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「リベラル」の定義が粗雑では?

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この記事、全体的に『雑語り』の粋にある記事だと思うんですが、そもそもリベラルと反リベラルの定義が雑だと思うんです。

まず、リベラルとは主に誰で、反リベラルとは主に誰なのかを確認しましょう。バイデン次期大統領の支持は、①都市部、②若者、③大卒の3つが重なった所で特に強い事から、この3つの属性を持つものをリベラル(Young Urban Professionalの頭文字を取って、ヤッピーと呼ばれている層です)、逆の属性である①農村部、②中年ー老人、③非大卒の3つを持つものを反リベラルとしておきましょう。

こういう定義で『リベラル』を使っているということですが、正直、このあと畠山氏が書いているのは、畠山氏本人の専門が教育であることから、大卒であることを最重要ポイントとしている話となっており、その結果、若者とかバイデン支持とかの要素は無くてもなりたつ、リベラルというよりは高学歴エリートの話であることがほとんどのように思います。

そもそも出だしで『米国のエリート、リベラルの中核をなす人達は恐ろしく勤勉です。なぜなら、米国のエリート達は、自分達が勤勉であるから特権を受けるに値するという洗脳教育を家庭でも学校でも受けるからです。』とエリートと=の概念になっているのも、そういうことでしょう。

また、反リベラルの定義が単にリベラルの反対をとっただけという粗雑なくくりで行っているのですが、その属性がそろわなくても、畠山氏いわく反リベラルの位置に置かれることはあり得るでしょう。それは畠山氏が農村部でもない、年齢層も関係ない、黒人の話を文中に例えとして用いていることからも明らかでしょうし。

そういう意味で、反リベラル(というかアンチエリート)がどういう人たちでどう考えているのかについての視点がこのnoteにはかけているように思います。

あくまでもこのnoteは、「畠山氏が現地で見た、エリートが嫌われる理由」という内容であり、リベラルだ反リベラルだというくくりは、くくる名称や中身が粗雑であると私は思います。

リベラルという言葉は、反対に保守がいるような位置づけだと、どうしてもイメージしてしまうものだと私は思うのですが、畠山氏の定義したリベラルの話は、どうもそういう話に限定されるものではないようですし。

そう考える理由を、本文について一部触れることで説明します。

勤勉ならば特権を受けるに値するの裏返しをざっくばらんに言えば…、勤勉でない連中はクズだからです。リベラルが反リベラルを見下していて鼻持ちならない正体はこれです。別にリベラルの人達は性格が悪いから反リベラルを見下しているわけではありません。勤勉であるから良い学校で教育を受けられる、勤勉であるから社会に出てからも特権を受けられる、と子供の頃から洗脳された結果、勤勉でない連中≒反リベラルはクズだとなってしまうわけです。ここが崩れると、自分達が特権を受けている基盤も崩れるわけで、それこそ洗脳された信者が新興宗教団体を抜けるよりも遥かに難しい認識の転換となるわけです。

この勤勉信仰、このあとの畠山氏の文章を読むと『教育や労働以外にもリベラルと反リベラルを分断する「勤勉さ」があります。』と書いているように「労働」も勤勉さに含んでいるようです。

これを見て、私はやはりこの概念を「リベラル」と語るのは不適切なのではないかと改めて思いました。

なぜならば、この労働を含めた勤勉さへの信仰は、バイデン支持かどうかは関係ない、アメリカの両党に関係する話だと思うからです。

2011年。当時、共和党の大統領予備選候補者で、貧しい暮らしから大学の学位号を取り、その後実業家として成功し、政界に進出した、最近トランプの集会に出たあとコロナに感染し合併症でなくなってしまったハーマン・ケイン氏は、ウォール街への抗議活動がアメリカで起きたときに、こう述べたといいます。

運動参加者に「職がないなら、自分を責めろ」(5日)と述べていた共和党大統領予備選候補者のケイン氏

ウォール街行動/無視できない米政界/“敵視”から“理解”

ニューヨークのウォール街での若者らのデモについても、「職がなく、金もないなら、自分を責めろ」と若者たちを叱りとばした。

米国の自助努力の精神を体現するケイン氏 米大統領選・共和党指名争い | ザ・リバティWeb/The Liberty Web

これ「リベラルが反リベラルを見下していて鼻持ちならない正体」というのが機能している発言だと思いませんか?共和党の保守政治家の発言なんですけど。

また、畠山氏はリベラルの人権問題への姿勢についてこう書いています。

BLM運動に熱心なDCのリベラルな人達でさえ一駅向こうの黒人地区の貧困&治安の悪さを気にも留めないと解説しましたが、その主な理由もこれです。自分達と同じ職場にいられるような勤勉な黒人が差別を受けるのは、自分達の存在基盤が揺らぐので全く許容できないが、一駅向こうの昼間からアルコールや薬でラリって働きもしない黒人は救うに値しない、というのが幼い頃からの刷り込みの成果です、勤勉になるための機会すら与えられなかったという事実を一顧だにすることなく。

『一駅向こうの昼間からアルコールや薬でラリって働きもしない黒人は救うに値しない』という言葉を見て、私はブラックライフズマターで保守派が主張した「法と秩序」「犯罪者は射殺されて当然」みたいな主張を思い出すのですが。

この点に関しては、トランプ支持者である黒人の方のインタビューでの発言が、私には印象的です。

ーーなぜ、トランプ氏を支援しているんですか?

 トランプは人々を良い方向へと導こうとしているからです。人々に教育を受けさせ、いい職を見つけさせようとしている。そうすることで、人々が自分の生きたい道を生きることができるよう手助けしようとしています。素晴らしいことです。何百万人もの黒人がトランプに投票するはずです。

ーー民主党はそうではないんでしょうか? 

民主党は、社会保障費やフード・スタンプ(低所得者向けに行われている食料費補助プログラム)で貧しい人々を助けようとします。しかし、それでは、貧しい人々は貧しく生き続けることを選択せざるを得なくなります。一方、トランプは、教育や職という機会をみなに与えようとしている。一角の人間になれるチャンスをみなに与えようとしているんです。

(略)

バイデンは人種的経済的格差を是正するために、郊外(主に白人の中高所得者が居住)に貧困層向けの居住ビルを設けるプランを出していますが、トランプはそのプランは郊外に住む人々の生活を破壊することになると反対しています。それに対して、バイデン側はそれは人種差別だとしてトランプを批判しました。しかし、トランプの考えは、決して人種差別だとは思いません。

 なぜなら、トランプは本当は黒人貧困層にこう言いたいからです。郊外に住みたいなら、きちんと学校に行って教育を受け、いい職につきなさいと。彼は、黒人貧困層に教育と職の機会を与えることで、彼らを一角の人間にしようと考えているのです。

ーーバイデン氏はそうは考えていないのでしょうか? 

貧困層を社会保障費に頼らせるバイデン- ハリスコンビの民主党は、貧民は貧民のままでいろと言っているようなものです。それは間違ってます。人はより良い暮らしを送るに値する存在です。それに、社会保障費といっても年2,500ドルくらいしかもらえません。バカげています。 一方、トランプは職を生み出そうとしています。その職が自分がやりたい仕事ではないとしても、職が得られれば生活をしていくことができます。

意外にも「たくさんの黒人がトランプ氏に投票する」その理由とは? 米大統領選(飯塚真紀子) - Y!ニュース

バイデンは貧困層を社会保障費に頼らせて人でなしにしようとしている。一方でトランプは職を作り、貧困層を勤勉な教育と労働で一角の人にしようとしている。

こういう批判を見ると『救うに値しない』と思っているのが分断ではなく、『救う』という行為を『勤勉になるための機会』を与えることとするかどうかの差が分断の一つなのではないかと思います。

移民についての話も、見てみましょう

先日、どうしても断れない人からお願いされて、「移民はどのようなアメリカを望んでいるのか」ということを語る会合に行くことになってしまった。お隣のシアトル市は「サンクチュアリシティ(不法移民でも保護する聖域都市)」なので、嫌な予感はしていたのだが、やはりその予感は当たった。不法移民の人権ということにフォーカスを当てた会合で、トランプ政権への批判が延々と続くばかりだった。

途中で発言を求められたので、怒鳴られることを覚悟して私はこう言った。「自分も自分の母も合法移民です。合法移民は長いプロセスを経て、面倒な書類をいくつも提出して、お金もかけてこの国に移民してきます。だから、その私たちに不法移民を支援しろと言われても困ってしまいます。」

不法移民と合法移民は違うのに | Bizseeds ビズシーズ

この発言の文脈では、不法移民について合法移民と一緒にするなと言う人のほうが『一駅向こうの昼間からアルコールや薬でラリって働きもしない黒人は救うに値しない』に近いのではないですか?この発言者はリベラルですか?

畠山さんの、定義のリベラルには当てはまるかもしれませんが。

また、トランプ氏が勝利をした際に注目された、元青い壁・ラストベルトについても畠山氏は触れています。

ラストベルトの話を思い出して欲しいと思います。私が住んでいる地域は、石炭産業や製造業が大きく傾き、使われなくなった工場が錆び(ラスト)つき、それが固まっている地域なのでラストベルトと呼ばれています。ここで貧困にあえぐ白人達が、2016年にトランプ政権を生み出したと言われています。

このラストベルトの惨状に対して、リベラルならきっとこう思うことでしょう。なぜ同じ産業内でも機会がある別の地域へ引っ越さないのか?なぜ同じ地域内でも機会がある産業へ移るために学び直さないのか?なんて怠惰な連中なんだ、救うに値しない連中だ、と。

この層を見捨ててきたのは、トランプが「ワシントンのエスタブリッシュメント」と戦っていると自称していることからも明らかなように、リベラルだけではなく、エスタブリッシュメント全体です。

共和党も民主党も国会議員などの政治家はエスタブリッシュメントであり、そこから見捨てられていたラストベルトの白人労働者を、アウトサイダーであるトランプが拾った、というストーリーだったのではないでしょうか。

やはり私はリベラルというカテゴライズではなく、(無意識な)既得権益層の問題、畠山氏の文中でも特権と何度も出てくるようにエスタブリッシュメントの問題だと述べたほうが、誤解が少ないのではないかと思います。

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