労働問題

野党5党、介護職員等の処遇改善法案提出

2016/04/04 301views

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法案では、介護や障害者福祉の事業者が職員の賃上げに充てる費用を全額政府が助成する。介護分野ではホームヘルパーら介護職に対象を絞る場合は一人平均で月一万円、それ以外の事務員らにも広げる場合は六千円のアップを想定している。対象の範囲は事業者が選ぶ。月一万円の対象者は約百二十二万人、月六千円だと約百六十六万人と見込んでいる。必要額は年約千八百億円。

(中略)

厚労省は、〇九年度から三年間、介護職員の賃金アップ分に交付金を充てた。交付金廃止後は介護報酬改定で介護保険を財源に、賃金アップ分を上乗せした。一五年度の報酬改定でも月一万二千円分上乗せした。ただ、上乗せ分を受け取るには事業者が一定の要件を満たす必要があり、実際に引き上げている事業者は全体の七割ほどにとどまっている。

東京新聞:野党5党、介護職賃上げ法案提出 人手不足の解消狙う:政治(TOKYO Web)

 

筆頭提案者の民主党の中島克仁衆院議員は、介護現場の窮状はまったなしだとの危機感を示すとともに、「安倍政権は1億総活躍社会の3本の矢のひとつとして介護離職ゼロを掲げているが、2015年度の補正予算や16年度予算を見ても、介護人材確保のための処遇改善に真剣に取り組む姿勢は見られない。このままでは介護従事者の低処遇を放置してしまい、介護人材不足に拍車がかかって2020年代初頭までの25万人の介護人材確保など到底難しく、介護離職ゼロなどとても成し遂げられない」と指摘。処遇を改善し介護人材を確保することが不可欠だという共通認識のもと、野党5党間で共同提出に至った旨を語った。

山井和則ネクスト厚生労働担当は「介護職員離職ゼロを実現しなければ介護離職ゼロにはならない」と強調。「当選前、短期間だが介護の現場で働いていたことがある」と語った泉健太議員は、当時から結婚すると低賃金で生活が成り立たないという理由で離職するケースが目立っていたが、現在はその状況がさらに深刻化するとともに、制度が緻密になり入所者の健康管理への細かい対応など勤務内容が複雑化しているにもかかわらず待遇が改善されないなか、介護現場で人材が確保できなくなるのは至極当然の流れであると指摘。

民主党 | 介護・障害福祉従事者の人材確保に向け処遇改善特別措置法案を提出

介護離職ゼロ、を新3本の矢(的)で安倍総理が打ち出していましたが、その土俵にて野党が堂々と『対案』といえるものを出してきました。

政府側は、介護離職ゼロを打ち出した後に『特別養護老人ホームの増設』の方針を打ち出していました。それによって「要介護3」以上の入所待機者をゼロにするという目標を立てているようです。

一方で『厚生労働省が1月に、介護保険制度で「要介護度1、2」の人を対象とした訪問介護サービスのあり方を見直し、掃除や洗濯、買い物、薬の受け取りといった生活援助サービスを介護保険の給付対象から外し、原則全額自己負担とするプランを検討するとしている』(民主党 | 【衆院予算委】「介護離職ゼロ掲げながらの要介護切りはだまし討ちだ」中島克仁議員 )という軽度の人への支援を減らすことが検討されたり、特別養護老人ホームの増設の際に、介護スタッフの待遇改善策が無いことが批判されていたりなど、どうしても施策のチグハグさが否めない状態にありました。

介護離職ゼロへ「特養増設」に批判殺到 「足りないのは施設ではなく職員だ!」 | キャリコネニュース

「介護離職ゼロ」のために優先すべきは介護スタッフの待遇改善 - INSIGHT NOW!プロフェッショナル

そこで、野党側は堂々と『もっと賃金改善を促そう』という政策を打ち出して、国会に提出したわけです。

調べたところ、同じような法案は2014年に野党6党(みんなの党時代の中島克仁議員、結いの党時代の井坂信彦議員も提出に継続参加しているようだ)で提出していたようです。(民主党 | 野党6党共同で介護・障害福祉従事者の人材確保特別措置法案を衆院に提出

また、2008年にも民主党は同じような法案を提出していて、その提出した法案自体は『財源』を与党から指摘され撤回したものの、その後、与野党で議論をした結果与野党一致の議員立法『介護従事者の人材確保のための介護従事者等の処遇改善に関する法律』の成立につながったという経緯があるようです。

今回の改正法案の国会審議において、昨今の介護労働現場における低賃金や仕事のきつさからくる高い離職率や人材確保難が問題視された。離職率は、全産業平均の16.2%に対し、介護職員の正社員では20.4%、非正社員では32.7%の高率(介護労働安定センター調査)となっている。平均賃金も月額20万円前後となっている。都市部では、介護職員が集まらないために施設開所が遅れる等の事態が生じている。介護福祉士の資格を取得しても介護現場の労働につかないという問題は以前からあったが、最近では介護福祉士養成校が大幅な定員割れという事態に陥っており、ますます事態が深刻化する様相を帯びている。
そこで、本年1月、民主党が介護従業者の賃金引上げのための法案を提出したことを契機に、与野党が調整をして「介護従事者の人材確保のための介護従事者等の処遇改善に関する法律案」がまとまり、議員立法として提出された。そして、介護保険法等の一部改正法案とともに、本年5月28日成立した。
この法律は、「平成21年4月1日までに、介護従事者等の賃金水準その他の事情を勘案し、介護従事者等の賃金をはじめとする処遇の改善に資するための施策に在り方について検討を加え、必要があると認めるときは、その結果に基づいて必要な措置を講ずるものとする」という検討規定1条のみの法律である。明らかに来春の介護報酬改定における政府の対応を念頭に置いている。介護報酬の引上げは、国等の公費負担や保険料負担の引上げに連動するが、介護サービスを支える介護職員が不足すれば介護保険制度自体が立ち行かなくなる。本年秋から介護報酬改定の議論が始まったが、「仕事の割に賃金が低い」という通念を否定するような処遇改善のための介護報酬引上げが望まれる。

改正介護保険制度の内容と今後の課題

 

この法案は与野党協議の上、「介護従事者等の人材確保のための介護従事者等の処遇改善に関する法律」となって成立しました。内容は漠然とした、いったい実効性があるのか? と思えるものでしたが、この法案成立により、2009年4月の介護報酬改定は介護職の処遇改善を目的とした、初めてのアップ改定となりました。

3/3 民主党の人材確保の特別措置法案とは? [介護・福祉業界で働く・転職する] All About

 

個人的には、こういう政策を打ち出していけば、次の選挙の選択肢としてどんどん現実味を増してくるのではないかな、と思います。

 

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