外国人技能実習生の問題は労働問題

95views
この記事は約4分で読めます。

6月頃から、朝日新聞が外国人技能実習生制度について記事をいくつか書いています。

外国人技能実習生については、5月末に、三菱自動車で、本来計画されていた業務内容と本来行っていた業務が違うことを朝日新聞が報じています。
それ以降も同じ監理団体が扱う、多数の事例に似たような実態があることなど、朝日新聞は続報を一定期間ごとに記事にしており、力を入れていることがよくわかります。

「慣例」に引きずられる技能実習生 連携取れぬ現場と法:朝日新聞デジタル
 外国人技能実習制度での不正行為の疑いが、三菱自動車で明らかになった。実習現場の岡崎製作所(愛知県岡崎市)は制度を熟知せず、本社は現場に任せきり。チェック態勢もなかった。実習生を初めて受け入れた200…
「安い働き手」技能実習生を企業に紹介 監査する団体:朝日新聞デジタル
 自動車大手で発覚した外国人技能実習生の不正な働かせ方が、電機大手の日立製作所の現場にも広がっている疑いが明らかになった。技術者を夢見て来日した実習生からは、日立と監理団体に対する不満の声が上がる。国…
日立も技能実習不正か 目的外の職場に配置の疑い:朝日新聞デジタル
 日立製作所笠戸事業所(山口県下松市)で、一部の技能実習生が、目的の技能が学べない職場で働かされている疑いがあることが分かった。技能実習制度を所管する法務省は7月、技能実習適正化法に違反している可能性…

ちなみに、三菱自動車では、適正な実習計画に添えない実習生を、事前に決められていた実習期間分の給与を払った上で帰国させるという選択をしました。

他に計画通りの業務ができる部署に移動になっている実習生もいることから、帰国した実習生のほとんどは現地で実習目的以外の説得を受けて制度を利用していた人なのではないかと推測されます。
(「同じ時期に就労し連帯意識があったので」という帰国理由の方は、そこは怪しいと思いますが)

三菱自の技能実習生24人帰国へ 目的外の作業に従事:朝日新聞デジタル
 三菱自動車岡崎製作所(愛知県岡崎市)がフィリピン人技能実習生に実習計画外の仕事をさせていた問題で、三菱自は3日、実習生24人が途中で実習をやめ、週内に帰国すると明らかにした。本来の実習期間である来年…

このようなとこからは、現行制度の問題点に「本当に技能実習をしたい実習生」と「日本でお金を稼ぎたいがメインの実習生」とが混在してしまっていること、があることが把握できると思います。

一方で、実習生を受け入れている側にも多様な目的が混在してしまっています。

実習生を都合のいい労働者として利用したい層がいるというのはよく指摘されることです。
以下の有料記事でも実習生をひどい賃金(最低賃金以下、倒産による賃金未払いなど)で扱っている事例が出ています。

プチプラ服が抱える闇 時給400円、納品せかされ続け:朝日新聞デジタル
 多くの新品の服が売れ残り、廃棄されている。背景には、流行を追いかけ、より安く大量に供給する衣料市場の現状がある。その影響は、国内の製造現場で働く人の暮らしも脅かしている。 「プチプラおめかし服184…

上記記事の終盤にはこのような言及も存在しています。

男性は、いまの実習生制度にも疑問を持っている。「働けるのが3年とか5年では、育成して技術を身につけてもらうのも難しい。スキルを身につけてもっと長くいてくれれば賃金も上げられるのですが」

これと似たような意見を述べている人が出ているのが以下の有料記事です。

製造業、外国人実習生頼みの現実「終身雇用したいほど」:朝日新聞デジタル
 深刻な人手不足を背景に、製造業の中小企業で外国人技能実習生の受け入れが広がっている。技能実習制度の前提である「日本の技術を途上国に移転する国際協力」を意識しつつも、労働力として制度に頼らざるを得ない…

これらは、適正な労働者として雇用したいけれど、それができないので、仕方なく不完全な制度を使っているというケースに当たる。(裁縫業の方の事例はシンプルにそう言い切れるのか疑問もありますが)

このような業者は「現行制度を都合よく捻じ曲げて利用している」という点では同じですが、能動的か受動的かで、悪質さが変わるようにも思いますし、解決に向けて取るべき手段も違うように思います。

まず、受動的に行っている人をやめさせる場合、日本の労働環境そのものを改善する必要があるように思います。

例えば、以下のようなひどい研修が平然と受け入れられるような環境で一業者として生存しようとすると、労働者の弱みにつけ込んでハチャメチャな扱いをしたほうが経営に有益であるということを受動的に受け入れないとやっていけないような市場が出来上がってしまう可能性が高いように思います。
そして、そのような環境では一般の労働者は当然として、そこと比較して転職や作業内容等に様々な縛りがある労働者として受け入れられる外国人技能実習生が一般の労働者よりひどい扱いになってしまうのは明白であろうと思います。

過酷な社員研修、心身守るには 罵声・無視…追いつめられ退職:朝日新聞デジタル
 「ブラック」「軍隊のよう」とも形容され、パワーハラスメントや人権侵害の可能性がある過酷な社員研修がなくならない。新入社員だけでなく、中堅の管理職向けにもある。働き手として心身を守るため、何に気をつけ…

一方、能動的にやってる人にはとにかく指導や処罰する以外にできることはないと思うのですが、指導や処罰をしたところで業務が続く場合、例えば残業時間を指導された結果、仕事を減らすことなく残業禁止を指示するだけで結局労働者に圧力をかけることで問題解決してしまうようなアホなことにしかならなかったりするので、そういうところを改善しないと、労基署も活動しづらい中で実績だけを積み上げようと不毛な動きをして、結局労働環境改善になんら効果がない動きになってしまうというオチになってしまうのではないか、と思うのです。

少なくとも、そういう労働環境改善を行わないまま、受け入れ増加とかしても、社会は短期的に維持するものの、問題と犠牲者は増加していく、ということになってしまうのではないでしょうか。

移民ダメなのに働く外国人は拡大へ 陰に菅長官の危機感:朝日新聞デジタル
 外国人労働者の受け入れ拡大に向け、安倍政権が新たな在留資格の創設へ動き出した。人手不足に悩む業界や中小企業からの要望が、受け入れ拡大に消極的だった政権の背中を押した。働く外国人が急増し、日本社会の風…

コメント

タイトルとURLをコピーしました