日本の基礎研究力低下の一理由

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週刊エコノミスト 2017年09月05日号 [雑誌]

毎日新聞出版 2017-08-28
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by ヨメレバ

週刊エコノミストの2017年9月5日号にて、学術論文数の減少についての記事がありました。(タイトルは『低下する日本の基礎研究力 海外からの留学生も影響』)

この学術論文数の減少については、よく『教育や雑用の多忙によって研究時間が減っているから』とか『研究に自由に使える交付金が削減されているから』というのが常套句として言われているように思いますが、記事に拠ると、それらの理由についてはまだ明確な根拠となる証明はなされていないのだといいます。

一方、それとは別な理由が3つ、この記事では示されています。

まず第一に示されているのは、理系(理学・工学・農学)の大学院生が減少していることです。
記事によると、大学院生が論文数に貢献している度合いが日本は海外よりも大きいらしく、その上で現在、博士課程の学生数が論文数と似たような減少傾向を見せているのだそうです。
この減少理由として記事では、いわゆる「ポスドク問題」と言われるポスドクの就職難などによるキャリア不安定化だったり、日本学術振興会の奨励金支給者数の減少、日本育英会の奨学金の返還免除制度が廃止されたりなどが挙げられていました。

第二に示されていたのは、諸外国の研究者が国際化する一方で、日本の研究者が内向き志向になっていることです。
特にEUがとった政策が国際化を加速したりなどしているのを横目に、日本の研究者は『海外留学すると就職に不利になる』ことから海外留学を控える傾向が強くなりました。
また、文科省の海外留学支援と留学生受け入れの予算差が3.5倍、日本学術振興会の海外留学者への予算と外国人ポスドクを日本に招聘する予算が2倍近くになってしまうなど、政策面でもそういう傾向がどんどん加速しているようです。

そして、上2つと連動して起こっているようにおもう3つ目の理由が、『日本の基礎研究の東アジア化』です。(この表現、個人的にはあまりいいものとは思いません。もう少し良い表現があったように思います。)
東アジア出身の留学生の増加傾向などで、日本で日本の得意な分野を学んで母国に帰る研究者が東アジアに増えているようです。
一方、留学生の数が増えることにより、留学生が生み出した論文が出身国などで数を計算されてしまうので、日本の論文数は自ずと減ってしまうようなのです。
また、日本で学んだ元留学生などと共同研究が増えるなど、留学生排出国の勢いが伸びることで、相対的に日本の研究力が低下していく。ということもあるようです。

個人的には、この大学院生と学術論文数のリンクという視点は、(当たり前すぎて?)中々見ないように思いました。

一方で、グローバル化という観点を考慮すると、国の論文数でどうこう言うのはちょっと間違った方向に行ってしまうのかな?という気もしました。
なんというか、もう少し視野を広げて見たほうが良いように思いました。
どうも、政策も狭い視野で作られた政策が連鎖して別な効果が起きているように思いますし。

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