旧民進党出身の鷲尾英一郎衆院議員(新潟2区)が22日、新潟県庁で記者会見し、自民党に提出していた入党届が同日付で受理されたと明らかにした。今後、自身が活動する選挙区は党方針に従う考えを示し、派閥所属は未定とした。
旧民進・鷲尾氏の自民入党届受理 選挙区は党方針に従う考え | 2019/3/22 – 共同通信
自民党県連は前回衆院選で新潟2区から出馬して鷲尾氏に敗れ、比例代表北陸信越ブロックで復活当選した細田健一元農林水産政務官による新潟2区の党支部長続投を前提に入党を了承。県連幹部は次期衆院選での鷲尾氏の処遇を巡り、比例同ブロックの単独候補も選択肢とする考えを示している。
元民進党の鷲尾英一郎議員が、以前から野党共闘などを批判していた結果、自民党に入党するという事になりました。
これに関して、自民党は、県連の条件付きの了承がすんなりと下り、その後も鷲尾氏を菅官房長官が激励した翌日に元々の選挙区の公認者を安倍総理が激励した(ことを報道にきちんと拾わせる)という、とても丁寧に党内の承認の雰囲気作りをしている印象があります。
ここらへん、細野豪志氏の扱いと全然違うなぁ、と思い、これまでの政治スタンスの違いが大きいとは思うのですが、それだけでなく、本人の事前の根回しとかの丁寧さが違うのだろう、という想像が容易にできるのが、細野豪志氏がなぜこういう立場になってしまったかの原因を物語っているように思います。
党本部や県連内では鷲尾氏の政治手腕やこれまでの功績を評価する声が大勢だ。
鷲尾英一郎氏、自民党入党へ 党本部意向 18日に新潟県連協議|政治・行政|新潟県内のニュース|新潟日報モア
鷲尾氏は旧民進党出身。2017年衆院選後に同党を離党し、昨年6月の新潟県知事選では与党候補を支援した。入党については鷲尾氏から相談を受けた二階派幹部が、党新潟県連との調整を進めるよう助言するなど側面支援。節目ごとに二階氏の了承を取り付けながら進めていた。鷲尾氏は将来的に二階派入りする方向だ。
二階氏、細田派ともあつれき=鷲尾氏の入党主導で-自民:時事ドットコム
ちなみに、鷲尾氏は全県支部長となり、次期衆院選では比例単独での公認という形で調整されていくようです。
自民党県連の柄沢正三幹事長は21日、近く同党に入党する旧民進系無所属の鷲尾英一郎衆院議員(42)=新潟2区=の処遇について、県内全域を担当区域とする全県支部長に起用する意向を明らかにした。次期衆院選で比例単独候補に据えることを視野に入れた発言だが、実際に比例候補とするかどうかは鷲尾氏がどれだけ党勢拡大に貢献するかにかかっているとした。
自民県連:鷲尾氏、全県支部長に 幹事長意向 衆院比例単独を視野 /新潟 – 毎日新聞
このように鷲尾氏について、きれいな調整が行われていて、かつ報道でも全く関連付けるような言説を見かけなかったので、関連しているように思えなかったものの、最近ふと「あれ、もしかしてこれ関連していたんじゃ・・・」と思った出来事があります。
自民党の石崎徹衆院議員=比例北陸信越=が26日、所属する石破派(会長=石破茂・元幹事長)に退会届を提出した。石破氏にも直接伝えた。石崎氏は当面、無派閥で活動するという。退会が認められれば石破派は19人となる。
自民・石崎徹衆院議員が退会届 石破派、19人に減少:朝日新聞デジタル
この石崎徹氏の石破派離脱の動き、産経新聞系列が石破茂氏の総理批判に嫌気が差したから、みたいなことを書いていることぐらいしか、なぜそうなったかを書いている記事を見かけませんでした。
「派閥にとらわれることなく政策課題に取り組みたいとの思いが強くなった」
石崎氏は記者会見で退会の理由をこう説明した。石破氏にも直接伝え、当面は無派閥で活動する。(中略)
石崎氏は、「反安倍」の受け皿を目指して首相批判を強める石破氏に違和感を持っていたとみられる。
(中略)
石崎氏は周囲に「首相批判よりも挙党態勢を築くことに力を入れてもらいたい」と語っていた。石崎氏は平成24年の衆院選で新潟1区で初当選し、現在3期目。相次ぐ児童虐待を受け、2月に「児童虐待罪」の新設を訴える超党派の勉強会を発足させるなど活動を活発化させている。
石破派の石崎衆院議員が退会 「ポスト安倍」足元揺らぐ
このような石破氏の求心力低下もあるとは思うのですが、鷲尾氏が入党したことで、石破派のままだと候補者差し替えの圧に耐えられないと判断したのかもしれないな、ということに思い至ったのです。
石崎徹議員は、過去に週刊新潮に秘書へのセクハラ等々を報じられるという脛に傷を持つ議員です。(その後本人は否定していますが)



自身の選挙の強さも2012と2014は接戦で勝利、2017は接戦選挙区落選で比例当選と、盤石とは言い切れず、差し替えの可能性が常によぎるような状態と言えます。
その中で、鷲尾英一郎という担当選挙区が浮いた候補者が党内に存在しているのは、候補者差し替えの玉が常に存在しているような状態であると言えます。
そこで、石破派では候補者差し替えの圧を押し返しきれないと判断し、より強い派閥、もしくは少なくとも官邸からの圧が来ないポジションに自身の身を移すという判断をするのは、現在の官邸主導の様々な動きを見ると、当然の処世術なのだろうと思ったのです。
石崎徹氏が本当にそのようなことを考えて行動したのか、真相はわからないです。
ただ、私から見るとこのような構造ができあがっているのが現在の自民党であって、この圧倒的優位に色々と主導できる官邸というポジションの確保を巡って、各派が勢力拡大に精を出しているのが最近の自民党なのだろうと思いますし、この構造を当てはめることでこのタイミングでの派閥離脱の理由がスッキリするのではないか、と思うのです。
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