“再現VTRでは、実家暮らしだった私立大学生の山下さん(仮名・22歳)の事例を紹介した。月8万円の奨学金は学費や生活費にあてていたそうで、大学卒業後は就職し、東京でひとり暮らしをはじめた。卒業してから半年後、月々1万6168円の奨学金の返済がはじまったのだという。
しかし、次第に返済が滞り、会社にまで催促の電話がかかるようになった。そして、返済が滞ってから9カ月後、裁判所から督促状が届いてしまったというのだ。
VTR後、神田は「甘くみてますよね。だって借りてるワケだから、ちゃんとお返ししないと」とコメント。山下さんの場合、返済総額が388万457円(利子込み)で、これを20年かけて返済する計画だったという。
月々1万6千円ほどの返済について、渡辺和洋アナウンサーが「少しがんばれば返せるんじゃないか?と感じる金額でもあると思う」と語ると、すかさず神田は「ねぇ〜!月々8万円も借りてたワケだから。それが1万6000円、20年やればいいんでしょ?できそうですけどね、がんばれば」とコメント。
ここで渡辺アナが「なぜ返済が滞ってしまうのか?」と進行するが、神田は「飲みに行かなければいいんだ! 飲み代を削ろう!」と、進行を遮ってコメントを続けた。”
神田うのが奨学金で苦しむ若者を疑問視「がんばれば返済できる」 – ライブドアニュース
神田うのがバカなだけとか、神田うのが金銭感覚狂ってるだけとか、神田うのはセレブ(苦笑)だから庶民生活がわからないんだ、という個人の資質の問題(決めつけ)は置いておいて。
こういう神田うのレベルまではいかなくても、「1万6000円、20年やればいいんでしょ?できそうですけどね、がんばれば」みたいな感覚で借りた結果、返せなくなってるのが現状なんじゃないんですかね?
要するに神田うのも「甘くみてますよね。」と言いながら、借金を甘く見ているのだ。
そして借金を甘く見た結果、返せなくなってるのだ。
なぜ、借金を甘く見るのか?それは二つほど理由があると私は思う。
(多分実際は他にもあるが、今の私が思い浮かぶのは二つ)
まず一つ目の理由は神田うのの「月々8万円も借りてたワケだから。それが1万6000円、20年やればいいんでしょ?」という発言にもある通りの「分割払いのごまかし」だ。
分割払いにすると、さも負担が軽くなったかのように人は誤魔化されてしまう。しかし、初給料から長い期間、月々一定額引かれてしまうというのは、ボディブローのように効くことになる。
しかも額は年間で言うと約20万に近くなる。
そんな額を平均年収が300万レベルで真ん中より上になるような社会で当たり前のように払えると考えるのが間違いではないか?
(参考: 20代の平均年収を詳しく解説!平均年収.jp)
分割払いは目の前の負担だけは軽くなれど、人生通算の負担は、利子の分だけ重くなりかねない。
そういうことを考えさせず、錯覚を利用して人生設計を狂わせるのが奨学金を含めた、借金の分割払いだと私は思う。
そして第二の理由は、こういう誤魔化しを利用して貸し付ける側、またそれを許さざるを得ない社会の問題だ。
まず、そういうリボ払いみたいな誤魔化して金を貸すローン会社とか、そういうものが悪質なのは言うまでもない。
ただ、それだけならば、高校教師でも誰でもいいから、諫める人いるはずだ。
そして実際に諫める人が多数居たならば、それを借りた本人の問題かもしれない。
しかし、諫めるなんて、普通は出来ない。
なぜならば社会は、大学に進むことを前提にし、そうじゃない人の階層を下げる仕組みになっているからだ。
(余程生まれた家庭が良い場合は都合よく別枠になれるが、そういう人は奨学金なんか関係ない)
そういう社会の仕組みがある上で、奨学金を借りるのを諫めるというのは、要するに「お前は階層が下なんだから、それを認めて慎ましく生きなさい」という被差別を認めろというメッセージになる。
人間ならば、そんなの出来るわけがない。
そんなの出来るのは、社会からの差別に余程打ちのめされて、諦めてしまった人だけだ。
つまり、我こそ普通と信じてる人間には絶対できない。
そして日本人は普通になりたがると言われる。
普通じゃないと被差別になると信じてる人が多いだろう。
奨学金を借りる事を阻害できない社会が構築されてしまっていると私は考える。
奨学金を借りて大学に行かないと一生低階層に居なくてはならない社会だ、という認識があると言うことだ。
これは「奨学金を甘く見ているから借りたんだ」という見方を否定する。
「奨学金を甘く見ているから借りた」というのはそういう現実を隠すための言い訳だ。
本人はただ「ここで夢を追わないと社会的に死んでしまう」と(緩やかに)追い詰められて奨学金を借りているのだ。
そして、そういう現実を誤魔化すために分割払いという錯覚を引き起こす仕組みが悪用されているのだ。
金を借りて一発逆転。
つまりアメリカンドリームならぬジャパニーズドリームが奨学金には存在しているのだ。
そしてジャパニーズドリームが枯渇しているのが現状だ。
奨学金に見合う給料を企業が出さなくなった。(出せなくなった、のかもしれない)
つまり、奨学金を返す設計図が本当に“夢”になり消えてしまった。
ジャパニーズドリームがなくなって奨学金周りに残ったのはジャパニーズナイトメアだ。
奨学金を借りなければ低階層で生きることに。奨学金を借りれば借金による緩やかな地獄を長い間味わうことに。
そんな悪夢だ。
そして、そんな悪夢にトドメを刺すのが、神田うののような高階層の方々の高みの嘲りだ。
地獄をなにも理解しない方々の高みの嘲り。
そんな嘲りが地上波で流れることがまさにジャパニーズナイトメアだ。
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