このNHKから国民を守る党が仕掛けた、被選挙権がないのに立候補の却下が出来ない事例についての記事を読みました。
立候補却下の根拠は、公職選挙法によります。ここでは立候補却下のための条件として、同一期間の他の選挙にも立候補していること(重複立候補)が分かった場合や、犯罪によって公民権が停止されていることが分かった場合などが規定されています。
この部分を読んで公職選挙法上にある根拠条文と、「など」とありますが、例示の他にどういう条件があるのか気になったので調べたので残しておきます。
公職選挙法を「却下」というワードで条文検索したところ、第八十六条の四(衆議院議員又は参議院比例代表選出議員の選挙以外の選挙における候補者の立候補の届出等)の9項にそれっぽい記述がありました。
(今回は県議選なのでこれでOKでしょう)
9 第一項、第二項、第五項、第六項又は前項の規定により届出のあつた者が第八十六条の八第一項、第八十七条第一項、第八十七条の二、第八十八条、第二百五十一条の二又は第二百五十一条の三の規定により当該選挙において公職の候補者となり、又は公職の候補者であることができない者であることを知つたときは、選挙長は、その届出を却下しなければならない。
ここに出ている規定が却下できる条件になっている、ということでしょう。
以下に各条文を載せていきますが、先に結論を書いておくと
- 犯罪を犯し禁錮刑以上、もしくは政治資金関係や選挙関係の犯罪で罰金刑に処されている事による公民権停止
- 重複立候補をしようとしている
- 出直し選挙をしようとしている
- 選挙事務関係者が当該区域で候補者になろうとしている
- 連座制で立候補が禁止されている
これらの理由で候補者になれないことを知ったときに、選挙長は届け出を却下しないといけない。
つまり、それ以外では却下しなくていい、却下する根拠はない、と言えるということです。
ここに定められていない理由で本来は届け出を出せないと明らかにわかっているけれど、自主的に撤回せずに届け出を出そうとするというのはよほど悪意がないと行われないという想定になっていると思うのですが、N国のような政治団体が目立とうと隙を突き始めているのを見ると、明確に却下できると定めないといけないのかもしれません。
第八十六条の八 第十一条第一項、第十一条の二若しくは第二百五十二条又は政治資金規正法第二十八条の規定により被選挙権を有しない者は、公職の候補者となり、又は公職の候補者であることができない。
第十一条 次に掲げる者は、選挙権及び被選挙権を有しない。
一 削除
二 禁錮以上の刑に処せられその執行を終わるまでの者
(選挙犯罪による処刑者に対する選挙権及び被選挙権の停止)
第二百五十二条 この章(罰則)に掲げる罪(第二百三十六条の二第二項、第二百四十条、第二百四十二条、第二百四十四条、第二百四十五条、第二百五十二条の二、第二百五十二条の三及び第二百五十三条の罪を除く。)を犯し罰金の刑に処せられた者は、その裁判が確定した日から五年間(刑の執行猶予の言渡しを受けた者については、その裁判が確定した日から刑の執行を受けることがなくなるまでの間)、この法律に規定する選挙権及び被選挙権を有しない。
(政治資金規正法)第二十八条 第二十三条から第二十六条の五まで及び前条第二項の罪を犯し罰金の刑に処せられた者は、その裁判が確定した日から五年間(刑の執行猶予の言渡しを受けた者については、その裁判が確定した日から刑の執行を受けることがなくなるまでの間)、公職選挙法に規定する選挙権及び被選挙権を有しない。
「第八十六条の八」というのは犯罪を犯し、刑に処されている者であることで被選挙権を有していない者についての話です。
第八十七条 一の選挙において公職の候補者となつた者は、同時に、他の選挙における公職の候補者となることができない。
八十七条の一項は例示されていた重複立候補の禁止です。
第八十七条の二 国会法(昭和二十二年法律第七十九号)第百七条の規定により衆議院(小選挙区選出)議員若しくは参議院(選挙区選出)議員たることを辞した者又は第九十条の規定により衆議院(小選挙区選出)議員若しくは参議院(選挙区選出)議員たることを辞したものとみなされた者は、当該辞し、又は辞したものとみなされたことにより生じた欠員について行われる補欠選挙(通常選挙と合併して一の選挙として行われる選挙を除く。)における候補者となることができない。
第八十七条の二は、首長選挙のように出直し選挙を戦うことは出来ない、という規定です。
(選挙事務関係者の立候補制限)
第八十八条 左の各号に掲げる者は、在職中、その関係区域内において、当該選挙の公職の候補者となることができない。
一 投票管理者
二 開票管理者
三 選挙長及び選挙分会長
第八十八条は選挙事務関係者の当該区域での立候補を制限する規定です。
(総括主宰者、出納責任者等の選挙犯罪による公職の候補者等であつた者の当選無効及び立候補の禁止)
第二百五十一条の二 次の各号に掲げる者が第二百二十一条、第二百二十二条、第二百二十三条又は第二百二十三条の二の罪を犯し刑に処せられたとき(第四号及び第五号に掲げる者については、これらの罪を犯し禁錮以上の刑に処せられたとき)は、当該公職の候補者又は公職の候補者となろうとする者(以下この条において「公職の候補者等」という。)であつた者の当選は無効とし、かつ、これらの者は、第二百五十一条の五に規定する時から五年間、当該選挙に係る選挙区(選挙区がないときは、選挙の行われる区域)において行われる当該公職に係る選挙において公職の候補者となり、又は公職の候補者であることができない。この場合において、当該公職の候補者等であつた者で衆議院(小選挙区選出)議員の選挙における候補者であつたものが、当該選挙と同時に行われた衆議院(比例代表選出)議員の選挙における当選人となつたときは、当該当選人の当選は、無効とする。
第二百五十一条の三 組織的選挙運動管理者等(公職の候補者又は公職の候補者となろうとする者(以下この条において「公職の候補者等」という。)と意思を通じて組織により行われる選挙運動において、当該選挙運動の計画の立案若しくは調整又は当該選挙運動に従事する者の指揮若しくは監督その他当該選挙運動の管理を行う者(前条第一項第一号から第三号までに掲げる者を除く。)をいう。)が、第二百二十一条、第二百二十二条、第二百二十三条又は第二百二十三条の二の罪を犯し禁錮こ以上の刑に処せられたときは、当該公職の候補者等であつた者の当選は無効とし、かつ、これらの者は、第二百五十一条の五に規定する時から五年間、当該選挙に係る選挙区(選挙区がないときは、選挙の行われる区域)において行われる当該公職に係る選挙において公職の候補者となり、又は公職の候補者であることができない。この場合において、当該公職の候補者等であつた者で衆議院(小選挙区選出)議員の選挙における候補者であつたものが、当該選挙と同時に行われた衆議院(比例代表選出)議員の選挙における当選人となつたときは、当該当選人の当選は、無効とする。
第二百五十一条の二又は第二百五十一条の三は連座制によって当選無効になり、当該選挙区での立候補が五年間禁止される、という規定です。
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