総理などの本を執筆したジャーナリストを告発した方の記者会見について、真偽は別として、おかしい反応が見聞されるので、ここではその中のひとつにだけ言及します。
今回取り上げるのは、この印象操作のような反応です。
共謀罪に反対した、反政府の差し金だ、という理屈なのだろうと思いますが、日本の力って、下らないですね。
今回の記者会見をした方が共謀罪に言及したのは、スポーツ報知曰く以下の内容です。
また「今国会において共謀罪の審議が優先され、先送りになっている強姦罪の改正案がきちんと取りあげられるべき」と主張した。
これ、共謀罪をやめろが主眼ではなく、刑法改正案をしっかりやってくれ、という言及をしたという話ですよね?
性犯罪の当事者としては当然の発言になると思います。
また、これが『あっち側』の証明になるのであれば、連立与党内に『あっち側』がいた事になります。
公明党の井上義久幹事長は24日の記者会見で、「テロ等準備罪」を新設する組織犯罪処罰法改正案が付託される衆参両院法務委員会の運びについて、性犯罪の厳罰化を図る刑法改正案の成立を先行させる考えを改めて示した。
井上氏は「厳罰化は『魂の殺人罪』とも言われている性犯罪の抑止になる。被害者は一生それを背負っていかなければいけない深刻な問題もあり、成立への期待は非常に大きい」と述べた。
井上氏は22日の自民、公明両党の幹部会合で、刑法改正案が先に国会提出されていることも踏まえ、刑法改正案の審議を優先させるよう求めていた。政府・与党が今国会成立を目指す組織犯罪処罰法改正案の審議が後回しになることから、自民党側は回答を避け、両党の温度差が生じている。
ただ、公明党は今国会で成立するという保証があらならば、と方針転換しています。
公明党はこれまで、同党が重視する刑法改正案の審議を後回しにした場合、性犯罪の被害者支援団体などから批判を浴びることを懸念し、民法改正案に続いて刑法改正案を審議するよう主張。山口那津男代表も「後から出した法案を、なぜ先に議論しなければならないのか」と指摘していたが、刑法改正案も今国会で成立を期すと自民党が約束したとして方針転換した。
しかし、報道では、政府与党は国会会期延長に否定的で、共謀罪可決で国会会期を終わらせる考えなのではないか?という観測が何度も流れています。
改正案は衆院で約30時間審議された。参院法務委の定例日は週2回で、自民党参院幹部は「会期末まで1回6時間ずつ審議を重ねれば、ギリギリ会期延長せずとも成立可能」と語る。
ただ、今国会では、天皇陛下の譲位を可能とする特例法案や、衆院選「一票の格差」を是正する公職選挙法改正案、性犯罪を厳罰化する刑法改正案など重要法案が残ったままだ。
与党は加計問題の影響も考慮し、会期延長に慎重だが、自民党幹部は「審議時間に少しの余裕もない」と語り、小幅延長にも含みを持たせる。
法務委員会を舞台にした重要法案はまだある。性犯罪を厳罰化する刑法改正案だ。組織犯罪処罰法改正案の閣議決定は3月21日。刑法改正案のそれは2週間早い同7日。公明党は当初、成立を強く求めてきた刑法改正案を先に審議するように主張していた。
性犯罪の被害救済に取り組む市民団体の関係者は4月下旬、自民党の司法制度調査会に出席し、被害の実態に触れて刑法改正案の今国会での成立を強く要望。議員からは成立に向けた決意が表明されたという。
刑法改正案の審議入りはこれから。会期延長がなければ、成立先送りが現実味を帯びてくる。延長するにしても、その幅の議論に翻弄(ほんろう)されそうだ。自民党の竹下亘国対委員長は5月24日、組織犯罪処罰法改正案とともに、刑法改正案など重要法案の会期内成立に向け「最大限の努力をする」と言及。一方、与党内からは刑法改正案の今国会成立に固執しない旨の発言も聞こえ始めている。
また、この性犯罪に関する刑法改正案と組織犯罪処罰法改正案(共謀罪)の審議順というのは、当事者団体から以前にも批判されています。
署名をまとめたのは弁護士の太田啓子さんら。「なぜ、法案提出順に従って審議順を決めるという慣例にあえて反してまで、性犯罪規定改正案をテロ等準備罪の審議よりも後にしたのか、自民公明党両党に対し、誠実な説明を求めます」と訴える署名には開始から2週間で8000人以上の賛同が集まった。
署名提出にあたって衆議院議員会館で行われた記者会見で太田さんは、「テロ等準備罪の審議は難航が予想される。(刑法性犯罪改正の審議が)その後だと今国会での成立は絶望的ではないか」と訴えた。
また、刑法性犯罪は改正されれば110年ぶりとなり、今回の改正が被害当事者や支援者の強い希望であることを挙げ、「(審議が入れ替えられた今の状況では)早く刑法性犯罪の改正をと訴えると、それならテロ等準備罪を早くと言われてしまう。刑法性犯罪を他の法案を早期に作るための取引材料にしようとしているのではないかということについて、憤りを感じている」と語った。
「今国会での成立に大きな不安を感じています。充分に議論してほしい。(改正法案が)通ればいいということではなく、暴行脅迫要件など積み残した課題がある。被害の実態に添い、次につながる改正実現を強くお願いしたい」(山本さん)
これまで「刑法性犯罪を変えよう!プロジェクト」は与野党議員に対して、根気強くロビイングを行ってきている。調査会では自民党議員からは必ず今国会で通すという返答もあったという。共謀罪が先に審議されていることについては「見守るしかない」「どんなかたちであっても今国会で(性犯罪刑法の)必ず改正実現を」と明言を避けた出席者ら。難しい状況に置かれていることへの苦渋が感じられた。
「『共謀罪』法案を早期成立させる取引材料のように扱われる」という指摘は、悲しいですが、見事に当てはまってしまっているようです。
政府提出の重要法案の充分な審議を願うことが、共謀罪法案のみ強調され、あっち側といわれてしまうのですから。
というわけで、この『共謀罪に言及して、あっち側だと正体を晒した』というのは悪質な印象操作であると私は思います。
おまけ
「政府・与党は人権に関わる法整備をさほど重視していないのでは」という指摘もありましたが、政府与党の姿勢はもちろんとして、今回の騒動以外でも普段から『人権派』などの言葉が批判的に使われることから人権に関わる部分の法整備について、否定的に考える人が増えてしまっているように思います。
また、法整備という観点では、店のものを盗んだ輩の写真公開などから考えるに、政府与党の根っこである民意?の中に、それをさほど重視しない考え方が根付いているのではないか、というのも考えてしまいます。
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