ようやく考慮されるようになった多様な家族

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学習指導要領に基づき、生活科で児童が自らの生い立ちを振り返る小学2年生の授業について、虐待などさまざまな理由で親と暮らせない児童を養育する里親らから戸惑いの声が上がっている。「一律の取り組みが、大きな負担になっている子どももいる」。切実な訴えに、専門家も「家族が多様化する中、学校側に配慮が必要」と指摘する。

情報源: 小2生活科「生い立ち授業」に戸惑い 里親「子ども負担大きく」 | 静岡新聞

生い立ち授業というのは、私もやった覚えがあります。名前の理由とかそういうのを聞いてこいと言われた覚えがあります。今回の記事にはその他にも『1歳の時に初めて出来たこと』という例があります。こういうものは『親学思想』に親近感を覚えるような方が大好きな『家族の絆』を確認するための儀式のようなものなんでしょうが、敢えて確認するということは『(保守派が理想だとがなり立てる)家族の絆が無いことを確認してしまう』という事があり得るということを、認識していないといけなかったのだと思います。

なんというか、名前をつけた理由とか、を親が覚えていないといけない、そして、そういうものを聞いて『私はこの家族で育ったんだなぁ』と確認しないといけない。そういう強制をすることが、生い立ち授業というもの目的になってしまっているように思います。

私は父親が存在しない状態で育ちました。そして母親はずっと働いていたので、ずっと祖母と祖父の下で育ちました。私はそういう事があった記憶が無いのですが(忘れているだけで多分そういうことは普通にあったと思いますけど)父親の存在を当たり前の前提にして組まれた授業とか、母親がずっと子育てをしてきたことを前提にしていた授業って普通にあると思うんです。そういうのがあった時、絶対『肩身が狭かっただろう』と思うのです。私は他の出来事(イジメなど)がもっと酷かったので覚えてないですけど。

そういう、一部の生徒に肩身の狭い思いやらをさせてまで、わざわざ家族に触れて『家族の絆を確認しましょう!』とか『家族の大切さを確認しましょう!』とか、これまではずっと平気でやってきたわけで、ようやく家族の多様性といいますか、家族の形にも少数派がいたり、家族の形が(学習指導要領が勝手に『児童にとって家庭は,自分を支え,はぐくんでくれる家族がいるところである。そこでは,家族一人一人が家庭の内外の仕事や役割を果たすとともに,思いやりや愛情によって互いに支え合い,家庭生活が営まれている。』と決めつけている)理想型から全然違っている家庭も当たり前のように存在しているということが認識され、新聞記事になるようになったのだなぁ、と思いました。

学習指導要領は、2020年度からの実施を目標に改訂作業が開始されているようですが、このような家族の多様性を学習指導要領に反映することは、『道徳の教科化』を推進し、『国民のあるべき姿』の画一化を目指している自民党政権である限りは、永遠にありえないのではないか、と思います(少なくとも安倍政権下ではとてもとても不可能だろうと思う。)。しかし、今回の改訂作業での反映を逃すと、10年単位でまた画一された理想型によって苦しむ人間を増やすことになりかねません。

少なくともそういう方々にも生い立ちを振り返ることがその子どもにとって苦痛を生みかねないという事もあることを認識して頂きたいのですが、そういうことを理解した途端に『親が学習しないからだ』とか色々面倒なことをして、余計な口を挟んできそうなんで、非常にめんどくさいんですが。

とにかく、どうにかして生活科という授業から、家庭などの繊細なプライベート分野に土足で踏み込み理想を押し付ける内容を排除できないのか、考えて行動に移していけたらいいなぁ、と思いました。

 

・おまけ 現在の学習指導要領解説、生活(文科省ホームページにpdfリンクが掲載)より家族関係の内容の解説を転載

(2) 家庭生活を支えている家族のことや自分でできることなどについて考え,自分の役割を積極的に果たすとともに,規則正しく健康に気を付けて生活することができるようにする。
児童にとって家庭は,自分を支え,はぐくんでくれる家族がいるところである。そこでは,家族一人一人が家庭の内外の仕事や役割を果たすとともに,思いやりや愛情によって互いに支え合い,家庭生活が営まれている。しかし,児童にとってあまりにも身近であるため,その大切さに思い至らないことが多い。
ここでは,児童が家族とともにしていることや家族にしてもらっていることを振り返り,家族のことや,家庭生活における自分のこと,自分でできることなどについて考え,自分の役割を進んで行うようになることを目指している。また,家庭における自分の生活を見直し,規則正しく健康に気を付けて生活しようとする,積極的な生活態度を育てることを目指している。
家庭生活を支えている家族のことについては,家計を支える仕事,家事に関する仕事,家庭生活の中での役割,家族の団らん,家族で過ごす楽しみ,家族の願い,家族一人一人のことなどが考えられる。児童が家庭生活を支える家族のことを考えるためには,これらのことについて,改めて見つめたり,尋ねたり,実際に手伝いをしたりすることによって,児童が家庭での自分の生活を振り返るようにすることが大切である。それにより,児童は,家族の大切さや自分が家族によって支えられていることなどに気付き,家庭生活においてそれぞれの果たしている仕事や役割の価値,家庭の温かさ,家族一人一人のよさなどが分かるようになる。
自分でできることなどについては,自分のことは自分でする,手伝いをする,家族が喜ぶことを見付ける,家庭生活が楽しくなることを工夫するなどが考えられる。これらは,考えるだけでなく,実際に行うことが大切である。さらに,活動したことについて,家族の感想を聞く機会を設けたり,友達と伝え合い交流したりすることにより,児童は充実感や自信をもつことができる。
「お皿洗いを手伝うことに決めたわけはお母さんの手がいつもかさかさしていたからです。お皿洗いをしていたら,優しい,いい子になったねと喜んでくれました。今はガラスのコップや大きななべも洗えるようになりました。一人で洗い物をすることができます」。このように,自分の役割を積極的に果たし,それが家族の役に立っていることを実感した児童は,自分に自信をもって生活することができるようになる。
規則正しく健康に気を付けて生活することは,家庭生活の基盤であり,児童が健やかに成長するために家族が心を砕いてきた事柄である。食事や睡眠等,日々の家庭生活の中での配慮,病気やけがをした時の心配や治癒した時の安堵,成長の節目に当たる家族の行事などについて,振り返ったり交流したりすることで,児童は家族がしてくれたことに気付き,家族の願いを実感する。このことが,規則正しく健康に気を付けて生活しようとする意欲や態度の育成につながる。
このように,家族や家庭生活にかかわる活動を行う中で,あいさつや言葉遣い,身の回りの整理整頓,食事や睡眠などに関する習慣や技能を身に付けるようにすることも大切である。児童を取り巻く家庭生活に大きな変化が見られる中,家族との会話や触れ合いの減少,生活習慣や生活リズムの乱れ等の問題が生じていることも指摘されている。ここでの学習を通して,児童が自分の家庭を見つめ,家族の一員として,よりよい生活をしようとする意欲を高めることが期待される。
この内容の学習を行うに当たっては,次の点に十分配慮することが必要である。それは,児童によって家族構成や家庭生活の様子が異なるので,それぞれの家庭の違いやよさを尊重することである。これによって,児童は安心して学習に取り組み,自分の家庭を見つめることができる。また,各家庭のプライバシーは尊重されなければならない。そのためにも,家庭の理解と協力を得て,学校と家庭との連携を図る必要がある。
また,家庭生活は児童の生活の中心を担うものであることから,他の内容との関連を図った活動を取り入れるよう工夫することが考えられる。例えば,自分で育てた野菜を家族と調理して食べる,学校で飼育している動物を家族に紹介する,身近な自然や物を使って製作したおもちゃで家族と遊ぶ,などが考えられる。これらにより,家族とともにできることや家庭が楽しくなることについての児童の見方を広げることができる。

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