日本はLGBT法関係で大使追放するのか?

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自民党内でLGBT理解推進法案について揉めている様子が連日ニュースで流れてきます。

一方、これまでアメリカ駐日大使がTwitterにて何度かそういう系統の法律が求められているということに触れていました。

これもアメリカの価値観外交・人権外交(日本で人権外交というと中国周りばかり注目されちゃうようですが)の一つの動きだと思うのですが、国内でそういう法律に反対している人たちはイライラをためていたようです。

人権外交を超党派で考える議員連盟公式ホームページ
「人権外交を超党派で考える議員連盟」は、近年世界各地で看過できない深刻な人権弾圧が発生する中、人権尊重の促進をより一層高めるため発足した超党派の議員連盟です。

そして、自民党内で安倍晋三氏を崇めるような勢力が暴れている中、アメリカ駐日大使のツイートにて、15の在日外国公館の共同メッセージが公開されました。

15の内訳は以下の通りです。

  • アメリカ
  • EU
  • アルゼンチン
  • アイルランド
  • デンマーク
  • スウェーデン
  • オーストラリア
  • フィンランド
  • オランダ
  • イギリス
  • ノルウェー
  • ベルギー
  • カナダ
  • ドイツ
  • アイスランド

このメッセージを受けて、いつものTwitterで騒ぐ人たちが一通り騒ぐくらいの反応で終わると思いきや、とある国会議員が思ったよりも強い反応を見せていました。

『米国大使の立場を利用し作用させたいと思うのであれば、我々は即刻帰国させるための行動を取る。』とのことですが、ここでメッセージ出してる公館はアメリカに限らないので場合によってはリスト化した15カ国の大使を帰国される行動になる可能性も…?

また、『我々』とのことですが、この『我々』とはどの枠組みの『我々』なのでしょうか。

個人的には、本当はほばなんの意味もない肩書であろう自民党国際局の何人もいる次長の一人であることが何らかの意味を持ってしまう可能性すらあることすら考えてしまいます。(青山繁晴もいますし…)

まさかのLGBT法関係で大使追放を国会議員が訴え始める可能性が出てくるとは。

ロシア外交官の追放関連の報道で産経新聞が書いていたのですが、日本はほとんど大使や外交官の国外退去などは行ったことがないそうです。

外務省によると、日本政府が過去に「好ましからざる人物」を通告した事例は3例だけだ。昭和48年には韓国の金大中氏(後の大統領)が東京都内のホテルで拉致された事件への関与により韓国外交官を、平成18年には暴力団に賭場を提供したコートジボワールの外交官を、それぞれ退去させた。同24年にはシリア国内での市民虐殺に抗議し、同国大使を追放している。

このほか、旧ソ連の外交官らに産業スパイの疑いで退去要求した事例もある。いずれも違法行為を理由に個人を退去させた事例ばかりで、欧米のような大規模追放は前例がない。

ロシアの外交官追放、日本政府は慎重 – 産経ニュース

これが政権与党の内部で揉めている案件に口突っ込んだから追放なんて話になったら、なんて独裁政権なんだって話になりかねませんし、そもそもこんな話で追放を主張なんて動きが起こるなんて、そういう印象を欧米諸国にばらまく結果にしかならないでしょう。(極右に好かれる面が一つ増える結果というか…。アメリカのデサンティスやトランプへのラブコールとしてそんなこと言ってる可能性もあるかもしれませんが。)

フランスの共産主義者にとってソ連がモデルであったように、ゼムールのモデルはなんと日本であると最近のインタビューで彼自身が話している。

「この40年間、日本は移民を拒否してきており、結果失業率は3%程度だ。貿易黒字でもある。犯罪の少ない社会で、刑務所の収容者数は半分にすぎない。生産性も高く、ロボット化も進んでいる。これもすべては、日本が移民という安易な方法で問題を解決しなかったからだ」と説明し、記者たちを唖然とさせた。

「日本推し」候補がフランス大統領選で人気の背景 | ヨーロッパ | 東洋経済オンライン | 社会をよくする経済ニュース

「単一文化が保たれている完全な社会」として日本や韓国を例に挙げたブレイビク被告の思想は、英国の極右政党であるBNPのニック・グリフィン党首のそれと重なる。実際、BNPの総選挙マニフェストには「英国は、日本や韓国、シンガポールのように国益に沿った国家経済・産業の運営を経済モデルとすべき」と示されている。また同党首は、2008年に行われた本誌とのインタビューで、国民性を保ちつつ国家の経済発展を遂げた日本の排他的な移民政策が模範であるとし、「日本も少子化問題を抱えているようだが、英国の移民問題に比べたらずっとましだ」とも述べていた。欧州で最も悪名高い極右民族主義者の2人が、ともに日本を模範としていることは興味深い。

ノルウェー乱射事件とヨーロッパの極右勢力

この中に「今日の国家の政治システムで最も高く評価しているのはどこか」という質問があった。これにブレイビク容疑者は

「日本と韓国、台湾のシステムは特にすばらしい」

いずれも「多文化主義を完全に否定」し、「自分たちの単一文化の維持、保護に努めている」という解釈だ。欧米から教育や科学、テクノロジー、経済のメカニズムを学びとる一方で「固有の文化だけは譲らない姿勢」と分析、共感を寄せた。

英フィナンシャルタイムズ紙(電子版)の2011年7月25日付記事は、この点に触れた。ブレイビク容疑者が日本などアジアの国をモデルにしていることから「白人至上主義者や北欧の国家主義者でもない、言わば『大欧州主義者』」「極右思想でも特別な考え方の持ち主」と分析した専門家の言葉を紹介している。

「麻生太郎元首相に会いたい」 ノルウェーテロ犯の理想郷は日本だった: J-CAST ニュース【全文表示】
ドイツ大使を追放 「無礼な態度」―チャド軍政:時事ドットコム
【ヌジャメナAFP時事】チャド軍政は7日、声明を出し、ドイツのクリッケ駐チャド大使に48時間以内の国外退去を命じた。「無礼な態度」と「外交慣例の軽視」が理由で、チャド政府関係者によると、内政に「干渉し過ぎる」と繰り返し警告を受けていた。
ドイツ、駐チャド大使追放へ
◎チャド軍政は先週、ドイツ大使が「無礼な態度」を取ったとして、48時間以内に退去するよう命じた。 ドイツの国旗(Getty Images) ドイツ政府は11日、中央アフリカ・チャドの駐大使に国外退去を
ベネズエラ、ドイツ大使を国外追放 野党支持に反発 - 日本経済新聞
【サンパウロ=外山尚之】ベネズエラ政府は6日、在ベネズエラのドイツ大使を「ペルソナ・ノン・グラータ」(好ましからざる人物)に指定し、追放すると発表した。ドイツ政府が野党指導者のグアイド国会議長を暫定大統領と承認した上で、マドゥロ政権に対する経済制裁強化を示唆していることに反発を示した。一方、米国政府は同日、ベネズエラ政...

LGBT関連の法律を作ることは、同盟国の大使を追放してでも嫌である。それが自民党ということでいいのでしょうか?

ちなみに和田政宗が『理解増進をいかに進めるかは我々が国内で決めることであり』と自民党の議論では『理解増進』に重点を置いて様々なことを述べている一方、諸外国の公館のメッセージでは差別禁止の方に重点が置かれているように見えるのは一つの注目点のような気がします

理解という概念は自民党が誤魔化しに使うことが多い概念の一方、シンプルな差別禁止よりも理解増進のほうが本質的には難しい可能性がある話なんで…(過去にカムアウト不要な社会にとか言い出したこともありましたが、そんな社会を自民党政権下の日本で作れるとでも?)

自民党の委員会がLGBTについてラディカルなこと言ってるけど多分気づいてない件 - 包帯のような嘘
昨日4月27日、自由民主党政務調査会および性的指向・性自認に関する特命委員会が、「性的指向・性自認の多様なあり方を受容する社会を目指すためのわが党の基本的な考え方」として2つのPDF文書を公開しました。

また、『例えば宗教上同性愛を認めず法規制し差別してきた国々と、おおらかな日本は全く違う。』と述べていますが、意図的に、法を作らない・制度の整備をしない・学校で教えないという不作為という形での差別を無視してはいけないでしょうし、『同性愛におおらか』というのは実態を無視しているのは、結婚やカミングアウトに関しての言説を見れば『理解』できることなのではないでしょうか。

ちなみに日本にも10年だけですが男性同性セックスが犯罪となっていた時期があったようです。

その日本ですが、明治5年(1872年)に「鶏姦律条例」が発令され、鶏姦(肛門性交)を禁止する規定が設けられ、翌明治6年の「改定律例」で「鶏姦罪」として規定しなおされたことが知られますが、明治13年に旧刑法が制定されたときには盛り込まれず、明治15年の旧刑法施行をもって消滅しました。この10年間が、日本で男性間の性行為が犯罪とされた唯一の期間とされます。

第12話 同性愛の犯罪化、日本はどうだった? | ヨミドクター(読売新聞)

また、犯罪ではないが偏見はあるという時期があることはいうまでもないでしょう。

辻本 侑生 (Yuki Tsujimoto) - いかにして「男性同性愛」は「当たり前」でなくなったのか : 近現代鹿児島の事例分析 - 論文 - researchmap
researchmapは、日本の研究者情報を収集・公開するとともに、研究者等による情報発信の場や研究者等の間の情報交換の場を提供することを目的として、国立研究開発法人科学技術振興機構(JST)が運営するサービスです。

また偏見という意味では理解した気になっているが偏見を持っているだけというケースもあるでしょう。『テレビでオカマやニューハーフとかが活躍していたんだから日本は寛容』とか言い出すタイプがそれに当たるように思います。(なんというか、あくまでも『イロモノ』『特殊な人』『変な人』として、画面の向こう側にいる自分とは関係ない人としてしか受け止めていない段階である可能性も高く、社会の中で生きるのとはまた別でしょう)

そのような部分に関して粗雑な認識しかない人間が議論を引っ掻き回してもろくなことにならないでしょう。

この議論引っ掻き回しに関連した話として、和田政宗等が嬉々として触れている直近のテレビ朝日系列の世論調査があります。

世論調査|報道ステーション|テレビ朝日
報道ステーション「世論調査詳細」ページ。「深く、力強く、きょう色々。」大越健介氏を新たにメインキャスターとして迎え、きょう知りたいニュースを、平たい言葉でお伝えします。

和田政宗はしれっと『法整備の必要も含め』と言うに留まっているのですが、門田隆将は露骨にこの世論調査がまるで法案自体を成立させる必要がないと答えたかのようにミスリードしようとしているように見えます。

(YouTubeではもっと露骨なやつが)

しかし、実際の質問はあくまで『性的少数者に対する理解を促進する「LGBT理解増進法案」をG7広島サミット前までに成立させる必要がある』かどうかの話であり、これに反対という人は、G7後の成立でよいという意見や、そもそも理解増進ではない差別禁止法を成立させるべきだとか、そういう意見も含めた数字である可能性があることを誤魔化してはいけないでしょう。(マスコミの偏向報道批判をよくする人たちが「G7広島サミット前までに」を省略することで印象操作するのはちょっと…)

ちなみにLGBT関連法案についての賛否については今年に入って様々な媒体で世論調査が行われていて。

テレビ朝日系列では『あなたは、性的少数者に対する理解を促進する「LGBT理解増進法案」に、賛成ですか、反対ですか?』が2月に行われていて賛成62%、反対13%。

世論調査|報道ステーション|テレビ朝日
報道ステーション「世論調査詳細」ページ。「深く、力強く、きょう色々。」大越健介氏を新たにメインキャスターとして迎え、きょう知りたいニュースを、平たい言葉でお伝えします。

産経新聞社とFNNの世論調査で2月に行われた調査では『自民党の支持層でも57・2%が「(国会で)成立させるべきだ」』『立憲民主党支持層の68・1%、日本維新の会支持層の74・8%、無党派層(「支持政党はない」と回答)の67・1%が「成立させるべきだ」と答えた。』とのこと。

【産経・FNN合同世論調査】LGBT法案、同性婚法制化…自民支持層の過半数が賛成
産経新聞社とFNN(フジニュースネットワーク)が18、19両日に行った合同世論調査で、LGBTなど性的少数者への理解増進を図る法案について尋ねたところ、慎重論…

時事通信3月世論調査でも『また、LGBTなど性的少数者に対する理解増進法案を今国会で成立させるべきかどうか尋ねたのに対し、「成立させるべきだ」(50.8%)が「成立させるべきだと思わない」(16.9%)を大幅に上回った。「どちらとも言えない・分からない」は32.4%だった。 自民党支持者の間でも、「成立させるべきだ」(46.6%)が「成立させるべきだと思わない」(21.1%)の2倍以上となったとのこと。

同性婚法制化、56%が賛成 LGBT法も過半数「成立を」―時事世論調査:時事ドットコム
時事通信が10~13日に実施した3月の世論調査で同性婚を法的に認めることへの賛否を尋ねたところ、「賛成」が56.7%に上り、「反対」の18.3%の3倍を超えた。「どちらとも言えない・分からない」は25.0%だった。

朝日新聞は2月の世論調査で他社と違い差別を禁止する法案と聞いていて、『LGBTなど性的少数者に対する差別を禁止する法律は「つくるべきだ」が51%、「つくる必要はない」が39%だった。』とのことです。

同性婚「法で認めるべきだ」72% 朝日新聞社世論調査:朝日新聞デジタル
18、19日に実施した朝日新聞社の世論調査では、ジェンダーをめぐる法整備について質問した。同性婚を法律で「認めるべきだ」は72%と多数で、「認めるべきではない」は18%。LGBTなど性的少数者に対す…

追記

タレント等の『見せるために色々な演出も含まれるであろう』特殊な事例だけで理解しているとか思うのはどうなんだ?というツイートにこういう「理解しろというのは怠慢だ!」的な反発が来るような『きちんと理解してくれと言ってはいけません』みたいな状態で「日本は寛容」とか言っているんですかね?素晴らしい『寛容』ですね。

自分から「今更理解増進と言われても」と自分はとっくに理解してます!だから今更理解増進は不要です!的なこと言い出したくせに、それに反論されたら「理解が足りないというのは怠慢」「どこまで理解したら許しますか?」「貴方は私のことをどれだけ理解していますか?」とか言い出すの、ちょっと話にならないような気がします
「無理解からくる社会からの排除は許されない」から「理解しなければならない」のだと思うのですが、その流れすら怠慢なことと言われてしまってはちょっと…
例えば他国出身のタレントがいたとしても、その人だけを特別だからと受け入れて、その他国への差別や偏見は存在し続けるという事例は普通にあるわけで、タレントを受け入れていることと理解が深まっていることは必ずしも繋がらないのは明白でしょ。
(紫音氏はTwitterのプロフィールに両性愛者と書かれており、性的少数者に含まれる存在だとおもわれますが…)
どう見ても少なくとも知ってほしいのは『タレント等の事例だけで理解したと思うのは間違いだ』ということでしょう。それを読む気がさらさらないのでしょうが。

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