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三浦瑠麗氏の問題意識の軽さは利用されかねない

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三浦瑠麗氏がワイドナショーにて、粗雑な問題提起をして、それをめぐり賛否両論が起こっている。

三浦瑠麗氏、ワイドナショーでの発言に批判殺到 三浦氏は「うがった見方」と反論

スリーパーセルについては、三浦瑠麗氏はわざわざ海外ソースを利用した結果、ブログではなぜかタブロイド紙であるデイリーメール(日本でいう、おじさんが読む印象を持たれている【セクシャル的な偏見込みで、すみません】週刊誌レベルでしょ?)を引用していたのですが、実態としては、Nスタでキャスターをしていたこともある竹内明氏が、出版や連載をしたり講談社がキャンペーン張ってることで注目されたのではないかと私は思うんです。
それに言及しないでデイリーメール(がデイリースターを転載した記事)に言及してるので、三浦瑠麗さんはろくに実態について調べずに話してる可能性がある可能性が高い気がするのですが。

竹内明氏の連載記事は以下のようなものです。

これらを読みましたが、これらの記事には、少なくとも三浦瑠麗氏のように『一般論』で推測したような部分は無かったように思います。

そして、スパイの存在を啓蒙しつつ、時にはこのような記述も見受けられました。

在日朝鮮人が、北朝鮮工作員による脅迫の被害者となっているケースがあることも、忘れてはならないだろう。

日本に自由に出入りする「北朝鮮工作員」驚くべき実態

このようにあくまでも積極的に工作に加担しているわけではなく、工作員自身も含め組織に利用されていることが大半である、というような見方が書かれているのです。

また、以下のような記述もありました。

日本人の母親に育てられ、日本の学校教育を受けた若者が、留学同に参加してスカウトを受けたからといって、冷酷な北朝鮮工作員になってしまう理由とは、何なのだろうか。

事件の背景をよく知る、ある在日朝鮮人はその理由を私にこう語った。

「原因は差別が作り出す日本社会への憎しみです。

朝鮮民族の男性と結婚しようとした日本人女性は当時、親から勘当されたり、親戚づきあいを絶たれたりして、酷い目に遭った。子供は親や周囲から自然と、そんな話を聞いて育っている。

彼らが成長し、大学生になって、留学同のサークルで朝鮮の歴史を学ぶと、自分の中の民族性に火が付く。朝鮮民族のために人生を捧げたいと思うようになる。

差別を受けた者しか分からないが、疎外感を感じた者の反作用は激しいのです。北朝鮮の工作機関は、若者のそんな使命感を刺激して、利用するのです」

北朝鮮「武闘工作部隊」日本人妻と子供たちが辿った残酷すぎる運命

「在日の若者を工作活動に使うためには優越感をくすぐるのです。高校時代から『おまえは熱誠班だ、特別だ』と言われ、修学旅行で平壌に行くと、有能な学生が呼ばれて特別待遇を受ける。その学生には『俺は特別なんだ』という優越感が植え付けられます。でも、この優越感は日本社会では通用しない。

閉ざされた朝鮮学校で育ち、優秀だといわれた若者も、いざ日本社会に合流するとうまくいかない。差別を受けることもあるし、日本企業での熾烈な出世競争に敗れることもある。そういうときに、『じゃあ、北の社会で偉くなってやろう』という気持ちが芽生えるのも自然なことではないでしょうか」

一度は優越感にひたるよう仕向けられた若者が、日本社会の荒波に晒されて、逆に本国への忠誠心を高める。こんな現実が利用されるのだ。若者たちの心の動揺につけこむ工作機関の手法は、実に冷酷だ。私が取材した元北朝鮮工作員は、こうも話した。

「日本国籍を持ちながら、思想的にも民族的にも目覚めた若者は、北朝鮮の工作機関にとって宝です」

指導者の言うことをよく聞き、疑問を差し挟まない真面目な若者。利用されるのは、そんな青年たちだという。

本来なら、生まれ育った日本社会に親しみを持っているはずの若者たちの心の隙間に、彼らの日本国籍を利用しようとする組織は忍び込み、工作員に仕立て上げ、利用していく。

北朝鮮にいる家族や親類を人質に取られ、工作員に協力させられる在日朝鮮人たちの話を以前に書いたが、若者たちの真っ直ぐな心さえも、工作機関は冷徹に利用しているのだ。

日本で生まれ育った若者が「北朝鮮工作員」にされるまで

このように、日本社会にて差別されることにより、そこを利用されて工作員を生み出していることにも言及しています。

そして、竹内明氏は欧州のホームグロウンテロを思い出したとて、以下のような記述もしています。

「ホームグロウン」とは、ISISなどテロ組織が拠点とする中東などから渡航してきた人間ではなく、欧米で生まれ育った若者が、過激思想に感化されてテロリストになることを指す。

フランスやベルギーでは、国内で生まれ育ったイスラム系移民の二世、三世の若者がある日突然、イスラム過激派思想に染まり、シリアなどで訓練を受けてテロを引き起こすようになる。

彼らはたいてい、元は敬虔なイスラム教徒ではない。酒を飲み、モスクにも通わない、西側文化に染まっていたはずの素行不良の若者だ。

欧州某国の対テロ捜査官は、こう話した。

「人種差別や宗教的な疎外感が、欧米社会や文化への怒りに転嫁されていきます。

彼らは泥棒や強盗といった小さな犯罪を犯し、刑務所という小さな社会に短期間滞在しているうちに、先住者(刑務所内の”先輩”犯罪者)によって過激派思想に洗脳される。刑務所から出て、シリアに行ってしまうのです。

彼らは『イスラム教徒を弾圧する者と闘う』という英雄心に基づいて行動するようになります。イスラム教の教義について学んだこともない若者のほうが過激化のスピードが速いのが特徴です」

テロリズムと国家による工作活動を単純に比較するのは妥当ではないかもしれない。だが、社会の中に巣食う「差別の構造」こそが、テロ組織や工作機関のリクルートを容易にし、敵対活動を広げる大きな原因になっていることは、認識しておかなければならないだろう。

核やミサイル問題によって、北朝鮮情勢が緊迫しているいまだからこそ、私たちはなおさら冷静な目を持つことが大切なのではないだろうか。

北朝鮮「武闘工作部隊」日本人妻と子供たちが辿った残酷すぎる運命

これは三浦瑠麗氏の『私は番組中、在日コリアンがテロリストだなんて言っていません。逆にそういう見方を思いついてしまう人こそ差別主義者だと思います。』というこれまでの差別の歴史という観点を軽視する姿勢や、『安全の確保は人権との緊張関係を一切孕まないと言ってしまえば、それは嘘をつくことになりますし、いざ有事には反動として極端な人権侵害が行われるはずです。人権保護と緊張関係があるからと言って、国家の安全にとって重要なリスクを国民に見える形で議論することを躊躇すべきとは思いません。』と安全保障を言い訳に人権保護について軽視する姿勢とは真逆の指摘である、と私は思います。

安全保障を考えるからこそ、差別問題などの人権保護などにも気をつけないといけないのです。
いざというときにはそのような問題も利用されるわけですから。

(ちなみに今回の『そういう見方を思いついてしまう人こそ差別主義者』という反論はいくつも問題を抱えていて、例えばこの言動は私には、福島瑞穂氏に朝鮮人と偽のレッテルを貼り、それを名誉毀損で訴えられそうになると『朝鮮人と言われるのは名誉毀損なのか!それは差別ではないのか!』とイチャモンつけてるのと同じレベルであるように思えることと、三浦瑠麗氏自身が、過去の事件などの一般論で『大阪』という地名を導き出しているのですが、その地名指摘が、ほぼ一般論を照らし合わせたものでしかない薄っぺらい分析でなされたものである一方、表面化した実例などの多さからすれば、この問題に関わるならば『そういう見方』をしないほうが不思議であるとしか私には思えません。)

また、今年の1月1日に公開された竹内明氏の記事を読むと、三浦瑠麗氏の主張とは違う見立てが公安の方の個人的な分析として書かれています。

次は、心理戦を実行に移すのだと読むインテリジェンス関係者は多い。

それは、東京やソウルの市民の恐怖心を煽る撹乱工作である。

警視庁公安部の捜査員は、「あくまで個人的な分析」と前置きした上でこう語る。

「いきなり、金賢姫がやったような爆破テロを東京で実行する可能性は高くないと見ている。やるとすれば、人の命を奪うことを目的とするのではなく、東京で暮らす人々が心理的に恐怖を覚える、撹乱テロだろう。

丸の内や霞が関、永田町の地下鉄駅に化学兵器入りの瓶を次々置かれたら、(実際には化学兵器を散布しなくても)東京はパニックになるし、厭戦世論は一気に高まる。対話を支持する世論が強くなるだろう」

2018年、日本は北朝鮮「撹乱テロ」と闘えるか

この記事の分析はつまり、三浦瑠麗氏が煽った『スリーパーセルが怖いから北朝鮮に先制攻撃してはならない』的な認識が利用されるということを公安が心配しているという内容です。

この分析を採用すると、むしろ三浦瑠麗氏の発言は、北朝鮮のの狙い通りの主張であり、三浦瑠麗氏が北朝鮮の工作を促進してしまっている、ということにもなりかねないように思います。
(実際どうなのかはわかりません)

つまり、三浦瑠麗氏は『仮にこのレベルの発言が難しいのであれば、この国で安全保障について議論をするのは正直、不可能です。』と『軽いレベルの発言が出来ないのでは議論できない』ことを述べているように思うのですが、今回の問題は逆に『そんなレベルの発言で、重い問題である安全保障の議論をしてしまってはいけない』という事に尽きるように思うのです。

『安全保障は、事実と、リスクと、確率と向き合う営みです。それは、本来は、誤魔化しの言葉遊びとは関係のないもの。』なんてブログに書いている三浦瑠麗氏ですが、自己の発言の安全保障上のリスクや、事実として存在している差別が、北朝鮮の工作に利用されてすらいることなどと向き合わず、『そういう見方を思いついてしまう人こそ差別主義者』などとリスクを誤魔化して、一般論で言葉遊びしているのは三浦瑠麗氏自身であるとしか私には思えません。

おまけ

資本主義や民主主義の良い面を見せることで工作員を『転向』させる事ができる、という趣旨の記述の中に以下のようなものがありました。

北朝鮮工作員は、事前には日本をどのような国だと教え込まれていたのか。昭和44(1969)年に、羽田空港から出国しようとしたところを逮捕された北朝鮮工作員は、本国での教育で次のような日本観を植え付けられていたと、ある公安捜査員は私に明かした。

<日本では資本家がのさばり、労働者は牛馬のような重労働をさせられ、住宅難で生活は苦しい。失業者が増え、若者の間ではエログロが氾濫し、麻薬中毒者が多い。国民は官憲の弾圧によって自由が全くない>

逮捕後の取り調べに対し、この工作員はこう語ったという。

「日本の現実を見たとき、はじめはウラに何かあると思っていました。すぐに信じることはできなかったし、信じたくありませんでした。

でも、街を歩き、買い物をして、食事をして、人とのふれあいを重ねるにつれて、いままで教えられていたことが現実と違うことが分かってきました。本当の自由とはどういうものか、人間性の尊重とはどんなことかという疑いが去来しました。

しかし、革命戦士としての自覚によって自らを奮い立たせ、任務の遂行に当たってきました。……でも、もう限界でした」

北朝鮮が植え付けた日本観として紹介されている部分ですが、1969年の話という時代が違うこととはいえ

日本では資本家がのさばり、労働者は牛馬のような重労働=ブラック企業や過労死問題
住宅難で生活は苦しい=ホームレスや家賃問題
失業者が増え=若者の就職難問題
若者の間ではエログロが氾濫し=青少年健全育成条例問題
麻薬中毒者が多い。=大麻?
国民は官憲の弾圧によって自由が全くない=警察の取り締まり全般の問題

というように、現在もあるような(よくある)問題を強調したんだろうな、と考えられるのが面白いと思いました。
フェイクニュース問題でも、『多少の真実を混ぜる』のが嘘を信じさせるコツだと言われていますが、北朝鮮の工作にもやはりそういう技術があるようです。
(三浦瑠麗氏のような一般論で雑な結論を導くやり方もこれに近いように思わなくはないです)

一方、こういうのを受けて『ブラック企業問題は工作員のフェイクニュースだ』というような事を言い出す人には『そうやって誤魔化すから利用されんだよ』としか言えませんが。

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