軽減税率 3党合意にも違反していない : 社説 : 読売新聞(YOMIURI ONLINE)
読売新聞の12月19日の社説。自社が推進してきた新聞への軽減税率を擁護するために必死になっているのですが、必死になりすぎて筆が完全に滑っていて、様々な人の不評を買っています。
最後の締めの文『見過ごせないのは、枝野氏が新聞への軽減税率適用に関して、「新聞よりも水道や電気が必需品だ」と発言していることだ。民主主義や活字文化を支える重要な公共財である新聞や出版物に対する理解を欠いていると言わざるを得ない。』は様々なツッコミがすでに行われているようなので、私は政策的な部分を。
この社説では、軽減税率の代替案?として提示されている給付付き税額控除について批判しているのですが、その批判の中にある給付付き税額控除の特徴がおかしいのです。
そのおかしい部分は以下の文章です。
給付付き税額控除は、所得を正確に捕捉できなければ、不正受給の恐れがある。対象の線引きが政治裁量となり、大盤振る舞いになる可能性も指摘される。政権担当時に「子ども手当」などが頓挫した経験を思い起こすべきだ。
所得を正確に捕捉できなければ、不正受給
ここで、読売新聞のサイトに掲載されている『マイナンバー制度』についての政策の効果を引用します。
マイナンバー制度は、「公平・公正な社会の実現」を目的の柱に掲げている。所得の捕捉を正確に行い、本当に困っている人を援助するという趣旨だ。
番号を連携させることで公平で公正な税や社会保障の制度を実現することが目的であって
国民一人ひとりの所得を正しくつかんで税金を集め、社会保障にかかるお金を正しく配ることなどが目的です。
徴税の適正化も狙いの一つ。所得の正確な把握や、扶養親族などに関する誤った申告の是正が容易になり、公平性が高まるとされる。
この通り『所得を正確に捕捉できなければ』を解消するのがマイナンバーなはずなんですが、そこを未だに心配するということは、マイナンバーについての批判なのか、そもそもマイナンバーについて忘れていたのか、どちらなのでしょうかね?
対象の線引きが政治裁量となり、大盤振る舞いになる可能性
ここで、読売新聞が推進している軽減税率についての報道を振り返ってみましょう。
消費税の軽減税率を巡る与党協議が、公明党の主張を「丸のみ」する形で決着したことについて、自民党内で不満がくすぶっている。
今回の軽減税率をめぐる議論では、軽減税率の対象を「生鮮食品」に絞る方針だった自民党が、「加工食品」にまで広げるよう強く求める公明党に大幅に譲歩する形となりました。政府・与党が確保している財源は4000億円ですが、対象を広げた結果、1兆円が必要となり6000億円の財源探しが最大の課題となります。この点についても、「結局は公明党の協力なしに来夏の参院選などを戦えない自民党が妥協しただけ」「財源確保の見通しもつけずに対象を広げるとは。これでは財政再建などおぼつかない」などの批判がありました。
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こういう報道を振り返るに、軽減税率も政治裁量以外の何物でもないでしょう。というかそもそも政策というのは程度の差はあれど政治裁量がつきものです。
それを考えるに線引の内容が『税額控除対象』という個人の属性部分に限定できる給付付き税額控除のほうが、物品への税率で様々な業界を振り回すことの出来る軽減税率よりも政治裁量の程度が低いといえるのではないでしょうか?
また、大盤振る舞いという形でも批判していますが、増税分を社会保障に回す前提だったはずなのに、給付付き税額控除のような、再分配制度で大盤振る舞いするなというのは、増税の意義を否定する行為に近いように私には思えます。
しょっぱい軽減(据え置き)税率で痛税感なるもののお茶を濁すよりも、きちんとした給付付き税額控除で税を納めるメリットがきちんとあることを目指すのが『政治裁量』から抜け出す近道なのではないでしょうか?
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