森友学園の話について、先日飯島勲氏が「国会が森友学園ばっかりやってて重要法案が成立してない。」みたいな話をして、そこに乗っかって森友学園を取り上げることを批判してる方がいるようだ。
この時期に重要法案が成立していないのは、安倍政権の国会運営方針上、至極当たり前の話である、というのが、この話の答えだと私には思える。
まず、通常国会に対する政府の方針は以下の通りである。
安倍晋三首相は10日の自民党役員会で「常在戦場の気持ちで政府・与党が一体となり、補正予算案、来年度予算案の早期成立を図りたい」と述べ、予算案成立を最優先する意向を改めて強調した。
予算優先、その後具体的な法案成立、というのが安倍首相が表明している、今国会の方針である。
つまり、重要法案が成立していくのは、今年度予算成立以降の話であり、その前に重要法案がなにも成立していない事を批判するならば、政府の国会方針を批判しているも同然なのではないだろうか。
ここで、野党が予算案の審議を遅らせているのでは?という疑問が、湧くのでは無いだろうか?
では、今国会の予算審議はどうなっているかを見てみよう。
参院では森友学園問題で審議は停滞気味ではあるが、衆議院の優越により、参議院でいくら審議が停滞しても、30日の通過で、予算は自然成立してしまう。
つまり、衆議院でどれだけ遅れていたか、で野党の遅延効果がどれだけあったかが分かる。
その結果はこれだ。
予算案の2月中の参議院での審議入りは18年ぶり
なんと、18年ぶり、という異例の速さで予算案は衆議院を通過しているのだ。
つまり、森友学園問題があるのに、例年より早く様々な審議は進んでいる、というのが真相なのではないだろうか。
その結果、与党ペースにならなかったらならなかったで野党を邪魔するなと批判していそうな自民党と一緒に下野する産経新聞にすら『予算案が2月中に参院審議に入るのは平成11年以来18年ぶりのスピードと、与党ペースでの審議を許した党の指揮官としての能力にも疑問符が付く。』と書かれているのだ。
つまり、野党が森友学園問題ばかりやってても法案審議の遅延にはつながっておらず、むしろ国会はひそかに与党ペースでスムーズに進んでいるのが実態なのだ。
それなのに、「重要法案が成立していないのは(野党が)森友学園問題ばかりやってるから」と印象で語られてしまっているのは、残念極まりない。
重要法案が成立していないのはただの政府の方針なのだから、もしそれを批判したいならば、政府批判をしないといけないのでは…
ちなみに
重要法案と名前はついているが、それが「早急に成立しないといけないもの」であるとは限らないので、早く成立する必要がある法案をきちんと提示しないと、こういう批判は成り立たないように思う。
例えば、2014年に感染症法改正案について、野党が審議を阻害してるから一刻も早く成立させないといけないのに審議できない、と批判が起こっていたが、改正案の内容をみたら、早急に成立させる理由がほとんどない内容だった(2014/10/29 感染症法改正案が明日審議開始の理由を推測してみる)なんて話もあったので、法案の中身を見てみない限り、早く成立してないのがいけないことかは判断できないと思う。
だから、こういう批判には、どの法案が早急に成立するべきなのか、という話がないと意味がないのではないだろうか。(特定国会会期での法案成立割合などの数字もそう思う。)
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