前回のブログにも書いた安倍派を中心とした裏金問題について、色々新しい話が出てきたので書きます。
裏金の定義すらわからないのか…
Twitterで自民党の関係者っぽい人(っぽい人なのでアカウントにはリンクしませんが…)が『内容につき不当であれば、裏金って呼ばれても仕方ないですが、現時点で言われるのは、ちょっと悲しい』とか言っているのを見かけたのですが、この人裏金の意味わかってんのかなって、そんな発言聞かされる自民党の外の人のほうが悲しくなるだろ、と思いました。
また、デイリー新潮は、自民党議員が税金じゃないんだからいいじゃんみたいなこと言ってるのが記事になってるんですが、それが本当ならバカバカしいし、これもまた悲しいですよね。
個人的に、維新のノリやら田中角栄称賛のノリもそんな感じな気がするのですが、原資が税金であるものの話にばかり夢中で、税金以外が原資になっている政治資金全般を監視外と思うようになってしまっている社会のノリがありそうで、本末転倒というか、なぜ政治資金を監視しないといけないのか、という点から社会に定着させないといけないのかな、と悲しくなりますね。(本当に言ったなら、こんな事を言った「安倍派所属のベテラン議員」の名前をだしてほしいもんですが)
「原資が税金なら問題です。けれど今取り沙汰されているのは、われわれが一所懸命支援者にお願いして買ってもらった、パー券の売り上げの処理の仕方。税金の不正使用ではないのだから、こんなふうに盛んに報じられることには疑問を持ちます」
ベテラン議員が明かす「裏金作り」の理由 特捜部の標的となる三人の大物議員の名前は?
第一章 総則(目的)第一条 この法律は、議会制民主政治の下における政党その他の政治団体の機能の重要性及び公職の候補者の責務の重要性にかんがみ、政治団体及び公職の候補者により行われる政治活動が国民の不断の監視と批判の下に行われるようにするため、政治団体の届出、政治団体に係る政治資金の収支の公開並びに政治団体及び公職の候補者に係る政治資金の授受の規正その他の措置を講ずることにより、政治活動の公明と公正を確保し、もつて民主政治の健全な発達に寄与することを目的とする。
(基本理念)第二条 この法律は、政治資金が民主政治の健全な発達を希求して拠出される国民の浄財であることにかんがみ、その収支の状況を明らかにすることを旨とし、これに対する判断は国民にゆだね、いやしくも政治資金の拠出に関する国民の自発的意思を抑制することのないように、適切に運用されなければならない。
2 政治団体は、その責任を自覚し、その政治資金の収受に当たつては、いやしくも国民の疑惑を招くことのないように、この法律に基づいて公明正大に行わなければならない
政治資金規正法 | e-Gov法令検索
そもそも、裏金って、文字通り裏の金のことなんですよ。
裏ってことは前提として表の金があるわけで、じゃあここで表ってなんだっていうと、政治資金規正法に基づいた収支報告書等で表に出ているお金のことなわけじゃないですか。
明らかに政治資金なのに、その資金を誰があげたか、誰がもらったかを誰も(意図的に)収支報告書等に載せておらず、つながりが政党や事務所の外の人に認識できないお金になっている時点で、どのような意図でどのように使っていても「裏金」なんですよ。そのくらい理解してほしいです。
(そういう意味で20万円以下のパーティー券は購入者未記載でオッケーという決まりは政治資金規正法の目的と合致しているのか怪しいもんだと思いますし、今回言い訳にしようとしている政策活動費というものは「どこからいくらもらっているのか」についてはきちんと表にされる金であるはずが、今回は誰にも記載されずなため、要件を満たさない見苦しい言い訳といえるでしょう。)
政策活動費とは、一般的に、派閥ではなく、各政党から政治家個人に支出される政治資金のことです。政党は、支出した議員名や金額などを政治資金収支報告書に記載する義務がありますが、政治家側は、その使い道を報告する義務はありません。派閥からのキックバックを“政策活動費”という名目にして、隠ぺいしていた可能性があります。
政治資金に詳しい専門家に聞きました。
Q.政策活動費だから記載する必要がないという理屈は通るのか。
政治資金に詳しい東京大学・谷口将紀教授:「端的に申し上げれば、通らない言い訳だと思います。政策活動費は、政党が、直接、その政治家に行うものに限り認められる寄付で、派閥を介して渡すなどということは、想定をされておりません。このような言い訳を考えること自体が、非常に悪質ですし、受け取った議員の側も、少し注意をすれば、これはだめだとわかるはずですから、虚偽記載罪を免れる言い訳にはならないと思います」
派閥から指示「“政策活動費”記載する必要なし」虚偽記載罪を免れる言い訳になる?(テレビ朝日系(ANN)) – Yahoo!ニュース
法律にもあるように、政治資金は「政治活動が国民の不断の監視と批判の下に行われるようにするため」に「収支の状況を明らかにする」ことで、「政治活動の公明と公正を確保し、もつて民主政治の健全な発達に寄与」することが必要だというわけです。
この人々による政治監視の1つの手段として政治資金収支報告書があるわけで、その収支報告書に意図的に収支を載せないという行為をした時点でその動いたお金は裏金です。
裏金でも素晴らしいことに使ってればいいじゃないと違法なのが悪いと言い放つならまだしも裏金ではないはあり得ません。
それくらい、話の前提になってほしいです。
不誠実がすぎる鈴木淳司
総務大臣としての閣僚会見で、いつもかつかつだったからキックバックを受け取ったことはないと説明していた鈴木淳司議員。
鈴木氏は「決して集金力の高い事務所ではないので、毎回、支援者、企業に本当に丁寧にお願いして、何とか何とかクリアしている」「ぎりぎり、かつかつの状況でいつもやっている」と説明。ノルマを超えた収入がなく、「派閥から受け取ったことはない」と述べた。
「私の事務所はかつかつで」 安倍派の鈴木総務相、パー券還流問題に:朝日新聞デジタル
こんな事を言っていた人が、辞任する、というタイミングになって受け取っていた、当たり前の文化になっていた、そもそもキックバックの定義はなんなのか、みたいなことを言い出しました。なんなんですかね。(山尾志桜里氏がいた選挙区と見てため息をつきました。)
派閥からの還流分について「派閥で正式に届け出たお金で、『活動費』として交付され、経費として使っていいと思っていた」と述べた。政治資金収支報告書に記載する必要がないと考え、「裏金のような性格のお金」との認識はなかったとした。
裏金認めた鈴木前総務相、キックバック「政治の世界では文化」 [自民]:朝日新聞デジタル
愛知7区選出の鈴木淳司前総務大臣は、15日報道陣に対し、派閥から2018年からの5年間で総額60万円のキックバックを受け取っていたにも関わらず、収支報告書に記載していなかったことを明らかにしました。
愛知7区 鈴木淳司前総務相:「認識の違いがあったとはいいながら、これまでの会見での発言について誤解を生じる部分があったので心より深くおわび申し上げたい」
一方、同じ5年間でノルマに到達しなかった年は差額を自身の事務所から補填していて、その総額は164万円に上ります。
前総務大臣の鈴木淳司議員 5年間で60万円キックバック認める 「派閥からの活動費と理解」(中京テレビNEWS) – Yahoo!ニュース
(辞表を提出した鈴木淳司総務大臣)東京都内 14日午後3時ごろ
「キックバックという言葉の定義は何なのか。巨額の裏金を作って派閥からもらっていればキックバックになることはわかる。ノルマ分を超えた分が自動的に返ってくることがキックバックになる意識がないので、ですから同じものではないと思っています」「ただ処理上の問題で、どう扱ったら良かったかわかりませんが、ノルマを超えた分を受け取っているので、自分がクリーンだとは言いませんが、“裏金問題”とは全く違う状況にいるので。ただ返金はあった」
Q.キックバックがあったが不記載だった?「そうですね、経費ですから。実際にそういった部分がたくさんあると思う」
【速報】辞表提出の鈴木淳司総務大臣 収支報告書への“不記載”認める「キックバックという言葉の定義は何なのか」(CBCテレビ) – Yahoo!ニュース
『処理上の問題で、どう扱ったら良かったかわかりませんが』自動的に戻ってきたものは自動的に収支報告書に書いてください。
安倍様だけは守りたい的な…
前のブログを書いたきっかけが安倍さんは知らなかったし、怒った、みたいな話をしていたのに呆れたのがきっかけだったりしたのですが、その後高橋洋一氏も言っていたようです。
高橋)パーティーはやりましたが、「不記載はやめろと言った」という話を聞きました。飯田)それがどこまで効いていたのか。その年にキックバックがあったかどうかもわかりませんが。
高橋)検証可能なのです。過去5年間を見て、最後の時期にほとんどなければ、(安倍元総理の)指示が効いていたということです。みんな「安倍派が」と言いますが、ほとんどは細田博之さんなど、その前の話ですよ。
飯田)「2022年がどうであったか」は、いまのところあまり報道や情報が出ていませんが、政治資金収支報告書を紐解けばわかる話ですからね。
高橋)安倍さんは「どうしてこんなことをやっているのか」と驚いて、「やめろ」と言ったという話はみんなから聞きました。
この点について、まず今回の件は前に安倍晋三氏が派閥にいた時代からやっていた話だという報道が出ているのに知らなかったのは不自然という話を前回書きました。
一方、「2022年がどうであったか」について喋っていますが、その点についての報道がありました。
昨年5月に開催したパーティーの後、同派の会計担当職員が議員側に対し、還流分について、個々の議員側のパーティーの収入として同年分の収支報告書に記載するよう要請。ある所属議員の事務所では要請を受け、還流分の現金を事務所の口座に入金し、関連政治団体のパーティー収入に計上する処理を行ったという。
還流分の運用を転換させた背景には、同派内部でパーティー収入の会計処理を問題視する声が上がっていたことがあったとされる。また、昨秋以降には同派を含む自民党派閥のパーティーを巡って、収入の過少記載疑惑を指摘する報道や刑事告発が出ていた。同派では、議員側の収支報告書に還流分を記載させることで、派閥側が裏金との指摘を受けないようにした可能性があるという。
安倍派、議員収入で還流分計上を要請か…裏金化の実態を隠す狙い : 読売新聞
というわけで、2022年は派閥からの寄付金を議員開催のパーティーの収入として記載しろという、虚偽記載を促すというひどい対応をしていたようです。(そもそも一部の実態が、派閥のパーティー言いながら、ノルマ超えの分の収入を派閥側に入金していないことから、虚偽記載するしかないということなのでしょうが)
これが安倍晋三氏の采配の結果なのでしょうか。結果まで追わずに怒っただけで安倍晋三氏の役割は終わりなのでしょうか。
それこそ駄目なところだけ他人事として切り離して責任逃れしてるだけとしか私には見えませんが…。
池田佳隆のめちゃくちゃな修正
安倍派の中でパーティー券を多く売っている人として週刊誌などで何度か名前が挙がっていた池田佳隆議員。収支報告書の修正が入ったのですが、額がすごいです。
収支報告書によると、池田黎明会は清和政策研究会から4年12月31日に500万円、3年12月31日に1330万円、2年12月31日に1378万円を受けていたとして、今月8日付で追加訂正。池田氏の事務所は「受領した金銭は寄付として記載すべき性質のものであると判断し、訂正した。政治に対する信頼を損ねてしまったことについて深謝する」とのコメントを出した。
安倍派・池田佳隆氏側 3208万円修正 収支報告書「信頼損ね深謝」 – 産経ニュース
自民党派閥の政治資金パーティーを巡る裏金疑惑で、安倍派(清和政策研究会)の池田佳隆衆院議員(比例東海)の政治団体が2020~22年分の収支報告書を訂正し、安倍派からの寄付として3208万円、自身のパーティー収入として1095万円を新たに計上したことが分かった。3年間で計4303万円の収入を報告書に記載していなかったことになる。
安倍派の池田佳隆衆院議員側が収入4303万円を不記載、収支報告書を訂正 「政策活動費と認識」:東京新聞 TOKYO Web
自民党の最大派閥「清和政策研究会」(安倍派)が政治資金パーティー収入の一部を裏金化していたとみられる問題で、同派所属の池田佳隆衆院議員=比例東海=は、2020~22年に派閥から受領した計約3200万円を収入に記載していなかったとして、政治資金収支報告書の寄付に加える訂正をした。訂正は8日付。報告書の保存・公表期間が過ぎた18、19年を含めると、新たに計上した寄付総額は5年間で約4800万円になるとみられる。
池田衆院議員が収支報告書を訂正 安倍派からの4800万円還流分か:朝日新聞デジタル
この池田議員の訂正の重要なところは、収支報告書としては全額訂正しているわけではなく、保存期間が過ぎた部分は訂正や検証が不可能と化しています。
過去に桜を見る会の不記載問題のときに発生していた5年が時効なのに、保存期間がずれていることで証拠が消えていき検証できない問題がここでも起こってる可能性があるわけです。
略式起訴の対象となったのは、政治団体「安倍晋三後援会」の16~19年の4年分の収支報告書に記載されなかった夕食会の収支計約3千万円。時効にかからない15年分も同様に約700万円の不記載があったとされるが、検察幹部は「立証証拠を十分に集めるに至らなかった」と語る。収支報告書の提出先である山口県選挙管理委員会には、特捜部の捜査時点で原本が保存されていなかったという。
規正法は、収支報告書の公表から3年間の保存を義務づけている。保存期間が過ぎれば各地の選管の判断で廃棄できるといい、山口県選管の今回の対応はこれに従ったものだ。15年分は翌16年11月25日に公開され、19年11月25日に保存期間が満了となった。選管によると、1日でも過ぎると、捜査機関からの開示請求にも応じていないという。
立件できぬ「ザル法」浮き彫り 収支報告書、保存は3年 [桜を見る会]:朝日新聞デジタル
一方、池田氏は2020年の収支報告書にて2019年からの繰越金を修正しています。これにより報道通りの5年で4800万円(+自己の政治資金パーティー1000万円)の増額がなされています。しかし、2019年、2018年の収支報告書は公表も保存もされていないので、修正できない事になっています。
また、ついでに自身の手で開いた政治資金パーティーの収入についても訂正していますが、額が2022年は512万円、2021年は483万円と巨額です。
なぜこれが今、訂正されるのか、本当にミスだったならば政治資金の管理が杜撰であったと言わざるを得ないでしょう。
一方、池田佳隆議員は、2012年から現職だったわけで、過去5年以上この仕組みがやっていたという証言がいくつか出ている以上、直近5年分だけのキックバックが不記載であった、なんてことはないであろうわけで、時効やらなにやらで外から検証はできないでしょうが、繰越金を5年分だけ増やせば、現在の繰越金が全額記載していることになる、とは到底思えません。もっと過去から記載されずに繰越されている金額がある可能性が高いように見えます。
まさかそれをごまかすための自身の政治資金パーティーの収入訂正ではないとは思いますが、ちょっと訝しんでしまいます。
とにかく、こんな巨額な訂正を、自主的ではなく色々と突付かれた結果辻褄合わせ的にする方の収支報告書を今後信じられるのでしょうか?
こんな巨額を1年でも意図的に未記載にしていた政治家が法的に何も問われないままで、政治資金規正法が機能することはありえないのではないでしょうか。
余談ですが、青年会議所の面々は、元会頭がこんなめちゃくちゃな収支報告していることを経済人としてどう思うのでしょうか。そういう人脈が集金に協力していたようですが。(宇予くんとかやらかす「完全に頭がやられてるど。」な組織にまともなモラルはないですかね…)
池田議員は、約20年前名古屋青年会議所の理事長を務めていましたが、池田議員側からパーティー券を複数回買ったことがある支援者によりますと名古屋青年会議所の関係者からの依頼を受けて購入したということです。また「他の支援者に対しても、青年会議所の関係者が購入するよう働きかけていた」などと話しています。
愛知・池田佳隆衆院議員 パーティー券問題 青年会議所の関係者が支援者に対し購入するよう働きかけ (中京テレビNEWS) – Yahoo!ニュース
コメント