解散権は国民にとっても重要だ、という話

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この解散権を巡る反応、もし本当に反応がこの文字起こし通りだったならば、民進党批判を優先してるのが丸見えの反応になっている人がいます。

もちろん、日本維新の会の馬場伸幸氏のことですけど。

日本維新の会の方々のような第三極の方々は、日頃、政策議論が国会で行われていないことも含め、既存政党の動きを『永田町の論理で動いている』と批判しているように思っていたのですが、その永田町の論理の源泉の一つである解散権について、『国民に関係ない』というのは、あまりにも杜撰ではないでしょうか?

解散権が総理の専権事項となっていることのデメリットについては、いくつかこのブログで記事を書いていますが、改めて書きます。
(いくつか書いた例もリンクしておきます。『総理が解散権を握ることで、(野党は)落ち着いて議論ができない』『国会は、行政監視と立法審議を担っている複雑な機関であるという話』)

その過去に書いたブログにも引用したのですが、イギリスでは解散権を首相の専権事項(厳密に言うと国王の大権事項)ではないような形に改正されました。
(『英国の首相はなぜ解散権を放棄したのか【2015年英総選挙(1)】』)

ここで問題とされていたのは、解散権が首相によって行使されることにより、与党が有利なタイミングを選ぶことが出来たりするなど、野党が一方的に不利であることが大きいようです。

例えば、安倍政権はどう考えても勝てるよくわからないタイミングで解散を行使したり、解散をつねに示唆することで長期戦に持ち込んで、そもそも資金力や組織力で圧倒的な差がある野党を更に消耗させる事を行っています。(例えば『安倍晋三首相「来年も常在戦場」 自民役員会、衆院選にらみ党内引き締めか』のような姿勢がそれ。

そして野党は、そのような解散権がいつでも発動てきる場合、ベストな行動になるのが、野党不利な形成の場合はとにかく解散を打てない程度に相手の支持率を下げることのみを考え、野党有利な場合は、解散をさせるために『解散しろ』というプレッシャーをかけ続けることのみを考えるようになるのではないでしょうか?

このように、野党にとって、解散権が首相にある状態では、まともな議論を行うインセンティブではなく、とにかく場を荒らす方向にインセンティブが働いているように思います。

このような問題を解消し、落ち着いた議論が出来るように与野党のバランスを整えるのは、立法の影響を受ける国民にとっても有益なことになることは言うまでもないでしょう。

支持率的にも与党が圧倒的に有利である状況である昨今、こういう議論をすると、上の画像のように安倍政権の力を削ごうとしているだけとか、選挙に勝てないから避けたいだけ、なんて言われるようですが、例えばリーマン・ショック時の麻生政権や東日本大震災時の菅政権のような、緊急事態が起きた際に、与党内からすらも解散しろと突かれ続ける状態を避ける事にもなるなどの効果もあるように思うので、首相の解散権を問題視するのは不利な野党だからそう考えるのだ、というのは近眼視すぎるというか、相手を舐めた結果として考えが浅くなっているように思います。

イギリスでも不人気だけど必要な政策を行うために与党自ら解散権を縛ったようですし、そういう観点からも首相の専権事項となっている現状を変えることが検討されても良いように思います。

ただ、そのイギリスで今年、議会が解散されました。理由はメイ首相がEU離脱の信を改めて問いたいと考えたからのようです。

イギリスの制限では不信任の後の新内閣不成立時以外でも『(2)下院の議員定数の3分の2(434議席)以上の賛成で早期総選挙の動議が可決された場合』には早期解散が可能であるとなっているので、それが使われたのだと思います。

難しいのは、このどう制限したらいいのか?という部分だろうと思います。

例えば、イギリスの場合は、3分の2を与党が占めているわけではないので(どうも勢力バランス的になかなか難しい模様)、野党の賛同も必要になる歯止めになるのですが、日本の場合、そもそも与党が3分の2を握る例が10年以上続いているわけで、3分の2の賛成が必要である、という状態にしたとしても、連立与党が存在するとはいえ、事実上与党党首である、首相の専権事項である状態は変わらないことになりかねない可能性があります。
(内閣と与党が一体である議院内閣制なので、ある程度ならこうなるのは当然でしょう)

どのように制限するのか?というのはなかなか難しい話になっているように思うのですが(解散が不当かどうかは有権者が選挙で判断すればいい、という意見もあるようです)、検討する価値はあると思いますし、憲法9条よりも実際の政治の動きに与える影響は大きい可能性がありますので、9条より重要な検討事項と考えてもおかしくないと思います。

結局のところ、解散権の仕組みも、政治制度をどう設計するかの一部になるので、憲法的には統治機構改革の一部になるわけで、統治機構改革を基本方針にしているはずの日本維新の会の国会議員さんが、解散権は国民関係ないと言ってしまうのは大失言のように思います。

 

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