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2017/05/21 獣医学部新設について、今のところの私なりの理解メモ

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今治市や愛媛県は何度も「獣医師養成系大学の設置に関する規制の緩和」のための特区提案を行っていました。

それがようやく通ったのが今回の国家戦略特区であり、加計学園の獣医学部新設になります。

獣医師に関しては2008年には『獣医学教育の改善・充実に関する調査研究協力者会議』が開催されているなど、大学教育の在り方について議論されていました。

そして2011年以降には、『獣医学教育の改善・充実に関する調査研究協力者会議(平成23年度~)』が開かれ、そこの第10回にて愛媛の話について取り上げられています。

全体的な会議の内容としては、複数の大学で共同学部を形成しようかだとか、教員の確保は難しいけど大事だねとか、定員は見直しが必要だけど、そもそも各大学で定員守れてないのもどうにかしないとね、みたいな、一般的な大学についてでも言われるような、質の担保が中心の議論のようでした。

 

そんな議論の前に、民主党議員の方(加計学園の地元岡山の高井議員や江田五月議員)や安倍現総理などと交流のあった加計孝太郎氏が運営する加計学園グループが、昭和50年代から大学誘致を勧めていた今治市の提案に賛同?し、岡山理科大学の今治キャンパスとして、愛媛大学とも協力し獣医学部の新設を目指すことになりました。

 

その後、国会にて民主党議員の質問があったり、毎年2回、構造改革特区に提案するも、ずーっと撃沈。近い議員が複数人いたはずの民主党政権時代も、成立はなりませんでした。

一方、安倍政権になると、国家戦略特区が誕生。規制を管轄する大臣を意思決定から排除し、内閣府がトップダウンで様々なことを意思決定する形にする総理の意向もある制度です。(首相、国家戦略特区への関係大臣関与「意思決定には加えない」

そして、愛媛県に対して内閣府?から『国家戦略特区にしたらどう?』みたいな提案が平成27年の3月から4月くらいにあり(内閣府はその後国会にて否定)国家戦略特区に提案したところ、その数ヶ月後『日本再興戦略改訂2015』にて採用されます。(平成 27 年6月 30 日に閣議決定)

そのときの記述が以下の画像。

この時点で既に『現在の提案主体による既存の獣医師養成ではない構想が具体化し』と、明らかに今治市の構想が前提となっているような記述が見受けられます。

とにかく、ここで(加計学園が)従来の既存学部が行っているような教育とは違う方針の、新しい需要を満たす教育を行うことを前提にしているような、獣医師養成系学部新設の検討を行うことが、戦略に盛り込まれました。

その後、2016年1月に国家戦略特区に広島県と今治市が追加指定されますが、獣医学部に関しては継続審議、そして国家戦略特区ワーキンググループにて京都に対してヒアリングを行うなどした前後にて、今騒がれている文科省から流出した可能性がある、あのメモらしきものが作られたであろう、文科省などのやり取りが行われます。

文書にあったやり取りの内容は、以下のようなものでした。

  • 内閣府が平成30年の4月開学を前提に、逆算してスケジュールを組み立てて、こちらと共有して、と文科省に要求。(文科大臣はそれで学園側の準備が間に合うの?と疑問視。文科副大臣はそんなこと言われても手続きはしっかりしないといけないでしょ、という感想)
  • 内閣府からの伝達事項内に『獣医学部新設を一校のみにするかは政治的判断』とある
  • 文科省メインで動かないと、と言われても、まずは閣内不一致(麻生大臣)をどうにかしてほしい、と文科副大臣
  • 党内手続きを工夫しないと、揉めるのでは、という懸念を示す文科大臣
  • 開学の準備が間に合うかの文科大臣の懸念について、内閣府が『今治市の区域指定時から最短距離で規制改革を前提としたプロセスを踏んでいて、それは総理の意向と聞いている』と返答
  • また、規制緩和部分と大学設置審査は別だから、大学設置審査が遅れても関係者が納得すればそれでいいよ、とも返答
  • 厚労省や農水省は逃げているのか?と文科副大臣。それに対して彼らを土俵に上げるのは文科省がやってください、と内閣府。
  • 党内手続きについては、(本来党内手続き不要である?)『内閣』がやることを党内で議論するな、と言われたので、内閣がやることは党内手続きしません。文科省がやるべき部分は、文科省と党でやってください。と内閣府。
  • これらを受けて、文科副大臣、官房副長官に『ちゃんと調整してくれ』と直談判すると決意。
  • 官房副長官、話を聞いて『既存の大学に「うちでもできる」と言われたら困る。要するに加計学園が、誰も文句の言えない提案ができるかどうか。無理をすると学校ありきでやっていると誤解を招くから慎重にやろう。私の方で整理する』と回答。
  • 北村直人元議員が、石破茂氏が、党の総務会に上がってこないのはおかしい。上げない気なら私が上げるのもやぶさかではない、と述べていたと証言。
  • また、麻生大臣が『やらない方向になっていると思っていた』とも。

このようなやり取りの後に、獣医学部新設について、国家戦略特別区域諮問会議にて、以下の提案と以下の決定がなされます。

 

ここで確認できるのは、有識者から地方創生に寄与するから、獣医学部の新設をしましょう、という要求がなされていることです。

その地方創生という前提を受けたからなのか、決定では、それまで入っていなかった『現在、広域的に獣医師系養成大学等の存在しない地域に限り』という限定条件が付け足されます。

この決定のあとに同時期に日本獣医師会が、これまでも続けていた特区での規制緩和に反対する運動にて『できれば獣医学部新設決定の撤回、これが不可能な場合でもせめて1校のみとするよう』にパブリックコメントを集めている期間に様々な方面に陳情し、結果として『関係大臣等のご理解を得て、何とか「1校に限り」と修正された改正告示が、本年1月4日付けで官報に公布・施行されました。』という経緯を会長短信にて伝えています(なぜかテストページのみで会長短信が更新されているのですが、ホームページ運営のミスでしょう。)

その前?に、開設時期の条件も平成30年の4月であるとなり、京都産業大学は撤退、加計学園のみ正式申請に至り、現在に至る、という感じのようです。

ちなみに、加計学園は、文科省による設置審査にて、案の定、態勢が大丈夫かどうか課題あり、との指摘がなされたようです。

 

大学が申請した160人という定員について、全国に16ある獣医学部の中で最も多く本当に研修が行えるのかや、予定されている設備と比べて多すぎるなどと指摘しています。
教員の態勢などについても、大学を卒業したばかりの若手や65歳以上の教授の比率が高いなどと、懸念が示されました。

獣医学部新設 定員や態勢に課題

 

今回の獣医学部新設を巡る対立?構造がなんとなく見えてくると思います。

『愛媛県、今治市、国家戦略特区審議委員、内閣府、一部議員VS日本獣医師会、文科省?、一部議員』という形でしょうか。

麻生大臣が反対派として扱われているのは、例えば福岡での鳩山邦夫氏が亡くなった後、空白になった選挙区での補欠選挙に日本獣医師会の会長である蔵内氏の息子を擁立し、鳩山邦夫氏の息子との分裂選挙にしたことがあるなど、日本獣医師会の会長と距離が近いことがあるようです。

また、流出資料について疑問視し、先頭に立って追及している民進党の玉木雄一郎氏も家族に獣医がいたり、父親が香川県の獣医師会の副会長であるなどするそうです。

つまり、どちらも人間関係が近かったり、支持団体の一つだったりするようです。(この二人の名前を並べて、なんとなく財務省の存在も気になったのは私だけでしょうか?)

状況まとめは、そんな感じです。

今回の獣医学部新設問題は、どのタイミングから加計学園(のみ)を想定していたのか?(流出資料的には日本獣医師会の陳情以前から想定されていたようですし、広島県と今治市を認定したタイミング?)そこに総理の意向があったのか?、今後の設置審査の行方、それも含めて様々な手続きが適切だったのか?という観点が疑問視されている部分でしょう。

また、これまで行われてきた獣医学部の新設規制が正しかったのかどうか?本当にそれがドリルで穴を開けるべき岩盤規制で、反対するのは既得権益保護の抵抗勢力だからなのか?抵抗勢力だからといって言ってることは全部間違いなのか?逆に総理と濃い人間関係があるからと言って、その事業が国家戦略のサポートを受けて促進されることは間違いなのか?という観点もあるでしょう。

そういう部分も含めて、国家戦略特区というトップダウンの考え方がどういう可能性を秘めていて、どういう問題点を抱える可能性があるのか、ということを省みる機会でもあるのかな、と思います。

 

あと、なんとなくですが、今回文科省から資料が出てきたのは、流出資料にあったような内閣府が文科省に放り投げて『先頭に立って汚れ仕事するのは文科省など、総理の意向を背中に背負い、楽して美味しいとこをもらうのが内閣府』みたいな形になっていることに抵抗してるのかな?とか考えました。もしくは、今後の設置審査で主導権を握るためなのかな?とかも考えられそうな気がします。(一部評論家は、天下りでやられた腹いせ、なんて言ってましたが、そんなに短絡的ではない気がします。)

 

 

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