同紙によると、問題のメールは今年5月8日にミルン氏がミシェル・ガスリー社長(当時)に送った。ベテランの経済記者を名指し、「排除しろ。我々に必要なことはこの会社を救うことだ。今の政権が次の選挙で負ける保証はない」などと書いたという。
この記者が保守連合政権の技術革新政策を報じた内容についてミルン氏と旧知の仲のターンブル首相(当時)がその前日にABCに不満を表明していた。この記者は2月には法人税政策についての記事で政権側から誤りを指摘され、ABCは記事を訂正していた。
また、豪紙デイリー・テレグラフによると、ミルン氏は6月、別のベテラン政治記者についても政権に嫌われているとして「彼を撃たなければいけない」とガスリー氏に電話をしたとされる。ガスリー氏はいずれも要求を拒んだという。
政権怒らせた記者「排除しろ」 豪公共放送会長が辞任
オーストラリアの公共放送にて、政権に忖度するような人事をさせようとしていたとして、突然社長(NHKのような放送協会なので社長ではない肩書のほうが適切なような気がしますが、ここでは暫定的に使います)を解任していた会長が辞任する事態になったそうです。
会長が人事介入した背景には、上に引用した朝日新聞の記事にも書いているのですが、政府予算の削減があるようです。
26日まで、ミルン会長は、「政府からどうしろという指示は受けていない」と発言していたが、「予算を決める人々をいらだたせて回ることはできない」とも発言しており、政府からの指示がなかったとしてもミルン氏が政権に忖度していたことが示されている。
ジャスティン・ミルンABC会長辞職発表
日本の場合、国会の予算承認は必要なものの、収入自体は受信料という形で直接得ているので、このオーストラリアの件のように、収入の殆どを占める政府助成金の削減により政府からプレッシャーを受けるということは無いと思われます。
ただし、国会の予算承認の仕組みがあるということ以外にも、NHKと政治との距離感というのは非常に難しいものとなっています。
(番組改変事件や、籾井前会長や百田尚樹経営委員の件、その他諸々)
この公共放送と政治との距離感という問題が海外でも当然あるのだなぁ、というのと、それが『忖度』というキーワードで語られているのが面白いと思いました。
ちなみに、今回の件を受けて、現場の職員たちなどが、運営委員全員を不信任しようとする動きがあったり、運営委員の指名の仕組みを政権から独立した形にしようとする動きがあるようです。
この議論については、NHKの経営委員の任命権が総理にあること(国会の同意人事)が、似たような話になると思うので、この動きがどうなるかについて日本でも参考になることがあるかもしれません。
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