権利保護の緊縮削減に反対するブログ

興味乱舞に引きこもれず

政策・思想 国会 行政

国家公務員法等改正案に含まれる検察庁法関連の改正案と黒川検事長の関係

29views

投稿日:

この記事の所要時間: 1712

黒川検事長の勤務延長の話については、以前にもブログを書いたのですが、今回の国家公務員法等改正案に含まれている検察庁法改正案に関するハッシュタグが盛り上がったので、この改正案について書きます。

はじめに

今回、この記事を書くにあたって、引用しなかったものの、参考にした記事を貼ります。

(以上、はじめにでした。)

まず、今回、安倍政権が提出した「国家公務員法等の一部を改正する法律案」にて、検察に関係する改正ざっくりいうとこの朝日新聞の社説の説明のようなものだ。

法案は、▽検察官の定年を63歳から65歳に延ばす(検事総長は65歳のまま)▽63歳になると次長検事、高検検事長、地検検事正ら幹部はポストを退く「役職定年制」を設ける▽ただし政府が「公務の運営に著しい支障が生ずる」と認めれば、特例でその職を続けられる――というものだ。

(社説)検察庁法改正 政権の思惑を許すな:朝日新聞デジタル

特に今回出回っているような、黒川氏の定年延長問題についての図に関わる改正は3つ目の特例延長の部分でしょう。

ここでは職業定年制の延長だけではなく、現行の『国家公務員法81条の3項』、黒川検事長の勤務延長時に使用した、定年退職の特例の条文を、検察庁法内で規定の適用をする際の、国家公務員法の条文の読み替え方について定めた条文の新設も含まれています。

こういう図柄をきゃりーぱみゅぱみゅさんとかがツイートしてましたね。誰が作ったんだからさっぱりですけど…

(定年による退職の特例)

第81条の7 任命権者は、定年に達した職員が前条第一項の規定により退職すべきこととなる場合において、次に掲げる事由があると認めるときは、同項の規定に関わらず、当該職員に係る定年退職日の翌日から起算して一年を超えない範囲内で期限を定め、当該職員を当該退職日において従事している職務に従事させるため、引き続き勤務させることができる。ただし、第八一の五第一項から第四項までの規定により異動期間(これらの規定により延長された期間を含む。)を延長した職員であって、定年退職日において管理監督職を占めている職員については、同条第一項又は第二項の規定により当該定年退職日まで当該異動期間を延長した場合であって、引き続き勤務させることについて人事院の承認を得たときに限るものとし、当該期間は、当該職員が占めている管理監督職に係る異動期間の末日の翌日から起算して三年を超えることができない。

一 前条第一項の規定により退職すべきこととなる職員の職務の遂行上の特別の事情を勘案して、当該職員の退職により公務の運営に著しい支障が生ずると認められる事由として人事院規則で定める事由

二 前条第一項の規定により退職すべきこととなる職員の職務の特殊性を勘案して、当該職員が占める官職の欠員の補充が困難となることにより公務の運営に著しい支障が生ずると認められる事由として人事院規則で定める事由

② 任命権者は、前項の期限又はこの項の規定により延長された期限が到来する場合において、前項各号に掲げる事由が引き続きあると認めるときは、人事院の承認を得て、これらの期限の翌日から起算して一年を超えない範囲で期限を延長することができる。ただし、当該期間は、当該職員に係る定年退職日(同項ただし書に規定する職員にあっては、当該職員が占めている管理監督職に係る異動期間の末日)の翌日から起算して三年を超えることができない。

③ 前二項に定めるもののほか、これらの規定による勤務に必要な事項は、人事院規則で定める。

(国家公務員法改正案81条の7)

② 検事総長、次長検事又は検事長に対する国家公務員法第八十一条の七の規定の適用については、同条第一項中「に係る定年退職日」とあるのは「が定年に達した日」と、「を当該定年退職日」とあるのは「を当該職員が定年に達した日」と、同項ただし書中「第八十一条の五第一項から第四項までの規定により異動期間(これらの規定により延長された期間を含む。)を延長した職員であつて、定年退職日において管理監督職を占めている職員については、同条第一項又は第二項の規定により当該定年退職日まで当該異動期間を延長した場合であつて、引き続き勤務させることについて人事院の承認を得たときに限るものとし、当該期限は、当該職員が占めている管理監督職に係る異動期間の末日の翌日から起算して三年を超えることができない」とあるのは「検察庁法第二十二条第五項又は第六項の規定により次長検事又は検事長の官及び職を占めたまま勤務をさせる期限の設定又は延長をした職員であつて、定年に達した日において当該次長検事又は検事長の官及び職を占める職員については、引き続き勤務させることについて内閣の定める場合に限るものとする」と、同項第一号及び同条第三項中「人事院規則で」とあるのは「内閣が」と、同条第二項中「前項の」とあるのは「前項本文の」と、「前項各号」とあるのは「前項第一号」と、「人事院の承認を得て」とあるのは「内閣の定めるところにより」と、同項ただし書中「に係る定年退職日(同項ただし書に規定する職員にあつては、当該職員が占めている管理監督職に係る異動期間の末日)」とあるのは「が定年に達した日(同項ただし書に規定する職員にあつては、年齢が六十三年に達した日)」とし、同条第一項第二号の規定は、適用しない。

③ 検事又は副検事に対する国家公務員法第八十一条の七の規定の適用については、同条第一項中「に係る定年退職日」とあるのは「が定年に達した日」と、「を当該定年退職日」とあるのは「を当該職員が定年に達した日」と、同項ただし書中「第八十一条の五第一項から第四項までの規定により異動期間(これらの規定により延長された期間を含む。)を延長した職員であつて、定年退職日において管理監督職を占めている職員については、同条第一項又は第二項の規定により当該定年退職日まで当該異動期間を延長した場合であつて、引き続き勤務させることについて人事院の承認を得たときに限るものとし、当該期限は、当該職員が占めている管理監督職に係る異動期間の末日の翌日から起算して三年を超えることができない」とあるのは「検察庁法第九条第三項又は第四項(これらの規定を同法第十条第二項において準用する場合を含む。)の規定により検事正又は上席検察官の職を占めたまま勤務をさせる期限の設定又は延長をした職員であつて、定年に達した日において当該検事正又は上席検察官の職を占める職員については、引き続き勤務させることについて法務大臣が定める準則(以下単に「準則」という。)で定める場合に限るものとする」と、同項第一号及び同条第三項中「人事院規則」とあるのは「準則」と、同条第二項中「前項の」とあるのは「前項本文の」と、「前項各号」とあるのは「前項第一号」と、「人事院の承認を得て」とあるのは「準則で定めるところにより」と、同項ただし書中「に係る定年退職日(同項ただし書に規定する職員にあつては、当該職員が占めている管理監督職に係る異動期間の末日)」とあるのは「が定年に達した日(同項ただし書に規定する職員にあつては、年齢が六十三年に達した日)」とし、同条第一項第二号の規定は、適用しない。

国家公務員法改正案の81条の7の定年延長の事由として定められている、「公務の運営に著しい支障が生ずる」というのは、黒川検事長の定年退職の問題の際に議論になった結果、森雅子法務大臣の法務省が確認した事実と異なる事実認識が飛び出した議論の例と一致するんですよね。

9日の参院予算委員会で、問題の発言が飛び出すまでのやりとりを再現してみよう。立憲民主党などでつくる会派の小西洋之氏(無所属)が①国家公務員の定年を60歳から65歳に引き上げる国家公務員法(国公法)の改正に伴い、法務省は検事総長以外の検察官も定年を63歳から65歳にする検察庁法の改正を検討した、②その際、今回黒川氏に適用された国公法の勤務延長制度は必要ないと決定し、昨年11月に内閣法制局の審査も終わった、③ところが、12月から黒川氏の勤務延長を検討し始め、1月には、勤務延長を含む国公法の定年制は「検察官に適用されない」とする従来の法解釈変更を法制局に相談した、④さらに検察庁法改正案に勤務延長制度が追加される-という経過をたどったと指摘した。

その上で小西氏は、②までは検察官に必要ないとされていた勤務延長制度が④で必要であるに変わった理由を尋ねた。これに対し、森氏は「(改正案の)通常国会提出に向け、改めて勤務延長制度などをどのように取り扱うかを考える前提として、昨年12月頃から国公法と検察庁法との関係を検討する中で、社会情勢の変化または法律の文言の有無、法律の趣旨などを検討した結果、勤務延長制度(導入方向)への解釈をした」と答弁。そこで「昨年11月、内閣法制局で担当部長の審査が終わった段階で、勤務延長は一言も条文にはなかった。そこからどのような社会情勢の変化があって、日本中の検察官に勤務延長が必要になったのか。聞いたことだけに答えてください」 と小西氏がただした。

法務省の川原隆司刑事局長がいったん答弁に立ったが、委員会室が紛糾し、与党の理事に促される形で答弁に立った森氏はこう答えた。

 「社会情勢の変化とは(国公法に定年制の規定が加わった)昭和56(1981)年当時と比べどのように変わったかということで、例えば、東日本大震災のとき、検察官は福島県いわき市から、国民が、市民が避難していない中で、最初に逃げたわけです。そのときに身柄拘束をしている十数人を理由なく釈放して逃げたわけです。そういう災害のときも大変な混乱が生じる。国際間を含めた交通事情は飛躍的に進歩し、人や物の移動は容易になっている上、インターネットの普及に伴い、捜査も多様化、複雑化していることを申し上げておきたい」

 森氏は「検察官が逃げた」という発言部分では、手元の答弁書から目を上げ、早口で勢いよく言い立てた。法務省が用意した答弁書にはない内容だったのだろう。委員会室は騒然となり、金子原二郎委員長が森氏に対し「質問に的確、適切に答えるように」と注意した。

森法相、頭の中が混乱? 野党時代の「検察官は逃げた」口走る | 2020/3/13 - 47NEWS

一方、今回の法改正について、反対派(サヨク)をバカにするという目的のために、反対派により盛り上がった政府批判を見つけると、政府の言い分のような正しい事実関係をツイートしてくださる人と私が認識している法哲学者の大屋雄裕氏の説明に依るとこういうことだといいます。

今回の法律は以前から色々とあった動きがまとまったもので、特定の政権の意向とは無関係である、という前提を固めた上で色々と説明しておられます。

ただ、そうとは読めないようになってしまった理由がこの法改正が話し合われることを内閣が知っていたタイミングで発生しているわけです。

今回の法改正で、「国家公務員に(最終的に)定年を合わせて、役職定年を作成し、例外規定も作る」という話は、一見一般的なものではありますが、スケジュール通りにやったことにより、『結果的に検察官も通常の公務員人事制度の一部だということが確認され』ることにより、黒川検事長の定年延長を事後承認するかのような形になっているのです。

これは本当にたまたまなんですかね?というのが当時野党が追及していた点でもあって。

本当は黒川検事長の話が先で、その調整中に、検察庁法も揃えることになったんじゃないですか?という議論が、上で森雅子氏の発言の議論だったのです。
(引き出した小西洋之議員は、当時「検察官が逃げた」発言でこの議論の印象が薄れたことに対して「本当はこっちが重要なんです!」みたいなツイートをしていた記憶があります。)

これは大屋氏の「関係官庁の議論がまとまったのは2018年」以降の話なんですよね。

政府が今国会で成立を目指す検察官の定年を63歳から65歳に引き上げる検察庁法改正案に関し、昨年10月ごろの法務省の当初原案には定年延長規定が含まれていなかったことが9日の参院予算委員会で明らかになった。

 その後、今年1月に黒川弘務・東京高検検事長の定年が法解釈の変更で半年間延長されており、野党は改正案が当初案から変わったのは「つじつま合わせ」だとの批判を強めている。

検察庁法改正案 昨秋は定年延長盛らず 野党、急な変更批判 - 毎日新聞

このような法律の関係性の議論は、自民党の総務会でも発生して、一度議論が持ち越しになっています。
ただし総務会長が「次の総務会で承認したい」と言って、そのとおり全会一致承認とすんなりすっ転んでいるのですが。
(初回の政府側の理屈建てが雑だったのか、こうなった理由がさっぱりわかりませんが、初回の説明と了承時の説明で、どういう「整理」がなされたのか気になりますね。)

自民党は6日の総務会で、検察官の定年63歳を65歳へ引き上げる検察庁法改正案の了承を見送った。国家公務員法の解釈を変更して黒川弘務東京高検検事長の定年を延長した閣議決定に関し「三権分立を脅かす」と異論が出た。両法の関係についても質問が相次ぎ、理解を得られなかった。10日に再び審議する。

 出席者によると、首相官邸に近く、検事総長起用も想定される黒川氏の定年延長について「官邸の人事介入だ」「99パーセントの国民がおかしいと思っている」と批判が出た。政府が説明した両法の関係にも「分かりやすく整理されていない」(鈴木俊一総務会長)と不満が上がった。

検察官の定年延長、自民了承せず 閣議決定に「三権分立脅かす」 | 2020/3/6 - 共同通信

自民党は10日の総務会で、検察官の定年63歳を65歳へ引き上げる検察庁法改正案を了承した。6日の前回総務会では、国家公務員法を解釈変更した黒川弘務東京高検検事長の定年延長に「三権分立を脅かす」と異論が上がり、了承を見送っていた。今回は政府が法案の定年延長について「黒川氏の人事とリンクしていない」と説明した。

 黒川氏の定年延長判断に対し、村上誠一郎元行政改革担当相が異議を唱えた上で退席した。国会審議が紛糾している中での法案提出に慎重論も出たが、最終的には出席者の全会一致で了承した。

自民、検察官定年延長を一転了承 「黒川人事と無関係」 | 2020/3/10 - 共同通信

この自民党の微妙な息抜きのような態度も、根本として疑念がなければ起きないわけで、そのような疑念が自民党議員以外解けないまま国会に提出された結果が、今回のハッシュタグ流行の布石となったと言えるでしょう。

で、こういう部分の議論について、内閣官房が提出した今回の改正案の概要や要綱では「・検察官、防衛省の事務官等についても、同様に定年の引上げ等を行う。」「検察官の定年を段階的に年齢六十五年に引き上げることとする等、所定の規定の整備を行う」といった「等」にこういう部分が含まれてしまっているの、私は『黒川検事長の件が閣議決定されたことで一通り議論は終わったから「等」でいいよね』としているのだと穿って読んでしまいます。
実際は「メインは定年延長だから、その他のことはどうでもいいよね」程度なのかもしれませんが。

しかし、国会でも本会議での審議入りの段階での質問では(このときは政府与党、法務大臣に質問してもオッケーだったんですね。このあと、委員会審議では、内閣委員会に法案が付託され、武田良太国家公務員制度担当大臣のみの出席となり、法務委員会との合同委員会にして、法務大臣を出席させて検察庁法改正案の審議をしたい野党の審議拒否につながるのですが。)

この中で、検察庁法の改正案について、国民民主党の後藤祐一氏は「国家公務員法の定年延長の規定を検察官にも適用するとしているが、今後、検察官に定年延長の規定を適用する場合、内閣の意向が反映される可能性があるのではないかという国民の疑念を、どう払拭(ふっしょく)していくつもりか」とただしました。

これに対し、森法務大臣は「検察官の定年延長ができるのは、内閣が定める事由、または法務大臣が準則で定める事由があると認めるときに限られ、それらの事由は事前に明示することとされていることにより、乱用が防止されており、適正に運用されるものと考えている」と述べました。

国家公務員や検察官の定年引き上げの法案が審議入り | NHKニュース

ここまで書いたことがすべて、黒川検事長の勤務延長問題に関係していて、拡散されている画像も黒川検事長の勤務延長問題であることからもわかるように、メインは、黒川検事長の勤務延長問題であって問題となっている検察庁法改正案は、「黒川検事長人事の副産物」とも言えますし、偶然タイミングがかぶってしまったものである可能性もあります。

ですので、本筋は黒川検事長のの閣議決定取り消しを求めるのが筋だとは思いますが、実際に閣議決定は行われ、黒川検事長が延長後も権限の行使を行っている以上、それを行うのは困難なのではないか、と日本維新の会の串田議員が言っていて、「なるほどな」と思いました。(2016年の参院選のおおさか維新全国比例で出馬したときの選挙公報で「串カツは二度付け禁止」とキャッチフレーズを書いているのを見て、独特なセンスだな、と思ったのが強烈に記憶に残ってます。)

そう考えると、実際に黒川検事長が定年延長してしまった時点がタイムリミットだったとも言えるのですが、その上で、現状できることは、やはり二度と同じ事を起こさせない、次は許さない、今回のことも許していない、という意思の表明といいますか、何らかの跡を残すことなのではないかと思うのです。

そう考えた上で、現状何ができうるかというと、この黒川検事長の勤務延長で使われた法律や政府見解が関わっている、似たような問題が起きかねない、現在国会の土俵に乗っている検察庁法改正案への抗議という形として出すしかないのかな、と思いました。
(このハッシュタグが流行ったのには「反対」ではなく「抗議」だったことも重要なのかな、とふと思いました。「反対」ではなく「抗議」であることにより、よりふわっとした多様な思いが乗せられやすいのかな、的な。)

私は、このハッシュタグに乗った思いが、虚しさ・失望・諦念・後悔・転向(?)などにならず、遠くない未来に何らかの形になることを願っています。(実際には、願うだけではないですけど)

おまけ

黒川氏関連の人事について、2016年にも色々官邸の意向が語られてる記事があるのを知りました。あの人なんなんですかね…

-政策・思想, 国会, 行政
-, , , , , ,

関連記事やアドセンス等の広告

Copyright© 興味乱舞に引きこもれず , 2020 All Rights Reserved Powered by STINGER.