最近、コロナウィルスについて、スペイン旅行などから帰国した方の感染事例がちょくちょく出てきているように思います。
そんな中、旅行者を「馬鹿なのか」というような発信がいくつか見るのですが、果たしてそう決めつけていいのか?と。
(特に上記のTweetは「若い女性」や「老人」という叩かれやすい属性を強調するレッテル貼りTweetだとしか思えません)
また、先日は石川県知事が3月2日から卒業旅行に出ていた人の見識を疑うような発言を記者会見にて行ったようです。
男性は、これまでの8例とは別ルートでの感染となる。新型コロナが世界中に拡大する中、今後、卒業旅行などで海外を訪ねた若者の発症が広がる可能性もある。谷本知事は「この時期の欧州旅行は勇気ある行動であり不思議だ。私には理解できない」と話し、県民に向けてうがいや手洗いなど自主対策の徹底を呼び掛けた。
新型コロナ 県内9人目感染確認 南加賀の20代男性 – 石川県のニュース | 北國新聞社
記者会見した谷本正憲知事は「なんでこの時期に欧州を旅行したのか不思議でしょうがない。感覚が理解できない」と話した。
石川県で20代男性が新型コロナウイルス感染 3月28日発表 | 社会 | 福井のニュース | 福井新聞ONLINE
このあたりの背景にある事情の記事として、例えば、このような記事があります。
情報を寄せてくれた女性は、夫と子どもの計4人で台湾の観光地巡りや夜市を散策する3泊4日のツアーを予定している。ただ、「感染が心配で楽しめそうにない」と旅行会社に相談すると、出発の3~30日前のキャンセルは旅行代金の2割に当たる約10万円の解約金が発生するとの説明を受けたという。
解約金は必要なのか旅行会社各社に聞いてみた。各社は国土交通省の「標準旅行業約款」に基づいて約款を作っている。それによると、解約金なしにキャンセルできるのは、ツアーの主催者(旅行会社)の事情で日時や目的地が変更された場合。客の都合でのキャンセルは基本的に解約金が発生するという。
ただ、解約金が不要となるケースもある。外務省が発表する「感染症危険情報」で渡航や滞在が危険だとされている国・地域へのツアーだ。同情報では、感染症の流行状況に応じて、危険度をレベル1~4で評価。危険度はレベル4が最も高く、同省が渡航中止と退避を勧告する。
新型コロナウイルスの場合、中国、韓国、イタリア、イランの一部地域が、渡航中止を勧告するレベル3、中国、韓国、イタリア、イランのそれ以外の地域、スペインとスイスの一部地域、香港、マカオが、不要不急の渡航自粛を求めるレベル2となっている。
旅行会社の多くは、レベル2以上の国、地域へのツアーを中止しており、解約金は生じない。女性がツアーを申し込んでいる会社も同様だ。
だが、台湾は今のところ、渡航への注意を呼び掛けるレベル1にも入っていない。同社は予定通りのツアーができるとし、「1人でも参加者がいる限り、感染が心配という理由だけでは中止にはできない」と説明する。
ただ、航空代金については、臨時措置として行き先や理由を問わず、解約金なしのキャンセルに応じている航空会社もある。
【記者が行く】新型コロナ不安、旅行キャンセルしたいが 危険度によっては解約金必要:山陽新聞デジタル|さんデジ
イベントの自粛などで話題になっていたキャンセル料。
それが旅行の話になっても出てくる可能性があるようです。
例えば秋田の事例は、ツアー旅行に参加していたことが報じられています。
夫は添乗員を含めて15人が参加するツアーでスペインを旅行していて、夫を除く9人は三八地方に住んでいるということで、県はこの9人とも連絡をとることにしています。
青森県で初の感染確認 八戸の70代夫婦 新型コロナウイルス | NHKニュース
また、同時期に同じようなツアーを行っていたJTBの添乗員の感染も確認されたというNEWSもあり、個人を批判すればいいという問題ではないように思います。
JTB(ジェイティービー)は、50代女性の添乗員が、新型コロナウイルスに感染したことが判明したと発表した。
感染した添乗員は、3月9日から16日までの8日間の日程で、東京/成田発着スペイン・フランスツアーに添乗していた。ツアー参加者15人には、感染の判明後、関係機関と連携のうえ個別に連絡を行い、現時点で連絡が取れているという。
JTB、添乗員が新型コロナウイルス感染 スペイン・フランス8日間ツアーに添乗 – TRAICY(トライシー)
これらの旅行は9日からの日程で組まれていますが、スペインに、山陽新聞の記事で中止の目安とされているかのように書かれている「レベル2」の渡航自粛勧告が出されたのは、一部地域に12日に出されたものが一番早いものでした。
(9日にはレベル1が出されていましたが)
外務省は3月12日、ヨーロッパ各国に対して、感染症危険情報を新たに発出もしくは引き上げた。
スイスのティチーノ州と、スペインのマドリード州、バスク州とラ・リオハ州を「レベル2(渡航自粛勧告)」に引き上げた。また、アイスランド、オーストリア、オランダ、スウェーデン、スロベニア、デンマーク、ノルウェー、ベルギー、モナコ、リヒテンシュタイン、アンドラ、ルクセンブルクに「レベル1(注意勧告)」を新たに発出した。ドイツとフランス全土、スイスとスペインのその他の地域の「レベル1」の発出は継続する。
外務省、ヨーロッパ各地に感染症危険情報 スイスとスペイン一部は渡航自粛勧告 – TRAICY(トライシー)
外務省は3月9日、スイス、スペイン、ドイツ、フランスの4ヶ国の全土に、感染症危険情報「レベル1(十分注意してください。)」を発出した。
外務省、スイス・スペイン・ドイツ・フランスの4ヶ国に感染症危険情報 – TRAICY(トライシー)
というわけで、青森の事例は、ツアーが敢行されてしまう構図が問題にしないと、個人を批判しても偏見が生まれるのみでしょう。
またこのような渡航自粛勧告関連の発信具合からも、3月2日に海外旅行に出発した人の見識を疑うような石川県知事の発言は不適切であることが解ると思います。
一方で、沖縄の事例は、家族等での旅行なので、ツアーではありませんが、少なくとも当初Tweetのように感染者のみを抜き出して語るのは誤印象を導く元でしょう。
県によると、女性は高校生以下の学生で、家族と親戚6人で13日からスペインのマドリードを旅行した。家族や親戚5人の検査結果は陰性だった。女性らは20日に帰国し成田空港検疫所で検査を受け、結果が出るまで空港で待機要請を受けていたが移動。羽田空港を経由して那覇空港に到着し自家用車で帰宅した。
沖縄でスペイン帰りの10代女性が感染 成田空港で検査、陽性反応も無症状 県が濃厚接触者を調査 – 琉球新報 – 沖縄の新聞、地域のニュース
この沖縄の件で気になるのは、空港での待機要請に強制力があったのか?という論点です。
当初出された沖縄県の見解は「強制力なし」だったのですが、その後、厚労省側の見解として「強制力ありの解釈もできる」みたいなものが出されているようなのです。
家族と共にスペインに渡航していた本島中部在住の10代女性が新型コロナウイルスに感染したことに関連し、厚生労働省は23日、検査中に成田空港を離れた一行の行動について「検査自体を拒んだとも解釈できる」と述べ、検疫法に抵触する可能性があるとした。
検査中は強制力のある待機が求められる状況だったとした一方、「実際にどういうやりとりをしていたかは調査中」とし、移動した背景や事情も含めて総合的に判断するとした。
スペイン旅行の家族、新型コロナ検査中に移動は検疫法に抵触も 成田で結果待たずに沖縄へ – 琉球新報 – 沖縄の新聞、地域のニュース
同省は検査を巡るやりとりの詳細は調査中とし、今回のケースが直ちに違法かどうかは明言しなかった。待機要請に応じず空港を離れた事例は初という。
同省担当者は、指定場所から離れないことなどを記した資料を使って家族らに説明したとし「待機指示とも受け取れる」と話した。
休校中にスペイン旅行の家族、検疫法に抵触か 成田で検査結果待たずに沖縄へ出発 | 沖縄タイムス+プラス ニュース | 沖縄タイムス+プラス
正直、あとから強制力について「こうも解釈できる」と言い出すようなレベルなのだったら、強制力があったとしても必要な手続きについて杜撰だった可能性がとても高いと思われますし、少なくとも今回の手続き中にそこが意図されていたとは思えないので、できるとしても次回以降の手続きが変わるということぐらいではないでしょうか。
ただ、待機要請に強制力があるかどうかに関わらず、空港検査以外も含め、検査中の結果が出るまでの時間、どうやってきちんと待機させるか、というのは「自主的な負担」に頼らない形も検討したほうがいいように思います。
しかし要請はあくまで「お願いベース」と県。強制力はなく一行はそのまま沖縄に移動した。県保健医療部の砂川靖部長は、一行ら家族への直接の聴き取りはまだとしつつ「乗り継ぎ便が決まっていたことが大きかったのでは」とみる。
検査結果が判明したのは20日午後11時ごろで、要請に従えば一行は空港内の指定スペースでほぼ1日待機しなければならず、乗り継ぎ便をキャンセルする必要があった。
航空便変更や宿泊費用は自腹で、さらに検査で陰性でも、2週間、自宅などでの待機が必要となる。公共交通機関を使わなければ帰宅できない今回のような事例は、2週間分の宿泊費用も自腹で負担しなければならない可能性もあった。
砂川部長はこうした事情を踏まえ「要請に応じなかったことへの見解は難しい」と言葉を選びつつ「他人に感染させない観点から協力はしてほしかった」と述べた。
飛行機代、宿泊費の「自腹」が負担に? 新型コロナ、強制力ない空港待機 沖縄に再び緊張感 | 沖縄タイムス+プラス ニュース | 沖縄タイムス+プラス
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