2020/04/12、このような動画を、安倍総理がSNSに上げ、様々な反応を引き起こしました。
(最近、スポーツ新聞を買う層に受けるネタの傾向が変わっているような・・・?)
これ、当初私はツイッター上の出来事として捉えていて、官房長官会見でもTwitterの指標が正当性強化の材料として官房長官から持ち出されました。
菅義偉官房長官は13日午前の記者会見で、安倍晋三首相がミュージシャンの星野源さんの「うちで踊ろう」の楽曲に合わせ、自身の動画を投稿していることについて、「ツイッターでは過去最高の35万を超える『いいね』をいただくなど多くの反響がある」と述べ、批判の対象には当たらないとの認識を示した。
「いいね、35万超」菅長官は反響を強調 首相動画:朝日新聞デジタル
しかし、これちょっと様相が違うのでは?と思ったのは、朝日新聞の記事を見たのがきっかけでした。
新型コロナウイルスの感染拡大で政府が外出自粛を呼びかける中、安倍晋三首相が12日、ミュージシャンの星野源さんが歌う「うちで踊ろう」の動画に合わせ、東京・富ケ谷の自宅でくつろぐ様子を首相官邸のインスタグラムや自身のツイッターなどに投稿した。これに対し、「政治利用するな」「くつろいでいる場合じゃない人が日本にはたくさんいますよ」などと批判的なコメントが相次いだ。
首相は、愛犬を抱いたり、読書したりする様子の動画を投稿。首相官邸のインスタグラムには、「友達と会えない。飲み会もできない。ただ、皆さんのこうした行動によって、多くの命が確実に救われています」と自宅待機を呼びかける首相のメッセージが添えられた。
この投稿に、ネット上では批判が殺到。立憲民主党の蓮舫氏は自身のツイッターで「自宅でくつろいでいる様子で、国民も自宅待機をして欲しいと言うのか」と疑問を示した上で、「自身の自宅映像や芸能人映像ではなく『自粛と補償はセット』の政策を」と苦言を呈した。また、自民党からも「今ここで首相がゆったりとくつろいでいる姿を見たい人がいるだろうか。『それは違う』って誰か言えなかったのか」(中堅議員)との声が漏れた。
「うちで踊ろう」安倍首相もインスタ投稿 批判相次ぐ(朝日新聞デジタル) – Yahoo!ニュース
こんな感じで、朝日新聞はインスタグラムをタイトルに持ってきてTwitterはサブであるかのように書いているんです。
ちなみにTwitterのアカウントは安倍晋三という個人名義のアカウントである一方、インスタグラムの方は首相官邸という官邸単位のアカウントであるという違いがあります。
その違いがある中で、朝日新聞は別な記事にてこのような情報を出しています。
動画は11日、首相の自宅で撮影された。政府関係者によると、「うちで踊ろう」が話題になっていることを受け、首相の姿を投稿しようというアイデアが官邸内から出たのだという。
その動画に、与党内からも批判が噴き出している。自民党参院幹部は「店を閉めなきゃいけない状況の人と感覚がズレている」。同党若手議員も「この状況でなぜあんなに優雅なのか。足を組んでティータイムなんて共感されない」と突き放した。
星野源さんとのコラボ動画、首相に自民幹部「ズレてる」:朝日新聞デジタル
政府関係者曰く『アイデアが官邸内から出た』とのことです。
そして、官邸内には、インスタグラムがウケた事で一時期話題になったSNS担当チームがあります。これを朝日新聞の記事を読んで思い出しました。
「女子高生やギャルはいません」と笑うのは、内閣官房 内閣広報室のOさん。実際は30歳前後の男性10人弱が、Instagramの他、Twitterなど8つのSNSアカウント、内閣官房の公式サイト、メールマガジンを協力しながら運用している。
特にInstagramのアカウントは「伸び盛り」で、4月22日現在、16万人以上のフォロワーを抱えている。だがそのレベルに至るには、地道な試行錯誤があった。SNSを巧みに運用する中の人たちに舞台裏を聞いた。
「JKより上手い」「お役所感がない」首相官邸インスタが話題 “中の人”の正体に迫る
ただ、今回の動画のセンスと、このITMEDIAで語っている内容はちょっと乖離しているような気がしなくもないですが、Instagramへの投稿を確認すると、その投稿に付与されているハッシュタグのセンスに、このチームの関与を実感することが出来ます。
で、この動画の問題点なんですけど、政府は常々『不要不急の外出は避けろ』と言い続けて、結果的に、必要な仕事、必要な経済の維持に邁進しているように見えるわけです。
その割には、同時に「7〜8割削減」と言っていて、ダブルバインドとしか思えない状態になっているのが混乱と対策の困難さを助長しているように思うのですが。
で、総理大臣という役職に「不要不急」なものというのは、特にこのようないろんな自体が逼迫しているような自体ではとても少ないはずなのです。
様々な事情を抱えて労働してしまっている国民よりも
なのに、なぜか総理大臣自ら、日曜日とはいえ「不要不急」を避けて私邸でゆっくりしている様子を見せられている、という状況になってしまったわけです。
一部では遊びに出ている若者向けの発信なのでは、と言われていますが、他の世代への発信をせずに若者にだけこのような発信をしているというのは、どこか偏見を感じる気もします。
(動画の様子が、とてもつまらなさそうな表情に見えてしまうのが、特に「舐めてんのか」という感情を掻き立ててくるように思います)
ちなみに撮影は11日に行われたそうなので、正確には土曜日にゆっくりしていた様子です。
首相動静を確認すると、この日も総理は首相官邸に出向いて、仕事をしているわけです。
午前8時現在、東京・富ケ谷の私邸。朝の来客なし。
午前中は来客なく、私邸で過ごす。
午後2時42分、私邸発。
午後2時53分、官邸着。
午後3時4分から同31分まで、加藤勝信厚生労働相、菅義偉官房長官、西村康稔経済再生担当相、西村明宏、岡田直樹、杉田和博各官房副長官、北村滋国家安全保障局長、和泉洋人、長谷川栄一、今井尚哉各首相補佐官、樽見英樹新型コロナウイルス感染症対策推進室長、森健良外務審議官、鈴木康裕厚労省医務技監。同32分から同41分まで、西村経済再生担当相。同4時4分から同18分まで、新型コロナウイルス感染症対策本部。
午後4時19分から同33分まで、高市早苗総務相。
午後4時40分、官邸発。
午後4時52分、私邸着。
午後10時現在、私邸。来客なし。(2020/04/11-22:07)
首相動静(4月11日):時事ドットコム
休業補償などの問題がなんども指摘されていることも踏まえると、その日の仕事の内容を発信し、そのような必要な仕事を首相などが行っているから、市民は安心して休んでください、というメッセージなりが必要だったのではないでしょうか?
(ただ、仕事の内容を発信したところで『休業補償はしない』という趣旨の発言が出てきてしまうんでしょうが)
それらを考慮すると、首相が見本をしめすべきだったのは、休日を家で過ごすことよりも、テレワークなど外出削減、接触機会削減の見本だったのかな、と思います。
一方、安倍首相らしいと思ったのは、動画では本人は一切喋らずに、星野源の歌と本人の?文章でメッセージを発していることです。
私は、自分の考えていることを人に喋らせたり、他人の書いたものを読むこと、もしくは他人の決断に乗っかることに徹することで、その内容で自分にダメージが来るのを回避することを徹底しているのが安倍政権の一つの特徴だと思っていて、今回のコラボ便乗もそういう安倍政権らしいやり方のように考えます。
(一方、安倍総理が国会で野党を相手にしだすと、弱いものいじめ的に、調子に乗って余計なこと言い出すんですけど)
ちなみに、その手法のために何度も記者へのブリーフィングを撤回させられているのが、休校措置で振り回されたとされる、現文科大臣の萩生田光一氏です。
コロナ関連でも、例えば首相官邸にある動向の動画を見ると、ほとんどが記者団に一方的に言いたいことを言って去っていくか、対策委員会の締めの言葉で支持する形で新たな施策を打ち出していたりと、質疑応答しない発信が過半を締めているように見えます。
質疑応答しないというのは、単にそれだけの施策という話ではなく、安倍政権の相対的なパッケージとして、あまり情報公開はせず、裏側を忖度させる(ことで、都合のいいものを拾い上げて正史化する)という手法になっているように見えるのです。
その結果、説明が下手くそだからと施策について勝手に説明しだす官僚が現れたり、各新聞が裏側報道を加速化させたりと、収集がつかなくなりがちなのだろうと思うのです。
そのように政府見解に収集をつけないことで、自らへの評価を決定的にしないことも、結果として安倍政権の長期化施策の一つになっているように見えますが、それはもしかして、安保法制で熱心に説明に励んだ結果を受けてだったりするのでしょうか?
ちなみに
そもそも飼い主の宣伝にペットが利用されたときに「本当にペットを愛しているのか」「利用されたペットが可愛そう」という批判が飛ぶのはよくあることであり、なぜ総理大臣がすべてのペット好きの代表になっているのかさっぱりわかりませんが、そもそも総理大臣は曜日に関わらずほぼ毎日私邸に帰っていて、それが危機管理上問題であるだとか、公邸に幽霊が居るのかなんて議論(というか揶揄?)が起こっているのですが、本当に僅かな時間(撮影された11日は12時間以上私邸にいました)を大切にしているならば、動画撮影に費やさずゆっくりと過ごせばよかったのではないでしょうか?
一方、会談では民進党が、核実験当日に安倍晋三首相が自宅と首相官邸などを行ったり来たりしたことを問題視。危機管理の観点から常に首相公邸に泊まるよう求めた。
首相は核実験前日の2日は東京都渋谷区にある自宅に泊まった。3日午前に自宅から公邸に入り、トランプ米大統領と電話で協議した後、自宅に戻った。
しかし、北朝鮮が3日午後0時半ごろに核実験を行うと自宅から官邸に駆けつけ、国家安全保障会議(NSC)に出席。同日夕に再び帰宅した。夜になると再度公邸に入り、米ロの首脳と相次いで電話で協議し、そのまま公邸に泊まった。
民進「首相、公邸に泊まるべき」 核実験当日に自宅戻る:朝日新聞デジタル
(犬と昭恵夫人が公邸引っ越ししない原因なんて話もあったようですね)
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