問題になったのは週刊文春の2012年2月16日号の記事。小川氏が弁護士として破産手続きに関わった際、うその弁護士報酬債権を届け出て配当金をだまし取ろうとした疑いがあると報じた。
杉原則彦裁判長は「小川氏が訴訟で対立していた会社の代理人の主張を、ほとんど裏付けが乏しいまま事実として掲載した」と指摘。
民主党政権時代後期は、大臣をバッシングする記事が乱発した記憶があるのですが、当時リアルタイムでは盛り上がっても、こうして後日裁判で『裏付けが乏しい』とか指摘されてもあまり話題にならないから悲しいですよね。(これは政治家関係のバッシング全般に言えることです)
この政治家バッシング関係で、個人的に思ったよりも注目されてない、と思った判決が先月(地裁レベルですが)ありまして。それが以下の記事です。
中国に機密情報を漏らしたとの報道で名誉を傷つけられたとして、農林水産副大臣だった筒井信隆・元民主党衆院議員(70)が読売新聞東京本社と記者に損害賠償などを求めた訴訟の判決で、東京地裁は15日、情報を漏えいしたとは認められないとして、330万円の支払いを命じた。
判決によると、読売新聞は2012年5~10月、筒井氏が外部に機密情報を漏らし、中国への農産物輸出事業を主導していたとの内容の記事を掲載した。
矢尾渉裁判長は、農水省の調査で情報流出の経路が不明とされ、筒井氏本人も外部への情報漏えいを否定したことを挙げ、報道は「真実とは認められない」と述べた。
問題になったのは、2012年5月29日付朝刊1面「中国書記官 スパイ活動か」との見出しの記事など計15本の記事。この中で「(書記官が)筒井副大臣と親交」としたり、農水省の機密文書が漏れたことについて「前副大臣関与『濃厚』」と書いたりした。筒井氏が「正当な職務を恣意(しい)的にスパイ活動と関連づけて報じており、事実と異なる」と訴えていた。
判決は、記事の5カ所について「スパイと軽率に親密な交際をする危機管理能力に乏しい人物との印象を与える」などとして筒井氏の名誉を傷つけたと判断。うち4カ所について「職務を超えた交流があったとの証拠はない」などとして、真実とは認められないと判断した。
この報道のお陰で、筒井信隆と検索をかけると『スパイ』と書き立てるブログ記事がいくつか見受けられるのですが、真実とは認められないという判断が地裁レベルでは下ったようです。
しかし、この記事を受けての2ちゃんねるでの反応が『記事の方が正しいに決まってる!』とか『どうせサヨクの裁判官が』『裁判官は歪曲し放題なんだ!』みたいは『俺は信じないぞおおおおおおおおおおおおおおおおお』という反応ばかりで、『無敵だなぁ』という印象しか残らないのですが。(まだ地裁レベルだから控訴の行方を見るというならまだしも、そうじゃなさそうなのがなんとも)
(ちなみに名誉毀損は事実でも成り立つ、と言ってる人もいましたが、それは『公共性や公益性』が存在しない場合の話ですので〔要するにプライベートな話などを触れ回った場合の話〕、今回は報道記事という公共性、公益性の存在を前提にしている、「事実だったら名誉毀損ではない」ということになる裁判でしょう)
ちなみに筒井信隆氏のブログに訴状要旨と準備書面が掲載されていたので、リンクを貼っておきます。
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