安倍晋三氏の防衛自己責任論への懸念

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以前、安倍晋三氏のロシアによるウクライナ侵攻への言動について、軍事力信仰のようなものが反映している疑いがあるという内容のブログを書きました。

この妙な偏りがあるように見えていた安倍晋三氏のロシアによるウクライナ侵攻の言動が、別な面で一部で話題になっていました。

「『ゼレンスキー大統領に、自国はNATOに加盟しないと約束させるか、東部の2つの飛び地に高度な自治権を認めさせれば』ウクライナは侵攻されなかったのではないか」と言及をし、その部分を一部トランプ支持反ウクライナ真実派から持ち上げられたり、スプートニクに都合よくつかわれたりしているようです。

teウラジーミルプチンと27回会いましたね。今プーチンに対処する上でどのようなアドバイスをしますか?

asこの状況では多くの選択肢が残っているとは思いません。プーチンの性格を分析する方法はたくさんありますが、彼は権力を信じると同時に現実主義者でもあると思います。彼は理想を追求したり、アイデアのために犠牲を払ったりするタイプの人ではありません。侵略前、彼らがウクライナを取り囲んでいたとき、[戦争を回避する]ことは可能だったかもしれません。もし[ウクライナのウォロディミル大統領]ゼレンスキーは、彼の国がnatoに加盟しないことを約束したり、東の2つの飛び地に高度な自治権を与えたりすることができたはずです。私はこれを行うのは難しいだろうと理解しています—おそらくアメリカの指導者はそれをすることができたでしょう。しかしもちろん[ゼレンスキー]は拒否するでしょう。
しかし、私たちがここにいる今、前進する唯一の方法は、ウクライナに立ち向かい、ロシアの侵略に徹底的に反対することだと思います。それが、第二次世界大戦後の私たちの国際秩序を守るための方法です。

Abe Shinzo in his own words(Googleの自動翻訳)
安倍晋三元首相が説く、日本にとってのウクライナ情勢の意味
安倍晋三元首相によるコラムの第3回。安倍氏は緊迫するウクライナ情勢を巡り、「ロシアによる現状変更の試みは許されず、日本政府は主要7カ国(G7)と協力して対応することが重要だ」と指摘した。

今回のエコノミストインタビューと同じような内容をBSフジにて語っていたことが確認できます。

長野美郷キャスター:
2021年末から、ウクライナ国境付近にロシア軍が集結する動きがあった。西側各国首脳がロシアのプーチン大統領と会談を重ねたが、2月24日に軍事侵攻が始まってしまった。

安倍晋三 元内閣総理大臣:
12月8日のプーチン大統領とのオンライン会談後、バイデン大統領が現地派遣は検討せずとコメントした。これがロシアの侵攻を誘発したという批判がある。ドイツ等の反対によりウクライナがNATO(北大西洋条約機構)に加盟できない以上、この段階で中立の道を選び侵攻を止められたと考える人も多い。またミンスク合意にある「東部2州の高度な自治」をウクライナが実行できず、プーチン大統領は常にクレームをつけていた。アメリカがこれを実行させるべく最大限努力するというコミットができなかったかとは思う。後知恵であり、またロシアの行為が正当化されるわけではないが。

反町理キャスター:
バイデン大統領の後、英仏独の首脳がプーチン大統領と会談。効果はあったか。

安倍晋三 元内閣総理大臣:
各首脳に、NATO拡大問題について確約できる裁量権が与えられていたかどうか。かなりの権限と実行力があるアメリカなら信じさせることはできるだろうが、プーチン大統領から見れば疑念もあるだろう。

反町理キャスター:
視聴者の方からも多く来ている質問だが、安倍さんがプーチン大統領を説得すればどうだったか。

安倍晋三 元内閣総理大臣:
私がやめろと言って止まるものなら、もちろん直ちに止めたい。だが、NATOからの権限がない限り交渉はできない。

反町理キャスター:
人物論として、プーチン大統領と腹を割って話すために必要な構えは。

安倍晋三 元内閣総理大臣:
プーチン大統領は理念や理想を追い求めるタイプではなく、非常に現実主義。ロシアに利益があるかどうかで判断する。一方、現状は全くロシアの利益になっていない。集めた情報や判断が間違っていた。KGB出身のプーチン大統領は情報を非常に重視するが、独裁が長く続き、彼の気にいる情報だけが入る状況になっていたのかも。

また、福井県での政経懇話会でも同じことを、今度ははっきりと「自己の想い」として話しています。

 一方で、東方に勢力を拡大するNATOに対し「約束が破られたというのがロシアの主張」と指摘。「昨年ロシア軍がウクライナを取り囲んだ段階で、NATOには入らないと宣言し、東部2州の高度な自治をしっかり実行することで、解決できなかったのかという思いもないわけではない」と述べた。

安倍晋三元首相が福井県で講演「最低限の打撃力は必要」 ロシアのウクライナ侵攻、日本の防衛語る

ここでは、「昨年ロシア軍がウクライナを取り囲んだ段階で」と述べていることからも、「武力による威圧にウクライナが屈す、あるいは宇を屈させていれば」という訳をされてしまうような思いを安倍晋三氏が抱いていたと把握することはなんらおかしくないように思います。

また、日経ビジネス連載で『2014年のロシアによるクリミア半島併合以降、ウクライナ国民の間では反ロシアの感情が強く、傀儡(かいらい)政権を樹立したとしても安定した統治は難しいはずです。世界はそこに大いに疑問を感じています。ロシアはクリミアの併合をほぼ無血で実行しました。経済制裁である程度の傷を負ったとはいえ、プーチン氏への国民の支持は回復し、結果としてこの時、プーチン氏は大きな成果を得たと言えます。』とさらっと書いていることも合わせて考えると問題になるような気がしました。(他国に傀儡政権を樹立し実効支配する併合を「ほぼ無血」で「(結果として)大きな成果」と承認したかのような言動をしている点)

このウクライナが妥協すればという思いの背景には「プーチン大統領と通算27回会談を行いました。会談を重ねる中で感じたのは、彼は力の信奉者ではあるが、同時にバランス・オブ・パワー(力の均衡)を重視する現実主義者である」という把握、つまり利益として求めているそこだけ渡せばあとは求めないであろうと言う希望的憶測、プーチン氏への期待・信頼があるように思います。
例えば、エコノミストのインタビューでは日露平和条約などのロシア外交がうまく行かなかったことを『(プーチン氏が権力を基にロシア人の反対を引っ繰り返してくれる、もしくは無視して進めてくれると思っていたが)彼が独断で決定できるような独裁者ではなく、彼が強い反対に直面して躊躇したからだ』としていたり、上記BSフジの言及でも「独裁が長く続き、彼の気にいる情報だけが入る状況になっていたのかも」と、プーチン氏の周囲が誤っていることを想定するという、どうもプーチン氏への全面的信頼を前提に話しているように見えることも、信頼の強さの反映なのではないでしょうか。

しかし、そのような想定を裏切る決断をプーチン氏が行ったことは、安倍晋三氏本人も述べている通りであるわけで、それが起きた後だと言うことを考慮すると、このような願望は相当な前提を置いたうえで語らないといけないのではないかと思います。
(このような事態をどう意味づけるか、解釈するかというのは、世界的にどうするべきか、どう動くかという話と繋がっていることは、この後に指摘する安倍晋三氏のとある政策を推進するための言動からもわかるでしょう)

私は首相在任時、プーチン大統領と通算27回会談を行いました。会談を重ねる中で感じたのは、彼は力の信奉者ではあるが、同時にバランス・オブ・パワー(力の均衡)を重視する現実主義者という人物像でした。

 何かの理想を掲げて突進するような性格ではなく、力の限界を見極めつつ力を行使するタイプだとみていました。今回の彼の行動はこうした見方、想定を超えるものでした。

安倍晋三元首相「ウクライナ危機で同盟関係の大切さが浮き彫りに」

一方、今回ウクライナが責められた理由をもう一つ各所で安倍晋三氏は喋っていてそれが以下のような見解です。

「集団的自衛権の行使が可能になれば戦争に巻き込まれると非難されたが、実態は逆。ウクライナがNATO(北大西洋条約機構)に入っていればロシアは攻めなかった」と強調。「バルト3国ははるかに軍事力が小さいが、NATOに加盟しているため攻められていない。だからこそ同盟関係は大切だ」と語った。

安倍晋三元首相が福井県で講演「最低限の打撃力は必要」 ロシアのウクライナ侵攻、日本の防衛語る | 政治・行政 | 福井のニュース | 福井新聞ONLINE

ウクライナは同盟に加わってないから攻められた、だから同盟を大切にしようとのことです。

ウクライナに対しての事実としては何人かの専門家も述べているので、その通りなのかもしれないですが、この言動と同時にウクライナの妥協でロシアの侵攻は止められたのではないかという言動が出ているのが私問題で、前回のブログに書いたことの繰り返しになってしまうのですが、これらの言動には、安倍晋三氏の「同盟を組まない国は侵攻されたり、権利侵害されても文句を言えない」という信念があるような気がするのです。
「自分の国は自国の努力で守ることが基本だ」「同盟国以外はともに戦う国は存在しない」から発展したものとしての)

で、プーチン氏への信頼を前提とした外交も、プーチン政権がそのような信念に基づいた国家運営をしているように見えたので、それへの信頼・憧れもこもった「価値観外交」だったのではないかと思えるのです。

各国との連携や同盟を強化することも大事ではあると思うのですが、それは「同盟しないものは自己責任」「自己防衛しないものは捨てる」というものと一体であった場合、起こるのは軍事的に弱い国家への侵攻の正当化ではないでしょうか。(九条改憲もこの国家自己責任論ですよね)

現実的に国家自己責任論がまかり通っていた場合、そのままだと、どこまでも過熱していった場合、他国よりも強硬手段を取れる強権統治国家が軍事で一時的に優位に立ち、そこから戦争が起こりかねないと思うのです。
そういう部分への対策をきちんと取らないと(私には国際協調・軍縮などの理想主義の追求ぐらいしか思いつきませんが)第二のウクライナや第三次世界大戦を生み出すことになるのではないでしょうか。

特に少なくともまだしばらくは軍事的に制限がかかるであろう日本としては、自己責任に耐えうる姿勢を整える方向に行くにしても完備までの時間稼ぎは必要でしょうから、ここで「自己責任論」を強調することは自爆になりかねないと思うのですが・・・

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