七月二十九日に投開票されたカンボジア総選挙(下院選)で、選挙管理委員会は十五日夜(日本時間同)、公式結果を発表した。フン・セン首相率いる与党カンボジア人民党が全百二十五議席を独占した。最大野党カンボジア救国党を排除した選挙の結果、事実上の一党独裁が確定した。
選挙は比例代表制で、結果発表によると、有効投票約六百三十六万票のうち人民党が76・85%(約四百八十九万票)を占め、二位はフンシンペック党の5・89%(約三十七万票)。ただ、無効票が約五十九万票で同党を上回り、投票総数の8・55%に上った。投票率は83・02%で、前回二〇一三年の69・61%から大幅上昇した。
カンボジア総選挙 与党が全125議席独占 事実上の一党独裁に
先月末に行われた、カンボジア総選挙、今月の頭に与党が全議席確保する可能性という報道がありましたが、結果が公表され、本当にカンボジア人民党がすべての議席を独占したようです。
カンボジア総選挙の選挙制度は、比例代表制となっていますが、前回の記事でも触れたとおり、125議席を25の選挙区に分けた上で行う比例代表制ですので、一選挙区は平均5議席となります。
その程度の議席数で比例代表を行う場合、相当な得票率を積まないと1議席確保が困難であるような制度となります。
例えば、カンボジア人民党の全国得票率76.85%を基準として、その得票率を5議席の選挙区で記録した場合、5議席独占されるのを阻止するには、どこかの党が(76.85[%]÷5[議席])15.37%以上の得票率を得ないといけないことになります。
ちなみに、議席が倍の10議席だったとしても7.685%以上が独占阻止ラインとなり、第二党のフンシンペックの全国得票率5.89%では届かないことになります。
このように、今回の選挙制度と、最大野党の追放による一強多弱の政治状況が見事に合致して、この議席独占という結果が導かれた、ということになります。
ちなみにフンシンペックは現与党と協力関係にある政党であり、それを考慮すると、野党は存在しなかった選挙であるという表現が適切なのだろうと思います。
また、カンボジア人民党は、今年2月の上院選でも、公選で選ばれる議員枠を独占していたということで、本当に議会を人民党が独占するという形になりました。
このような事態に対し、中国が肯定的なメッセージを発信しているのがらしいと思ってしまうのですが、カンボジアの政治がどうなっていくのか気になりますが、とりあえず、カンボジアの政治を研究している大学講師の方が「野党が選挙参加の是非を巡り一枚岩になれなかったのも大きい」と述べている西日本新聞の記事を見つけて、複雑な感情を抱いています。
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