真山勇一議員の質疑で振り返る特定秘密保護法の不安点

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2013年11月05日の法務委員会での質疑。この部分に入る前には婚外子の相続に関して政府の尻を叩くような感じの質疑だったのですが、それに続いて、特定秘密保護法についての質問を行っていました。

 

情報公開とのバランス

 

今回見ていますと、この秘密保護法案は情報公開よりも更にもう先へ行ってしまっていて、御存じのように、私がこれまで内閣府や関係省庁からの担当者の御説明を受けると、例えば何が秘密ですかと聞くと、それは秘密だから言えない。それから、例えば罪に問われて逮捕されたりする。何で逮捕されたのか、それは秘密だから何で逮捕されたかは言えない。そして、さらに裁判になりますね。裁判になったとき、弁護士がどういう罪で起訴されているのか知りたいと言ったら、それも公開できませんという、そういう答えをいただいたんですが、司法の立場でこういう認識で、大臣、よろしいんですかね。

この質問をする前に、谷垣禎一法務大臣(当時)が過去の論文の内容を問われた際の答弁で『民主主義の下で情報公開の制度と併せて議論しなきゃいけないんじゃないかということを申している』と述べたのです。

真山勇一氏はそれを受けて『確かに情報公開と秘密保護は併せて考える必要がある。で、併せて考えた結果、情報公開を阻害する制度になっているのではないか?』ということを聞いたわけです。

ちなみに、今後の答弁もそうなのですが、谷垣禎一法務大臣(当時)の答弁は

私は閣議の一員として、これを閣議では認めたわけでございます。それで、連帯して責任を負うことはもちろんでございます。ただ、ここは権威ある国会の委員会で、国務大臣として答弁するからには、それだけの責任を持たなければいけません。
 それで、私は、この立法に関しては、どういう経緯でどういうような議論の上でここまでできたのか、概括的な報告は受けておりますが、細かなことにきちっと詰めた議論をする能力も責任も持っておりません。したがって、ここで国務大臣としてお答えすることは差し控えたいと、担当大臣との間で議論を進めていただきたいと、このように思っております。

『閣議決定では了解したけど、議論は知らないから答弁しません。』という、どうしようもない答弁でした。これは最後まで貫かれている姿勢です。閣議決定された法案について、法務の観点からすら答弁を拒否するというのは、縦割り行政以下の、言質を回避していくだけの無責任行政のように思えるのですが、どうなんでしょうかね・・・

 

何も考えず、何も研究していない法務省

 

犯罪になるとやっぱり捜査があって、起訴されて裁判というと、裁判のところもあるわけなので、やはり一つは、今回の法案を作るんでしたら、やはり守ることと同時に、それが破られたときにどう法律が機能していくのかということも考えなくてはいけないわけなんですけれども、その点からいくと、やはりその秘密のために裁判に様々な障害というか、なかなか難しいところ、これまでの何か裁判のやり方と違うような事態が起きてくるんじゃないかということが予想されるんですが、そういうことはいかがでしょうか、考えておられるんでしょうか。

○国務大臣(谷垣禎一君) 捜査等々は当然できた法律に従って行わなければならないわけですね。それ以上のことは今考えておりません。

 

ここらへん、悪印象をどうにかしようとする気もない『何も考えてません』答弁がどうしようもないな、という印象が強いです。またこれに続く質問、答弁も悪印象を強めます。

 

 法律ってやっぱり成立してしまっては、こういう、何というんですか、一つの流れで犯罪、法律である規則ができて、罰則ができて、その罰則をどう適用するかということは私は一つのセットだと思っているんですね。その取り締まる方だけ一生懸命決めて、あと、じゃ、もしその違反があって、その裁判、司法の問題になったときどうするかということも当然一つの大きなパッケージというか流れで考えていないと、法律としては私は不備があるんじゃないかなというふうに思っているんですけれども。
 これまでの政府の担当の方の説明を聞いていると、どうしても、秘密を守る、漏れちゃいかぬということは確かに分かるんですけれども、そのために、何もかもがやみの中にあって、結局、じゃ、裁判になったらどういうふうになるんだということがまるで分からないし、逆に言うと不安がいっぱいなわけですね。それこそ、大臣がおっしゃったように、情報公開してあれば、それは五年後に見直して発表するとか、三十年後にどうするかということがありますけれども、今の段階ですと、秘密のものは秘密のままということが強いんですけれども、それで果たして、その裁判になったときに、本当に公正で正しい裁判が行われていかれるのかどうか、そういう不安とか心配、これは国民誰もが持っていると思うんですよ。
 その辺りを考えるのは、逆に言ったら、これは法案自体が法務省の担当ではありませんというよりは、やはりその辺りを考えていただくのが逆に言うと法務省じゃないかと思うんですけれども、いかがでしょうか。

○国務大臣(谷垣禎一君) それは、この法案でもそうでございますし、あるいは国会の中で議員立法で作っていただく法律もそうでございますが、審議を、何というんでしょうか、並行しながらどうやっていくかということも検討していくわけでございます。もちろん、しかし、私どもも併せて研究はしなければなりませんが、まずはやはりそういう御疑問は担当閣僚との間で闘わしていただきたいと、このように思っております。

研究もするけど、法務省は責任持てません、こういう事しか法務大臣は言わなかったわけです。誤解も何も『その疑惑を解くための材料を持ち合わせていなかった』と見てもおかしくない対応だと私は思います。

また、何度も繰り返される、担当大臣と詰めてくれという内容の答弁を聞くと『なんで法務大臣が特定秘密保護法の担当大臣にならなかったのだろう』という疑問ばかり浮かぶわけです。

当時、総理は『総合的にいろいろ考える必要があるから』みたいな事を理由として述べていたわけですが、法律の内容的にも法務大臣が責任を持つ体制にしたほうがバランスが取れているという印象が出来てよかったのではないでしょうか?

大臣はこうも言っています。『起訴事実も分からず証拠もなければ裁判ができるとは私は思っておりません。ただ、その辺をどう仕組んでいくかは、是非是非、担当閣僚との間で御議論をいただきたいと思っております。』全く証拠を示せない答弁しかできていないんです。で、担当閣僚とやってくれ、と逃げる。閣議決定ってなんなんだろう、と思わざるを得ません。

行政と司法の関係性を示唆する内容

やはりもう一つ心配なのは、法案の中に、行政機関の長は次に掲げる場合に限り特定秘密を提供することができるということなんですね。そうすると、拒否も、提供しなければならないじゃなくて、提供することができるということなので、しない場合もあるわけなんですけれども、やはり行政の長の権限がこういう裁判とか司法に係る部分で強くなってくると、いわゆる、先ほどもおっしゃっていましたけれども、国の三権分立ですね、その三権分立で、立法、行政、司法とあって、この法案ができることによって行政の方が強くなってしまって、司法が、何ていうんですかね、様々な形で影響を受けてしまって正常な動きができなくなってしまう、余りにも行政の権限が強くなって三権分立が守られなくなるような私は危惧を感じるんですけれども、いかがでしょうか。

 

こういう欠陥だらけとも言えるようなまんまで法案を進めていくというのはやはり問題であると思うし、特にやはり司法の立場である谷垣大臣、法務委員会、法務省というのは、これにある程度積極的にかかわりを持ってやっていく、いただきたい。谷垣大臣の昔の論文を見ていると、私はその意気を感じていて、是非やってもらいたいと思うんですが、いかがでしょうか。

 

○国務大臣(谷垣禎一君) 先ほどから同じことばかり御答弁申し上げて誠に申し訳ございませんが、きちっと国会でこの制度設計について議論を詰めていただきまして、そして私どもは、まさに一般論ということになるわけですが、検察、当然、具体的にじゃ捜査もしなければいけないわけですね。それで公判を維持しなきゃいけない。検察当局においては、やはり法令の規定に基づいて、法と証拠に基づいてやっていくということになると思います。それ以上は、制度設計を最後は詰めていただきたいと、このように思っております。

 

ココらへんの質問と答弁を見るに、司法は立法された法律に従うのみ、そして立法を司る立法府は行政権を握った与党により独占され、ほぼ一体化している。要するに三権分立は消え失せ、行政権がトップにあり、それに司法と立法府が従っているのが現状といえるのではないだろうか?(司法府が違憲判決で一刺しすることも出来るが、所詮一刺しにしかならないわけで・・・)

このような事態を見るに、菅直人氏の『議会制民主主義は期限を切った、あるレベルの独裁を認めること』という持論の内容が、結局それを否定した自民党下でも繰り広げられている、しかも民主党より巧みな形で、という風に見るしか無いのではないだろうか。

そういう感覚を思い出すのに、この質疑は最適な内容だった。

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