立憲民主党の小西ひろゆき参議院議員が総務省の行政文書を入手して、公開したことで騒動が起こっています。
文書内にいる政治家系の登場人物としては、メインは当時首相補佐官をしていて現在は落選して公職にはついていない礒崎陽輔氏。それ以外には当時総務大臣であった高市早苗氏、間接的に意思が伝えられる当時総理大臣であった安倍晋三氏、国会で高市氏の答弁を引き出す質問を担当した藤川政人参議院議員の名前が出てきています。
文書の中身は、礒崎氏とのやり取りに関する正式な記録や、メモ程度の記録、礒崎氏の関連するツイートの記録、やり取りに関連する参考資料、大臣レクの記録、関連してこんなことが有ったらしいというメモなどをまとめたものという感じです。
この文書で一番目立つのは礒崎陽輔氏の個々の番組に口を突っ込みたいと言う意欲です。
文書の中には放送法に関する過去の国会答弁についても参考資料として入っているのですが、そこに礒崎陽輔氏が年金問題で特定番組に野党議員(多分長妻昭議員単独出演?)しか出ていなかったことについての質問への答弁があるのです。
その他Twitterでも昨年、NHKの連続テレビ小説ちむどんどんにも文句をつけていたり、そういう姿勢が目立つ人だという印象がとても強いです。
普段は省庁間の調整をする際に(書き出したら「突っ走る」イメージ)と評されていた礒崎氏が、総務省の意見を聞きたいと言い出すなど、自ら調整に意欲的になっている様子も、確実に自分の意見を通したい、総務省に邪魔をされたくないと言う意欲の表れのように見えます。
ただ、結局、総務省案を見て激怒していたり、めんどくさい話だから官房長官に話したら?と総務官僚に提案されて反発し「役所から話してもいいけど、俺の顔を潰すようなことになったら、首飛ぶぞ」みたいなこと言っていることから、自分に都合のいい時だけ機嫌がいいんだろうなということが察せられるわけですが。
あと、山田秘書官が『礒崎補佐官は官邸内で影響力はない』『今回の話は変なヤクザに絡まれたって話ではないか。』と率直な発言をしたのが記録に残っているのが面白いです。
またメディア担当は山田氏で、礒崎氏がメディア関係に口を出す行為は業務の範囲を超えた横やりだったのでしょう。せっかく今テレビはよく首相出してくれてるのにそんなこと言ったら文句言われちゃうじゃんという趣旨の話してるのも印象的です。
また、上の官房長官に話したら?と言う話で、礒崎氏が激怒したように見える発言をした後に「誰かに言われたのだろうから今日は怒らない」と話していて、なんか山田秘書官の介入を察した上で、「あいつは邪魔してくる人」みたいな印象を持ってそうだと思いました。過去にもメディア対応でなんかあったのではないでしょうか。
で、そういう内容の文書が公開され、一番問題になったのは、なぜか高市早苗氏の内容でした。
高市氏の内容は正式なレク報告の文章が一枚、メモ程度のレク報告が一枚、又聞きメモ程度の高市氏と安倍氏の電話会談があったという記録、その程度です。
ですが、高市氏は小西氏が記者会見をした後に「怪文書だと思う」と一言。その後総務省が認めた後も「捏造だ」と言い出すなど、強く反発しています。
特に、予算委員会で小西氏が安倍氏との電話内容について聞いた時の答弁が強烈で「もしも私と安倍総理の電話の内容がそのような文書に残っているとしたら、私の電話に盗聴器でもついているのでしょうか。大臣室にもし盗聴器がついていたとしても、安倍総理が何をおっしゃったかなんていうのは入らないはずなので、全くそれは捏造文書だと考えています。」と盗聴を例示するような発言までしたり、「非常に悪意を持って私を止めさせようとしたのかどうかわかりませんが」と、総務省官僚の悪意について示唆する発言をしていました。
しかし、文書は大臣室の参事官から報告があったと言うメモ程度の内容であり、文章も「多分こういうものだと思う」みたいな書き方をされていて、大臣から電話内容を聞いたか、大臣のその後の発言から察した程度の話のように見えますので、盗聴なんかしなくても書ける内容ですし、じっさいに盗聴しているならもっと詳しく書くでしょう。
また悪意や捏造については産経新聞のインタビューでも色々言っていて、そこで『それはもう捏造でしょう。(そもそも)安倍首相は首相在任中は、いくら電話やメールをしてもかかってこない。』と証言しているのですが、個人的には森友問題の際に報ステで「(安倍首相は)そんなに気前良くない」と擁護されていたのを思い出してしまいました。
また言葉遣いについても違うと触れているのですが、報告書やメモ書きで発言者の言葉遣いを正確に再現していなくても内容の正確性は左右されないように思います。
ただ、こういう行政文書はあくまでも「総務省内ではこういう認識だった」というものを証明するものでしかなく、内容については、複数の証言や他の文書と突き付けてみないと正しいかどうかはわからないと思います。
しかし、行政文書として省内に残っていて、文書が配布されていたであろうことを鑑みると、少なくとも総務省内の担当者はそういう事実認識で動いていたということについては、正確に示しているのではないかと思います。(行政文書ってそういうものですよね、多分)
そこで認識の違いについて発言することまではわかるのですが、捏造だとか悪意だとか言い出すのは、本心なのでしょうが、煽りすぎと言いますか、総務大臣時代どんな管理をしていたのか気になってしまいます。
答弁では、NHKで厳しい姿勢だったから、放送系の幹部と関係が良くなかったと言っていますが、官僚が政治家を殺す場合は、どちらかというと「ろくでもない事実をきちんと記録してリークする」形になると思うんですよね。捏造どうこうは官僚ではなく政治家が怪文書をばらまく発想と言いますか・・・。(官僚が捏造するときは『だれかへの悪意』ではなく自己保身・責任逃れじゃないですかね)
こういう場外乱闘と言うか、荒れる展開になるのが、小西洋之氏が取り上げた話らしい展開だなと思ってしまうのですが、そこで見事に場を荒らしてしまう側に回る高市氏は、そういう悪い意味で安倍晋三氏の後継らしいのではないでしょうか。
一方、国民民主党の玉木雄一郎党首がなぜリークされたのか背景も調べろみたいなことに言及したことは、そういえば民主党政権の官僚との関係の悪さを思い出すのと同時に、与党との関係上リークを持ってきてほしくないみたいな話もあるのかな、とか思ってしまいました。
しかし、安倍政権関係者の特定の番組への嫌悪感、丸見えでしたが、改めて行政文書としてやり取りが記録されているのを読むと、ほんとろくでもない動機で行政運営してるな、と思ってしまいます。
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