、なるべく対立を穏やかに問題を解決するのが、政治家のお仕事なんじゃないの、って私は思ってしまうんですよね。

ただ、こういう見方は、どうしても裏取引とか、変なお金とか、談合とか、まぁいろんな不透明な話がつきものだったりするものだったりして、やはりいろんなことが表に見えている(ように見える)方式である、問題提起して言論対決しましょう!みたいなスタイルの方がいろいろと今に合っているのでしょうけど。

でも、やはり「問題を解決する落としどころを見つける」と言うことが私は政治家の大きな仕事であると思っていて、問題提起というのは、あえて政治家が行わなくてもいいんじゃないかと思うんですよね。

ちょっと本筋と違いますが、そういう観点から、菅総理の学術会議に対する姿勢は、「私は問題提起してるんだ」みたいなことを言っているようにしか見えず、私からすると政治家のやることかよ、と思ってしまうんです。

菅義偉首相は26日のNHK番組で、日本学術会議の新会員候補6人を任命しなかった問題に関し、「(会員は)民間や若い人は極端に少ない。一部の大学に偏っているのも客観的事実だ」と指摘し、「誰かがもう一度、組織全体の見直しをしなきゃならない。そういう時期じゃないかと思う」と述べ、改革の必要性を強調した。

学術会議「一部の大学に偏り」 首相、改革の必要性強調 NHK番組で - 毎日新聞

で、そんな菅総理、都構想反対多数について聞かれ、こんなことを言っているのです。

「大都市制度の議論で一石を投じることになったのではないか」

首相「大都市制度に一石」 大阪都構想の否決巡り (写真=共同) :日本経済新聞

なんか、一石を投じる、つまり問題提起したことを評価しているコメントなんだと思うんですけど、問題を拾うだけでなく、解決する落としどころを見つけるのが政治家だと思うんだ、というのは上に述べたことなんですが、菅義偉氏も大阪維新の政治家も問題を拾って提起するのが政治家のお仕事で、落としどころは官僚など他の人が見つけるんだ、みたいなこと思ってそうなのがなんとも・・・。

一方、話を都構想に戻すと、実は大阪維新って、二重行政問題を解決する落としどころをひっそりと見つけているんじゃないかと思うんです。

それは以下の分析にあるような話です。

 そこで著者が注目するのが政党としての維新です。橋下徹ではなく、維新が政党として一定の支持を集めていると考えれば、橋下退場後の維新の強さを説明できます。

 多くの有権者は選挙のときに候補の政党を見ます。たとえ、支持政党がなくても、「自民党は嫌だ、共産党は嫌だ」といった形で政党ラベルを利用している有権者は多いと思います。

 ただし、日本の市町村レベルの選挙では一般的に政党ラベルは機能していないと言われます。日本の市町村議会の選挙は大選挙区制で、個人の名前を書かせることが重要です。候補者をみても保守系無所属が一番目立つように、市町村議会では選挙制度の影響もあって政党名はそれほど重視されない状況になっています。

 ところが、維新の候補者は維新の候補者が複数立候補している選挙区においても、独自性をアピールせずに「維新の候補であること」をアピールしています。61-64pでは維新候補者の選挙公報が分析されていますが、それぞれの候補の差は目立ちません。

 この政党名の強さと候補者の自律性の弱さが、維新を「大阪」の利益の代表者、あるいは調停者として売り出すことを可能にします。

 維新でなくても、府議会と市議会の多数派が同じ政党であれば、府と市の利害調整は進みそうですが、日本の地方議員は非常に自律性の強い存在であり(選挙のときに政党に頼っていない)、府の政党組織が市議を動かすことは困難です。

 ところが、政党が強く議員の自律性が弱い維新では、政党が市議を動かすことは容易なのです。

善教将大『維新支持の分析』 - 西東京日記 IN はてな

このブログで参照されている善教さんの書籍では「維新の躍進の背景には、大阪において維新以外の政党が機能していない現状があるとして、地方議会の選挙制度を従来の中選挙区制から、拘束式または非拘束式の比例代表制に変えることを検討すべき」という話になっているようですが、まさに「政党が機能している」ことが、維新が見つけ出した「二重行政の解決法」の一要素なのではないかと思うのです。

大阪維新は2011年、橋下徹氏が大阪都構想を実現するために、大阪府知事から大阪市長に転戦。その際に大阪府知事選挙と大阪市長選挙はダブル選となり、大阪維新の候補者がセットで出馬・当選することになります。

これによって、府知事と市長が同じ政党出身者となり、同じ考え方の元、揃って行政を行うことになりました。

その結果、二重行政は暫定的に解消された状態となっていたはずです。

これを維新支持層や当事者は『「同じ考えを持つ」という人間関係だから成り立っています。しかし知事・市長の関係が今後も現在のように続くかどうかわからない以上、根本的な問題は解決されていないのです』という主張をして都構想が必要だとつなげていくわけですが、その人間関係って、個人的なものではなく、組織的な人間関係なわけじゃないですか。

『「同じ考えを持つ」という人間関係』って、簡単にいうと政党の一要素なんです。
で、維新は政党と言う形で見事に、大阪をどうするかと言う考えに関する人間関係を見える化して、府知事選と市長選で候補者を一つの政党でセット売りして選ばせるという、一つの二重行政解消策を見出しているのではないでしょうか。

要するに「二重行政≒ねじれ国会」のように見て、衆参同日選挙で、同じ政党に両院の過半数を取らせればねじれずにすっきりといろいろと決められるよね、的な話です。

一方、そんな維新に一政党で対抗できるのは、NHKの世論調査を見るに今のところ自民党だけですし、大阪維新は自民党が分裂した存在であると考えれば、これまでも自民党が大阪府と大阪市の行政の運命を大きく握っていたように思うのですが、都構想自体への賛否が自民党府議団の中でぐちゃぐちゃしていることなどをみると、一つの党派で候補者をセットで出して、同じ考えのもと両自治体の調整を図る形にすることは、大阪維新のように地方イシューメインの政党ではなく、国政イシューへの考えがメインで形で作られている自民党のような形の政党には難しいのだろうと思われます。

「反対のほうが多い状況になったのは残念だ。そんなに簡単に態度を変えられるのか」。賛成を投じた原田亮幹事長は本会議終了後、不満をにじませた。一方、反対票を投じた奴井(ぬい)和幸府議は「(原田氏は)自分の考えが強すぎる。大阪市をなくすことがいけないと思った人が11人いたということに尽きる」と淡々と述べた。

 都構想への賛否をめぐり、自民府議団は迷走。結果として、府議会での最後の議論の場であるこの日の本会議で、大阪維新の会と公明党が賛成討論をする一方、自民党は何もしなかった。

 平成27年の前回住民投票で、自民は府議団と大阪市議団が結束して反対運動を展開。府議団は昨年末の府市の法定協議会でも協定書の基本方針に反対した。

 だが協定書を採決した今年6月の法定協では、一転して賛成。「広域行政の一元化にメリットがある」というのが理由だが、反対する市議団と対応が割れた。

 今月17日、自民府連が反対の方針を決定すると、府議団の空気は微妙に変化。21日の府議会本会議で原田氏は賛成の立場で代表質問に立ったが、複数の府議は「反対に回るよう国会議員から働きかけがあった」と打ち明ける。

 府議団の判断が揺れ動いた要因を、奴井氏は「府連が(17日まで方針を)決めなかったのが問題だ」と指摘。「府連が決めたことが全てだ」と強調した。

大阪都構想 賛否で迷走した自民府議団 - 産経ニュース

この違いが維新の強さである可能性が高い以上、都構想が断念されたとしてもその強さを手放さない限りは勢力としては衰えることはないのではないかと思いますが、都構想と言う目標が無くなったとみた結果、他の話に話題が移った際に「各論反対」が目立ち始めると、今ほど強い勢力ではなくなるのかもしれません。

ただ、今回の投票でも49%の都構想賛成票があり、さらに出口調査での維新の支持率には根強いものがあり、実際に自治体選挙ではとても強いことになっているのを見るに、維新が崩壊したとしても、維新のような二重行政を解決できる地方イシューを元にした政党が大阪では求められることは間違いないのではないかと思います。

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