公明党の北側中央幹事会会長は記者会見で、「公明党も、今の選挙区と比例代表を廃止して、全国を11のブロックに分けた『大選挙区制』を導入するという案を持っている。党として対案を出すかどうかも含めて検討していきたい」と述べました。
公明党は11年7月、現行制度を廃止して全国を11ブロックに分けて個人名で投票する「大選挙区制」の導入を提案し、各党にも呼び掛けてきました。今回の座長案に対しては、「会派の全議員に説明し意見を聞いて、党としての意見をまとめたい」(西田実仁参院幹事長)という方針です。
公明党は、参議院の選挙制度改革案として、大選挙区制を未だに検討しているようです。
大選挙区制というのは、市町村議会議員を決める選挙のように、一つの大きな選挙区で数十議席を、候補者個人単位で票を競うことで取り合うことになる制度のことです。
公明党は11ブロックの大選挙区制と述べていますが、この11ブロックは多分、衆議院の比例ブロックと同じ区分けになるのではないでしょうか。
そのブロックの単位で、数十議席を一気に競うことになるのが、大選挙区制です。
公明党はこの制度を導入することについて「ブロック制導入を求めるのは、中小政党や無所属候補者も当選しやすくすることで、より多様な意見を政治に反映することをめざし、地域の特性にも配慮できるため」などという美辞麗句を並べていますが、本音としては自己利益を追求しているとしか思えません。
公明党の参議院比例区での票の入り方を見ると理解できると思うのですが、公明党は自らの支持層に対して、どの政党よりも強く「誰に票を入れるか」がコントロールできる政党です。
一方、大選挙区制というのは、同じ政党から複数の候補者が立候補することになる制度ですので、各政党が議席を最大限確保することを目指すためには、(中選挙区制のように)できる限り各候補に均等に票を分散化させることと、共倒れしない程度の候補者数を見極めること、つまり各候補者の得票がどの程度になるかを正確に見極めることが必要となってきます。
確かに一議席確保できるかどうか、という小政党や、他の候補者との調整を考える必要のない無所属候補者にとっては何も考える必要のない制度なのですが、正確な民意の反映として考えると、各会派への議席配分という点では、そういう各党の戦力分析をする力や戦術を落とし込む力的なものが反映されることでの歪みが出てくる制度となってきます。
一方、公明党は参議院の例を出したように既成政党の中では戦力分析力と戦術を落とし込む力という面ではダントツの正確性を誇る政党です。
つまり、公明党は他党のように共倒れを心配することなく、自己の勢力的に最大の議席を確保できる候補者を立てて、自己の勢力的に最大の議席を確保することができるのです。
それが、公明党が大選挙区制の導入を主張するに至る理由でしょう。
ちなみに、個人的には、大きなブロックで個人票を競うことになるのは、投票する側としても考えることが多くなったりするので反対です。
(共倒れとか、候補者名簿に名前が多すぎて誰が誰だかとか、選挙公報どうなるんだとか、その他もろもろ…)
比例制度でない限り、選挙区の単位はできる限り小さくするのが有権者みんなにとって有益なのではないでしょうか。
議席配分の数理―選挙制度に潜む200年の数学
一森 哲男 近代科学社 2018-05-01
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