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アメリカ大統領選のディベートの感想を見て「日本と似てるな」と思った話

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Twitterでアメリカ大統領選挙のディベートについていろんな嘆きの反応などが流れてきました。

感染対策の観点から候補者同士が握手をせずに始まった討論会は、トランプ氏が繰り返しバイデン氏や司会者の言葉を遮り、最初の20分間で早くも混乱状態に陥った

(中略)

トランプ氏はこうしたバイデン氏の発言にことごとく介入。討論開始から約18分後には、バイデン氏がトランプ氏に「黙っていてもらえないか」と苦言を呈する一幕もあった。司会のウォレス氏もトランプ氏に対し、発言を遮るのを止めるよう求めた。

CNN.co.jp : 大統領候補討論会、開始20分で混乱状態に トランプ氏は納税報道にも言及

中身の話も出ていますが、人の反応の7割くらいは、トランプが場をめちゃくちゃにして全くディベートが成り立っていなかったことについてでした。

この議論が成り立っていない状態と言うのがどういう効果をもたらすのか、リベラルというものに対してどういう言論が向けられているのかを考えると、トランプ氏にダメージはなさそうだという、個人的には暗澹な気持ちしか抱けません。

なぜそういう考えに至るのか、それを目に入ったツイートを引用しながら書きます。

本筋の討論会の話をする前に、関連はするがちょっとずれる話を。

ここで罵られていると言われ、また民主党支持者や左翼へインタビューしている動画を挙げている「保守系ユーチューバー」というのは、オルタナ右翼に称賛されているケイトリン・ベネット氏です。

この罵られている動画について、どのような人なのかも含めフォーブスが記事にしています。

銃規制反対で有名になり、挑発的な行動に出ているひと、という感じのようです。

また、「YouTube Magazine」というサイトで書かれた紹介記事は、もっと詳しく様々な動向について書かれています。
(実際に読むまではよくある薄っぺら記事かと思いましたが、実際に読んで内容の濃さに驚きました。そもそも僕のブログにあるような広告すらないので、本当にすごいと思います。)

彼女が罵られている理由、彼女のバックグラウンド等々、様々な情報が書かれています。

そのなかで、私が注目したのは、彼女も参加しているサイトの手法です。

対立をあおるために、インタビューして炎上するような意見を引き出し、それ以外はカットして動画化し、怒りを引き出し対立を激化させ、再生数を伸ばし、もうけを得る。そういう仕組みを回して稼ぐのが真の目的ではないかと、この記事では推察されているように私は読みました。

この手法、嘘を流しているわけではなく、極端なものをピックアップしているというのが、重要です。
よくマスコミ批判、ニュース批判で注目される奴です。

何時間、己が酷い醜態をさらそうが、少しでも相手の失点を引き出せば、それを強調して相手の評判を下げればいいわけです。

今回のトランプの手法も、わざと荒れた場を作り出すことで、相手の言動も荒れさせて、そんなカオスな場で飛び出す失点を強調することで、完成するわけです。

そのために使える材料は、実際にいくつかありそうな気が、以下のツイートを見ていると、します。

また、反ポリコレ、日本的に言うと反リベラル、そういう文脈には「正しいことを言ってるやつは醜い本音を抱いていて、それが暴走する」という信念と言うか、確信がある場合が多く、その「建前と本音」という構造が、このピックアップ手法を肯定的に使用する原動力になっているように見えます。

そして、そういう原動力にバイデン氏の言動はエネルギーを提供しているようです。

建前と本音というフレーミングで自らより左の人間を批判的に見ている人は、「本音の醜さは向こうの方が酷い」という確信を持っていて、それが自己が支持する人間がいかに酷い言動をして、建前を壊そうがほとんどスルーされる理由だったりするように見えますが、その信念を加速させるのは、こういう言動だったりします。

ここでちょっと脱線しますが、先日、安倍政権の支持構造について、安倍氏を「劣等感を煽らないセレブ」であることを強みとしている、という内容の言説を読みました。

安倍首相自身は、祖父に岸信介元首相、父に安倍晋太郎元外相を持つサラブレット政治家であり、同じ名門私立に小学校から大学まで通ったように、「庶民的」な人物ではない。

ただし、安倍首相はしばしば言い間違いをするなど、「秀才風」の人物でないこともたしかである。「云々(うんぬん)」を「でんでん」と読んだのはお愛想だとしても、国会で自らを繰り返し「立法権の長」と表現したのは、三権分立の基礎的な理解を疑わせるものであった。

さらに「退位礼正殿の儀」で、「天皇、皇后両陛下には末長くお健やかであらせられますことを願って已(や)みません」を「願っていません」と読んでしまったのは、意味がまったく逆になり、時代が時代なら大問題になったであろう。

しかし、このことは安倍首相の支持者の間では、大きな問題にはならなかったようだ。ある意味で、この種の失言は、安倍首相においては「想定内」なのだろう。あるいはむしろ、「秀才風」を吹かせた官僚や知識人よりは、はるかに親しみを持たせる理由になっているのかもしれない。少なくとも、安倍首相は、このような意味において、人々の劣等感を刺激する存在ではないことはたしかである。

今日の社会において、人々はつねに自分の能力を証明することを求められている。「自分はこんなことを知っている」「こんなこともできる」と言わないと、逆に誰かから自慢され、場合によっては馬鹿にされかねない。つねに自分の優位を主張し、相手を圧倒しようとする「マウンティング」が時代の言葉になっているのは、その表れであろう。人々はそのことに疲れを感じているが、やめるわけにもいかないというのが正直なところである。

その意味でいえば、安倍首相は、「秀才風」を吹かせてマウンティングしてこないというだけでも、評価すべき人間ということになる。しかも、育ちがよく、言い間違いの類の欠陥も、あるいはセレブにありがちな鷹揚さとして受け入れられる余地がある。

平等化した社会において、人が自分と他者の違いに敏感になると指摘したのは、フランスの思想家トクヴィルである(『アメリカのデモクラシー』)。人々が身分の壁によって隔てられていた時代、個々の人間をめぐる境遇の違いは、ある意味で自明であった。自分とは違う種類の人だと思えば、貴族や主人に従っていても劣等感は生じない。むしろそのような高貴な人々に仕えることは、誇りや自負心にもつながったのである。

これに対し、ひとたび平等化が進むと、むしろ人との違いが気になるようになる。同じ人間なのに、なぜあの人はああで、自分はこうなのか。他の人とのわずかな差異にどうしても敏感になってしまうのである。

はたしてそのような境遇の違いは正当なのか。努力の違いか、能力の違いか、与えられた環境の違いか、あるいは運の違いか……、このような人々の思いは差別を批判し、特権を否定する原動力となる一方、嫉妬の感情や、恵まれた人を引きずり下ろしたいという願望にもつながる。

ある意味で、現在の日本社会は「平等化」の進んだ社会であり、人々の間の違いをめぐる感覚は鋭敏さを増す一方である。そのような環境において、人々はつねに優越感と劣等感の微妙なゆらぎの中で生きている。それを刺激するものに激しく反応するのは、そのせいだろう。

しかも低成長が長く続き、停滞感が漂うなか、そのような人々の感情はしばしば行き場を失い、内向する。突出した人は良きにつけ悪しきにつけ注目の対象となり、一時は持ち上げられた人が急に攻撃の対象となることも珍しくない。

そのような現代日本において、人々の劣等感を刺激せず、独特なセレブ感ゆえに嫉妬の対象になりにくい安倍首相は、どこか時代に適合的なのかもしれない。

「失言」で好感度を獲得!? 安倍政権はどこまでも「大衆的」だった(宇野 重規) | 現代新書 | 講談社

バイデン氏もこの視線から逃れることはできず、嫉妬と劣等感という「正しい」の裏にある間違いを探す原動力をどんどん加速させていくことになるのでしょう。
(私のように野党側に行く人は例外で、無党派や無関心層などの大衆である限り、揶揄もされないので、劣等感を煽られないと言う感じなのでしょう。)

そういう感情とタッグを組むことで、トランプ氏のひたすら場を荒らすという特殊能力が輝き、ひたすら相手の評判を下げる仕組みとして機能するわけです。

それを指摘している書籍が「アメリカのデモクラシー」であることからもわかるように、アメリカがこの仕組みの元祖でるわけですが、二大政党制などそういう民主主義を理想の一つとして掲げた結果、日本もそういう仕組みが出来上がったように見えます。

それが良くわかるのは、日本でひたすら自民党を擁護し、野党を揶揄しているようなアカウントが、今回のアメリカのディベートをこう評しているツイートをしています。(ツイートに添付された画像の方のツイートのことです。)

画像の方は都議会ヤジ問題でも、己の偏見をさらすような間違いをしながら、塩村あやか氏の勘違いであると言う主張をしていたわけですが、今回もこの時のように「先行する情報、常識や自分の中のルールで補正がかかり、目の前の情報が別のものとして感知され」た結果、違うものを見てしまう。そういう案件のように思います。

この人のような、これまでの情報にとても強く縛られるようになった見方がとても強くなった状態が「分断化」というものの正体でしょうし、この構造を前提にする限り、一度決まった構図が容易に崩れるなんて話を強く疑ってしまいます(これも私の頭の中で補正されたものなのですが)

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